2011.05.06

◆バンキングオンラインの障害対策について

バンキングオンラインの障害対策に関して

今回の東日本大震災は、想定外の数々の事象が発生しました。

想定外の大地震、想定外の大津波、想定外の原子力発電所事故、

バンキングオンラインシステムを構築する場合でも

ある条件を想定してシステム障害対策を策定し、

そのためのバックアップシステムを構築しています。

そこで、バンキングオンラインシステムの障害対策の

概要をサマリーしておきたいと思います。

バンキングオンラインの障害発生原因は、随所に存在します。

人為的なもの、自然災害によるもの、ハード等の自然劣化

によるもの等です。

内的な原因、外的な要因と様々です。

この中から、わかりやすい原因と対策をリストアップ

してみたいと思います。

●コンピュータ本体の障害対策

コンピュータシステムは、コンピューターシステムの

ハードとソフトにより運用されています。

従って、ハード、ソフト共に二系統化システムとなっており、

全面的な障害に発展させないようなシステム構成としていること。

わかりやすく説明すれば、具体的な例としては、コンピュータを

三セット準備し、常時は、二台のコンピューターを二系統で

稼動させると同時に、三台目を待機させます。

ホットスタンバイという状態で待機させます。

いつでも即時にバックアップできる状態で待機させて

おくことをホットスタンバイといいます。

これにより、オンラインのシステム障害時間を

いかに短縮するかを考えてのシステム構成となっています。

ハードに関しても同様で、装置の二重化とトラブルを発生を

極小化するための事前メンテナンスの実施。

障害が発生した場合の即時に代替装置への切り替え装置。

ソフトがバグ等の原因で、異常処理になった場合でも、

一部の機能を停止させ、全体の障害にならないように、

部分切り離しの機能の装備。

システム全体が異常終了した場合には、再スタートさせる

クイックリスタートの機能。

等々とコンピュータシステムそのものの安全運用の方式が

組み込まれています。

更には、コンピュータを設置しているセンターそのものにも

障害の発生の可能性が多くあります。

●コンピューターセンターの障害対策。

コンピューターセンターに関しては、先ずは立地条件が

重要な要素となります。

大地震が発生しにくい場所を選定すること。

例え、大地震が発生した場合でも岩盤の強固な場所を選定すること。

場所的にも、近隣環境の影響を受けにくい場所に十分な土地を

確保しておくこと。

電源、通信設備の確保が十分な場所を選定すること等々と

コンピューターセンター設置場所の選定には十分な配慮が必要です。

コンピュータを正常に稼動させるためには、各種の設備が必要です。

これらの設備に関しても二重化やバックアップ設備が必要です。

もっとも重要なのが、電源であり、通信回線設備です。

電源に関しては、電力会社からの引き込みルートのニルート化と

自家発電装置の設置等での電源バックアップ体制の整備。

自家発電のための燃料に関しても、何時間、何日間

稼動させるかにより燃料の備蓄タンクの装備しています。

通信回線も同様に、二ルート化とバックアップ回線の導入等々。

この他にも、空調設備、コンピュータ設置のフロアーの免震設備。

ともかく、想定可能なバックアップ対策は万全とします。

また、万が一にも、コンピュータセンターの被災した場合でも、

代替できるバックアップセンターも準備しておく必要があります。

●システム開発、運用のための要員確保

次に問題になるのは、要員の確保です。

震災が発生すると交通機関が停止してしまいます。

道路や橋が破壊されて、車の利用も困難になるケースもありえます。

要員が確保できなくて、バンキングオンラインの運用が

不可能になってしまっては困ります。

バンキングオンラインセンターは、二十四時間稼動ですので、

震災発生時には、運用要員はセンター内に確保されています。

建築構造物は、大地震に耐えられるだけの設計ですので、

人命にかかわる事故は発生しないはずです。

しかし、交代要員が出勤できないとなると交代なしで運用を

続けなくてはなりません。

また、システム障害が発生した場合の開発・メンテナンス体制も

配慮の必要があります。

当然、センター内には、食堂が設置されているので、

食料品の備蓄も必要です。

交通機関等のトラブルにより、出勤できない場合を想定して、

必要要員の居住地の配慮も行う必要もあります。

要するに、想定される非常事態に対するバックアップ体制を

準備しておくことが必要なのです。

以上の様に、バンキングオンラインの障害対策は、

想定した範囲では、問題ないはずです。

想定外のことが起こらないことを祈るしかありませんが・・。

ところで、蛇足ながら、今回の東電福島原発の事故に関しての、

個人的な感想を記録しておきたいと思います。


●東電福島原子力発電所の事故処理について

まだまだ、事態が安定した方向に確実には向かっていません。

事故処理関わっていらっしゃる関係各位には、

本当に、ご苦労さんと言いたいと思います。

二度と稼動することはないであろう原子力発電所の制圧のために、

放射能を浴びながら作業するという危険な作業をせざるを

得ないのですから・・・。

それにしても、結果論ですが、今回の事故は、ある意味では、

人災のような気がしないでもありません。

基本的なバックアップ体制の不備と思われるからです。

原子炉の設置場所が、海水での冷却のために海岸線に

設置せざるを得ないという悪条件化の建設です。

そのためのバックアップ設備に数多くの落とし穴があったように

思われます。

大津波が想定外とはいいながら、電源のニルート化、

通信回線のニルート化、自家発電装置の設置場所、

等は果たして万全だったのでしょうか。

災害に対してのバックアップ投資が十分に行われていなかった

のではないでしょうか。

一時的な、出費を抑制したために今回のような大事故に

発生し、この事故収拾の費用は超膨大なものとなっています。

避難住民への保障、農業、水産業への保障、その他の

風評被害に対する保障。

どこまで保障するかは、今後の問題ですが、

おそらく、集団訴訟も起こされることになり、

このための裁判費用・・・・・

一企業では、耐えられない額の費用の発生が予想されます。

しかも、原子炉の制圧には何年もの期間が必要となります。

ロシアのチェルノブイ発電所では、現在でも、制圧のために

数多くの人が働いています。

封印したコンクリート壁の劣化のために封印のための

コンクリート壁の再処理も必要とのことです。

一度、事故を起こした原子力発電所は、長期間近隣に居住する

こともできません。

放射能の発散を制圧するために、何十年間も制圧のための

費用が発生しつづきます。

原子力発電のコストがトータルとして、いかに大きいもので

あったかをはじめて知りました。

原子力発電は、安全で、発電コストも安価という神話は、

崩壊してしまいました。

今後の代替エネルギー開発への日本人の底力を発揮したいものです。



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2010.10.28

◆金融機関とクラウドコンピューティングについて

金融機関とクラウドコンピューティングの今後

【はじめに】

最近クラウドコンピューティングに関する話題が
ITに関してのニュースに登場することが多くなっています。

以前にこのコーナーで取り上げたことがあるのですが、
わかりにくかったようでした。

そこで、改めて、どんな会社がクラウドサービスを提供しており、
どんな企業がクラウドサービスを利用しているのかの現状を把握し、
今後の可能性に関して考えてみたいと思います。

特に、金融機関に於けるクラウドコンピューティングの利活用法の実態と
今後の方向性を考察してみたいと思います。

【クラウドサービスとは】

クラウドの意味は、「雲」の意味で、多数のコンピュータが
ネットワークで接続されており、利用者側からみて、
雲の中にコンピューターが多数点在しており、
インターネットを通じて、自分がどこのどのコンピューターを
利用しているかを意識することなく必要なときに必要だけの
コンピュータパワーを利用できる状態のことです。

電力や水道のように、具体的な仕組みや物理的な構造等を知らなくても、スイッチをオンにすれば電気が流れ、蛇口をまわせば水が給水されます。

このような公共サービスと同様にコンピューターパワーを利用できる
ようにしようというものです。

既に、われわれは、インターネットを利用していろいろなサービスを
享受しています。この延長線上の拡張サービスとして考えてもよいか
と思います。

従来のネットワーク・コンピューティング、
ユティリティーコンピューティング、SaaS等の概念を統合発展させたもの
と考えられます。

IT業界では、いろんな言葉が次から次に登場してきます。
IT技術の進歩に伴いコンピューターパワーの利活用方法が
変化してきているために、メーカーが新技術のセールス戦略のためや
IT業界のオピニオンリーダーが率先して新造語を生み出しています。
このために似たような概念の言葉が次々に乱立して、
一般にはわかり難い世界との印象が強いように思います。

しかし基本的には技術が変化してもコンピュータの利用方法は、
「集中/分散」「自前/共同」の形態の組み合わせで成り立っています。

難しく考える必要はないのかもしれません。

【クラウドの共同利用までの変遷】

コンピュータパワーの利用方法の歴史を振り返ってみると
1960年代のコンピュータ利用の方法として、タイムシェアリング方式
という利用法が米国で盛んであった時代がありました。

大型のコンピューターセンターにデータ回線と端末を接続して
コンピュータパワーを利用していました。

そして、利用した時間と利用したコンピューターパワーで利用料金を
支払うという方式でした。

当時のコンピュータは高価であり、自前で購入するには採算が
合わなかったからです。

今でも、この方式は、利用されているわけですが、大企業では、
技術革新によるコンピューターコストの低減と相俟って、
自社でコンピューターを購入して、自前でコンピュータシステムを
構築するようになりました。

この方が、自由度があり、自社の戦略に沿ったシステムを構築できたからです。

しかし、中小企業では、自社でコンピューターを購入する体力はないために共同で利用する方式がとられてきました。

金融機関の事例としては、地銀の共同利用センターや
信用金庫の共同センター等が事例としてあげられます。

共通のバンキングアプリケーションを共用するという形態は
現時点でも存在しているわけですが、アプリケーションの対象範囲を
更に拡大して共同利用する方式が普及しつつあるようです。

歴史は繰り返すといいますが、この共同利用やタイムシェアリング方式
の発展型がクラウドコンピューティングの利用形態ということになります。

【集中か分散か】

IT業界には、集中か分散かの問題が古くからあります。

センターのコンピューターに処理を集中する集中方式から、
端末側に処理を分散処理させる分散方式への移行してきました。

しかし、セキュリティーの観点から大企業では、シンクライアント方式
でのセンター集中方式にシフトしつつあります。

今度は、集中処理方式へのシフト傾向があり、
この行き着く先がクラウドコンピューティングということになります。

【自前か共同利用か】

コンピュータを自前で購入するか、共同利用のセンターを利用するか
の問題です。

大手は、自前でコンピュータを購入し、ソフトも自社開発、
運用も自社が当たり前でしたが、事情は変化しつつあります。

自前でコンピュータシステムを維持するのは大きな負担となりつつあります。

今後は、共同利用の方向に向かうのではないでしょうか。

以上のように、IT業界は、集中化・共同化の方向である
クラウドコンピュータの方向へ向かいつつあるということです。

すべてが、クラウドサービスにシフトする訳ではありませんが、
新たな利活用方法としてシェアを伸ばしてくるものと思います。

【クラウドコンピューティングプロバイダー】

このクラウドコンピューティングを提供しているサービスプロバイダー
をリストアップしてみました。

具体的に、クラウドサービスプロバイダーを列挙してみると
巨大な海外勢力が多数あり、日本勢もこれに追従しているという構図です。

残念ながら日本勢は立ち遅れているようです。

セールスフォース・ドットコム、グーグル、ヤフー、アマゾン、
ゾーホー、マイクロソフト、アップル、日本ユニシス、IBM、
東洋エンジニアリング、ブランドダイアログ、インタリオ、
エイチ・アイ・シー、インターネットイニシアティブ、
ソニーbit-drive、フリービット、ニフティー、IDCフロンティア、
NEC、富士通、日立製作所、スカイアーチネットワークス、
ソフトバンクテレコム、エーモード等がリストアップされます。

【金融機関での利活用法】

金融機関のコンピューター利用の歴史は古く、金融機関にとって
金融ビジネスサービスを維持するためにはコンピュータパワーは
不可欠なものです。

この金融機関が、どの程度クラウドサービスを利用しているのかを
調べてみました。

クラウドサービスの世界最大手のセールスフォース・ドットコムは、
全世界で82400社のユーザーが利用しているとのことですが、
同社のホームページからピックアップしてみました。

日本での金融機関の事例としては、郵便局、東京海上日動フィナンシャル生命、損保ジャパン、三井住友海上メットライフ生命、
アメリカンファミリー生命保険、アクサ生命保険、みずほ情報総研、
SBIモーゲージ、FXCMジャパンが事例として公開されています。

まだ金融機関の企業数としては少数ですが、
今後は、徐々に増加していくものと思います。

【まとめ】

コンピューターの利用の変遷で述べたように、
コンピューターパワーの利活用の方法は、集中化と共同化の方向
に向かっています。

この背景には技術の進歩とIT利用環境の変化が大きく影響しています。

自前でコンピュータを運営管理していると、耐用年数により、
旧型から新型への更新作業が必要となります。

大規模システムになればなるほど、この手間とコスト負担が
結構大変となってきます。

この手間とコストを回避するために方法として、
クラウドコンピュータ化が最近の傾向になりつつあります。

クラウドサービスには、長短がありますが、一部の業務処理は、
自前よりも共同化への方向の方が割安となる可能性があります。

従って、今後の方向としては、基幹業務は自前システムとしても、
それ以外のシステムはクラウドサービス利用の方向にシフト
していくものと思います。


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2010.09.17

◆最新電子マネー事情

電子マネーの最新事情

【はじめに】

電子マネーは、1980年代の前半から、キャッシュレス時代の新技術として、
銀行やクレジット会社が日本各地で実用化のための実験を繰り返し行った
ものの実際に実用化されるものは登場しませんでした。

一番成功とされた事例は、神戸や渋谷地区で行われたビザキャッシュの
実験でしたが、実用化への移行は行われませんでした。

また、英国で開発されたモンデックスの日本への導入計画等も
ありましたがこれも実用化は勿論のこと実験すら行われませんでした。

現在でもネットマネーとしてインターネット専用の電子マネーとして
生き残っているものはいくつかあるものの一般に広く普及するまでには
至っていません。

そんな中で、2000年代前半より、非接触型の電子マネーとして
ソニーグループを中心としてEdyが登場し、この技術と同一の基盤を持つ
JR東日本による交通カードのSuicaが発行されました。

このSuicaは、交通費の清算と改札口での混雑緩和に大いに貢献すると同時に
提携店舗での決済や自動販売機での購入に役立ち、小銭の出し入れを
簡素化してきました。

その後、地下鉄や私鉄からも同一技術基盤のPASMOが発行され、
JR西日本を中心として関西方面でもICCCAが発行され、
交通機関の相互乗り入れ、各種店舗での決済手段として普及してきました。

JRグループだけでなく、私鉄、地下鉄、バス等の交通機関で、
これらの電子マネーは相互に共通で利用できるようになって来ています。

交通機関を利用するときに発生する小銭の出し入れは簡素化され、
大変便利になってきています。

交通機関での省力化と合理化の効果は相当なものと推察されます。

その後、流通系の企業からイオングループからWAONが発行され、
続いて、セブン&アイグループからnanacoカードが発行され、
各種の提携店舗での決済手段として普及してきています。

2007年以降に後発組としてPASMO、WAON、nanacoが加わったことをきっかけに
、2000年代後半から急速に電子マネーの普及が加速されてきています。

各々の発行母体や利用目的が異なり今後の普及のスピードも異なるものと
予想されます。

そこで、今後の電子マネーの展開方向に関して考察してみたいと思います。

【現在の発行枚数と利用状況】

まず、現在の電子マネーの発効状況と月間取り扱い件数のグラフを
参照してください。

http://senior77.net/emoney201007.html

201007
              2010年.07月末現在のデータです。

 

2010年の7月末の統計によると発行枚数では、Edyが多いものの利用件数は伸び悩みの状況のようです。

Edyは、発行枚数と利用店舗の急激な拡大のための初期投資の規模に比べて、
利用による手数料収入のアンバランスから収益モデルとしては、
苦境に立たされているのが現状のようです。

一方、後発組のWAONやnanacoカードは、発行枚数は、少ないものの
利用件数では順調な伸びを示しています。

利用店舗数は、傘下のチェーン店を中心として展開されており、
買い物代金の決済機能と同時に利用額に応じたポイントを還元するという
サービスを付加して、実質的な値引きによるお客の囲い込みを行っている
のです。

更に、このカードの利用状況は消費者利用動向の分析用のデータとしても
利用され、店舗側のマーケティング情報としても顧客ニーズの把握の
ために大いに役立っているのです。

これらの流通系のカードは、今後更に、提携店舗の拡大と、発行枚数と
利用件数を伸ばしていくものと予想されます。

一方、Suicaを中心とする交通系の電子マネーは、JR各社、私鉄、地下鉄、
バス、更にはタクシー等と乗り物を利用する場合には、
相互に乗り入れが可能となっており、着実に発行枚数と利用件数を
伸ばしています。

利用範囲も提携店舗の拡大や自動販売機での利用等で利便性が更に
増してくるものの思われます。

【まとめ】

電子マネーは、キャッシュレス社会の到来を予想しての各種の電子マネー
の実験段階から、実用化、普及期の段階になってきています。

消費税の導入もあり、買い物時の小銭の支払いの煩わしさは、電子マネーを
利用することにより随分解消されてきました。

またまだ、実際の紙幣やコインの需要は残るものの、決済の手段は、
クレジットカードの普及、電子マネーの普及により随分便利になってきました。

また、現金が必要なときには、近くのコンビニや駅に設置されたATMから
キャッシュカードで現金を引き出すことができるようになっています。

十年前、二十年前に比べて、随分便利な世の中になってきています。

決済手段は、時代の変遷とともに意識しないうちに徐々に変化してきています。

長期のスパンで視るとレスキャッシュ社会へと徐々に近づいているかの
ように思えます。

今後の電子マネーの普及発展の動向に着目していきたいと思います。

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