◆ソフトウェアの品質管理につて
ソフトウェアの品質管理の重要性に関して
【はじめに】
トヨタ車のリコール問題が大きく採り上げられています。
自動車の運転操作システムの欠陥に関しては、
交通事故を併発し、生命を危険にさらすことになります。
今回のトヨタのリコール問題の真の原因がどこにあるかは
現時点では諸説が報道されており、真の原因は不明との事です。
最新の自動車は、電子部品が随所に使用されています。
エンジンの制御、ブレーキの制御、更に、
緊急時の急ブレーキ制御等にも安全確保を目的とした
電子制御方式が導入されています。
また、エコを追求するためのハイブリッドカーの場合には、
ガソリンエンジンと電動モーターの切替を最適化するための
制御やブレーキのエネルギーを発電エネルギーに還元する等の
複雑なシステム構成となっています。
この電子制御をコントロールしているのは、ソフトウェアです。
ソフトウェアにバクが潜んでいたり、運転者の感性に関する
配慮不足や未熟な運転者による誤操作をも配慮する必要がある
のです。
ソフトウェアの品質不良が、交通事故を招き、
人命の損失にも繋がってしまいます。
改めて、ソフトウェアの品質管理の重要性を認識する
必要があります。
今回は、このソフトウェアの品質管理について考えてみたい
と思います。
【ソフトウエアのトラブル】
過去においてのソフトウエアが原因でトラブルになった事例は
数多くあります。
銀行合併時のシステム統合時のトラブルでは、
みずほ銀行の合併時の大混乱を思い出します。
証券取引所のトラブルでは、株式の売り買いシステムが
停止してしまった事件、みずほ証券の誤発注による大トラブル
がありました。
航空機会社の予約システムのトラブルは、
予約システムのトラブルで飛行機の発着に混乱を招く事例が
時々発生しています。
飛行機の管制システムのトラブルで、飛行機の発着が
大幅に乱れるという事件もありました。
このように社会のインフラとしてのシステムのトラブル事例は
数多く存在します。
更に最近では、サイバーテロの攻撃や内外の狼藉者による
個人情報漏洩事件も発生していますが、
これらもソフトウェアの脆弱な部分を攻撃するもので、
リスク管理のための防御用のソフトウェアも重要性を増しています。
しかしながら、航空機や自動車等の運行・運転に関しての
電子制御システムに関しては、ソフトウェアのバクが
人命に関わる重大事故の原因になる可能性があります。
より一層、ソフトウェアの品質管理は重要な経営課題となります。
IT技術の進化により、我々の周りには、意識する、意識しない
に関わらず数多くのソフトウェアが稼動しています。
このソフトウェアの品質の重要性が問われる時代
になっているのです。
特に、
今回のトヨタの自動車の電子制御のためのソフトウェアは、
不特定多数の運転者が運転するものであり、
また、温度、湿度等も世界各国の過酷な環境条件下で
安全に運転可能になることを要求されているのです。
テストケースの数だけでも相当な数になると同時に、
条件の設定事態もかなり難しいものと推測されます。
トヨタ車の品質の良さは、世界有数の品質管理体制で
有名だったわけですが、今回のリコール問題では、
電子制御のソフトウェアの品質管理体制に
疑念をもたれているということです。
【ソフトウェアの品質管理】
ソフトウェアの品質管理の重要性に関しては、
言うまでもないことですが、社会基盤を支える上で、
ハードウェアの品質管理と同様に、ソフトウェアの品質管理
の重要性を改めて認識する必要があります。
ソフトウェアの品質に影響を与える要素は、
生産管理プロセスの五要素である、
インプット、プロセス、アウトプット、
これにマネジメント条件と資源環境条件です。
これらの諸要素を最適化することが品質の高いソフトウェア
を生む必須条件ということです。
そして、このソフト生産プロセスを支えるために環境を整備し、
人材を育成し、支援体制を整えることが重要ということです。
ソフトウェア開発と品質管理に関しては、企業組織としての
総合的な体制の整備が重要な経営課題なのです。
【ソフトウェア品質管理のための国際標準】
ところで、ソフトウェア品質管理に関しても、
国際標準規格があるということをご存知でしたか?
◆ISO/IEC JTC1:Infomation Technology 、
◆JTC1/SC7:Software&Systems Engineering、
◆ISO/TC176:Quality Management and Quality Assurance 、
◆IEC/TC56:Dependability Engineering、
◆IEC/TC65:Safty 、
◆ISO/TC159:Ergonomics、
◆ ISO/TC159/SC4:Usability
等の組織で国際標準が設定されています。
これらの国際標準を参考にしながら、
個別企業のソフトウェア品質管理の基準を策定する必要があります。
とかく、ソフトウェア開発は、職人芸的な部分があり、
開発基準、品質管理基準が厳格に管理されていない傾向があります。
国際標準規格は、世界各国のソフトウェア開発工学分野の
ノウハウを集約したものです。
自社のソフト開発基準、ソフトウェア品質管理基準と
比較してみるのも肝要なことと思います。
不足な部分があれば補強して、堅固なソフトウェア開発体制と
ソフトウェア品質管理体制を経営者自ら
再確認する必要があるのです。
【ソフトウェアの品質管理のまとめ】
ソフトウェアの品質管理管理体制を整備し、強固な経営組織を
構築することは、社会基盤的なソフトウェアを管理運営している
組織にとっては重要な経営課題であることは、間違いのない
ことです。
ソフトウェアの品質管理のポイントまとめてみると、
1)ソフトウェアの品質向上は、全ての企業にとっての
喫緊の課題であること
2)ソフトウェアの品質向上には、ソフトウエア戦略を
明確にする必要があること
3)ソフトウェア戦略の対象は、環境・資源・人材・
プロセス・プロダクトと広範囲
4)ソフトウェア戦略の立案・遂行には国際標準の活用が
有効であること
5)人材の育成と品質測定技術の確立は、最重要課題であること
6)ソフトウエアのリスク管理は、企業の死命に関わる
重要な経営課題であるということ
今回のトヨタ自動車のリコール問題の原因がソフトウェア
であるとの結論がてでいる訳ではありませんが、何らかの形で、
部品と電子制御ソフトウェアが絡んでいることの疑念は
拭い切れません。
不特定多数のドライバーの感性や運転技術、操作ミス等も
配慮したソフトウェアを開発し、高品質のソフトウェアとして
維持していくことの難しさは、金融関連のビジネスソフトの
開発維持とは比べ物にならないほどの複雑さが予想されます。
金融機関のソフトウェア開発に関わるわれわれも
トヨタのリコール問題を契機として、自社のソフトウェアの
品質管理体制を見直す必要があります。
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