トップページ | 2005年5月 »

2005年4月

2005.04.28

■「メールシステム」について

■「メールシステム」について

 前回は「現金の搬送」に関しての物流システムの話題を取り上げました。
 今回は銀行の「物流システム」のもうひとつの「メールシステム」に
 関して書いてみたいと思います。

 銀行の「メールシステム」は、自営の宅配便のようなものです。

 営業店と本部の間の書類のやり取り、営業店と事務集中センター
 の間の伝票や手形のやり取り、営業店と営業店の間での書類や伝票の
 やり取り、各種のコンピュータ出力帳票のやり取り等々と銀行の内部では
 各種の「書類や伝票や現物」が往復しています。

 これらを、スムーズに搬送するシステムが「メールシステム」です。
 この「メールシステム」を支える専門セクションも設置されています。

 「メールシステム」は、途中で搬送ミスがあっては困ります。
 従って、いろいろなミス防止のための工夫がなされています。
 重要書類等の送付に関しては、書留便と同様な仕組みもあります。
 これ以外にも「メールシステム」に銀行独自の工夫があります。

 その一部について説明してみたいと思います。

■専用の送受のための布製の丈夫な鍵付袋の利用 

 手形や小切手等の営業店から集中事務センターへのメール便は、
 毎日発生します。このような場合には専用の派手な色つきの厚手の布製
 の袋を制定して、この袋に「手形や小切手」を入れて、件数と金額の
 合計を表示した送付状をつけて送る方法が制定されています。

 勿論、「現物」の異動に伴い、「勘定科目」の異動を伴うもののあります。
 これらは、「勘定照合システム」の対象になります。
 送付状の作成は、オンライン端末により入力され、この結果として
 送付状が作成されます。
 この送付状を受取った側では、これにより、「現物」と「勘定」を照合する
 という仕組みを構築しています。
 従って、現物が紛失した場合には、勘定不突合が発生して事務ミスが
 発見できる仕組みが組み込まれているのです。

 余談ですが、この布袋には、途中で中身の抜き取りを防ぐために小さな南京錠
 までついていたように思います。

 そして、このシステムで大切なことは、もしも全く送付するものがない
 場合でもゼロであるということを表示する送付状を中に入れて送ります。
 このことにより途中で袋が紛失したのか、それとも本当に送付物が
 ゼロなのかが判別できるようになっています。

 この袋は、店別に作成され、夕方の便で、事務集中センターへ送られ
 翌朝に営業店へ戻ってくるというように使われています。
 これにより途中で紛失等の異常が発生した場合でも発見できるという
 仕組みになっているのです。

 勿論、専用の袋のすべてに南京錠がついているわけではありませんが
 大小の色別に識別できる専用の袋がいくつか制定されています。
 
 以上の様な説明でイメージが湧いて、ご理解いただけるでしょうか?
 テレビ等で年賀状の仕分け作業の現場をご覧になった方もいらっしゃる
 かも知れませんが、郵便局の仕分け作業現場と同様の仕組みを銀行も
 持っているのです。

■メール専用封筒の工夫

 通常の書類の場合には、定型サイズの封筒の中に書類を入れて
 あて先を書いて送りますが、この封筒にも工夫があります。

 再利用が可能なような専用の封筒を使っていました。

 この封筒には小さな穴が開いており、あて先を何回も書ける
 ように四角の枠を印刷したものを使っていました。

 この枠には、A⇒B⇒C⇒D⇒E⇒F⇒ とあて先を連続して
 書くことができ、再利用可能な封筒となっているのです。

 また、この封筒には、小さな直径5ミリ程度の小さな穴が一定の
 間隔で全面に開けてあり、封筒の中に書類の取り出し忘れがないことを
 確認できるようになっています。

 今考えると当たり前ように思いますが、この工夫は、封筒の再利用と
 中身のとり忘れ等のミス防止のためのノウハウが組み込まれた封筒
 だったのです。

 「百聞は一見に如かず」で、現物を見てもらえば簡単に納得いくとは
 思いますが、文章だけで説明するのはわかりにくいかも知れません。

 ご理解いただけたでしょうか。

■搬送物の削減の方法

 最近では、これらの伝票や書類の移動を極力削減するために、
 イメージ伝送システムが使われるようになっています。

 これにより伝票や書類の移動を極力削減することにより情報伝達の
 スピードアップと、「搬送と仕分け」の作業を削減することを可能
 となっています。
 また、このイメージデータを自動識別することにより、あて先の
 振り分けやデータエントリーの自動化も可能になっているのです。

■「メールシステム」という地味なテーマを採り上げましたが、
 搬送システムにはいろんな工夫が可能と思います。

 宅急便はバーコードにより、搬送物が何処にあるのかをリアルタイムで
 把握できる仕組みになっています。
 将来的には、ICタグ等が利用されることになるかも知れません。

 銀行の「メールシステム」にも重要物に関してはICタグを添付すること
 により、より正確、より迅速な仕分けが可能となり省力化と紛失トレース
 が簡単になるシステムが考えられます。
 ICタグを利用した「新メールシステム」も近い将来開発されるものと
 思います・・・。

| | コメント (0) | トラックバック (0)
|

■銀行の物流システムについて

■銀行の物流システム
 
 バンキングシステムは、オンラインの情報処理だけで完結するわけ
 ではありません。オンラインの陰で大量の物流システムが存在します。

 そのひとつが「現金輸送システム」であり、もうひとつが
 「メールシステム」です。

 今回は、「現金の輸送システム」に関して書いてみたいと思います。

 銀行は日銀に当座預金を開設しており、ここから現金を引き出し、
 営業店に現金を供給します。
 このときに新しい紙幣と新しい硬貨も日銀から供給されます。

 また、営業店から集まってきた余剰の現金は日銀の当座預金に
 入金します。
 これにより、現金の市場流通システムの一部が成り立っているのです。

 銀行の営業店に不足する現金を供給し、営業店の余剰現金を回収する
 システムが「現金輸送システム」です。

 この現金輸送システムのことを銀行では「回金システム」とも呼んで
 います。従って、ここでは現金輸送のことを「回金」と略称します。
 
■「回金システム」の役割

 「回金システム」は、営業店の現金在庫の調整の役割を果たします。
 金種別の現金必要量を営業店に供給し、営業店の余剰の現金を
 回収します。これにより、営業店は、現金の適正在庫を保つことが
 できるのです。

 また、この回金システムの役割のもうひとつは、新しい紙幣や
 新しい硬貨を供給し、古い貨幣や硬貨を回収する役割があります。
 汚れたり、破損して流通に適さない紙幣や硬貨を回収し、
 日銀に還元します。
 日銀は、これらを最終的には消却処分することになります。

 即ち、銀行の営業店は、流通通貨の新陳代謝の機能を果たしているのです。

 ところで、銀行の首都圏や大都市圏の営業店には、基本的には午前と午後の
 一日に2回、現金輸送車が巡回してくることになっています。

 午前の便で現金を供給して、午後の便で現金を回収するというのが
 原則です。
 勿論、店の規模や店舗の地域の配置により、現実には、この原則は
 いくつかのバリエーションに分かれますが。

 次回説明予定の「メールシステム」との混載便とする場合もあります。

 各地に分散している銀行の店舗を無駄なく時間制限の中で、巡回する
 ということは、簡単なことではありません。

 これらは、プロの搬送業者が銀行ニーズに合わせて組み上げている
 巡回配送システムです。

 OR分野での「銀行の回金システムの巡回配送システムの最適化問題」
 というテーマの手法がベテランにより創り上げられているのです。

■現金の適正在庫管理は重要課題です。

 銀行の営業店にお客様により持ち込まれる現金とお客様が引き出される
 現金の量は、季節や月末月初等の日別変動があります。
 また、一日のうちでも時間帯別の変動があります。

 例えば、当然のことながら給料日には現金が多く引き出されます。

 現金の入金、出金の量の変動にはいくつかのパターンが存在します。
 現金の需要と供給のバランスを考慮しながら営業店は現金在庫を
 適正に保つ必要があります。

 営業店に無駄な現金を持つということは、営業店の収益上マイナスに
 なる仕組みになっています。

 従って営業店では手持ち現金を少なくしたいのです。
 しかし、手持ち現金が少ないと、お客様への支払い現金が不足して
 迷惑をかけてしまいます。

 従って、常連のお客様には、大量の現金の引き出しに関しては事前に
 予約をお願いしているのです。突然の大量の現金の引き出しには対応
 できないということがあるからです。

 また逆に、大量の現金入金に関しても大量の現金在庫を抱え込むこと
 になりますので事前に連絡をお願いするということになります。

 ここでも、OR分野の「適正在庫問題」が存在するという事になります。


■現金の輸送には、危険が伴います。

 現金輸送車が強盗に襲われるという事件が時々発生しています。
 従って、現金の輸送に関してはいろいろな危険回避の仕組みが
 組み込まれています。

 詳細に関して解説することはできませんが、銀行の場合は、
 専門の警備会社や専門の運送会社に輸送を委託しています。

 即ち、プロ集団にアウトソーシングしています。

 従って、プロ仕様の警備体制の中で現金は安全に輸送されているのです。

 これ以外にも、銀行は現金をお客様に直接届けたり、お客様から現金を
 集金するサービスも行っています。

 例えば、大手のスーパーとの取引では、おつり用の小銭を大量に両替して
 回金します。そして、紙幣を集金し預金口座に入金します。

 また、競馬場や競輪場には大量の現金が集まります。
 この現金も集金して預金口座に入金します。

 年末年始には、神社やお寺には大量のお賽銭が集まります。
 これらを集金することも昔は若手銀行員の仕事でした。

 これらの大口先に関しては、最近では、専門の集金代行子会社に有料で
 アウトソーシングしているというのが実態ですが・・・。

 このように、銀行は、日銀と営業店、営業店とお客様との間で大量の
 現金をやり取りしており、このための「現金搬送システム」が存在して
 いることがご理解いただけたと思います。

 

| | コメント (0) | トラックバック (0)
|

■勘定照合システムについて


■勘定照合システムについて
 
 今回は勘定照合について書いてみたいと思います。
 銀行の営業店では、一円でも数字が合わないと帰宅する事ができないと
 昔の銀行を知る人は世間で言われてきたことをご存知と思います。
 銀行事務に正確さを要求する表現の一種だつたと思います。
 確かに銀行は信用を一番大切にしているビジネスですので、
 事務がルーズであってはならないのです。
 びた一円の間違いがあってはならないという戒めの表現と思います。

 銀行の事務の正確さを保証するための仕組みとして、勘定照合用の
 システムがいろいろと組み込まれており、勘定ミスを発生させ難い
 仕組みやミスが発生しても比較的簡単にミスを発見できる仕組みが
 随所に組み込まれています。

 今回は銀行の勘定照合のシステムに関して説明したいと思います。
 銀行の営業店では、午後3時にシャツターが閉じて店頭での営業が終了
 すると一旦勘定を締めます。
 店内の勘定を一斉に締めて、店内勘定の照合を行います。
   勘定科目別に、伝票の枚数と伝票上の金額を入金別、出金別に加算機で
 集計します。銀行の営業店で利用している加算機はジャーナル付きで
 入力の数字の加減算だけでなく、入力件数もカウントする機能のものを
 導入しています。
  そして、加算機で集計した伝票の件数の合計と金額の合計
 とオンライン端末で入力されて集計された件数と金額とを照合します。
 原始伝票を加算機により再集計した科目別、入出金別の件数と金額の数字と
 コンピュータに端末入力された件数と金額が完全に一致していれば
 勘定ゴメイということになります。
 最初の勘定照合で件数、金額が一致することを「一算ゴメイ」と
 言います。この「一算ゴメイ」は事務の正確さの指標と考えられており
 連続記録の更新することを各店対抗で競ったものです。

 また、銀行の事務の基本には、記帳印字というものがあります。
 これは伝票をコンピュータに入力した結果を伝票の片隅に打ち出して
 端末入力の結果を伝票上に残すことにより、端末に入力した結果と
 原始伝票上の内容とを照合することを原則にしています。
 勘定が一致しない場合には、この記帳印字と原始伝票の内容を個別に
 点検することにより入力ミスを発見できる仕組みとなっているのです。

 勘定照合システムの第一番目の機能が原始伝票と端末インプットの
 結果とを照合することです。
   第二番目の機能が現物照合という勘定照合機能です。
 現物とは現金は勿論のこと、小切手や手形、通帳や証書のことを
 言います。これらの現物の在庫の管理は重要事項です。
 
 銀行の営業店では、現金を受け入れたり、現金を支払ったり、
 現金を両替したりする現金の出入りの移動があります。
 これらの現金の移動が正確に行われたかを在庫照合することにより
 確認するのです。
 確認の方法は、営業店全体の手持ち現金とコンピュータで管理している
 営業店に存在する筈の現金在庫金額の一致を確認します。
 現金は紙幣、硬貨に分け、金種別に現金在庫を照合します。
 この数字が一致しないとどこかでミスが発生していることになるのです。
 この数字が一致しない場合の原因を追究しやすいように、作業ユニット
 単位、テラー単位、出納係単位等に細分化された単位で現金の手持ち在庫
 とコンピュータが管理する在庫を細分化された単位で個別に照合できる
 仕組みを組み込んでいるのです。当然のことながら、全店の現金在庫を
 把握するためには、個別の現金在庫を把握して、この総合計として、
 営業店の現金在庫が把握できるのです。
 銀行の現金は、いろんなところに分散しています。
 大金庫の中、出納室の中、現金自動出納管理機の中、テラー端末の
 現金自動受け払機の中、ATM端末の現金入出金機中、両替機の中等と
 各種の自動機器の中や手元現金格納箱の中等に分散しています。
 個々の取引での現金の出し入れは勿論のこと、これらの機器の間での
 場所の移動もあります。
 これらの移動も伝票を起票して端末インプットします。
 
 現金在庫が一致しないということは、個々の取引で多く支払ったか、
 少なく支払ったか、または多く入金したか、少なく入金したことに
 なります。また、場所の移動時の受け渡しのミスも発生します。
 現金に関しては「現金その場限りの原則」というのがあります。
 現金の受渡は、受渡の瞬間瞬間で完結することが原則です。
 後刻、受渡が多かった、少なかったと言っても証拠が残りませんので
 「その場限り」が銀行の現金受渡時の原則となっています。
 当たり前のことですが、この原則はどこの世界でも同様と思います。
  
 現実問題として、毎日毎日100%で勘定が「一算ゴメイ」というわけ
 ではありません。勘定が一致しないケースも発生します。
 この場合はミスの原因を追究することになります。
 勘定科目別の伝票の枚数・金額が異なる場合には、伝票が紛失して
 いたり、他の科目と入り繰りであったりします。
 この場合には、紛失伝票を探すことになります。
 金額のみが異なる場合には、加算機の集計ミスか、オンライン端末の
 入力時のインプットミスが原因と考えられます。

 その他にも、考えられるミスの原因はいろいろあります。

 よくあるミスの原因に、「ケタチ」、「イリクリ」等があります。
 「ケタチ」の例としては、35,674,000円を
 3,567,400円と数字の桁数を間違ってしまう場合です。
 また、上記の数字で35,764,000円として数字の前後を
 入り繰ってインプットしてしまう場合があるのです。

 勘定の合わない原因は徹底的に追究する必要があります。
 原因が不明の場合は仮勘定を立てて、原因が判明するまで記録を
 残しておきます。
 現金以外にも、通帳、証書、小切手、手形等の手持ち在庫も照合の
 対象になります。これらは重要管理物になっており、
 在庫の出し入れ、書損等の管理も厳重に行うことになっています。

 以上のような勘定照合システムを使い銀行は事務処理の品質を保持して
 いるのです。
 
 

| | コメント (0) | トラックバック (0)
|

■続 コールセンター機能について

■コールセンターの機能に関して

 前回、コールセンターの機能に、インバウンドとアウトバウンドの二種類
 があるということを説明しました。

■インバウンド機能

 インバウンドとは、お客様からの電話を受けてお客様の要求に適切に
 対応することを機能としています。
 コールセンターにはお客様からの電話による各種の問い合わせが
 あります。
 内容的には、簡単なものから、複雑なものまで、また、お客様からの
 クレーム等の電話もかかってきます。
 これらの電話に応対する必要があります。

 電話受付のオペレーターは大部分がアルバイトか派遣会社からの派遣社員
 により構成されています。従って定型パターンに関しては想定問答用の
 マニュアルが準備されています。
 また、最近では、ディスプレー画面で対応方法に関してのガイドも
 アシストされるようになっています。
 しかし、定型パターン以外の複雑な電話の応対には、対応不可能という
 ことも発生します。

 そこで、この例外処理に対応するためにベテランのスーパーバイザーに、
 電話を転送する必要があります。
 最終的にはセンターの責任者が対応することも必要かも知れません。
 勿論コールセンターですべてが対応できるわけではありません。
 本部の担当セクションに引き継ぐという判断も必要となります。
 これらの一連の流れをスムーズに運営することがコールセンターの
 運営ノウハウということになります。

 簡単な電話照会の事例としては、店舗の所在場所や電話番号の照会から
 銀行の商品やサービスの具体的な内容に関しての問い合わせがあります。

 また、具体的な事務処理を伴う電話取引サービスもあります。
 これらは、事前の手続で本人確認手段の登録や取扱いサービスの範囲等が
 登録されていることが必要なことは当然のことですが、為替の振込処理
 や預金口座間の振替処理等も可能です。

 お客様からの最初の電話照会が、銀行の商品やサービスの問い合わせで、
 これをきっかけに預金口座の開設用の申し込み帳票の郵送依頼とか、
 インターネットバンキングの申し込み用紙の申し込み帳票等の郵送依頼に
 まで結びつけることができます。
 これはインバウンドの電話照会をセールスの成果に結びつけることが
 できた成功事例です。

 インバウンドのタイミングで得られる情報はデータベース化され、この
 情報を蓄積して、次のセールスに役立てることが肝要です。
 いわゆる、フォロー電話のためのデータベースを構築することです。
 インバウンドから得られる情報も積極的に利用することが可能ということ
 になります。

■アウトバンド機能

 アウトバンドは、コールセンターからお客様に電話をかけ積極的に商品や
 サービスをセールスことを機能としています。

 一昔前までは、銀行のテレホンセールスセンターというのがありました。
 このセンターでは定期預金の満期案内をすることがメインでしたが、
 定期預金の自動継続や元金の増額、期日の変更、他の定期性預金への
 シフトセールス等の役割を担っていました。

 また、為替の振込案内も行っていました。この振込金額が多額の場合には
 資金使途等をお伺いして、営業店の得意先への訪問情報を伝達する等の
 役割を果たしていました。

 基本的にはこの機能は変わってはいないのですが、顧客情報システムを
 充実させることによりマーケティング用の資料を抽出することが可能と
 なってきています。
 このマーケティング情報をベースに新商品や新サービスのセールス活動を
 電話を通じて行う機能がコールセンターによる電話セールス活動という
 ことになります。

 最近は自宅にセールスの電話がよくかかってきます。
 墓地のセールス、外壁のリフォーム、外貨預金のセールス、新築マンショ
 ンのセールス等々と多くの売り込みの電話がかかってきます。
 しかし、受取る側はうるさいだけで迷惑電話の一種としか受取らないのが
 大部分の印象です。
 これは今まで接触のなかった先から突然電話がかかってくるからです。
 何らかのきっかけのある先からの電話には違和感はありません。
 事務処理や何らかのアクションに絡めてセールスするという手法の開発が
 コールセンターの機能を高める方法です。
 このための仕掛けを工夫することが重要と思います。
 コールセンターの効果を高めるためには、電話を受取る側の心理を
 読んだマーケティング手法が必要となります。

■コールセンターのシステム装備

 最近のコールセンターシステムは単純に人的な対応のシステムだけでは
 ありません。
 PBXやCTIサーバ機、オペレータ用端末などシステム装備を備え、
 補完的に、FAX処理システムや音声応答装置による無人応答(IVR)など
 の機能を持つことも多くなっています。

 また、電話対応だけではなく、その結果をベースにしたデータベースの
 作成・データのメンテナンスなどのシステムを組み込むことにより、
 マーケティング戦略上の一手段としての活用策にも関心も高まっています。
 コールセンターの運用や活用の方法はこれからも進歩していくことでしょう。

■コールセンターのアウトソーシングビジネス

 なお、システムの構築にかかる負担が大きいことや人的資源の確保の
 問題もあり、コールセンター業務を請け負う業者も存在しています。

 また、24時間サービスの提供のためや、より低コストのコールセンター
 運営のために、人件費や設備運営費用の安い地方や海外にコールセンター
 を設置することも実際には行われています。

 電話している相手が、日本語の流暢な中国人であるということもありうる
 のです。

| | コメント (0) | トラックバック (0)
|

■コールセンター部門について


■コールセンター部門

 コールセンター部門は、銀行の中でお客様への対応を普及率の
 高い電話というコミュニケーション手段を使って、お客様への
 各種のニーズに対応するための専門セクションのことです。

 銀行に限らず、一般の消費財メーカーや通信販売事業者などでも、
 一般の消費者からのお問い合わせの受付窓口となる大規模な電話
 応対センターを設置しています。

 従来は単純な注文の受け付けや苦情の対応を主な業務としていました。
 しかし、かかってきた相手の電話番号を知ることのできるナンバーディス
 プレイが本格的な普及したことによりコンピュータと電話の連動を
 迅速に行うことができるようになりました。
 そこで、お客様の情報を蓄積したデータベースと連結することにより、
 お客様とのリレーションシップを向上させるシステムである、CRM
 システムと呼ばれるシステムの要として戦略的な意義を持つ営業支援
 センターとして成長してきています。

 銀行も同様で、最初は、お客様への振込入金のご案内や定期預金の期日
 のご案内、新規のご契約のお礼等を電話によりフォローすることを目的と
 して設置されました。それが、現在では、為替の振込処理やその他の
 事務処理を銀行の営業店に出向くことなく処理できる機能を備えるように
 なっています。
 更に、銀行の商品やサービスをセールスする営業支援チャネルとしての
 役割を期待されるようになってきています。

■コールセンターの機能

 コールセンターの機能を具体的に説明してみます。
 機能を大きく分けると、お客様からの電話を受ける「インバウンド」と、
 逆に銀行からお客様に各種のご案内のために電話をかける
 「アウトバウンド」の二つに分かれます。

 コールセンターには、応対するための多数のオペレーターとオペレーター
 を監督管理し、複雑な問い合わせに対応するためのスーパーバイザー等の
 役割を持つ人間とIT機器に支援されたサポートシステムが必要となり
 ます。

 皆さんの中でもコールセンターをご利用なさった方もいらっしゃるかも
 知れませんが標準的なパターンについて説明したいと思います。

■自動音声応答システムに関して

 コールセンターの説明の前に自動音声応答システムに関して説明して
 おきたいと思います。
 
 実は、銀行では営業店での事務の省力化のために各種の機械化を推進
 してきました。インターネットを利用して、預金口座の残高照会や
 入出金の明細を知ることができますし、為替の振込も可能となって
 います。これがいわゆるインターネットバンキングシステムです。
 パソコンや携帯電話でも操作が可能となっています。

 しかしながら、すべてのお客様がパソコンやインターネットを自由に
 利用できるわけではありません。そこで、電話を使ったサービスを
 開発しました。銀行としては、利用者の拡大を意図したわけです。

 ところで、電話には、プッシュホン式とダイヤル式の電話があります。
 この二種類の電話に対応できるシステムの開発が必要でした。

 プッシュホンはご存知のように電話機上の数字ボタンを押せば、
 ピッポッパッという音が発信され、この信号音によりどんな数字を
 押したかを判別することができます。
 この信号音により、データを入力することができます。

 具体的には、自動音声応答システムは、予めお客様に電話応答用の
 専用の電話番号をお知らせしておきます。この電話番号にお客様から
 電話がかかってきますと、まず、何の目的で電話がかかってきたかを
 判別します。
 例えば、「預金の口座残高のご照会ならば1を押してください」
 「入出金明細のご照会ならば2を押してください」
 「それ以外のご用件の場合には3を押してください」という風に
 音声で応答します。この音声の返信としてお客様がプッシュ音で1を
 押せば預金の口座残高のご照会ということが解ります。

 次には、「支店番号・預金種目・口座番号・暗証番号等のデータ等を
 順番に会話形式で入力してもらうことにより、口座残高照会に必要な
 データを受信することができます。応答に必要なデータが正しく入力
 され、本人が確認されれば、預金の口座残高をバンキングオンライン
 システムのコンピュータから必要なデータを取り出し、このデータを
 音声に変換します。
 そして、お客様の電話機に音声で応答する仕組みになっています。

 このようにして、プッシュホンの電話機を端末機器とみなして、人手を
 介することなく、コンピュータを使い自動的に事務処理対応することが
 可能となっています。
 当初は、コンピュータの読み上げる数字は独特の機械的なものでしたが、
 最近では、自然な音声になっており、違和感の少ない応答ができるように
 なっています。

■ダイヤル式電話にも対応

 プッシュホン式の電話機での音声応答システムは比較的簡単でしたが、
 ダイヤル式の電話に対しても対応すべきということになりました。
 ここで登場したのが音声認識システムでした。
 電話機を通した人の声を識別してコンピュータと会話させようという
 システムの開発にチャレンジしました。識別するのは、数字のみですので
 比較的簡単だと思っていたのですが、初期の音声識別システムでは、電話の
 音声で数字を識別するのに相当苦労しました。

 人の声は様々です。電話機を通した音声は歪が発生しています。
 電話機の後ろでいろいろな雑音が発生しています。
 不特定多数の音声から数字を判別する必要がありました。
 男性と女性では声の高さが異なります。
 関西と関東ではアクセントが異なります。
 初期のシステムでは、不特定多数の声を識別するのに四苦八苦したのです。
 初期の段階では、たった10個の数字すら正確には識別できなかった
 のです。
 いろいろな工夫の末に、不特定多数の音声で数字のデータをなんとか
 識別することができるようになり、ダイヤル式電話でも音声応答システム
 をサービスすることができるようになりました。

 今では、簡単な単語ならば、かなり正確に識別することができるように
 なっていますから、相当の技術進歩があったものと思います。

■コールセンターの説明のつもりが、電話自動応答システムの説明が少々
 長くなってしまいました。つづきは次回ということにします。

| | コメント (0) | トラックバック (0)
|

■淡路・阪神大地震時の銀行側の対応

■前回に引き続き淡路・阪神大震災のときの実体験の一部を
 紹介していきます。

■予想に反したこと

 復旧対策の中で、予想に反していたことをいくつか挙げることが
 できます。
 大規模災害が発生すると預金から現金の引き出し客が殺到するので、
 銀行店舗には支払いに十分な現金在庫を持つべきであるという意見を
 当たり前のこととして考えていました。
 銀行としては、お客様が銀行に緊急資金の引き出しにおみえになる
 と予想していたのです。このために営業店の金庫に大量の現金を
 輸送する作戦が開始されたのです。

 道路は寸断されており、路上には建物の残骸が氾濫しており、
 交通事情は最悪の状況でした。この中を緊急車両に準じる扱いで、
 営業店の金庫に大量の現金を搬送したのです。

 また、地震により通帳や印鑑を紛失されたお客様が銀行店舗に
 ご来店されたときの非常時の対応ルールを決めて災害復旧の中で
 銀行は営業を開始したのです。

 しかし、現実には被災地では、現金の引出し需要は少なかった
 のです。
 なぜなら、現金があっても商店街は閉鎖されており、買えるものが
 なかったからです。

 食事はボランティアの人達により炊き出しが行われており、
 災害直後は、現金は不要だったからです。
 また、大金の所有は危険な状況だったからです。

 実際のお客様の銀行への要求は貸金庫の利用要求だったのです。
 避難する時に持ち出した、家の権利書や各種契約書、宝石等の
 貴重品等の保管場所が問題になったのです。

 従って、銀行の貸金庫需要が急増することになったのです。
 このための対応を急遽作成することが必要となったのです。

 冷静に常識的に考えれば、結果は明白だったのかも知れませんが、
 災害発生の初期の時点ではこのことに気づかなかったのです。

 なにごとも頭で考えていることと現実が異なることは多いものです。

■大きな問題点は手形の決済

 大震災時の大きな問題は、手形等の資金決済の問題です。

 各種の事情により、手形の決済が不可能が事態が発生します。
 このために、特例扱いの適応を発動する必要がありました。

 いわゆる、執行猶予期間を設定して、この期間は不渡り等の
 適応の例外を設けました。このことにより、災害時の非常事態
 発生時の不渡り倒産の回避策としたのです。
 
 大災害時には、金融も各種の緊急発動の手続を必要とします。
 緊急マニュアルを短時間で作成する必要があります。

 この場合でも事務の本質を理解している人とそうでない人の
 違いが明確になります。
 常日ごろの本質を徹底的に勉強することの大切さを感じたものです。

■この淡路・阪神大地震の後遺症は大きいものがありました。

 日常の生活は破壊され、震災以前の状態に戻ることはありません。
 被災された皆様は今でもいろんな後遺症に悩まされていらっしゃる
 ことと思います。

 この被災復旧の過程で、いろんな分野でいろんな災害復旧の
 ノウハウが蓄積されていることでしょう。

 銀行の大震災対応のあり方についても多くのことを学びました。
 この経験を記録に残しておこうということで2冊の本にまとめて
 出版したのですが、現時点では絶版になっていました。

 「災害は忘れた頃にやってきます」、災害時の体験やノウハウが
 風化しないことを祈念したいものです。


| | コメント (0) | トラックバック (0)
|

■大規模災害対策のセンター構成

■大規模災害対策のセンター構成に関して

 コンピュータセンターは原則として2センター方式になっています。
 原則としてというのは、バックアップセンターは自前のセンターを
 持つのは経済負担が大きいので、共同のバックアップセンターに加入
 する等のバリエーションがあるからです。

 地震やテロによる爆破、飛行機の直撃等の予期せぬ災害が発生に
 備えて、メインセンターのコンピュータが利用不能になった場合には、
 サブのコンピュータセンターに代替させるという2センター方式の構成
 になっています。
 片一方のコンピューターセンターが機能不全に陥ったときには、
 瞬時にもう一方のコンピューターセンターがバックアップする仕組み
 になっているのです。
 
 この方式にもいろんな方式がありますが、基本は、メインコンピュータ
 センターの他にミラーのコンピュータセンターを設置する方式です。
 これは、メインコンピュータと遠隔地のコンピュータが2-3秒の遅れで
 同一の処理を行う仕組みです。
 これによりメインコンピュータが稼動不可能になった場合には、瞬時に
 ミラーコンピュータシステムがメインの代替機能を果たす仕組みです。

 この場合には、ファイルの切替えやプログラムの切替えは当然のこと
 ながら、通信回線の接続の切り替えも必要となります。
 これらを瞬時に切替える必要があり、このための仕組みは複雑な技術を
 必要とします。
 しかしながら、社会インフラ化しているバンキングシステムをストップ
 させることによる影響は大きなものがあります。
 従って、銀行は災害対策には大きなシステム投資を行っているのです。

■実際の大規模地震発生の事例

 淡路・阪神大震災が発生してから、既に10年弱の年月が経ってしまい
 ましたが、この震災の状況を思い出しながら、小生の体験した災害対策
 の一端をお話してみたいと思います。

■突然の激震が発生

 1995年1月17日午前5時46分。成人の日と振り替え休日の連休があけよう
 としていたその瞬間、淡路島北端から阪神間の一帯は、その風景が一変
 しました。死者6430人。負傷者4万3773人。
 全壊した住宅は約10万4900棟。大震災が発生したのです。

 小学校などの避難所には、神戸市内だけで最高時23万6899人
 (1995年1月24日)が身を寄せ、被災生活をしいられることに
 なったのです。

■銀行機能の回復について

 家々は崩れ、鉄筋のマンションやビルも傾き、町のあちらこちらから
 火の手が上がるという光景をテレビ画面で驚きと悲しみの中で
 片目でテレビを視ながら銀行機能の現状復帰の対応を行っていました。

 銀行は銀行機能の正常化のために対策本部を設置して、銀行サービス
 の復旧のための努力を行いました。

 小生は、当時は、さくら銀行の事務管理部に勤務しており、
 前々日まで神戸で仕事をしており、地震発生当日は、東京に帰って
 きていたため被災の経験はしていません。
 しかしながら、東京の地震対策本部で、現地の生の情報収集と本部として
 の各種の支援対応の指揮をとることになりました。

 このときの記憶は薄くなりつつありますが各種の貴重な体験をしました。

■情報の収集に関して

 第一報を知ったのは、自宅の朝のテレビのニュースでした。
 このニュースではいつもの地震ニュース程度の認識しかなく、
 いつものように出社しました。
 出社すると、コンピューターセンターから、神戸地区の営業店の
 数10カ店以上の銀行端末やATMが開局できなく、営業店への電話
 連絡もできない状況にあるとの報告を受けました。
 この段階で大災害の予感がしましたが、出社した8時の時点ではテレビ
 等の朝のニュースでは詳細を把握できていなかったようでした。
 電話を神戸にかけましたが全く通じない状況でした。

 こんな状況の中で、たまたま一本の電話が神戸本部とつながりました。
 これがチャンスとこの一本の電話回線を一日中キープすることにしました。
 これが唯一の情報収集チャネルのために、この電話回線をつなぎ放しに
 して、スピーカーとマイクを接続して、情報交換のチャネルとしました。
 他の通信手段が復旧するまでは、この電話回線が現地の情報を入手する
 重要な情報チャネルのひとつとなったのです。

■徐々に情報が入手できるようになり、被害状況の把握が可能となって
 きました。この刻々と入ってくる情報を事務所の壁全体に白の模造紙を
 貼り、ここにメモや各種の情報をカテゴリィー別に貼り付けて、
 誰でもが情報を共有でき、全体を把握できる体制にしました。

 幸い、銀行関係者に直接的な人命の被害はなさそうであり、営業店の
 何カ店かが建物の崩壊により使用不能となっていることも判って
 きました。
 個別店舗ごとの復旧対応、災害時の緊急事務取扱い方法の指示等で
 2-3日の間は徹夜で対応し、復旧対応に忙殺されたことを思い出
 します。

 さくら銀行のコンピュータセンターは被災しておらず、通信回線は
 不通の箇所が何回線が在りましたがこれらも順次復旧し、正常に稼動
 できる状況にしました。
 このことが復旧の対応を簡単にしたことは幸いでした。

 各種の顧客データはコンピュータセンターに蓄積されていたからです。
 各種の支持をコンピュータ端末を通しても可能になったからです。

■大震災が発生する状況は様々です。

 事前に予測して十分な対応をしている積もりでも、現実には予期せぬ
 事態が次から次に発生していきます。この予期せぬ事態にいかに迅速に
 適切な対応を行うかは、各人のビジネススタイルに関係があります。
 簡単なことでも本質を捉えた対応力のある実務訓練が必要であることを
 実感しました。
 異常事態が発生したときに冷静かつ沈着で適切な行動をとることが
 できる人間とパニックに陥り空回りする人間がでてきます。
 真のビジネス能力を判断するにはパニックへの対応力ということと考えて
 いますので、この災害を通じて改めて過去の自分の個々人への人事の
 評価基準の正しかったことを確認する結果にもなりました。

 今回は、ここまでです。
 次回は、災害対策で実感した、予想に反した事柄について書いてみます。

| | コメント (0) | トラックバック (0)
|

■集中センター機能(続)

■集中センター機能のつづき

 バンキングシステムの後方支援の機能を取り上げてきましたが、
 今回は、コンピュータの運用管理部門を中心とした話をしたいと
 思います。

■コンピュータ運用部門

 バンキングシステムを支えるコンピュータシステムは、365日・
 24時間フル稼動です。
 このコンピュータをトラブルなく稼動させるための組織がコンピュータ
 運用部門です。
 コンピュータをトラブルなく、常に安定したコンピュータバンキング
 サービスを提供することは重要な使命です。
 バンキングシステムには、コンピュータ企画部門とコンピュータ運用部門が
 連携してシステムの安定稼動のための各種の仕組みを組み込んでいます。

 この運用部門の一部の要員は3シフト制の勤務形態となっています。
 銀行の中では、特殊勤務の部門であり、シフトのための人員を確保して
 おく必要があります。
 また、日中静かな睡眠を確保できるような特殊な厚生設備条件等も
 準備されています。
 不規則勤務であり、なかなか大変なセクションということができます。

■コンピュータ運用部門の主な機能を列挙してみます。
 (すべてを運用部門が担当している訳ではありませんが、
 システム開発部門や企画部門と連携する機能も含まれます。)

 コンピュータ利用のスケジュール管理
 コンピュータの稼動状況分析
 コンピュータシステムのメンテナンス管理

 コンピュータのシステムライフの推定
 ピーク日、ピーク時間帯の処理能力の把握
 システムネックの把握とネック解消対策

 コンピュータへの各種データの入出力
 オンラインシステムの開局、閉局処理
 運用上の各種トラブルへの対応
 各種データの蓄積と保存
 コンピュータセンター自身の災害時のデータバックアップ対策

 プログラムのライブラリイー管理
 通信ネットワーク管理
 各種サブシステムへのオンライン接続や切り離しオペレーション

 各種の障害の把握と復旧処理
 オンラインプログラムの異常処理の把握と復旧処理
 オンライン通信回線のトラブルの把握と復旧処理
 ディスク等のIO装置の障害の把握と復旧処理
 
 地震等の大規模災害への対応

 等々と思いつくままに列挙しても各種の多くの機能があります。

■各種の障害対策

 コンピュータを安定稼動させるためには各種の障害対策への配慮が
 必要です。

 原則的にはありとあらゆるトラブルの発生の可能性をリストアップし
 このための対策を講じることが重要です。
 勿論、経済性の考慮も必要ですので、どのレベルで妥協するかは、
 各企業のポリシィーに依存する問題ですが、基本的には、
 二重化によるバックアップ対策をきめ細かく設計することです。

 障害対策に関して、どんなことを配慮しているのか、簡単に説明
 したいと思います。

■コンピュータセンターの設置場所とセンター設備

 まず、コンピュータを設置するためのコンピュータセンターにも
 各種の障害対策の配慮が必要となります。

 コンピュータの設置場所の選定も重要な課題です。
 地震等の災害に強い地盤の土地を選ぶことや水害等の天災等の被害の
 危険性のない場所等の選定基準があります。

 また、建物は耐震性に優れた建造物が必要であり、火災発生時でも
 スプリンクラー等ではなく特殊の気体を使った消火設備の準備も
 必要となります。

 コンピュータルームは耐震の床構造の設備が必要です。
 また、空調・電源・通信回線のバックアップ構成が必要です。

 電源関しては、変電所事故や工事事故による電源ケーブルの切断も
 想定して、電力会社から2ルートで電源を引き込むこと、
 また、電源と同様の理由で、通信回線も2重ルートで引き込むこと等
 も重要な配慮項目です。

 また、自家発電装置も準備する必要があります。
 地下には、大量の蓄電器と火力発電装置も準備する必要があります。
 そして、火力発電のための大量の重油タンクの設備をつくり、
 必要な時間だけ自家発電を継続できるだけの重油を蓄えておく必要が
 あります。

 バンキングシステムの障害対策はコンピューターセンターの選定が
 重要ということをご理解いただけたかと思います。
 
■コンピュータシステムの障害対策

 次は、コンピュータシステム自体に関しての障害対策です。

 コンピュータシステムは機械である以上各種のトラブルの発生が
 予想されます。各種の障害を回避するための仕組みに関して簡単に
 触れてみたいと思います。

 銀行によりどこまで完璧な障害対策を準備するかは経済性との関係もあり
 すべてのバンキングシステムに同様の対応がなされているわけでは
 ありません。

 いくつかの代替方式が採用されていますが、バンキングシステムは
 基本的には完全二重化が原則です。

 メインコンピュータ自身は二重化、三重化のシステムになっています。
 この二重化の方式にもロードシェア方式や単純待機系システム等の
 方式があります。

 この中で、典型的な3系統のロードシェアシステムのパターンを事例
 として紹介します。
 この方式は、3セットのコンピュータを準備します。
 例えば、A,B,Cの3セットのシステムとします。
 これらの3セットのコンピュータはお互いに接続されIO装置も
 3システムから共通にアクセスできるシステムとなっています。

 そして、通常はA,Bの2セットのコンピュータがシステムの負荷を
 分散して稼動する仕組みになっています。
 この2セットのシステムには、二重化された通信回線、二重化された
 ディスク装置等が接続されています。
 A,B,Cの各々のコンピュータは、相互に他のコンピュータの稼動
 状況を監視しています。
 
 このようなシステム稼働中にA系のシステムに障害が発生した場合には、
 BとC系のコンピュータがA系のシステムの異常を検出します。

 考えられる異常の原因を把握し、A系のシステムの復旧に時間がかかる
 と判断した場合には待機系のC系システムがA系の代替システムとして
 瞬時に稼動する仕組みとなっています。
 この場合、ケースによって、コンピュータが自動的に切り替わる場合と、
 運用オペレーターの判断を要求する場合があります。
 これらへの冷静な判断がオペレーターには要求されます。

 コンピュータの障害対策に関しては、いろんな対応策が組み込まれています。
 これらの諸施策の積み重ねで、バンキングオンラインは安定的な稼動を
 確保することができるのです。

■今回はここまでにしておきます。

 いかに十分な配慮を行っても、大規模な地震等により、地域全体が災害を
 受ける可能性があります。
 これに関しては、遠隔地に、別のコンピュータセンターを準備して
 対応しています。

 次回は、大規模災害に対しての災害・障害対策に関しての対応に関して
 説明したいと思います。

| | コメント (0) | トラックバック (0)
|

■事務集中部門の概要

■事務集中部門の概要

 基本的には営業店で発生したデータを取りまとめて、コンピューターに
 入力する事務やコンピュータから出力された帳票等を営業店に還元する
 ことが中心となります。

 銀行により異なるとは思いますが、キャッシュカードの発行事務や決算の
 処理結果や定期預金の満期案内等お客様への銀行からの連絡の郵便物を
 発送したりする事務もこのセクションの仕事です。
 言わば、コンピュータに仕事をさせるためのデータの準備と処理結果の
 点検と結果を営業店や本部、そしてお客様へ専門的に還元することを
 担当するセクションです。

 コンピュータの処理の前処理と後処理を担当し、コンピュータと利用者
 を結びつける仕事をするセクションです。
 
■為替集中部門の概要

 いわゆる内国為替業務を集中的に取扱うセクションです。 

 口座自動振り替えデータや総合振込データ、給与振込データ等の受付
 を行い、コンピュータに入力し、処理結果を委託先に変換する等の事務
 を行います。

 また、本支店勘定といいますが、営業店間、営業店と本部間、本部間の
 勘定の貸し借り勘定の清算管理も行います。

 また、他行との振込データのやり取りを全銀データ通信システムを
 通して行うことや他行との勘定の貸し借りを集中的に管理します。

 他行間の勘定は一般的には、日銀の当座勘定を経由して決済しますが、
 これらの勘定処理が正常に行われたかの管理も行っています。

■手形集中部門の概要

 手形は一般の個人にとってはなじみの薄いものですが、銀行では
 いろんな種類の手形を取扱っています。

 営業店がお客様より約束手形の取立依頼を受けた手形や期日前に現金化
 を依頼された割引手形や譲渡担保手形等の手形を集中的に管理している
 セクションです。

 手形には決済の期日があります。この決済の期日管理を行っています。
 手形集中部門では、期日前の各種の手形を期日別に在庫管理し、期日が
 来たものから順次手形の交換決済処理にまわします。

 言わば、手形の物流管理センターとしての機能を果たしていると考えれば
 理解しやすいかも知れません。

 そして、最も大切なことは、手形が正常に決済されることです。

 手形の期日決済は発行者の経済社会での信用に関わる問題です。
 手形が期日どおりに決済できない場合は「不渡り発生」と言いますが、
 この不渡りを発生させると言うことは企業の資金繰りが苦しいと言う
 ことを意味しており、企業倒産に結びつきます。
 会社の信用状況を示すバロメーターともなっています。

 手形が期日に正常に決済されないものを「不渡り手形」と言いますが、
 これらの手形の管理の統括管理もこのセクションの仕事になります。
 不渡り先の全銀協への登録により、企業信用の広報材料の登録等も
 このセクションの重要な仕事です。

■手形交換部門の概要

 各種の手形の交換や為替振込の交換事務等を担当するセクションです。

 ところで、手形には、MICRという磁気の文字を印刷してあります。
 磁気で印刷した特殊な文字で印刷を行い、この磁気文字を機械で読み取り
 手形の分類仕分けや金額の集計、期日の分類等の大量の手形の機械処理
 を可能にしています。

 手形の種類・銀行コード・銀行支店コード・顧客コード等の固定情報部分
 と発行期日や決済期日、決済金額等の変動データ部分に分かれますが、
 これらの情報を特殊な磁気印字文字で印字してあります。

 このMICR文字を利用して大量の手形の機械処理をする仕組みになって
 いるのです。

 機械処理の内容としては、読み込みデータを磁気テープに書き込むことと
 手形そのものを物理的に分類し、分類結果の枚数と合計金額を集計する
 等の処理に利用されるシステムになっています。

 さて、これらの手形は自行分に関しては、期日に本支店の当座預金口座
 から引落し処理を行い、取立て依頼先に引落し金額を振込むという
 仕組みになっています。

 また、他行発行の手形に関しては、地域ごとに開設されている手形交換所
 で銀行別に手形の相互交換が行われます。

 他行発行の手形を「持出」し、自行発行の手形を他行より「持帰」します。
 当然、手形の交換は現物の交換ですが、勘定の貸し借りも発生します。
 前述の為替集中部門に交換した勘定の情報が連絡され、全銀データ通信
 システムで決済が行われる仕組みになっています。

 手形の枚数は各種の電子化推進施策により減少傾向にありますが、
 手形交換と手形決済システムは銀行業務の伝統的な重要な機能の一つです。

■回金部門の概要

 銀行の営業店には大きな金庫があり、この金庫の中には現金が保管されて
 います。当たり前の話ですが、ここに現金の在庫を保管しています。

 この現金は常に変動します。この現金在庫を最適化することは営業店の
 収益にも関係があります。

 両替用の硬貨も金種別に準備しておく必要があります。

 日銀の発行する新紙幣を営業店に配送することも必要ですし、
 古くなったボロボロの紙幣を日銀に持ち込み新札と交換してもらいます。

 このように、銀行の営業店に不足する現金を搬入し、余剰な現金を搬出し
 営業店に金種別に最適な在庫を保持させるための業務が必要となります。
 この仕事が「回金業務」です。

 現金の輸送には危険が伴います。

 従って実際の搬送には、日通や警備会社等の専門業者さんに輸送の委託を
 行っていますが、銀行には、紙幣や硬貨に関しての物流システムが存在すると
 言うことをご理解いただけると思います。

■メール部門の概要

 上記の回金は紙幣や硬貨でしたが、銀行の営業店間、営業店と本部間等
 には、各種の伝票や書類が往来しています。

 電子メールの普及により、往来の種類や枚数は減少傾向にありますが、
 現金以外の手形や伝票、各種の書類の行き来が必要になっています。
 これらのメール業務をつかさどる部門がメールセクションです。

 これらのメールの搬送も現金の配送も一般的には前述したように
 アウトソーシングしています。

 これらのデリバリィーシステムは、現金のみ、メールのみ、
 現金とメールの混載便等の組み合わせで、一日に何回か営業店を
 巡回しています。このシステムにより銀行の物流システムが成り立って
 いるのです。
 
■少々長くなってしまいましたが、銀行の事務センターの機能の一部を
 紹介しました。残りの部分に関しては次回まわしとしたいと思います。



| | コメント (0) | トラックバック (0)
|

■後方事務支援部門について

前回に引き続き、バンキングオンラインを後方でバックアップする
 システムについて、今回からは組織的・人的な視点から説明して
 いきたいと思います。

■バンキングシステムは電子化が進みコンピュータ化による合理化、
 効率化が推進されてきましたが、すべての処理をコンピュータで
 処理できるわけではありません。
 銀行はコンピュータ処理を後方で支える大きな事務処理工場を
 抱えています。いわゆる縁の下の力持ちとでもいえる組織であり、
 この組織に支えられて銀行の大量の事務処理が円滑に行われています。

 コンピュータシステムを効率的なツールとして活用するためには、
 周辺の事務処理を支える組織が不可欠であり、これらの組織に支えられて
 コンピュータシステムはその効果を発揮できるということです。

■後方事務支援部門を大きく3つに分けて説明してみたいと思います。

 分類としては、コンピュータそのものの運用を司る部門。
 コンピュータ処理で発生した例外処理等に対応するコールセンター部門。
 大量の事務を処理するための事務集中センター部門。

 以上の3分類の中で、まず、最初は事務集中センターから説明したい
 と思います。

■事務集中センターに関して

 近年の銀行の事務の歴史はコンピュータ化の歴史ですが、
 コンピュータですべてが処理されるわけではありません。

 コンピュータに入力するためのデータの準備作業、
 コンピュータ処理できなかったデータの例外処理も人手に
 頼らざるを得ません。
 また、コンピュータ処理された結果の後処理も必要です。

 銀行の事務には人手に頼らざるを得ない、手作業部分がまだまだ
 多く残っています。
 これらの事務を集中的に処理するための組織として
 地区センター、事務センターという組織があります。

 地区センターは、営業店の店頭事務以外の事務をいくつかの
 支店の後方事務をまとめて処理する部門です。
 ここでは、事務集中センターのサブセンター的機能として
 理解しておいてください。
 この地区センターの機能により、営業店の事務処理行員は、
 少人数で対応できるようになっています。

 銀行の営業店の事務の少人化の施策としてはATMの導入や、
 インターネットバンキング等の推進による、お客様の
 セルフサービス機能を開発することにより推進してきました。

 一方では、事務を集中し、専門化することにより事務処理効率を
 追求するという施策を推進してきました。
 
■更に、地区センターの処理を更にまとめて銀行全体に関わる
 事務を集中して処理する部門が事務集中センターです。
 都市銀行では一般的には東西の二センターを設置しています。

 具体的な仕事の内容を更に分類すると、
  
 事務集中部門
 為替集中部門
 手形集中部門
 手形交換部門
 回金部門
 メール部門

 等に分かれます。

 個々の部門に関して概要については次回以降説明していきます。

| | コメント (0) | トラックバック (0)
|

■振込システムに関して

■振込システムに関して

 何回かに分けて、預金口座から料金等を引落すシステムについて
 書いてきました。預金口座からの出金システムです。

 今回は逆のケースとして、預金口座で資金を受取るシステムについて
 説明します。預金口座への入金システムです。

 振込システムの身近な事例としては、給料の受け取りがあります。
 給料日に自分の預金口座に給料が振込まれ、ATMで引き出すというのが
 一般的になっています。
 これが、給与振込システムです。

 これ以外にも、配当金振込システム、年金振込システム、
 そしていろいろな資金振込に対応できる総合振込システムと呼ばれている
 各種の資金振込システムがあります。
 
 上記のように、預金口座で資金を受け取ることができる事例は、
 給与や賞与の他に、配当金の受け取り、年金の受け取り、その他の
 各種の資金の受け取りがあります。

 銀行側では、支払い機関との間にこれらのシステムのための契約を結んで
 各種の振込システムに対応し、正確な運用管理を行っています。

 一見簡単で単純なシステムのようですが、各々の振込には約束事があり、
 正常処理の場合でもいくつかのルールに従う必要があり、結構複雑な
 システムなのです。
 システムのトラブルやピーク日に振込が遅れた場合にはお客様からの
 クレームは勿論のこと支払い側と受け取り側の協約違反ということに
 つながります。
 また、銀行としても振込資金の手当ての管理についてのリスク管理を
 行う必要があります。

■資金振込の標準的なパターン

 1)銀行と支払い機関側の契約を締結します。
 この契約の中身としては、データの受け渡し方法、振り込み指定日、
 振込資金決済の方法、イレギュラーデータが発生した場合の対処方法
 等です。
 受渡データの種類は、磁気テープ、フロッピー、FAX、紙ベースの
 振込用紙、通信回線によるデータ受取、通信回線を通じてPCからの
 データ受取等と各種の媒体があります。

 2)振込データの受取と振込のための資金を確保します。
 この資金確保は一般的にはデータと同時受取が原則ですが、
 相手企業によってはこのタイミングが同時ではありません。
 振込データは事前に受取、振込み資金は相手企業の信用度合いにより
 異なります。

 3)振込データの中には、自行振込分と他行振込分が含まれています。
 他行振込分に関しては、振込データを振分して全銀為替システムに
 データを引き渡す必要があります。

 4)振込指定日に受取人の預金口座に振込入金の処理を行います。

 5)何らかの理由で正常に振込処理ができないという異常が発生した
 場合には、例外処理の対応の必要があります。
 
■システムリスクに関して

 単純に支払い機関から振込データを受け取り、指定された日に指定された
 預金口座に、指定された金額を振込処理するというと単純処理のように
 思われます。
 銀行にとっては何のシステムリスクもないように思われます。

 しかし、実際にはいくつかのシステムリスクを含んだシステムなのです。

 この振込システムのいくつかについてシステムリスクの概要について
 説明します。

■給与や賞与の振込のシステムリスク

 給与や賞与を銀行口座に受け取るためには、労働協約により従業員と
 雇用者との契約が必要です。従って、振込指定日が遅延した場合には
 支払い企業側の労働協約違反になってしまいます。
 従って銀行としては、給与振込指定日に確実に預金口座に振込み入金を
 完了する必要があります。

 この給与振込システムも決して単純ではありません。
 給与振込を行う企業もいろいろであり、すべてが従業員の給与資金の
 手当てが潤沢である企業ばかりではありません。
 銀行としては、給与振込データと給与振込資金の資金手当ての確認を
 行ってから従業員口座へ振込を実施する必要があります。
 給料支払日までに資金手当ての目途が立たない企業もありうるのです。
 従って、企業の信用リスク度合いにより資金確保の方法が異なります。
 優良企業の場合には当座預金から支払い資金を引落せばすむのですが、
 信用不安先に関しては事前の資金確保の確認が必要になります。

 給与振込当日ぎりぎりになって資金が確保できないというケースも
 あり得ます。
 この場合には振込データを保留しておき、振込処理を中止する必要が
 あります。
 大量の給与振込データの中から、これらの振込データのキャンセル処理
 を必要とするのです。
 このためのシステムの構築は時間的な制約のもと、大量なデータを取扱う
 システムですので、簡単ではありません。

■配当金の支払いのシステムリスク

 配当金の支払いに関してもシステムリスクがあります。
 配当金の支払いには、株主総会の承認決議が必要となります。
 この株主総会の決裁が得られた段階で振込処理が開始されます。
 総会で配当金支払いに関しての決議が否定された場合には配当金は
 支払うことができません。
 配当金の支払いデータは事前に受取っており、データのリリースの
 時限管理が必要となります。

■それ以外にも、国民年金、県民税、市民税、国庫金の振込等に関して
 の事務処理があります。
 これらのシステムに関しては、適正に事務が取り扱われているかどうか
 の当局の検査があります。
 当局の検査基準は取扱い当局独自の事務取り扱い基準があり
 この基準にも対応できる適正な事務処理方法を確立しておく
 必要があります。

■まとめ
 
 各種の資金を銀行の預金口座で安全確実に受取るためには、銀行側の
 システムに例外に対応するため各種の機能を組み込む必要があるという
 ことをご理解いただけたでしょうか。

 バンキングシステムはオンラインシステムだけでなく後方でオンライン
 システムをバックアップする各種のシステムに支えられているということ
 の一部をご理解していただけたと思います。

 

| | コメント (0) | トラックバック (0)
|

■ペイジー(Pay-easy)について


■ペイジー(Pay-easy)

 Pay-easyというシステムを皆さんはご存知ですか。
 税金や各種料金の払い込みをインターネット等を利用して
 払い込むことができるサービスです。

 金融機関によりサービス内容は異なりますが、PCや携帯電話や
 ATMを利用して、税金や各種料金の払い込みができるサービスです。

 これまで、電気、ガス、電話等の公共料金や通信販売等の料金支払い
 には、収納企業が発行した請求書を金融機関窓口やコンビニエンスストア
 等に持参する窓口支払いの方法や、指定日に利用者口座から引き落とす
 口座振替等の方法がありました。

 これらのシステムの概要に関しては、既に説明させていただきました。

 現状の金融機関等での窓口支払いにおいては、取扱いが一部を除いて
 窓口だけであるため、利用者は金融機関窓口やコンビニエンスストア
 まで出向かなければなりません。休日や夜間等の窓口時間外には支払い
 ができない(コンビニエンスストアの場合は24時間可能ですが)という極めて
 不便な状況にあります。

 また、収納企業においては、収納済通知書と請求データとの消し込み作業
 や口座入金額との照合作業等、収納に関わる処理の多くが手作業で
 行われているため、多大な事務処理が発生しています。

 この点はコンビでの支払いはバーコードで読み取り、データは電子化されて
 いますので金融機関窓口よりは便利で、この方式が伸びているということは
 以前、説明しました。

 さらに、金融機関においても、収納済通知書仕分け等の事務処理が
 大きな負担となっています。

 大型のOCR等を導入して合理化を図っていますが、現物があり、
 手作業部分の負荷がなかなか軽減できないでいます。

 これらの問題解決策として、新しい支払いチャネルを活用して利用者の
 利便性向上を図るとともに、収納企業、金融機関の事務効率化を図る
 新たな仕組みとして「マルチペイメントネットワーク」システムが構築
 されサービスが開始されています。

 このシステムの構想が発表されたのは平成12年ですが、試行段階を
 経てようやく本格的な展開が開始されようとしている段階です。

■Pay-easyのシステムの概要

 金融機関の再編・統合による有人窓口の減少が進む上、各種の支払の
 個人の行動時間が夜間にシフトする、携帯電話の利用シーンが増える
 など様々な変化に対応する必要が出てきました。

 また、政府が推進するe-Japan計画における電子申請においても
 利用者が申請後にそのまま手数料等の決済処理を行う必要性が指摘されて
 きました。

 こうした背景から、どんな場所でも、好きな時間に支払うことが出来る
 決済サービスとしてPay-easy(ペイジー)が生まれました。

 サービスの運営は、郵政公社を含む、日本のほぼ全ての金融機関に
 よって結成された組織である日本マルチペイメントネットワーク運営機構
 により実行されています。

■支払い可能な機関と支払い可能な料金等の例

 財務省会計センター  行政手数料、その他歳入金
 財務省関税局     関税等
 国税庁        申告所得税、法人税、消費税、源泉徴収税等
 総務省総合通信基盤局 電波利用料
 社会保険庁      国民年金保険料、厚生年金保険料、船員保険料
 東京都        道路占有料、河川使用料などの使用料や手数料等
 NTTドコモグループ   携帯電話料
 KDDI株式会社      携帯電話料、 
 フュージョン・コミュニケーションズ株式会社 電話料金
 日本放送協会        放送受信料
 株式会社損害保険ジャパン  損害保険料
 第一生命保険相互会社    生命保険料
 株式会社オーエムシーカード クレジットカード代金
 ユーシーカード株式会社   クレジットカード代金
 日本航空株式会社(国際線) 航空運賃
 日本航空株式会社(国内線) 航空運賃
 全日本空輸株式会社      航空運賃

 まだまだ、対象範囲が限定的で、幅広く普及するには至っていません。

 
■どんなとき、どんな方法でペイジーを利用できるか?

 ペイジーには大きく2つの利用方法があります。

 第一の方法は、手元にある請求書や納付書に書かれてある番号を使って支払う
 方法です。ペイジーに対応した請求書は「ペイジーマーク」があります。

 第二の方法は、請求書等はなく、インターネットやモバイルでの電子
 申請処理後やショッピングの処理後に支払う方法です。

  支払い時に「ペイジー:各種料金お支払い」という選択画面が出てきたら、
 利用することができます。
 
■Pay-easyシステムの現時点での問題点

 インターネットバンキング、モバイルバンキングの契約を金融機関と
 締結していることが前提であり、PCや携帯電話の利用に手馴れている
 お客様が対象になり、幅広い利用までには相当の時間が必要であり、
 普及・定着にはまだまだ時間がかかりそうです。

 金融機関により詳細のサービス内容が異なる、収納機関の範囲が限定
 されている等の問題点があり、個別に確認の必要があります。

 しかしながら、新たな決済手段として徐々にサービスの範囲が拡大され
 つつあります。

 今後は、時間はかかるかも知れませんが、新たな決済手段として徐々に
 拡大・定着化していくものと思います。

 皆さんのご利用の金融機関でのサービス内容は、ホームページで
 ご確認ください。

 また、このシステムの詳細に関しては、下記を参照してください。

 http://www.pay-easy.jp/summary/conference.html

 ここで、ペイジーマークの形もご確認ください。

 今回はここまでです。

| | コメント (0) | トラックバック (0)
|

■銀行の口座振替以外の決済手段

■銀行の口座振替以外の決済手段

 代金を回収する方法のひとつとして広く普及している
 口座振替に関して説明してきましたが、代金回収方法には
 口座振替以外にもいろいろな方法があります。
 今回からは、その他の代金回収手段について説明します。

■その他の代金収納システム

 実は小口の口座振替の事務は銀行にとっては手間がかかります。
 また、収納側にとってもいくもの金融機関とデータを
 やり取りしなければならず、こちらも手間がかかります。

 口座振替の契約は三者契約で、利用者、金融機関、収納機関
 の三者で契約を締結する必要があります。

 その前に、収納企業と個別の金融機関と個別契約を締結する
 必要があります。口座振替方法に関しても個別金融機関と
 個別に内容を決定する必要があります。

 一旦契約が成立してしまえば、自動的に代金回収が可能に
 なりますが、事前の準備に手間と時間がかかります。

 そこで、複数の収納機関から回収すべきデータを集めて、
 各種の金融機関へ一括で口座振替処理を代行することを
 ビジネスにする企業があります。

 口座振替契約もこの代行会社が事務処理してくれます。
 契約も収納機関と代行業者との間だけで済みます。
 個別金融機関とのデータ受渡の個別契約は不要となります。

 これが、代金回収の代行サービスビジネスです。

 このサービスは金融機関の関連IT会社やファイナンシャル会社が
 銀行業務の関連業務として開始したものですが、現在ではいくつかの
 企業でこのビジネスを実施しています。

 クレジットカード会社も電話料金の支払い代行等を大々的に
 キャンペーンしていたこともありました。

 即ち、収納機関と金融機関の口座振替システムを仲介するシステムが、
 代金回収代行サービスです。

 具体例としては、新聞代金の支払いや通信販売の支払い等が
 あります。

■コンビニ支払い方式

 最近では、バーコードのついた伝票でコンビニエンスストアーでの
 代金の支払いができることはご存知と思います。

 支払先からバーコードのついた伝票が郵送されて来ることがあります。

 口座振替で引き落としができなかった代金の支払いをコンビニ支払いに
 切替える方法も一般化しています。

 通信販売の代金支払いもコンビニ支払いのケースも増えてきています。

 契約コンビニのレジでこの伝票と必要金額を呈示すればほんの数十秒で
 支払い処理が完了します。

 24時間年中無休のコンビエンスストアーを利用してのこの代金の
 支払い方法は利用者にとっては大変便利なシステムです。

 また、収納機関にとっても利便性のよいシステムなのです。
 なぜなら、コンビニ代金回収システムは、バーコードにより自動読み込み
 でデータが記録され、このデータはコンビニのデータセンターに送信
 され、一定間隔で代金回収データを通信回線を利用して収納機関に送信して
 くるサービスもあります。

 ほぼリアルタイムで代金回収明細が把握可能なコンビニシステムもあり、
 収納機関にとっても利便性の高いシステムとなっているのです。

 従って、コンビニ支払い方式は急激に増加し、この代金回収手数料は、
 コンビニエンスストアーの貴重な収益源となっています。

 (つづく)

| | コメント (0) | トラックバック (0)
|

■続 「口座振替システム」について

■前回に引き続き「口座振替システム」に関して

 口座振替システムは、利用者にとっては便利なシステムですが、
 このシステムを開発・運用する側にとってはいろんな問題を含んだ
 システムです。
 
■口座振替システムの問題点

 口座振替は預金残高が引落額より大きいときには、スムーズに事務処理
 が完了します。残高不足や口座に何らかの支障があり該当金額が引落
 できない場合には、引落不能処理が発生します。

 この引落不能処理に関しての処理パターンは各種あります。
 個別企業と銀行の間で個別の契約がありこの契約に従い例外処理も
 処理されます。

 例えば、
 クレジットカード会社の場合には、一定の期間同一金額での引落を繰り返します。
 これは、銀行とクレジットカード会社の個別契約によるもので、口座へ
 の入金があれば、この段階で引落が成立します。一定期間経過しても
 入金がない場合には引落不能処理となります。
 自行の住宅ローン等の引落もこれと同様な取扱になります。
 これに対して、一般企業との契約は、引落不能の場合には、引落不能の
 理由を付加して、依頼企業に不能処理結果が返却されることになります。

 この引落不能データの依頼企業への返還処理方法も各種の
 バリエーションがあります。磁気テープ、フロッピーベース、紙ベース、
 通信回線を通じてPCベースでの返還方式等の媒体の問題とデータの還元
 サイクルの取り決め等があります。

 そして、この引落不能分の催促処理方法は収納機関により異なります。

 引落不能データを返還された収納機関では、一般的には、催促の通知を郵便で
 送ります。入金の方法に関しては、別の日に再引落しする場合や次回分に
 繰越加算して再請求する場合や振込伝票により銀行やコンビニ振込方式に
 切替える方法等があります。

 これらは、収納機関の代金回収システムのルールに従うことになります。

■システム統合時のトラブル事例

 前述したように、口座振替契約のデータの引渡しと返還方式は、収納機関
 と銀行の個別契約になっています。
 また、代金回収システムは収納機関別に異なっています。

 過去において、システム統合で口座振替システムのトラブルがマスコミで
 取り上げられたことが記憶にある方もいらっしゃると思います。

 UFJ銀行のシステム統合処理時、みずほ銀行のシステム統合処理時には
 大きな問題となりました。
 銀行合併後のシステム統合過程でトラブルが発生するとこの口座振替
 システムはデータ量が大量なことと新規データが毎日のように発生してくる
 ために、コンピュータ処理、手作業部分の事務処理システムの両方の
 システムの混乱につながり累積的にトラブルが大きくなっていきます。

 その他の銀行のシステムの統合時にも小規模のトラブルは発生しているかも
 知れませんが、トラブルの規模が小さい場合には短時間での修復が可能で
 ありマスコミの話題にならないうちに処理される場合は多いのです。

 システム統合でトラブルが発生する背景には、銀行と収納企業間のデータの
 引渡しルールが異なり、この違いを合併統合システムでカバーしきれない
 からです。
 口座振替システムは、特定日にデータが集中することによりコンピュータ
 の処理能力に大きな負荷をかけることになります。正常処理されていても
 コンピュータの容量不足により遅延が発生する可能性もあります。
 ここにトラブルが重なれば処理不能となり全体の事務処理が大混乱する
 というシステム構造になっているのです。

(つづく)

| | コメント (0) | トラックバック (0)
|

■口座振替システム

■はじめに

 今回からは銀行の裏方を支えるシステムの概要について説明していきたい
 と思います。
 先ず、第一番目に取り上げるのが「口座振替システム」です。
 このシステムは皆さんの多くが銀行取引をなさっていらして普通のこと
 として利用なさっているシステムです。
 毎月の電気代やNHKの受信料、ガス料金、電話料金から新聞代金、
 クレジットカード会社への代金支払い、税金の納税、国民健康保険、
 国民年金等の支払いに利用なさっている方も多いかとおもいます。
 銀行を利用する上でATMと同様の身近な銀行機能の一つです。

■口座振替システムの概要

 昭和40年代に銀行の大衆化路線が進む中でこの口座振替システムは、
 預金獲得キャンペーンとして各銀行の業務推進項目の一つでした。
 日本独自のシステムであり、小切手支払いが中心の米国では普及して
 いません。
 制度そのものがないのと米国人気質としてでしょうか支払いは確実に
 自分の目で確認するというのか慣習になっているようです。
 確かに、レストランや百貨店でも明細を確認する米国人の慣習を目に
 します。日本人は人を信用しやすい国民なのでしょうか。
 日本人で詳細を確かめている光景を眼にすることは少ないと思います。
 米国の銀行や収納機関の事務品質低く、ミスが多発するからだとも
 言われていました。
 銀行の窓口のテラーはすべてアルバイトで昨日までは、マクドナルドの
 店頭販売窓口係であったといわれるような風潮があった時代もあります。
 現状の実態はどうなっているのか確かめてはいませんが・・・。
 米国と異なり、ヨーロッパの一部では口座振替は普及している制度です。

 口座振替の対象としては、五大公共料金は勿論のこと税金や各種の
 料金の支払いに幅広く利用されています。

■口座振替の契約形態

 このシステムの契約形態は三者契約です。
 銀行と収納企業と預金者の三者の契約で成り立つシステムです。
 引き落とし日に収容機関から請求された金額を預金者の口座から
 自動的に引き落とすシステムです。
 この契約に従いコンピュータ処理することにより、当事者にとっては
 事務合理化に大いに役立つシステムなのです。

■預金者のメリット

 振込みの為に銀行等へ出向く必要がありません。
 送金等を忘れることがなくなります。
 既存の預金口座があれば、特定の金融機関に新規の口座を開設する
 必要がありません。

■収納企業のメリット

 口座振替契約に従い、引き落し日の前に、引き落し金額と引き落し
 預金口座のデータを銀行に持ち込むことにより代金の回収ができます。
 代金回収結果に関してもコンピュータ処理できるメディアで受けとれば
 そのまま自社の代金収納システムに接続できます。
 料金収納事務の合理化に貢献するシステムです。

■銀行側のメリット

 大量の引き落しデータをコンピュータで処理することが可能であり、
 事務の省力化に役に立ちます。
 各種の契約をしていただくことによりお客様の囲い込みに役立ちます。
 家計のメイン口座として利用していただくことが期待できます。

■システムの特徴と問題点

 ☆特定日への事務の集中

 口座振替日は、給料日の後とか、5のつく日10つく日に集中します。
 また、月末、月初にも集中します。この日が土日や祝日に重なると
 集中度合いが重なることになります。

 ☆銀行と収納企業のデータのやり取りが標準化されていない

 一応、全銀フォーマットという標準フォーマットが規定されていますが、
 すべてがこれに従っているわけではありません。
 磁気テープベース、フロッピーベース、紙ベース、ファツクスベース、
 PC通信ベースと銀行へのデータの持込・持出にはいくつものパターンが
 存在します。これらの収納企業別の管理は大変な手間になります。

 ☆引き落し不能の場合の処理方法がバラバラ

 預金の残高が不足して、正常に口座振替が行えない場合もあります。
 この場合の事後処理が収納企業別に異なっています。
 ある一定期間は毎日、再度口座振替を繰り返す契約のケースや
 引き落し不能なデータを即刻通知する契約のケース等々です。

 ☆例外処理が多い

 銀行と企業間の契約においてはパワーバランスが働きます。
 口座振替手数料に関しても個別契約であり、正当な料金を徴収できて
 いない赤字先も多数あります。

■長くなりましたのでこれからの続きは次回以降で説明したいと思います。

(つづく)

| | コメント (0) | トラックバック (0)
|

■貿易金融EDIのTEDIについて

今回は、貿易金融EDIシステムであるTEDIについての説明です。

 専門的な話になりますので、興味のない方は読み飛ばしてください。
 できるだけわかりやすく説明しようとしましたが、やはり簡単には説明
 できないようです。
 TEDIというシステムが存在しているという程度で理解しておいてください。

■ところで、TEDIですが、貿易手続についてBtoBおよびBtoG
(通関に代表される政府との手続等)との貿易関連文書を、
 1.インターネット上で、2.政府関連機関との連携および民間企業間で、
 3.従来の紙によるやりとりを電子で行うことを実現するシステムです。

 簡単に言えばインターネットを利用して貿易の事務の手続を電子化し、
 合理化するシステムということです。

■TEDIの機能としては大きく3つあります。

■第一の機能としては、EDIの機能です。

 具体的には、

 ●標準貿易文書の提供
 貿易当事者間の共通認識を可能とし、貿易手続電子化を可能とする。
 主要貿易文書(I/V、P/L等約30種類)の標準化形式を利用できる。
 標準化は、国際標準であるUN/EDIFACTおよびSWIFTに準拠し、XML形式です。

 ●インターネット上での安全/確実な伝送
 インターネット上での貿易文書伝送を安全/確実に行うために国際標準である
 PKIをベースとし、電子署名(作成者のみが文書、伝送内容の変更が可能となる)
 および伝送中での暗号化を行っている。

 ●認証機能
 電子認証書の発行を行います。

 ●第三者による通信証明と貿易文書の権限移転管理機能(登録機関機能:RSP)
 貿易取引当事者間での送受事実の証明および、B/Lに代表される証券性のある
 文書の送受のための文書の真性性および権限移転管理をおこなう、
 第三者機能(登録機関(RSP)機能)。

 ●TEDI共通規約
 上記機能による貿易取引電子化についての法律面での枠組みを規定する、
 貿易取引当事者間および登録機関・認証局と結ぶ各種契約約款

 以上がEDIの基本機能です。

■第二の機能としては、貿易業務支援機能があります。

 ●ワークフローによる権限管理/処理連携
 TEDI利用企業内の貿易手続をシステム化する、ワークフロー機能です。
 例えば、社外への発信する場合、貿易文書の作成および社内承認、発送準備
 および社内承認等に必要となる、社内権限管理および各種処理の連携を
 ワークフローにより定義し、各社の業務にあったTEDI利用のシステム化を
 可能とします。

 ●貿易文書の作成/承認/表示・印刷
 貿易文書の作成、承認(電子署名の付与)および表示・印刷をWeb上で可能
 とする機能

 ●貿易文書間の項目転記/マッチング
 貿易文書は、その作成にあたり、他文書(例えばP/Lの作成時は、I/Vから
 必要項目を正確に写す必要がある)からの項目転記が必要であり、又同一文書に
 おいても他同一文書の利用が有効であることから、TEDIでは文書間の項目転記
 機能を提供している。
 又、貿易取引相手企業への文書群送信および相手企業からの文書群受信時には、
 送信単位内の文書間に誤りがないかの確認が必要となる。
 TEDIでは、送信又は受信文書間の項目チェック機能として、マッチング機能を
 提供している。

 ●取引単位の貿易文書取りまとめ
 貿易取引では、貿易取引相手に文書を送信するとき一般的には当該取引に必要な複数
 の文書をまとめて送信できる。(受信時も相手からまとめて送信される)
 TEDIでは、上記貿易取引に必要な複数文書を取りまとめ送受するように、
 文書をイメージとしては封筒化し通信する機能をそなえている。

■第三の機能としては、社内システム連携機能があります。

 TEDIの機能を、社内の他システムと連携し、社内資源の利用が図れるよう、
 他システムとの連携機能をそなえており、他システムで作成された、
 貿易文書情報等の有効利用が可能である。

 以上がTEDIの機能ですが、貿易業務等に関与したことがない読者にとっては、
 よく理解できないと思います。
 e-Japan計画の一環として、推進されたものです。

■TEDIの詳細情報に関しては、下記をご参照ください。
 概要が図式等で説明してあります。
 デモシステム等もありますので、理解の手助けになると思います。

          JETS:     http://www.jets-tedi.com
          TEDIANET: http://www.tedianet.com

 今回を含めて3回にわたり、外国との貿易取引に関してのシステムの紹介を
 しました。外国為替関連のシステムは一応これで終わりにします。

 次回からは国内システムに戻りたいと思います。

| | コメント (0) | トラックバック (0)
|

■「ボレロ」システムについて

 前回に引き続き、外国為替取引に関わるシステムの「ボレロ」について
 説明します。
 

■「ボレロ」システムについて

「ボレロ」という言葉を初めてご覧になる方も多いかと思います。

 ボレロは貿易に関する書類を電子化することにより、物流から決済までの、
 一連の国際貿易取引で発生する処理の電子化のためのシステムの名称です。

■ボレロの特徴としては、

 1.運営企業の中立性
 前回説明したSWIFTとTTClub(1968ロンドンに設立された全世界
 1600を超える船会社、フレートフオワーダー、損害保険会社、港湾当局が属する
 相互保険組合)が設立母体となっている。
 2.ボレロ独自のルールブックの策定
 先進18カ国の法制度の検証から策定されたルールブックにより、貿易書類の
 電子認証に基づく取引が可能となる。
 3.XMLによる標準化
 ボレロXMLによる貿易に必要な文書の交換を可能としている。
 4.セキュリティーの確保
 PKI(公開鍵暗号基盤)を採用する等機密性の高い文書の伝送を可能と
 している。
 5.その他
 各種の安全性に関する機能が組み込まれている。

■ボレロの導入効果

 一般的な効果としては
 <直接的効果>
 事務処理精度の向上、通信コストの圧縮、事務コストの圧縮、
 代金回収サイクルの短縮等

 <間接的効果>
 書類の標準化、異業種間でのネットワーク処理が可能、プロセスの短縮化、
 在庫回転率の向上、顧客満足度の向上等

■ボレロ加盟企業

 加盟企業は国際貿易取引に関係する、世界各国の大手の荷主企業と取引先、
 銀行、船会社、保険会社等が加盟しており、貿易取引の電子化が推進されて
 います。

 詳細に関しては、下記をご参照ください。

  http://www.bolero.net/japan/bolero.htm

| | コメント (0) | トラックバック (0)
|

■外国為替決済システムについて

前回に引き続き「日銀決済システム」の機能に関して説明します。

 日銀決済システムは、銀行間の資金取引の帳尻を清算するシステムですが、
 海外との取引で発生する円資金決済処理を取り扱うのが
 「外国為替円決済システム」です。
 今回はこのシステムの概要について説明します。

 「外国為替円決済システム」は、銀行間の外国為替取引に伴う円資金決済を
 集中的に行うシステムです。
 銀行間の取引ですので銀行の中でも関係者以外にはなじみのないシステムです。

 一般の方には、「外国為替」という言葉もなじみの薄い言葉かも知れませんので、
 簡単に説明しておきます。

 「外国為替」とは、輸入や輸出等で諸外国との取引を行う場合、海外の取引先
 との間で債権や債務の関係が発生します。
 このような海外の取引先との資金決済を、現金を輸送せずに決済することを
 可能にするのが外国為替取引です。

 外国為替という用語は、「立替」と「交換」の2つの意味で使われます。

 「立替」の意味で使う場合には、輸出入に関する金融業務や外国送金業務のこと
 を指します。海外取引で、お金を受け取ったり支払ったりするときの決済方法です。

 一方、「交換」の意味で使う場合には、「為替レート(外貨との交換レート)」
 のことを指します。
 海外旅行をする場合には、円をドルに変えたり、旅行先の通貨に両替したりする
 場合があります。皆さんもご自分で経験なさった方は多いかと思います。

 外国為替の決済には、円と他国通貨の交換が必要となります。
 日本で「円」の受け払いが起こると、外国でそれに対応した「外貨」の受け払い
 を発生させることで取引を完了させる仕組みが必要です。

 例えば、
 東京のAさんがニューヨークのBさんにお金を送る場合を考えてみましょう。
 Aさんは、「日本円」を銀行に持っていきBさんに海外送金を行うとします。
 Bさんは、Aさんからの資金を米国にある銀行で「米ドル」で受取るという
 ケースとします。

 海外送金取引の場合、日米の銀行が仲介して通貨の交換を行います。
 日本の銀行で円を米ドルに両替して、米ドルの海外送金が行われます。
 このAさんからの送金結果に基づき、米国の銀行は、Bさんに米ドルで支払いを
 行います。
 そして、日本の銀行と米国の銀行間で米ドルの決済が行われます。
 これで一連の取引が完結することになります。

 外国為替の特徴は、お金の「立替」に加えて、他国通貨との「交換」が発生します。

 海外との資金の決済のために外国為替取引が発生するケースは、いろいろあります。

(1)貿易取引…貿易(輸出、輸入)取引で商品を売買した場合の代金決済。

(2)送金取引…企業の本店と海外支店との間で行う送金。
        家族の生活費を海外へ送金する親族送金。

(3)国際的な資金貸借取引…外貨預金や外貨借入金の元本と利息の受け払い。
              海外旅行をする場合の外貨の購入。

 以上のようなケースの場合に必要な取引が外国為替取引です。

 このような「外国為替取引」で発生する「円」に関しての銀行間の帳尻を清算
 するシステムが「外国為替円決済システム」です。

 日銀ネットを利用して、銀行間の当座預金のどうしの出し入れで清算されます。
  

 以上です。おわかりになりましたでしょうか。

| | コメント (0) | トラックバック (0)
|

■続 日銀ネットシステム

前回に引き続き「日銀決済システム」の機能に関して説明します。

 日銀決済システムは、銀行間の資金取引の帳尻を清算するシステムですが、
 海外との取引で発生する円資金決済処理を取り扱うのが
 「外国為替円決済システム」です。
 今回はこのシステムの概要について説明します。

 「外国為替円決済システム」は、銀行間の外国為替取引に伴う円資金決済を
 集中的に行うシステムです。
 銀行間の取引ですので銀行の中でも関係者以外にはなじみのないシステムです。

 一般の方には、「外国為替」という言葉もなじみの薄い言葉かも知れませんので、
 簡単に説明しておきます。

 「外国為替」とは、輸入や輸出等で諸外国との取引を行う場合、海外の取引先
 との間で債権や債務の関係が発生します。
 このような海外の取引先との資金決済を、現金を輸送せずに決済することを
 可能にするのが外国為替取引です。

 外国為替という用語は、「立替」と「交換」の2つの意味で使われます。

 「立替」の意味で使う場合には、輸出入に関する金融業務や外国送金業務のこと
 を指します。海外取引で、お金を受け取ったり支払ったりするときの決済方法です。

 一方、「交換」の意味で使う場合には、「為替レート(外貨との交換レート)」
 のことを指します。
 海外旅行をする場合には、円をドルに変えたり、旅行先の通貨に両替したりする
 場合があります。皆さんもご自分で経験なさった方は多いかと思います。

 外国為替の決済には、円と他国通貨の交換が必要となります。
 日本で「円」の受け払いが起こると、外国でそれに対応した「外貨」の受け払い
 を発生させることで取引を完了させる仕組みが必要です。

 例えば、
 東京のAさんがニューヨークのBさんにお金を送る場合を考えてみましょう。
 Aさんは、「日本円」を銀行に持っていきBさんに海外送金を行うとします。
 Bさんは、Aさんからの資金を米国にある銀行で「米ドル」で受取るという
 ケースとします。

 海外送金取引の場合、日米の銀行が仲介して通貨の交換を行います。
 日本の銀行で円を米ドルに両替して、米ドルの海外送金が行われます。
 このAさんからの送金結果に基づき、米国の銀行は、Bさんに米ドルで支払いを
 行います。
 そして、日本の銀行と米国の銀行間で米ドルの決済が行われます。
 これで一連の取引が完結することになります。

 外国為替の特徴は、お金の「立替」に加えて、他国通貨との「交換」が発生します。

 海外との資金の決済のために外国為替取引が発生するケースは、いろいろあります。

(1)貿易取引…貿易(輸出、輸入)取引で商品を売買した場合の代金決済。

(2)送金取引…企業の本店と海外支店との間で行う送金。
        家族の生活費を海外へ送金する親族送金。

(3)国際的な資金貸借取引…外貨預金や外貨借入金の元本と利息の受け払い。
              海外旅行をする場合の外貨の購入。

 以上のようなケースの場合に必要な取引が外国為替取引です。

 このような「外国為替取引」で発生する「円」に関しての銀行間の帳尻を清算
 するシステムが「外国為替円決済システム」です。

 日銀ネットを利用して、銀行間の当座預金のどうしの出し入れで清算されます。
  

 以上です。おわかりになりましたでしょうか。

| | コメント (0) | トラックバック (0)
|

2005.04.22

■決済システムに関して

 
 今回からバンキングシステムの個別システムの概要に関して説明したいと
 思います。

 先ずは、「決済システム」から書いていきたいと思います。

■「決済システム」とは 

 決済システムとは契約によって取り決められたルールに従って、取引の結果を
 清算する仕組みのことです。
 人間社会にはいくつかの清算システムが存在します。

 ここでは、銀行の決済システムとして、金銭の清算を行う仕組みである、
 「資金決済システム」について説明したいと思います。

 今回は、「日銀ネット」「全銀システム」「手形交換制度」に関しての概要を
 説明したいと思います。

■日銀ネットについて

■日銀について

 ところで、日銀は日本銀行の略称ですが、何をする組織かご存知でしょうか。
 「中央銀行」、「発券銀行」、「銀行の銀行」、「政府の銀行」と
 呼ばれています。
 日銀の資本金は、政府55%民間45%の日銀法に基づき設立された「認可法人」
 です。商法上の法人(株式会社等)や民法上の法人(社団法人、財団法人)、
 総務省の定める「特殊法人」「独立行政法人」には該当しません。
 通常の株式会社とは異なりますが、出資証券が発行され、配当も支払われます。
 資本金は一億円で、JASDAQに上場され、出資証券は株式と同様に
 売買され、値段も時価により変動しています。
 現時点の売買値は、6,5000円という値が付いています。ご存知でしたか?

 日本銀行の基本機能としては、「発券銀行」「銀行の銀行」「政府の銀行」の
 3大基本機能を持っています。

■日本銀行は「発券銀行」

 日本銀行は円紙幣(日銀券)を発行できる唯一の銀行です。
 日本銀行券(一万円、五千円、二千円、千円)の四種類の紙幣を
 発行しています。
 紙幣は、独立行政法人である「国立印刷局」(旧大蔵省印刷局)で印刷され、
 日本銀行から発行されています。硬貨は日銀の発行ではありません。
 補助貨幣である、硬貨に関しては、独立行政法人「造幣局」(旧大蔵省造幣局)
 で鋳造され、政府により発行されています。

 そして、現金通貨は、日銀から銀行へ、銀行から企業や個人へと供給され、流通
 通貨としての機能を果たしています。また、汚れた紙幣等は、逆の流れとして、
 個人や企業から銀行へ、銀行から日銀に回収されます。

 実際の紙幣や硬貨で発行者の表示を確かめてみてください。 

■日本銀行は「銀行の銀行」

 日本銀行は民間銀行の当座預金を預かり、預金・貸付の取引や債券・手形の売買
 などの決済のための機能を提供しています。
 民間金融機関のみが日銀に当座預金を開設することができるところから
 「銀行の銀行」と呼ばれています。
 実際には、銀行、信用金庫、証券会社、証券取引所、証券金融会社、短資会社、
 預金保険機構等が当座預金口座を開設しています。
 一般の企業や個人は日銀に預金口座を開設できません。
 民間銀行に「預金口座」を開設します。

■日本銀行は「政府の銀行」

 日本銀行は、政府の預金を預かり、国庫金の出納事務(税金、社会保険、
 公共事業費等の政府の歳入・歳出に伴う受払い)、国債に関する事務
 (発行・流通・償還)、外国為替に関する事務(外国為替の平衡操作の
 ための為替介入)等を行っています。

 その他に、日本経済の景気調整機能や公定歩合の決定等の権限を持っています。
 詳細に関しては、割愛させていただきます。

■日銀ネット(日本銀行金融ネットワークシステム)

 日本銀行の役割に関しての概要はご理解いただけたかと思います。
 日本銀行の資金決済機能をシステム化したものが「日銀ネット」システムです。
 日本銀行と金融機関との間の資金決済をオンライン処理するシステムです。
 民間の金融機関は、個々の金融機関の取引の結果を日銀の当座預金の口座を利用
 して決済する仕組みになっています。

 日本銀行の本支店と参加金融機関は、日本銀行のコンピュータと通信回線で接続
 され後述する、「全銀システム」、「手形交換制度」、「外国為替円決済制度」
 等の最終の帳尻をこの日銀ネットで決済処理するシステムです。 

■全銀システム(全国銀行データ通信システム)

 全銀システムは、銀行相互間の内国為替業務を、通信回線を利用してオンライン
 処理するシステムです。
 内国為替という言葉が出てきましたが、この内国は外国に対する言葉です。
 為替には、内国為替と外国為替があります。
 為替の意味は、離れた場所にいる債権者と債務者間の決済処理を行う方法で、
 手形や小切手で貸借を決済する方法です。為替の歴史は古く、中世のころから
 為替による遠隔地間での資金決済が行われていました。

 ところで、
  皆さんが銀行の窓口やATMから他の銀行の支店の口座等へ資金の振込を行う
 場合には、この全銀システムを経由して、他行の受取人の口座に資金が
 振り込まれます。

 全銀システムは、すべての民間金融機関が加盟する国内最大のオンライン・
 インターバンク・システムであり、日本の決済システムの中核となる
 システムです。
 現時点では、1,700行前後の民間金融機関がオンラインで接続されています。

 全銀システムで取り扱われた資金異動取引の帳尻は前述の日銀ネットで
 清算される仕組みになっています。

■手形交換制度

 手形交換制度は、企業や個人の振出した小切手や手形を地域毎に設置された
 手形交換所で、金融機関別に相互に現物(小切手や手形等)を物々交換し、
 資金決済する制度です。

 商取引やサービス取引の対価を清算を行う場合には、予め銀行に当座預金を
 開設し、銀行が発行する該当口座専用の小切手や手形を利用して資金の決済を
 行うことができます。

 しかし、当座預金の口座開設は誰でもできるわけではありません。
 銀行による、一定の信用調査が行われ、審査をパスしてはじめて口座開設
 することができます。
 
 手形には約束手形、為替手形等があり小切手とは利用目的が異なります。
 ここでは、話を簡単にするために、小切手の場合を具体的な事例として
 説明します。

 企業や個人が商品やサービスの対価を支払う場合には、現金と同様の機能
 として、小切手に署名捺印した(個人の場合にはサインだけの場合もあります)
 小切手で代金の支払いを完結することができます。

 小切手を受け取る場合には発行人の信用を確認することが必要です。
 後述するように、必ずしも現金に換金できる保証はないからです。

 小切手を受け取った場合には、自分の取引銀行の預金口座に入金する
 ことにより、銀行に小切手の資金化を依頼することができます。

 銀行では同じ支店の当座預金から発行された小切手の場合には、当座預金に
 支払い資金に見合う預金の残高があれば、即時に現金化可能です。

 同じ銀行の他の支店発行の小切手の場合には地域により資金化の日数が異なる
 場合があります。

 他の銀行の支店で発行された小切手の場合には、手形交換所での交換事務が
 伴いますので資金化の日数は支払い地域により異なります。

 手形交換所に加盟の金融機関は、お互いに小切手を持出し、相手の金融機関に
 引き渡し、自分の銀行の発行した小切手を持ち帰ります。

 手形交換所では、物々交換と資金の決済が同時に行われているのです。

 そして、持ち帰った小切手は、真贋判定や署名捺印が事前に登録された
 署名捺印と同一かどうかの照合を行います。
 正当な小切手であるという確認ができた段階で当座預金から小切手に表示
 された金額を引き落とします。
 具体的には、当座預金から出金するということです。

 この段階で当座預金に残高がある場合に、はじめて資金化されます。
 もしも、該当する当座預金に残高がない場合には不渡り小切手として、
 入金先の銀行の支店の口座に返還されます。
 この場合には、小切手は不渡りとなり、資金決済は行われません。
 不渡りかどうかの判定には時限性があり、資金化のタイミングと連動して
 います。
 やや細かい話なのでわかりにくいかも知れませんが詳細は割愛いたします。

 不渡りを繰り返すと信用を失い、銀行から取引停止処分を受け、当座預金は
 強制解約になります。
 半年間に2回の不渡り届けが取引銀行から提出されると当座取引と貸出取引が
 2年間禁止されます。
 銀行と取引ができなくなると事実上の倒産につながる可能性が大となります。

 小切手は、企業や個人の信用を裏付ける証拠になるという意味がお解かりに
 なりましたか。
 
 この手形交換制度で交換された小切手の銀行間の資金決済も最終的には
 日銀ネットにより、銀行間の帳尻が決済されます。

 今回はここまでにしておきます。

 最近は流通する小切手や手形の量は減少傾向にあります。

 不景気ということもありますが、小切手や手形以外の電子決済システム等への
 シフトが行われており、小切手自身も「電子化」が行われつつあるからです。
 

| | コメント (0) | トラックバック (0)
|

■銀行合併と人事問題

■合併に伴う人事の問題

 銀行に限らず企業合併に伴うトラブルは数多く発生します。
 大組織になれば、同一企業ですら学閥や派閥等が潜在的に存在します。
 企業風土の異なる企業が合併するわけですから問題が発生しないはずが
 ありません。合併で発生するトラブルの根本的な原因は人事の問題です。
 人事の問題では、人事制度とポストの問題を採り上げたいと思います。
 直接、システムには関係のないテーマですが、システム統合に関与するのは
 人間です。ここにも人事の問題がしこりを残す原因になります。
 これがシステム統合のトラブルに発展した事例も存在するからです。

■人事制度上の問題

 まず合併時の人事で問題になるのが給与水準の調整です。
 日本企業の人事には年功序列的な資格制度があり、経験と能力により資格が
 決定されこれに対応する給与が決定されるというのが基本となっています。
 この制度は、個別企業によりいろんなバリエーションがあります。
 この制度の違いと運用方法は個別企業独自のものです。

 大学を卒業した同期が何年か後には資格の差が生じるのは当然のことです。
 社長のポストはひとつでありこのポストを競い合うというのが、
 一般的なサラリーマンの世界での競争ということになります。
 同一企業の場合には、それなりのルールに従い表面的には納得のいく形での
 公平性が保たれ順次選抜が行われていきます。
 しかし、企業が異なると過去の経歴の評価の仕方も異なります。
 若いうちから選抜していく方式の企業とある年齢までは表面的には選抜せず、
 管理職段階で選抜していく方式の企業があります。
 この選抜方式は、人材の育成方針とか入社してくる人材の質にもよります。
 この差異をどのように調整していくかが合併人事の問題となります。
 合併当初は暫定的に両社の制度を統合して暫定制度をつくり、合併後の実績に
 より徐々に再調整するということになります。
 一般的には給与水準は高い方に調整する場合が多いため人件費の増加に
 つながります。合併以前に昇格調整を行う姑息な企業も現れます。

 そもそも、企業が何のために合併するかです。
 合併理由は様々です。好景気の場合と不況時期の合併とは条件も異なります。

 一般的には、対等で大組織が合併する場合の目的は、規模の拡大による
 マーケットの拡大と経営の効率化による収益力強化にあります。

 当然のことながら、人員・組織のスリム化が大きな課題になります。
 
 重複する部署を統合化して効率化する必要があります。

 具体的な例え話として説明します。
 単純な算数のモデルの問題として説明します。

 A企業は本部が15部で200人、支店が100支店で2000人であったと
 します。
 B企業は本部が10部で150人、支店が120支店で2400人と仮定します。
 
 さて、このA企業とB企業が合併するとどうなるのでしょうか。

 本部が25部で350人、支店が220支店で4400人となります。
 当然この中には重複している本部もあり、支店も隣接しており重複しています。

 ここで、本部は10部で300人、支店は200支店で4000人で十分という
 ことになれば、本部の部長が15人不要になります。本部要員も50人不要です。
 支店は20支店廃止になります。支店要員も400人不要になります。

 日本の企業の場合には、この余剰人員を即刻解雇することはできません。
 したがって、当面は余剰人員を抱え込む人事になります。
 業容が拡大することなく、この余剰人員をいつまでも温存していると
 企業合併は失敗ということになります。

 上記のモデルケースの場合では、本部では、15人の部長を副部長として格下げ
 せざるを得ません。支店長も20人が不要になります。

 この事象は、次長、課長等の呼称の人々についても同様ですし、社長、専務、
 常務等の役員クラスの人事に関しても全く同様となります。

 この調整をどう行うかということになります。
 この過程で人事上のトラブルが発生するということは容易に想像できること
 と思います。ポスト争いがはじまります。

 誰を部長として残し、誰を副部長に格下げするのか。
 誰を子会社や関連会社に出向させるのか。
 誰に退職勧告を行うのか。
 暫定的に副部長を2名以上設置するのか。
 等々です。

 そして、「たすきがけ人事」という奇妙な人事発令が行われます。
 上記のモデルの例ではA企業の部長を5人、B企業の部長を5人発令します。
 そして、部長がA企業出身ならば、副部長はB企業出身の発令が行われます。
 部長交代の時にはB企業の副部長が部長に昇格し、A企業の副部長が発令
 されます。これにより表面的な公平性を保つことになります。
 実際には、こんな単純な形にはなりませんがバランス人事が基本となります。

 この方式でうまくいく場合はよいのですが、必ずしも適材適所の人事では
 ありえません。ここに派閥と足の引っ張り合いが起こりうるのです。

 合併の人事により企業経営が停滞する原因は、外向きの戦いよりも
 内向きの戦いの方が優先される場合があるからです。

 内部混乱を避けるために「協調と融和」ということばが使われます。

 経営戦略に関して議論を戦わせていくと対立する戦略の選択を必要とする場合
 があります。
 どちらか一方の案を採用するか、両者の妥協案を作成するかという事態が
 発生します。
 これがしこりになると考えるトップマネジメントが存在すると企業内での
 真剣な議論が行われなくなり両案の妥協案ばかりが選択されはじめます。

 このような合併の場合には、企業業績は低迷化の方向に向かいます。
 中途半端な妥協案の連続は合併失敗のケースにつながります。

 合併でうまくいくケースは、力のバランスが圧倒的に異なる場合のように
 思います。是々非々で公平な判断を下せる経営者が不可欠ということになります。
 強者が弱者を利用していくという度量がある場合は旨くいくようです。

 結論として、合併の人事問題は企業風土の融合の根本問題です。
 新たな企業風土が出来上がるには相当の時間が必要です。
 人事のしこりを消し去るのに何十年という期間が必要なようです。
 この長い期間に自然淘汰が行われていくのです。

 競争の激しい時代に生き残る企業には、公平かつ豪腕の経営者が必要と思います。
 決断力のない経営力不足の経営者の企業は衰退するのみです。
 このことは、合併企業だけの問題ではありませんが、合併企業には、
 顕著な現象として表れます。経営の急速な衰退につながります。

 数多くの企業合併の事例が存在しますが、これらの合併企業の10年後、
 20年後はどうなっているのでしょうか。
 当事者は大変とは思いますが、部外者にとっては結果はそれまでのお楽しみ
 ということでしょう。

| | コメント (0) | トラックバック (0)
|

■銀行の合併システムに関して

前回に引き続き銀行合併に伴う諸問題について書いていきます。
 今回はシステム統合に関わる諸問題です。
 このテーマに関しましては、大きなシステム投資を伴うために、
 メーカー決定の過程で政治的な圧力がかかってくる分野です。
 生々しいことがいろいろありますが、当事者に迷惑がかかるといけませんので
 細部に触れないことにします。

■システムの統合にはコストがかかります。

 前回は事務手続きに関しての合併上の諸問題に触れました。
 事務手続き分野でも印刷業者やいろんな利害が絡む取引上の問題が
 発生しますが、金額的にはたいしたことはありません。
 相対的な比較であって絶対額では勿論億単位です。

 しかし、大型銀行のシステム統合には100億単位の投資と将来の
 投資に関わる未知の売り上げに関しての問題が発生します。

 従って、システム統合には複雑な問題が発生します。

 システムの機能は事務手続き切り離しては考えられないのですが
 システム統合には、それ以外の大きな問題が発生します。

 まず、センターシステムのコンピュータのメーカーの統一、営業店の端末の
 メーカー機種の統一が問題になります。

 同一メーカーでも当然OSやコントロールプログラム、アプリケーション
 プログラム、等々のすべてが一致するということはありえません。

 これをどちらか一方に合わせる場合でも両行の業務処理機能が異なる場合には、
 新規の機能を追加開発する必要があります。

■お客様のシステムへも影響があります。
 
 行内だけに影響するシステムの場合には割り切ればよい問題ですが、
 お客様のシステムとデータ交換している場合には、ファイルレイアウト、
 使用コード体系等の相違により移行システムが大きな問題になります。
 お客様との詳細な打ち合わせが必要になります。

 顕著な事例としては、銀行が合併すると銀行名や支店名が変更になります。
 これに伴いコンピュータ処理に使う、銀行コード、店番号コード、
 場合によっては一部の口座番号の変更も必要になります。

 口座番号には入力ミスを発見できるようにチエックデジットという一桁の数字を
 組み込んであります。これは、店番号、科目コード、口座番号のシリアル番号を
 ある演算式により算出して0-9の数字を決定します。この数字が合致しないと
 エラーとして扱うのがチェックデジットの役割です。この算出論理が異なると
 口座番号の変更を伴ったりコンピュータシステムでの口座番号読み替えの
 複雑な対応が必要になります。

 端末のメーカーや仕様が異なると、通帳やキャッシュカード、小切手、手形、各種の
 伝票や帳票の設計変更やシステム対応の必要性があります。

 細かい話ですが、例えば、ATMで通帳に印字する場合に、どのページのどの行
 から印字を始めるかを検知しなければなりません。この情報を得る方法としては、
 いくつかの方式があります。通帳の磁気ストライプに記憶させておく方式で
 あってもお客様が差し入れたページが正当か、打ち出す行数が正当か、
 これを光学的に検知する必要があります。
 このために通帳のページを判断するバーコードが印刷されています。
 また、行を判断する論理もATMに組み込まれています。
 この方式が銀行によってバラバラということです。

 今年中に、みずほ銀行のシステムがようやく統合されますが、既にご存知の
 ように旧富士銀行の通帳が使えなくなります。旧第一勧銀の通帳に合わせる
 ということだろうと思います。旧富士銀行のお客様の通帳をすべて入れ替える
 ということがどれほどの手間とコストがかかることか想像できますか。

 こんなところからも合併のシステム統合コストが相当なものであるということが
 推定できると思われます。

■センターの統合システム決定バトル

 センターシステムのメーカーが異なる場合には、メーカーは勿論のこと、
 行内でもメーカー支持者間での激しいバトルが発生します。

 機能の比較やシステムの良否が明確になっても最終的には、政治決着という
 場合が多いのです。
 トップダウンで決定を迫られる課題となります。

 バンキングのセンターシステムはコンピュータメーカーのブランドイメージに
 かかわるだけではなく、将来の収益に多大な影響を与えるからです。

 ありとあらゆるチャネルから政治的・経済的な圧力がかかってきます。
 従って、初期の段階で経営トップによる合意がなされている場合が多いという
 ことになります。

 銀行には数多くのコンピュータ化されたサブシステムが存在します。
 これらのシステムにおいてもそれそれのメーカーの攻防が行われます。

 初期の段階で整理統合していくことがCIOの重要な仕事となります。
 この決定を遅らせると後々にしこりを残すことになります。

 メーカーのSEも人間ですので、不採用の通知を受けた側の協力度合いと
 採用の通知を受けた側の協力度合いに差が出てくるのは当然のことです。
 決定のタイミングと決定理由の透明性が問われることになります。

 メーカー選定の巧拙がシステムトラブルの原因に結びつく可能性が大である
 ということにもなります。

■システム機能の相違の調整方法

 システムの機能の相違があっても強制的にどちらかのシステムに合わせてしまう
 というのが単純な解決法です。

 合併の規模の差が大きい場合には大が小を飲み込んでしまえば決着がつきます。

 しかし、対等合併の場合には個別テーマごとに妥協点を見出すための時間が
 浪費されていきます。

 そして、統合用の新システムは両行のシステム機能を統合するために複雑な対応を
 要求されます。

 システム統合のための開発投資額がかさんでいきます。

 合併しても合併効果がなかなか現れないのは、システムや事務の統合に相応の投資
 とシステム開発負荷が続くからです。

 後ろ向きとは言いませんがどちらかというと足ぶみ状態がつづき、前向きな新規の
 プロジェクトの開発は凍結されます。

 合併により新規のビジネスへの対応が他行比遅れることになります。
 
 従ってシステムの統合はできるだけ急ぐ必要があるのです。

 ここで問題が起こります。
 
 経営は早急にシステムを統一し移行することを要求します。

 移行システムの期間を短くするとシステムのテストが十分でなく、
 システムトラブルに結びつく可能性が高くなります。

 このスケジュールとタイミングの見極めが非常に重要になります。

 みずほ銀行のシステム障害はマスコミで大々的に採り上げられ、国会の場での
 質問にまで発展しました。
 しかし、銀行のシステム統合ではマスコミに採り上げられない大小のトラブルが
 数多く発生しているというのも事実です。

 システム統合は大変苦労の多い仕事であるということです。

■ その他

 その他システムを巡る諸問題は、営業店の事務処理を後方で支えている
 大きな事務処理の工場である「集中事務センター」の事務処理体制にも影響を
 与えます。

 銀行のシステムは関連子会社のシステムとも密接な関係で運用されている
 ためにこれらのシステムの統合も必要になります。

 列挙していけばきりがないほど、ありとあらゆるところに影響が
 でてくるのが銀行の合併に伴うシステムへのインパクトです。
 
 システム統合にまつわる問題は数限りなく存在しますが、
 長くなりすぎますのでこの辺で後は割愛させていただきます。

 次回は合併に伴う人事問題について触れてみたいと思います。

| | コメント (0) | トラックバック (0)
|

■銀行の合併について

■銀行の合併システムに関して

 今回からは銀行合併に伴うシステムに関わる諸問題に触れてみたいと思います。

■はじめに

 銀行に限らず、バブル以降企業の大型合併が続いています。
 合併は決して簡単なものではありません。
 企業風土の異なる企業が合併するのですから必ず随所で軋轢が発生します。
 この軋轢を早急に解消し前向きの戦略に取り組むことが経営の重要課題と
 なります。統合のスピードが合併の効果の成否を問うことになります。

 銀行もビッグ4といわれる金融グループに集約されてきました。
 これに伴い同じ金融業界の生命保険、損害保険会社は勿論のこと
 一般の製造メーカーも事業の分離・統合が続いています。

 ところで、銀行合併の場合にも問題になるのが、システムの統合です。

 合併過程でいくつかのシステムトラブルが発生しマスコミの恰好の餌に
 なりました。
 システム統合に伴うトラブルは、顕在化したトラブルに過ぎません。
 銀行の内部では大小さまざまなところで潜在的なトラブルが発生します。
 長い間築かれてきた企業風土の統合は短期間では解決できない問題になります。
 そこで、銀行合併を事例にどんなことが問題になるのかについて実体験に
 基づき具体的な部分をご紹介したいと思います。
 
■合併に伴い検討すべき事項

 合併に伴い調整すべき項目をリストアップしていくと相当の枚数になります。
 特に、日本企業の場合はマニュアル化されていない、企業内の慣習なるもの
 があり、この洗い出しだけでも相当の時間と労力を必要とします。
 検討を重ねるうちに検討項目は累積的に増加していきます。

 この過程で両社のコミュニケーションが問題になります。
 まず、使っている用語が異なるということです。
 続いて大きな問題となるのが、事務・システムの調整と人事問題です。
 これらの相違に関して順次説明していきたいと思います。

■用語の違い

 合併が経営トップレベルで決定されて基本的な合意がなされると合併事務局が
 設立されます。実務的な合併作業が開始され、担当部門別の合併・統合に向けて
 の具体的なスケジュールと合併調整事項の打ち合わせが開始されます。

 ここで、最初に問題になるのは、用語の統一ということになります。
 同じ銀行業同士なので、専門用語だけは統一されているものと思って
 いました。しかし、行内で使っている言葉が異なるということです。

 まず、具体的には下記のような単純な用語すら異なっています。

 従業員 職員、頭取 社長、証印 承認印、給与 給料、
 管理者 責任者、副支店長 次長、・・・。

 これらに伴い、関連語がすべて異なってきます。

 従業員組合 職員組合、従業員預金、職員預金、従業員規定 職員規定、
 給与明細 給料明細、給与支給日 給料支払日、等々

 これらは、意味的には通じるのですが、意味の通じない略語や特殊な
 慣用の用語も多数あります。

■事務手続きの相違

 これが、事務マニュアルになると何千項目も用語と事務手続きの記述が
 微妙に異なつているのです。具体的な事例を列挙してみましょう。

 伝票のデザインや帳票のデザインは当然異なります。
 収容項目や項目の表示の仕方も異なります。
 伝票の印刷部分の色も異なります。
 科目を識別するために多色刷りの伝票を使う場合があります。
 この場合には、色の決定ルールを統一する必要があります。

 単純に赤と青の二色刷りの場合にも問題が起こります。
 入金伝票を赤色にするか、青色にするかを決めなければなりません。
 出金伝票は当然この逆の色になります。
 これもなぜ異なるかは不明ですが伝統的に受け継がれてきたルールです。
 銀行簿記は、科目によっては貸方と借方が逆になります。
 預金は銀行にとっては、資産ではなく負債になります。
 このあたりが当初色を決めるときにだれかが決定したことと思います。

 事務手続きの記録を残すために銀行ではステップごとに伝票に確認印を
 押します。受付印、精査印、責任者印等々です。
 この押印位置も当然異なります。右上か右下か等と異なっています。
 使用する印の種類も形も異なります。
 スタンプインクの色も異なります。黒、赤、青、緑等を使い分けています。
 
 これも習慣になっているのでどちらが効率的かが議論の対象になります。
 些細なことですが、各行でそれなりの理由により決定されているのです。
 これにより伝票の設計が異なり、端末の印字出力場所にも影響を与えます。

 また、伝票のサイズや帳票のサイズが異なると実務面で問題が発生します。
 複写伝票に関しては、糊付けの場所が上か下かの違いもあります。
 これは、端末に伝票を挿入する場合に問題となります。

 ファイリングの方法、保管箱のサイズ、保管方法までもが異なります。
 伝票の綴じ込み方法が異なります。左上を綴じるか、右側を綴じるかです。

 支店の統合を行うとこの伝票のサイズやデザインをどちらに合わせるのか
 により、伝票の保管箱のサイズ、伝票保管棚やキャビネットの種類等まで
 異なってくるのです。金庫に設置する棚の種類まで変更の必要があります。

 二つの支店が統合されると先ずはどちらか一方に合わせることになります。
 ここで問題が発生します。機械化以前の事務処理が残っている場合には、
 印鑑簿や各種契約書を口座番号順に並べるか、あいうえお順にファイリング
 するか、これにもルールがあり銀行で異なっています。
 サイズが異なる帳票を一定のルールで並べ替えるとなるとばらばらになって
 しまいます。当初は旧行ベースでファイリングしていてもいずれは統合して
 統一したファイリングシステムに移行する必要があります。
 異なるサイズの帳票のファイリングの方法だけでも一工夫も二工夫も必要に
 なるということです。

 列挙すればきりがありませんが、些細なことがいろんなことに影響するという
 ことがご理解いただけましたでしょうか。

 ともかく、異なる企業が合併するということは、事務部門と現場では
 顕在化しないトラブルが多発します。
 きめ細かいフォローを行わなければ事務ミスを誘発することになります。


 今回はここまでにしておきます。
 次回はシステム統合問題、人事問題等に触れます。

| | コメント (0) | トラックバック (0)
|

■新設銀行について

 
■はじめに

 日本振興銀行が4月21日開業しました。

 http://www.shinkobank.co.jp/ 日本振興銀行の公式HPです。

 首都圏の法人や個人事業主を対象として融資業務を専門的に行う銀行の
 誕生です。
 この銀行は融資商品3種類、預金は定期預金のみの取り扱いだけです。
 シンプルな形の銀行です。本店しかありませんので、事務手続きは
 インターネットと郵便に頼ることになります。

  これに続いて、東京都の石原知事が主導する新東京銀行の開業が控えて
 います。

 このように新しい銀行が設立できるようになったのは、銀行設立の条件が
 緩和されたからです。

http://annai.fsa.go.jp/annai/contents/tetuduki/naiyou_egov/tf221001001.html

 
 免許制になってから、いくつかの銀行が設立されました。

 ジャパンネット銀行、アイワイバンク銀行、ソニーバンク銀行、イーバンク
 銀行の4行が先行して新規に設立されています。

 各々の銀行は設立の背景も、営業の方法も違います。

 これらの銀行に関しての特徴と背景に関して簡単に説明したいと思います。

■新設ネットバンクの概要に関して

 ジャパネット銀行 http://www.japannetbank.co.jp/

 ネット専業銀行として、平成12年10月に設立。
 資本金200億円で三井住友銀行57%、他に、富士通、日本生命、
 東京電力、三井物産、ドコモ、NTT東等が株主となっています。
 日本で最初のネット専業銀行ですが、黒字化に苦戦。

 アイワイバンク銀行  http://www.iy-bank.co.jp/netbank/index.html

 イトーヨーカ堂とセブンイレブンが主要株主の銀行。
 平成13年4月10日に設立。資本金610億円。
 セブンイレブンやイトーヨーカ堂の店舗にATMを設置し、このATMを
 提携他社に利用させることによる手数料確保を主要な収入源とする銀行。
 ATM設置台数7,937(2004.4.27現在)で、銀行は勿論のこと、郵政公社、
 信用金庫、証券、生保、クレジットカード会社等と幅広く提携。
 単年度で黒字に転換。

 ソニーバンク銀行 http://moneykit.net/

 ソニーファイナンス80%、三井住友銀行16%、JPモルガン4%の
 出資比率で資本金187.5億円で、平成13年4月2日設立の銀行。
 預金業務とローン業務を中心に展開。
 住宅ローン等の残高を伸ばしています。
 
 イーバンク銀行  http://www.ebank.co.jp/

 現在の資本金は220億円強で、外資、メーカー等が出資する銀行。
 特徴としては、イーバンク口座間の振込み手数料がゼロ等決済機能を
 中心として業務展開する銀行。

 以上の4行がインターネット時代の新銀行ですが、アイワイ銀行が
 単年度決算で黒字転換で、他は赤字決算が続いています。

 新設銀行の黒字化には相応の時間が必要ということです。
 各々の銀行のビジネスモデルにも問題があるのかも知れません。
 決済機能だけでの黒字転換にはまだまだ時間が必要なようです。

■東京都の考える新設銀行の概要
 
 東京都の「新銀行」の概要は、下記の内容で公表されています。

 本   店:東京都千代田区  資 本 金:開業時は1500億円
            (都が1000億円出資、残りは民間企業から募る)
 代表執行役:仁司泰正氏(前トーメン副社長)行 員 数:195人(開業時)
 支 店 数:9店舗(開業時は5)
 預金量目標:1兆2000億円(2007年度末時点)

 開業までの経緯

 99年3月:石原氏が都知事選で信組再編による新銀行構想
 03年3月:石原知事が都出資の新銀行
 04年2月:都が「新銀行マスタープラン」
 04年4月:都がBNPパリバ信託銀行の経営権取得 準備会社を発足
 04年6月:委員会設置会社に移行
 05年1月:口座開設など事前予約受け付け
 05年4月以降:新銀行が開業の予定

 以上が新東京銀行の設立構想です。出資企業の会社も特徴があります。
 オリックス、JR東日本、NTTコミュニケーション等も参加の予定
 だったと思います。

 どんな銀行になるのか楽しみです。

 従来の銀行は横並び意識が強く、どこの銀行もサービスには大差がない
 という古き時代から個性のある銀行がサービスを競うという時代に転換
 されつつあります。
 特徴あるサービスを競うことにより、お客様サービスが向上することを
 期待したいものです。

■その他特徴ある銀行

 銀行も合併や破綻したもの、国有化されたもの等があり、
 銀行の表看板を看ても昔の名前がわからないものが多数あります。

 われわれ銀行業界で長い間仕事をしていた人間ですら、すぐには
 思い出せないことが多いのです。

 ところで、下記の銀行の旧行名をご存知ですか。

 新生銀行の旧行名は?
 あおぞら銀行の旧行名は?
 UFJ銀行は?
 国有化されているりそな銀行は?
 みずほ銀行は?

 旧行の名前が残っている銀行はわかりやすいですが、その他は
 判りにくくなってきています。

 昭和40年代に旧都銀といわれていた13行は現在7行になっていますが
 このうち昔の名前が残っているのは、三井住友銀行、東京三菱銀行だけに
 なってしまいました。

 ところで、バブルが崩壊して以来、銀行は不良債権の償却に努めてきました。

 不良債権として償却した金額の累計は77.4兆円(1995年度から
 2002年度までの累積)という数字があります。
 バブルの後遺症の大きさに驚くばかりです。
 平均年額で10兆円前後の償却を続けているのです。

 この間に、金融再編成が行われ、ビッグ4といわれる金融グループが形成
 されました。

 銀行を中心にして、生命保険、損害保険、証券会社等も倒産、合併、吸収等
 により会社の形態が大きく変化してきています。

 企業30年寿命説というのがありますが、まさに真実かも知れません。
 企業革新のない会社は消え去るのみということでしよう。

 ところで、金融機関といわれるのは、都市銀行、長期信用銀行、信託銀行、
 地銀、第二地銀、信用金庫、信用組合、労働金庫、農業協同組合、
 証券会社、生命保険会社、損害保険会社ですが、これらの会社は大幅に
 減少しています。

 1999/3末の2,988社が、2004/3/31で1,868社と
 なっておりこの5年間で1,120社も減少しているということは驚きの
 数字です。

 金融業界でも、これからは、いくつかの名前が消え、新たな会社の名前が
 顕われることになると思われます。
 金融業界も自然淘汰の時代に入ったということです。

 

【追伸】前述の銀行の旧行名の回答です。いくつお解りになりましたか?

 新生銀行の旧行名は?⇒日本長期信用銀行
 あおぞら銀行の旧行名は?⇒日本不動産銀行
 UFJ銀行は?⇒三和銀行と東海銀行の合併
 りそな銀行は?⇒大和銀行、協和銀行、埼玉銀行の合弁グループの銀行
 みずほ銀行は?⇒富士銀行、第一勧業銀行、日本興業銀行の合弁
 

| | コメント (0) | トラックバック (0)
|

■エレクトロニックバンキング時代

【はじめに】

 エレクトロニックバンキングとかEBとか言う言葉が流行した時代が
 ありました。

 銀行の業務処理を電子情報機器を利用して利便性と効率化の両方を
 追求することを目的としています。

 銀行の内部の事務処理は、コンピュータ化により、合理化・効率化は
 進んでいきましたが、お客様との取引の接点が効率化されていないため、
 この接点の合理化を追求するというのがEBの趣旨です。

 この考え方は、他業界では、EDIとか言われていたものです。
 【注】EDIは http://e-words.jp/w/EDI.html をご参照ください。

 そして、この概念はインターネット時代になり、電子商取引、ECとか
 言われるようになりました。
 【注】ECは http://e-words.jp/w/EC.html をご参照ください。

 更に、B2B、B2C、G2C、G2B、C2C等々の言葉を生むことに
 なりました。

 ここでの、Bは企業(BusinessのB)、Cは消費者(comsumerのC)、
 Gは政府・行政(GavernmentsのG)の意味で、この両者間の取引を電子化
 する各種のシステムが開発され、実務上の効率化が推進されています。

 【注】ここでの2は to の代わりで、BtoBをB2Bと表現しています。

 これらの電子商取引市場で、「もの」や「情報」の売買が行われるわけですが
 最終的には、代金の決済を必要とします。
 ここでも、クレジットカードの決済や銀行のデビットカードでの決済、
 コンビニでの決済等の各種の決済手段が必要となってきます。

 銀行が電子商取引に積極的に関与する部分は多くあるということです。

 企業間取引の合理化や企業と個人間の電子化は急スピードで進展してきましたが、
 政府や行政の電子化が遅れているということになり、e-Japan計画が策定
 されて、e-政府・行政の言葉のもとに行政業務の効率化が推進されています。

 話を戻して、エレクトロニックバンキングの経過を振り返ってみたいと思います。

■エレクトロニックバンキング時代

 1980年代になり、エレクトロニックバンキング時代の初期の頃に話題に
 なったのは、DDXによるデータ交換という記事でした。
 野村證券と三井銀行の間で、株の売却代金の振込みをDDXの通信回線を
 利用して即時化するという記事が日経新聞の一面を飾ったこともありました。

 【注】DDXは、デジタルデータ交換網のことでNTTのサービス商品です。
  詳細に関しては、http://e-words.jp/w/DDX.html をご参照ください。

 次に、ブームになったのが、ニューメディアという言葉でした。

 この時代にNTTからキャプテンなるシステムがニューメディアとして登場
 しました。当然、銀行としても、このメディアを利用してのバンキングサービス
 を試行しましたが、残念ながら普及定着せずにサービス停止になってしまいました。

 【注】キャプテンシステムの説明は下記をご参照ください。
  http://e-words.jp/w/E382ADE383A3E38397E38386E383B3.html

 銀行とお客様を通信回線を通して各種のサービスが次々と開始されるわけですが、
 通信制御手順がバラバラでは、不便であるということから全銀手順なるものが
 規定されたのもこの時代でした。

 大企業は、銀行のコンピューターと企業のコンピュータを全銀手順で直接接続して、
 データのやり取りを行うシステムを利用することになりました。

 問題は、中小企業、個人との取引のエレクトロニクス化の推進でした。

 ここに登場したのが、パソコンシステムでした。
 パソコンに専用のソフトを組み込んで、EB-PCシステムとして、
 拡販したものです。

 このシステムは現在でも稼動していますが、専用ソフトの導入に手間がかかるのと
 システムのバージョンアップ時にお客様のシステム環境との不適合等が発生する
 場合がありフォローに手間がかかるという難点があります。

 このトラブルを回避するために、現在では、インターネットを利用した、
 ブラウザーバンキングシステムが主流になっています。

■インターネット時代のエレクトロニックバンキング

 インターネットが普及し始めるとインターネット・ブラウザーを利用した、
 システムが主流となってきました。

 パソコンの一般的なブラウザーを利用して、銀行取引が可能となったのです。

 預金の口座残高の照会や入出金明細の照会、為替の振込み処理も可能に
 なっています。定期預金の新約等も可能です。

 サービスの内容は、個別銀行ごとに異なりますが、各種の金融情報の照会等
 も可能となっています。

 これにより、銀行の店舗に足を運ぶことなく、現金や小切手等の現物を
 伴わない銀行取引の大部分はインターネットで処理が可能となっています。

 また、銀行サービスはNTTドコモのiモード等の携帯電話でも取引可能と
 なっています。

 携帯電話端末から振込み処理等も簡単にできるようになっています。

 これらのパソコンや携帯電話を利用したサービスを利用すれば、
 ピーク日のピーク時間帯に、銀行の店頭で番号札を持って長い間
 処理を待つことも必要なくなります。

■無店舗の新銀行の出現

 以上のように銀行取引は銀行の店舗に行かなくても済んでしまう
 時代になってきました。現金は、コンビニのATMで出し入れが可能です。

 このようなインフラの発達により、新銀行が誕生してきたのです。

 いづれ詳細に関して触れてみたいと思いますが、ジャパンネット銀行や
 ソニーバンク銀行、IYバンク銀行、イーバンク銀行等の店舗なしの銀行
 が営業を開始できる時代になってきたのです。


| | コメント (0) | トラックバック (0)
|

■ICカードの応用分野(続々)

前回に引き続き、ICカードの応用分野について解説していきます。

 前回のVOL.015で、ICカード化により、クレジットカードの損失額
 が減少すると説明しました。

 この損失額を相当の額になると数字を明記しませんでしたが、読者の方から
 照会がありましたので、未確認データですが、平成14年度の実績で、
 不正利用額が300億円、盗難・紛失事故額が250億円で、
 合計で550億円の損失が発生しているという数字があります。
 ご参考までに掲出いたします。

 読者の方からの反応は大変うれしいものです。

 お答えできない、ご質問等もございますが、ご意見、ご照会等がありましたら
 どうぞご遠慮なく、ご意見をお聞かせください。
 
  メールアドレスは、mailto:seiichi@blue.plala.or.jp です。

 さて、ICカードの応用分野を引き続き説明していきます。

■社員証、学生証への応用

 10年以上前から多くの企業や学校で、社員証や学生証としてICカードが
 導入されてきました。

 ここで使われるICカードは、接触型と非接触型の二つのパターンが
 ありますが最近では非接触型が主流になっているようです。

 非接触型のICカードを利用すれば、オフィスや学校のコンピューター
 ルーム等への入室も読み取り装置に軽く触れるだけで入室資格の有無を判定し
 自動ドアの開鍵が可能となります。

 また、キャッシュレスシステムの搭載も可能で、社員証や学生証を使い、
 企業内の食堂や売店でPOSレジに支払い機能を組み込むことにより、
 現金不要とする企業や学校も増えています。

 ICカードをパソコンに追加した読み取り装置に読み取らせることにより、
 本人確認のための「鍵」として、ログオン・オンの認証を社員証や学生証で
 行うことも可能です。

 この社員証や学生証と銀行のキャッシュカードとの相乗りシステムは
 いくつかの事例があり、銀行の職域戦術のひとつとなっています。

 
■診察券、医療カード、フィットネスカードへの応用

 医療機関やフィットネスクラブなどでは、ICカード内に個人の健康状態の
 情報を格納することにより、患者や利用者の情報管理に役立っています。

 ICカードの大容量の情報記憶機能と、個人のプライバシーを守る
 高セキュリティ性の機能を活用した応用分野です。

 この分野でも銀行のキャッシュカードやクレジットカードを相乗りさせて、
 医療費の支払いやフィットネス利用料金の支払いを可能とすることもできます。

■来場管理、電子チケット、トレーディングカードへの応用

 ICカードは、エンターテインメント分野での利用にも最適です。

 既に多くのアミューズメント施設の会員カードや入場券として利用することに
 より、従来の磁気カードや紙のチケットでは実現できなかったサービスを提供
 することが可能となっています。

 また、トレーディングカードはICカード化することにより、ビデオゲームと
 情報を連動させるなど、従来では考えられなかったサービスの提供が可能に
 なっています。     

  残念ながら、小生はこの分野に関しては実際に利用したことがなく、
 具体的な内容には疎いのですが、応用分野の事例としてリストアップされて
 いましたので、一応掲出しておきます。

■テレホンカード、SIM/UIMカード(携帯電話)、デジタル放送受信カードへの
 応用

 テレホンカードはICカード化によって、偽造・改ざんのリスクから
 開放されたということですが、公衆電話は携帯電話に主役を奪われ、設置台数
 が減少傾向にあり、ICカードのテレカはあまり普及しないという結果に
 なってしまったようです。

 小生は使ったことはありません。折角ICカード化したのに時代の流れで
 公衆電話の役割が変化してきてしまい宝の持ち腐れとなっているのではと
 考えているのですが、誤解でしょうか。

 また、携帯電話やデジタル放送の利用者を認証し、システムのセキュリティ部分
 をブラックボックス化するメディアとして利用されています。

 これに関しても、小生自身は次世代型携帯電話に移行しておらず、未体験です。

 デジタル放送も我が家は、CATVを利用しており、目下のところ未体験
 ということになります。

  
■電子入札認証用カード、IT実験、住民基本台帳カード、健康保険証、運転免許証
 等への応用

 公共分野でのICカードの利用も活発化してきています。

 国土交通省では電子入札の認証用カードとしてICカードが利用されています。

 また、2001年から行われた経済産業省による「ICカードの普及等による
 IT装備都市実験事業(IT実験)」と、それに続く「ITCity」では、
 さまざまな地域サービスがICカードを介して行われています。

 2003年8月からは、住民基本台帳カードが発行され地域サービスは
 ICカードを仲立ちとしてよりいっそう充実されていくものと考えられます。

 この他にも、運転免許証、健康保険証、介護保険証、パスポート等も
 ICカード化が検討されています。

 e-JAPAN計画の一環として、行政分野のIT化が推進されていくことになり
 この中でICカードの応用分野は徐々に拡大されていくことになるでしょう。

■ポイントカード、メンバーズカードへの応用

 ポイントカードがICカード化されることにより、ポイント管理が容易かつ
 多様な機能を搭載できるようになります。

 既に「汎用ポイントシステム」の導入は進んでおり、いろいろなお店で
 利用可能であり、クレジットカードのポイントシステムとも連動する
 ポイントカードシステムが登場しています。

■以上のように、いろんな分野でICカード化検討され、
 実際に一般に普及してきています。

 残念ながら、小生個人としては、知識としては知っていても実際には、
 利用したことのないものも数多くあり、その利便性を体験していないものも
 あります。

 いずれにせよ、ICカードの機能を生かした、各種の応用分野が急速に拡大
 することだけは確かであり、これによりセキュリティーの確保とカードの
 多機能化が促進されることになります。

 

| | コメント (0) | トラックバック (0)
|

■ICカードの応用分野(続)

 前回に引き続きICカードに関してのトピックスをご説明したいと思います。

■応用分野について

 ICカードの応用分野に関して順次説明していきます。

 定期券入れや財布の中にカードが何枚もあり不便であるからICカード
 一枚に統合したほうがよいとの意見があります。

 しかし、紛失したときのリスクやカード利用時の勘違いやミス等を考えると
 お客様のニーズに応じて適時組み合わせていくのがベターのようです。

 応用分野に関しては、個別分野ごとに説明していきますが、
 実際には、いくつかの機能が複合化されて利用されていくことになります。 
 

■クレジットカード、キャッシュカードへの応用

 ICカードの特徴としてセキュリティーが高いということが優れて
 いるということが強調されます。

 ICチップの中には、マイクロコンピュータが組み込まれており、
 このコンピュータでセキュリティー論理を組み込むことができるからです。

 このセキュリティ性を活かした応用分野は、クレジットカードや
 キャッシュカードなどの金融系のカードです。

 ICカード化された金融系のカードは、ほぼ完全に偽造や不正利用の
 リスクを回避することが可能になります。

 ほぼ完全というのは、セキュリティーには絶対ということは
 ありえないからです。

 必ず、技術の進歩、時代の推移によりセキュリティー対策は破られて
 いくという運命にあるからです。

 しかしながら、現状よりは格段のセキュリティー機能の向上が期待されます。

 また、ICカードには記録を保存しておくメモリーエリアがあるため、この
 部分を利用して、金融系システムにおける与信管理を行うことができます。

 与信管理というのは、クレジットカードやデビットカードで利用可能な
 限度額を管理する機能です。

 この機能を利用すればショッピング等の取引が発生した場合の承認事務を
 迅速かつ効率的に処理することが可能となります。

 クレジットカード業界では、2003年~2005年を目処にすべてのカードを
 ICカードに切り替える計画になっています。

 カードの有効期限に達したものから順次切り替わっていくことになります。

 クレジットカードの不正利用による損失は、相当の金額であり、
 IC化により、この損失が大幅縮小されることが期待されています。
 

 一方、銀行のキャッシュカードもIC化の方向に進んでいます。

 銀行は、実用化に早くから取組んでいたのですが、全面的な実用化には
 到りませんでしたが、今後は順次切り替えていく計画になっています。

 実用化が遅れている理由は、キャッシュカードには、有効期限という概念
 がなく、発行枚数も国民一人当たり2-3枚以上も発行されています。

 また、すでに預金口座残高ゼロの口座も多く、切り替えコスト負担が大きく
 一挙に切り替えることに躊躇するコスト負担の問題があるからです。

 時間の差こそあれ、各行のポリシーに従い順次切り替え移行が
 行われることになります。

■電子マネーへの適応
 
 電子マネーとは、お金の情報を書き込んだICカードを使い、キャッシュレスで
 ショッピングを可能とする仕組みです。

 現金を使わないので安全なうえ、レジでの小銭のやり取りも簡素化されます。

 電子マネーに関しても何種類かの方式が開発されています。

 このなかでも注目されるのがプリペイド方式の電子マネー「Edy」です。

 基本的には、ソニーのフェリカという非接触タイプのカード仕様を
 利用しており、JR東日本で利用されているSUICAと同一の仕様です。

 Edyは、コンビニエンスストアでの利用やインターネット上の
 サイバーモールでも利用可能です。

 企業や学校内でのキャッシュレスシステムとして、社員証に「Edy」の機能を
 搭載する事例も増えてきています。

 全日空のマイレッジポイントをEdyに変換して電子マネーとして利用することも
 可能となっています。

 今後も、順次、提携先が増加し利用範囲が拡大していくものと思われます。

 

■JRの定期券や乗車券等への適応

 交通機関分野ではICカードの非接触インターフェース機能が活かされ、
 JR東日本の「Suica」をはじめとして、カードを読み取り機にかざすだけで
 改札口を通れるシステムが実用化されています。

 この非接触型のICカードに切り替えることになった理由は、
 薄型のプラスチックカードでは、高速でカードを搬送しなければならないために
 読み取り装置のベルトの磨耗とメカ部分の故障メンテナンスコストが大きな問題
 となってきたからです。

 非接触型のICカードの場合は、このメカ部分が省略できるために、
 メンテナンスコストの節約につながるからです。

 鉄道の改札口での利用の場合には、改札口の混雑を避けるための処理スピードが
 必要となります。

 この高速処理を可能とするためにタッチアンドゴーという方式で、高速処理機能
 可能なソニー仕様の非接触型のICカードが採用されています。

 このJR方式は、相互乗り入れ可能なように、私鉄の改札方式にも採用されて
 いくことになると同時に、順次、地下鉄、バス等にも採用されること
 になっていくものと思われます。 

■高速道路等の有料道路の料金徴収システムへの適応

 高速道路で採用されている、ETC(料金自動収受システム)は、車載機に
 ICカードを挿入するだけで、料金所通過の際、ノンストップで自動的に
 有料料金の支払いが行われるシステムが採用されています。

 ETCの場合には、読み取り装置との距離が離れているために、
 特別なICカード装置(車載装置)に接触型のICカードを挿入して
 無線電波でデータ交換する形態となっています。

 この方式は、駐車料金の支払い等、車を中心としたシステムへの応用が
 展開されるいくものと思われます。


 その他の応用分野については次回につづきます。

| | コメント (0) | トラックバック (0)
|

■ICカードの応用分野

■ICカードの応用分野

 今回から、ICカードに関してのトピックスを取り上げたいと思います。

 ICカードは、1970年、日本とフランスでほぼ同時期に発明されました。

 プラスチックのカードの上にICチップを埋め込んで、簡単な演算機能と

 メモリー機能を持たせたもので、これによりセキュリティーを確保しよう

 というものでした。

 当初は、4ビットのCPUを搭載していましたが、順次8ビット、そして

 16ビットと演算スピードとメモリー容量を拡大してきています。

■1980年代になり、フランスでは世界に先駆けて国策としての支援もあり、

 カードの実用化がはじまり、まずテレホンカードがICカード化されました。

 欧州では、電話機のコインを盗む目的で、公衆電話機が壊されることが多く、

 この破壊から電話機を守る意味からもいち早く磁気カード方式に切り替わって

 いましたが、偽造磁気カードが多発することになりました。

 そこで、磁気式テレホンカードの偽造利用に対する防犯措置としてICカード

 が導入されることになり大きな成果を挙げることができたということです。

 これ以降、フランス、ドイツなどヨーロッパの国々を中心に、電話だけでなく、

 カード犯罪防止を目的に、プリペイドカード、クレジットカードなどの

 ICカード化が活発になり交通機関やショッピングへの利用が

 拡大してきています。

 一方、日本では、三井銀行と東芝がフランスのブル社のCP-8というカード

 をベースにデビットカードによるショッピング実験を期間限定で実施したのが

 日本で最初の実証実験システムでした。

 その後、トッパンをはじめとして国産各社がICカードの開発を行い

 銀行キャッシュカードなどを利用した大規模な導入実験が行われました。

 ICカードの大容量記録性を生かした多機能利用と高セキュリティ性が

 注目が集めてきましが、本格的な普及展開には到りませんでした。

 90年代に入ると、社会のIT化と共にICカードは、電子マネーや電子認証

 などの新しい搭載媒体としても注目されるようになります。

 一時は、英国製のモンデックス方式の電子マネーが注目を浴び、その後

 ビザキャッシュやマスターカードのニューヨークでの実験等も行われました。

 日本でも、渋谷や新宿、神戸そして一部の地方都市で地域内での電子マネーの

 実用化実験が行われ、実務上の問題点はクリァーされていきました。

 この間に、機能や仕様の統一化・国際規格化の動きが本格化し、

 普及の基盤が形成されていったのです。

 そして21世紀になってから、クレジットカードやJRの鉄道乗車券の

 ICカード化が本格化していき、ICカード社員証や学生証を多く目に

 するようになりました。

 さらに、住民基本台帳カードなどの公共カードもICカードで提供される

 こととなっており、ICカードがわれわれの生活に溶け込んできています。

■具体的な応用分野について

 ICカードの応用範囲は広く、いろいろな分野で利用されるようになって来ました。

 カードの製造コストや端末コストも大量生産技術により急激に安価になってきてお

  り、今後広範囲な普及・実用化の段階になってきました。

 ICカードの仕様に関しては、接触型と非接触型の二つの方式が存在します。

 更に、非接触型にも方式が二つあり、これらをひとつにしたハイブリッド型の

 ICカードも開発されてきています。

 更には、携帯電話にも組み込まれることになり、いよいよ本格的な普及の段階に

 なってきたということです。

 いろいろな応用分野に関しては、次回で説明します。

| | コメント (0) | トラックバック (0)
|

■ブロードバンド時代へ

■ブロードバンド時代へ

 データ通信環境も大きく変わってしまったようです。

 ブロードバンド時代を実感するようになったのはここ一二年のことです。

 我が家にも光ファイバーを引くことができる時代になりました。

 小生は、PC普及の初期の段階からパソコン通信に加入していました。

 Niftyに加盟して、フリーソフトやフォーラムに参加して情報の収集や
 情報交換をしていました。

 パソコン通信時代の通信回線は、通常の電話回線にモデムを接続して
 14.4KBPSのスピードで通信していたように思います。

 送受信するデータもテキストが中心で、時々画像やプログラムを
 ダウンロードしていましたが、接続時間を気にしながら利用していたこと
 を記憶しています。

 インターネットを使うようになってからは通信回線のスピードも
 56KBPSにスピードアップされましたが、インターネットの画像は
 それでも「じわっー」と顕われるという状態でした。

 これは、我慢するとしても、問題なのは電話料金の支払いでした。

 つなぎっ放して利用していると月間の電話料金が三万円を超えてしまい、
 多いときには、五万円以上の月もありました。

■そして、ADSLの登場です。最初は1.5MBで、次に8MBと切り替え
 ました。残念ながら、我が家は電話局からの距離が3.4Kmあります。
 したがって、期待したようなスピードがでませんでした。

 しかし、電話料金は劇的に低下しました。

 一万円を超えることはなくなったのです。

 ADSLは、一般家庭でのデータ通信環境を劇的に変えてしまいました。

 常時接続で、使い放題で、固定料金で、低価格での高速通信が可能と
 なったのです。

 このADSL普及のきっかけを作ったのは、ヤフーBBの孫社長です。

 ヤフーBBは、顧客情報の大量流出で信用失墜問題を引き起こしました。

 しかし、今日のブロードバンド時代の到来を加速させた立役者です。

 世の中の仕組みを大きく変えるためには、常に「仕掛け人」「ザ・マン」
 といわれる人の存在があるのです。

■ところで、ADSLは、電話局との距離やハード・ソフトの条件により、
 実際のスピードは一定ではありません。

 12MBとか24MBとかの表示どおりのスピードが保証されるわけでは
 ありません。

 そこで、小生もスピードアップのためにのハード・ソフトの手当てを
 いろいろと試みてみました。

 いろいろやりましたが、結局は2MBを超えることはできませんでした。 

 その後、ADSLの提供商品は、12MB、24MB、40MBと
 サービスのスピードをあげていますが、小生の自宅の環境では無理
 との判断をしました。

 工事代金無料キャンペーンを利用して光ケーブルに切り替えました。

 NTT東日本のBフレッツ100MBというサービスを受けることに
 なりました。

 期待していたのは、10MB以上のスピードでした。

 しかし、契約したニューファミリータイプでは、一本のケーブルに
 複数のユーザーが接続されるために、利用状況によりスピードは変動します。

 それでも、安定的には5MBのスピードは確保できているようです。

 これだけのスピードがあればWebの閲覧には問題なし、大量のメールの
 送受信にも問題なしということです。

 全く快適なインターネット環境が個人ベースで実現する時代になったのです。

■IP統合通信網の構築へ

 個人レベルでブロードバンド通信が活用されるということは、当然企業の
 情報通信システムにも影響があります。

 音声での電話利用分野でもIP電話というデジタル方式が普及しつつあります。

 このIP電話も含めたIP通信総合ネットワークシステムの導入が
 開始されています。

 この分野の導入競争も激化しています。

 企業内は勿論のこと、企業と企業の間、個人と企業、個人相互間の音声を含めた
 情報通信事情は大きく変化しつつあります。

 これらの低価格の高速情報通信システムの普及により新たなアプリケーションを
 生み出すことになります。

■銀行のアプリケーションとしては、社内研修用に活用され、遠隔地での
 TV画面を通じた研修が可能となっています。

 また、在宅で銀行のフィナンシャルプランナーとお客様の間でPCを使い、
 TV電話機能とデータ通信を組み合わせた、資産運用管理サービスも
 可能になってきています。 

■「ユビキタス社会」の実現へ

 ブロードバンドのより一層の普及により、ますます便利で、いつでも、
 どこからでもインターネット等の情報ネットワークにアクセス可能となる
 「ユビキタス」と呼ばれる情報化社会が実現しつつあるということです。

 このユビキタス社会では、いわゆる情報家電機器もネットワークに接続され
 FS映画で視ていた社会に近づきつつあるということです。

■ブロードバンドネットワークとデジタル家電をベースとした情報家電の普及に
 より、一般家庭でも加速度的に情報化が進展することになります。

 これらの機器の普及は、中国や後進国により劣勢化してきた日本の製造業の
 空洞化の歯止めになることが期待されます。

 日本のメーカーの得意とする分野であり日本再生につながることを期待
 したいものです。

 長引く日本経済の低迷からの脱出に役立つことを期待したいものです。

| | コメント (0) | トラックバック (0)
|

■I-1回戦の利用と、48Kモデム、48KTDMの開発

今回は、前回に続いてデータ通信システムで大幅にコストを節減し、かつ、
 システム移行リスクを回避した事例をご紹介したいと思います。

 話は、少し難しくなりますが、プロジェクトの進捗過程で起こるシステム
 リスク回避策の事例としてもご理解いただきたいと思います。

 具体的には、
◇I-1回線利用による高速データ通信システム
◇48KBPSモデムの新規開発機器の採用
◇48KTDMの新規開発機器の採用

 といずれも銀行業界でははじめての新規開発機器の採用とシステム移行
 リスク回避策の話です。

 昭和50年前後、三井銀行では融資オンラインシステムを開発し、
 システム移行過程にありました。

 この融資オンラインは、従来の預金・為替系の勘定系のシステムとは
 システム設計思想もアプリケーション開発の方法も新規の考えを
 とり入れたシステム開発でした。

 IBM社の標準パッケージであるCICSというオンラインリアルタイム
 パッケージを採用するということ。

 データベースシステムにもDL/1という汎用デーベースシステムを
 採用すること。

 端末は、IBM3270という汎用ディスプレー装置を使い会話型の
 システムを実現するということ。

 国内の外国為替システムと共用でシステムを開発すること。

 単純な融資事務の勘定処理を行うだけでなく、与信管理システムを
 含めた融資事務全体をカバーし、営業店の融資係と本部の審査部の
 与信決裁システムとも連動させるという画期的なシステムでした。

 この時代の融資・外為システムは勘定処理を中心に開発されており、
 この時代にディスプレー端末を使い、会話形式でかつ、与信管理決裁
 システムと連動させるというシステムは当時としては画期的なシステム
 であったのです。

 このシステムの位置づけとしては、預金為替の二次オンラインシステム
 開発の先行プロジェクトとしての意味もあり、いろんなシステム開発上の
 実験的な試みも加味した新規のシステム開発プロジェクトでした。

 融資・外為という比較的に事務発生件数が少なく、月末・期末にピーク
 事務量が集中的に発生するという特性のある業務形態のオンライン処理
 システムの開発プロジェクトでした。

■このプロジェクトで、店別に順次新システムへの切り替え移行中に
 大幅なシステム変更を行うべきか、それともシステム移行の安定性を
 重視するための代替手段を選択すべきかの意思決定を迫る問題が発生
 したのです。

 当初のプロジェクトの計画では、関西地区の移行のためには、
 当時のIBMが新規に開発したVTAMという通信制御ソフトと
 3705の通信制御システムを採用することでした。

 しかし、IBM本社でのシステム開発が遅れて、当初のスケジュールに
 間に合いそうになく、間に合っても本邦初演でありシステムの安定性にも
 疑問がありました。

 日本IBMとしても勿論本邦初演で、米国実績もないというシステムの
 導入で、システムのトラブル発生を予測していました。

 関西地区移行のために東京地区で安定して稼動を始めたシステムを更改
 すれば、システム全体のトラブルリスクが発生する可能性が大であるとの
 プロジェクトチームからの報告がありました。
 
 システムテスト期間を十分とるために、関西地区の移行スケジュールを
 半年間延期すべきとの提案がプロジェクトチームより提案されました。

 このプロジェクトチームからの提案には、大きな問題がありました。

 開発コストが当初より大きく膨らむということ、システムの効率化の
 享受が先延ばしになること、システム移行に伴うリスクも半年間で
 完全に回避できるという保証がないということでした。

 開発費用の面では、100人以上の開発要員を半年間投入すれば、
 単純に一人月百万円として計算しても一月一億円の出費で6億円の
 追加開発費が加算されるということを意味していたのです。

 そこで、代替案の検討を開始しました。

 ここで、IBM社の新規開発中の通信ソフトを導入しなくてもよい
 方法の検討を開始したのです。

 代替案としては、東京と大阪の事務センター間を高速のデータ通信回線
 で結び、この太いデータ通信回線を何本かに分割して利用するデータ通信
 回線の時分割利用という方法を検討することになりました。

 前回説明したように、データ通信回線の自由化により、電電公社は、
 I-1規格という広帯域の通信回線を提供することを発表していました。

 このI-1回線を利用して、東阪間を48KBPSで結び、
 これを理論上は40分割して1.2KBPSを40本束ねるシステムを
 採用する方法がアイデァとして発想されました。

 しかし、この方法は、日本では初めての経験であり、国産の製品は、
 存在しませんでした。

 米国産の製品が何社か存在していた程度でした。

 米国の通信規格と電電公社の仕様は細部で異なっており外国製品を直接
 導入するには、技術上解決すべき問題があり、採用上の懸念がありました。

 そこで、このI-1規格を48KBPSで利用する高速通信装置である
 48Kモデムの開発とこれを40分割するTDM(通信回線時分割装置)
 の国産製品の開発を行う必要があるとの結論に到達しました。
 
 当時の通信回線装置は、電電ファミリィーといわれる、富士通、日電、
 沖電気、日立の四社を中心として開発・製造されていました。

 この四社の中で、富士通がこの装置を開発中であるということでした。

 富士通の工場に出向き、現場の技術者や試作機の状況等を調査しました。

 信頼性と納期が一番の問題点でしたが、最終的には富士通製の未発表の
 製品を採用することに決定したのです。

 結果としては、当初スケジュールどおりに関西地区の移行が着実に
 行われ、開発コストも増加することなく無事に移行が完了したのです。

 実は、このシステムの採用により、IBM社の一億円以上もする
 3705/3706という通信制御装置を導入する必要もなくなり、
 ハードコストも大幅に節減できるという副次効果も示現したのです。

 以上の説明で内容を理解していただけたでしょうか。

 この分野に詳しく、当時の事情をご存知の方以外の方には、ご理解して
 いただけないかも知れません。

■システムを開発する上でシステム開発プロジェクトが直面するのは、
 システム開発スケジュールと開発コストの問題と技術上直面する
 各種の問題等多種多様であり、これらをひとつひとつ根気よく解決する
 ことがプロジェクト成功の秘訣です。

 システム開発やシステム移行には常にリスクが伴うものです。

 このリスクをいかに現実的な問題として解決していくかが、プロジェクト
 マネージャーに必要な能力であり、KKDが必要といわれてきました。
 すなわち、過去の経験(K)と勘(K)と決断のための度胸(D)が
 必要ということです。

 最近のプロジェクトマネージャーには、現場で習得したKKDが不足して
 いるのではないかという懸念が指摘されています。

 これが、当初問題提起した、本メルマガの根底を流れる2007年問題に
 結びつくテーマであると考えています。

 このKKDをいかに計画的に体得させるかが人材育成上の大きな課題である
 と考えています。

| | コメント (0) | トラックバック (0)
|

2005.04.20

■9600BPS高速ファツクスの開発

■前回に引き続き、データ通信の話題を取り上げます。

 まず、軽い話題から、現在一般家庭に普及しているファクシミリの
 銀行専用端末版の開発裏話をご披露したいと思います。

■9600BPS高速ファクスの開発の裏話

 今回のテーマは、一般の電話回線で9600BPSのデータ通信に
 成功した事例としてとりあげます。

 ADSLが、一般の電話回線を利用して、40MB(40MBPS)の
 通信を実現できるということは、驚愕に値するということを、
 VOL007(2.25発信)で述べました。

 http://backno.mag2.com/reader/Back?id=0000125079 
 上記から右側の2004.2.25発行の行をクリックしてください。
 

 ところで、

 昭和50年代の半ばと記憶していますが、当時の電話ファクシミリは、
 2400BPSのスピードのものが、最高だったのです。

 これを一挙に9600BPSのスピードアップするということは、
 当時としては、本邦初演のシステムを導入することでした。

 
 当時の銀行の本支店には、2400BPSのファクシミリが導入されており、
 本部からの情報連絡や支店相互間の情報交換、お客様との情報のやり取り、
 等に活用されていました。

 しかしながら、スピードが遅い、画像の写りが鮮明でなく、情報の交換に
 苦労していました。

 そこで、この画像情報交換システムの端末であるファクシミリシステムの
 新システムを開発することにしました。

 全店ファクスシステムの開発プロジェクトが発足したのです。

 ここに、タイミングよく、松下が4800BPSのファクシミリを開発し、
 売り込みにやってきました。

 確かに、従来の二倍のスピードでの送受信可能ということでしたが、
 これだけでは魅力に乏しいということで、ファクシミリに多機能を
 持たせる端末を開発しようということになりました。

 即ち、通常のファクシミリとしての機能に加えて、プリンター端末機能と
 OCR判別機能を追加してあて先を自動で発信させることにしたのです。

 これにより、本部からの通知は、ワープロで作成したものをそのままデジタル
 印字することが可能で、印字品質を抜群に向上させることを意図しました。

 現在では、汎用プリンターは、ファクシミリ機能、LANでのプリンター
 機能、複写機能(コピー機能)、スキャナー機能(画像取込機能)等と
 多機能化が進んでいます。

 当時のファクシミリは単能機器だったのです。

 この単能機器をプリター端末としても利用しようということでした。

 OCRの判別機能をつけることにより、行内文書は店番指定で送信するため、
 予め登録してある電話番号にしか送信できないため、誤って重要書類が、
 一般のファクシミリに発信することを防止する仕組みも追加しました。

 これにより、ファクシミリの誤送信をなくすることを意図しました。

 情報セキュリティー対策の一環としての考え方を導入したのです。

 このプロジェクトに後発で参画してきたのが東芝でした。

 当時の三井銀行は、ファクシミリは松下製品がほぼ100%で、東芝製品は
 一部しか採用していなかったのです。

 ここで、新型ファクシミリ端末に関して、東芝と松下の開発競争が始まり
 ました。

 結末は、東芝製の逆転採用となり、全店に設置されることになります。

 詳細に関しては、いろいろと支障があるので、電話回線を利用した
 9600BPS電話ファクシミリの採用が決定要因であったということに
 フォーカスしてお話してみたいと思います。

 当時、一般の電話公衆網を利用したファクシミリ通信は、2400BPSが
 最高のスピードでした。

 ここに、松下が4800BPSの機種を投入したということで、画期的なこと
 だったと記憶しています。

 ここに、東芝が9600BPSのファクシミリを開発中との情報が入りました。

 この時点では、松下は9600BPSの開発の計画はありませんでした。

 当然のことながら、4800BPSよりは、9600BPSの方が速いので、
 電話の接続時間が短く、全店ベースで考えても電話料金の節約にもなります。

 しかし、当時は一般の電話回線での9600BPSの通信実績はなく、果たして
 思惑通りに9600BPSで送受信可能かが問題になりました。

 勿論、回線状態が悪い場合には、自動的に回線スピードを低速に切替える機能が
 ついているわけですが、9600BPSのメリットは少なくなってしまいます。

 そこで、9600BPSの実用性に関しての技術的な問題の検証を実際の
 一般の電話を使って調査することになりました。

 本邦初演ということで、いくつかの実証実験をやりました。

 まず、全国の電話局の交換機の新旧機種に問題があるということで、
 三井銀行の支店のある電話局と東京・大阪等の主要局との交信を行い、
 一般電話回線のデータ送受信品質を徹底的に調査しました。

 その後、全国の電話局に関しても全て調査を行いました。

 また、従来ファクシミリでは、常識ではなかったデータの誤り制御機能を
 追加しました。

 誤り制御機能は、データ通信では常識となっていることでもファクシミリ
 の世界では非常識なことだったようです。

 それ以外にも、いろんなテストをしましたが、結論として、
 多機能の9600BPSのファクシミリ端末は実用に耐え、効率化に寄与する
 という結論になりました。

 オンラインシステムが文字情報しか扱えない時代に、画像を高速で
 高画質で送受信できるファクシミリプリンター端末が誕生したのです。

 このとき、電話回線でも9600BPSのデータ通信可能であるということ
 確認できました。

 このときも、本邦初の技術開発ということで、メーカーの技術の方といろいろと
 ディスカッションさせていただき多くのことを学んだ記憶があります。

 多くの伝送技術を専門に研究していらっしゃる技術者の方から多くのことを
 学ぶことができたことに感謝いたしております。

| | コメント (0) | トラックバック (0)
|

■データ通信回線の自由化

■データ通信回線の自由化

 前回で説明したように、東京オリンピックを契機として、電話回線を専用線
 利用という制限付き条件でデータ通信に利用することが可能となりました。

 これを契機として、バンキングオンラインを初めとして、各種のオンライン
 システムが稼働し、現在の情報化社会を形成することになりました。

 しかし、昭和40年代当時の日本の通信回線は、電電公社の独占事業であり、
 電電公社の提供する専用回線を使うしか方法がありませんでした。

 日本の通信回線利用料金は欧米に比較して、長距離回線が高額であり、
 全国をカバーするオンラインシステムの構築はお金のかかるシステム
 だったのです。

 バンキングオンラインシステムが急速に発展したのは、このコストに見合う
 省力・合理化効果を享受できたからです。

 金融機関の電電公社への支払は、他業態に比較しても桁違いの大きな
 支払金額でした。
 
 この状況は、NTTになっても大きくは変化していないと思います。

 従って、この回線利用料金をいかに節減するかが次の経営課題として
 浮上してきたのです。

 この回線料節減対策の事例に関しては後ほど説明いたします。

 一方、この電電公社の提供する専用回線の利用に関しては、電電公社の
 技術審査という審査規制と「公衆電気通信法」という法律により
 各種の利用規制がなされていました。 

 これらの規制や制約の為にコンピュータの自由な利用が制限され、企業間
 のデータ通信システムの接続やデータセンター業務等を簡単に開始する
 ことができませんでした。
 
 昭和44年ごろから通信回線を開放すべきとの活動が活発になりました。

 各種の民間団体や議員連盟からの強い要望により、情報産業振興政策
 として、具体的な検討が開始されました。

 紆余曲折の末に昭和46年5月に「公衆電気通信法の一部を改正する法律」
 が成立しました。

 これがいわゆる「回線開放」と呼ばれるものでした。

 具体的には昭和46年9月にまず、
 「特定通信回線の共同利用の制限緩和と付加使用料の廃止」が行われ、
 11月には「広域時分割と電話回線のデータ通信などへの利用開放」が
 始まりました。

 そして、昭和48年11月にはI規格(48キロヘルツ)、
 J規格(240キロヘルツ)の特定通信回線が一般に開放されました。

 このI-1,J-1規格の特定通信回線は、回線の周波数帯だけを
 提供するもので、利用方法は利用者の自由ということでした。

 このときに、D-1(4.8キロヘルツ)の特定通信回線の分割使用
 の制限撤廃も実施され回線自由化問題は一段落しました。

 以上のように書いても、読者の大部分の方は、チンプンカンプンに
 違いありません。

 昭和40年代の当時は、通信回線開放問題は大きな問題だったのです。

 今から考えると一体なんだったのかという感じですが、通信インフラが、
 電電公社の独占事業により、情報システムの伸展阻害要因だった時代の
 話です。

 その後も、利用形態に関しての制約が残ったものの、徐々に回線利用
 制限は開放されていきました。

 そして、電電公社は、1985年(昭和60年)に民営化され
 日本電信電話株式会社となりました。

 1999年(平成11年)に、現状の四社体制である、
 日本電信電話株式会社(持株会社)、NTTコミュニケーションズ、
 NTT東日本、NTT西日本へと分割されたのです。

 通信回線の自由化の問題は、現在のNTT体制以前の問題です。

 過去の話ですので、当時のことを知っている人は数少ないと思います。

■この回線自由化の過程の中で、回線料をいかに安価にすべきかの
 施策をいくつか実行しました。
 
 小生が実際に関与した具体的な回線料の節減施策に関して解説して
 みたいと思います。

■東阪間のD-1回線利用によるコスト節減

 当時の三井銀行は、東京と大阪にコンピュータセンターを置き、
 関東地区と関西地区でのオンライ処理を分散して処理していました。

 従って、両センターの間でのデータの交換処理が必要でした。

 このために、東阪間での大量データの新幹線による磁気テープ搬送
 システムはオフラインシステムとして当然のことながら確立しており、
 更に、東阪間で通信回線も何本も引いていました。

 この回線コストが相当の額(どの程度だったかは手元資料に
 ありません)、記憶も定かではありません。

 2400BPSで月間回線使用料金が、1本40万円程度だった
 と思います。実際はもっと高かったように思いますが・・・?。

 D-1特定通信回線が、利用可能になるまでは、東阪間の回線は
 2400BPS回線と4800BPS回線が何本も引かれていました。

 東京の事務センターと関西の事務センターの両センター間の
 オンライデータの交換、夜間の一括処理データやオンラインプログラム
 等のデータ交換用に利用されていたのです。

 この回線料金の月々の支払が結構な金額なっていました。

 そこで、この回線使用料金を節減する方式の検討を開始しました。

 具体的な回線料金の正確な数字は、手元にありませんので、
 東阪間の回線料を1本40万円と仮定して話をすすめていきます。

 東阪間に8本の2400BPSの回線があれば、月間の通信回線料金は
 320万円となります。

 この8本の回線を2本のD-1回線に集約することにより、単純に
 80万円に節減でき、月間120万円の節減効果となるという考え方
 です。

 なぜ8本が2本に集約できるかについての簡単な説明は、D-1回線に
 自営の高速モデム(9600BPS)を使うことにより、1本のD-1
 回線に4本の2400BPS回線を集線することができるという方式です。

 D-1回線の利用料金は、概算で2400BPSの回線の利用料金から、
 電電公社のモデム使用料を差し引いたものでしたから、この節減策が
 成り立つことになったのです。

 要するに、回線開放により、新たなモデムや機器を導入することにより、
 電電公社の専用回線の8本を4分の1の2本に集約できたのです。

 これにより、回線使用料金も概算で320万円が4分の1の80万円に
 なったということです。

 これだけでも通信回線料金の年間節減額が3千万円近くになったのです。

 ここには、データを変換する9600BPSのモデムという装置や
 回線を束ねるのに必要な時分割装置(TDM装置)の導入が必要でした。

 この機器の導入コストは、米国製のモデムでしたが、6ヶ月程度で、
 投資回収できる程度のコストであったと記憶しています。

 この機器の信頼性のテストやD-1回線を利用した場合の回線品質の
 保証等のテストに関しては、実際のデータを積み重ねて、実行に移す
 ためのテストは慎重に行いました。

 回線品質分析装置を接続して、一ヶ月以上の統計をとり、エラーの発生
 度合いを、時間帯別、日別の統計を採集した上で、実務上は全く問題なし
 との結論をだしました。

 これにより、新たな通信機器を導入することにより、回線料金を節減できる
 方法があるという確信を持つことができました。

 このシステムを応用して、遠隔地の支店に対しての回線の集約をおこない、
 システム全体の回線コストの低減を実現することができたのです。

 この効果は、一つ一つは地道な節減効果かも知れませんが、トータルとすれば
 大変大きな節減効果を生み出す結果となったのです。


 次回は、もう一度、高速回線であるI-1規格の活用の事例に関しても
 説明してみたいと思います。

 

| | コメント (0) | トラックバック (0)
|

■バンキングオンラインの幕開け

■バンキングオンラインの幕開け

 銀行のオンライン・リアルタイム・システムを日本で始めて稼働させた
 のは当時の三井銀行でした。

 昭和40年5月に普通預金業務のオンライン・リアルタイム・システム
 が稼働を開始しました。

 これが、日本のバンキングシステムの幕開けということになります。

 三井銀行では、銀行業務の事務合理化に関しては、昭和35年ごろから
 本格的な機械化の研究が開始されています。

 いろいろな方式が検討され、オフライン方式、オンライン方式等が検討
 されましたが、なかなか結論がでなかったようです。

 当時の電々公社は、電話回線によるデータ伝送を認めていませんでした。

 このことも、リアルタイムシステムの実現に対する懸念でもありました。
 また、
 当時のコンピュータは高価であり、投資効果に対する懸念もありました。

 このような状況の中で、昭和39年の東京オリンピックの開催計画が、
 日本のデータ通信システムに大きなインパクトを与えることになります。

 東京オリンピックで、日本IBMが競技速報のオンライン・
 リアルタイム・システムを導入する計画を発表したのです。

 当然のことながら、競技場に設置された端末からデータを収集する必要が
 あり、電話回線を利用してデータ伝送を行う必要がありました。

 これを契機として、電々公社も電話回線によるデータ伝送を認可する
 ことになったのです。

 当時の記録によると日本IBMが無償で東京オリンピックの競技20種目、
 全選手5,712人に及ぶ膨大なデータ処理である公式競技速報システムを
 成功させたとあります。

 このシステムの成功が三井銀行にオンライシステムの開発を決断させ、
 銀行システムへの電話回線によるデータ伝送システムの実現に結びついた
 ということです。
 
 東京オリンピックがバンキングオンラインの開発と密接な関係が
 あったということです。

 最初の三井銀行のオンラインシステムは、東京オリンピックで利用した
 コンピュータと同じタイプのものを利用しています。

 中央演算装置には、IBM1410(主記憶容量60K)と
 1440(主記憶装置16K)で各々二台ずつの構成でした。

 この時代の「K」という単位は、文字数を表現しています。

 単純に現在のKBと同一と考えても、60KB、16KBのマシンは、
 現在のパソコンが、128MB、256MBが標準になっているのに
 比較すれば、60KB/128000KB=0.00047という
 メモリーサイズということになります。

 現在のパソコンの二千分の一より小さいサイズのメモリーだったのです。

 パソコンと比較しても比較にならないほどのコンピュータでオンライン・
 バンキングシステムが開始されたということです。

 こう考えると40年間にコンピュータ技術の進歩は目覚しいものが
 あります。

 普通預金の元帳には、2MBの1311型のディスクパックを使っています。

 現在のノートパソコンの最低ディスク容量でも20GB程度ですから
 一万分の一の容量だったわけです。

 システム価格も億単位でしたので、技術進歩による価格の低下も隔世の感が
 あります。

 その後、このシステムは、IBM360モデル40型256KBに更新され、
 昭和43年になって首都圏全店がオンライン化され、昭和43年4月に
 大阪支店の移行が行われ、しばらくして全店オンラインが完成しています。

■銀行での初仕事はシミュレーション解析

 この昭和43年の4月に小生が銀行に就職したわけで、普通預金の
 全店オンライン完成の時期以降バンキングシステムに関わることに
 なっていったということです。

 これ以降、総合オンラインと呼ぶ、全店全科目オンラインシステム開発が
 開始され、第二次、第三次オンラインと機能拡張がなされていきます。

 当時の小生の記憶によるとIBM360/40は、全店の普通預金
 オンラインを1台で処理する能力がなく、2台のシステムを回線で
 つないだシステムで稼働していました。

 いわゆる、2台で処理能力を分散処理させる、ロードシェアシステムで
 稼働させていたのです。

 この2台のロードシェアシステムで、問題となったのが、
 いわゆる「他店取引(ネット取引)」でした。

 大阪地区の支店で、東京の支店に口座をお持ちのお客様が預金の取引を
 なさる場合に、大阪地区を処理するシステムから東京地区を処理するシステム
 にデータを渡し、処理結果を受け取るという処理が必要です。
 
 この場合に、2つのシステムのデータの受け渡しのボリュームが多くなると
 処理の待ち行列ができるため、応答時間が長くなり、タイムアウトという
 処理不能の状況が発生します。

 余談ですが、昨年のみずほ銀行のトラブルにもこのタイムアウトの現象が 
 発生して、システムが正常に稼働しないという障害が発生していますので、
 このシステム間のやり取りの処理は旧くて新しい問題なのです。

 当時もラッシュテストという大量のデータの打ち込みテストで判明したことです。

 当時の通信回線は2400BPSで回線がネックということになったのです。

 ここで、問題になったのが、「待ち行列問題」というテーマでした。

 この問題を解決するのに「待ち行列理論」というのがあります。

 現実の問題解決策として、スパーでのレジの数をいくつ置くべきかとか、
 ビルのエレベータを何基設置すべきか等の問題を解決するための理論
 です。小生の大学の卒論のテーマで得意分野ということでした。

 そこで、小生の初仕事がこの問題を解析することでした。

 簡単なシミュレーションモデル(コンピュータでの模擬モデルを作って解析)
 により、データ発生パターン、データ量等をいくつか設定して、この場合の
 待ち時間の推定を行い、実務上は問題ないということを実証したことを
 思い出します。

 その後、しばらくは、いろんな問題をシミュレーション解析する仕事を
 していました。

 いわゆる、バンキング分野のオペレーションズリサーチ(ORと略)とか
 マネジメントサイエンス(MSと略)とか言われる分野の仕事でした。

 初期のコンピュータシステムは、このようなシステムネックがあちこちに
 あり、これらのシステムネックを解消するために各種の工夫を行っていた
 ことを思い出します。

 この頃のバンキングシステムでの営業店の端末とセンターを結びつける
 データ通信回線は、1200BPSでした。

 また、商用で利用できるデータ通信の最高速度は、2400BPS
 だったと記憶しています。

 以上のように、バンキングオンラインを支えている技術の一つが、
 データ通信回線ということになります。

 しかしながら、電々公社の厳密な審査があり、データ通信回線を
 自由に利用することができませんでした。

 データ通信回線の接続システムの自由化やデータ通信利用の開放等
 の課題は、この頃の電々公社の厳密な審査基準による規制から発生
 した問題だったのです。

 次回は、この通信回線自由化の問題とこれにより、何が変わって
 いったのかを採り上げたいと思います。

| | コメント (0) | トラックバック (0)
|

■為替電信交換システム

■はじめに

 データ通信回線に関して書き始めましたが、小生自身は、
 通信技術に関して専門的に勉強したわけではありませんので、 
 技術的にはよく理解していないことが多いと思います。

 ユーザーとしての立場からの経験の一部をお話しているに過ぎません。

 この点に関しては、予めご了承ください。
 
■昭和40年代

◇為替電信交換システムとの出会い

 昭和43年に銀行に就職が決まり、はじめて支店研修の現場で
 接触したシステムのひとつが、為替の電信交換システムでした。

 今は、見ることはないものですが、2-3センチ幅の紙テープに、
 穴を開けてデータを記録する方式がありました。
 
 読者のなかでも知っていらっしゃる方は少ないかもしれません。

 昔は、コンピュータにデータやプログラムを入力する場合には、
 この紙テープに穴をあける方式か、紙製のカードに穴をあける
 パンチカード方式と呼ばれていたものを使っていました。

 当時の為替電信交換システムの為替送金データは、
 この紙テープに穴をあける方式で、紙テープベースで
 電文データの送受信を行っていました。

 このときに使われていた通信回線は、
 50ボーの専用電信網の回線でした。

 
  【補足説明】この部分はやや専門的になりますので
       興味のない方は読み飛ばしてください。

 ボーとは、データの伝送速度を示す基本単位で、
 フランス人の電信技術者であるJ.M.E. Baudotの名前に因んでいます。

 モデムなどのデータ通信デバイスでは、キャリア波と呼ばれる基準波
 の状態をさまざまに変化(この操作は「変調」と呼ばれます)させ、
 遠隔の相手にビット情報を伝送します。

 ボーとは、このキャリア波が1秒間に変化する回数
 を示す単位のことです。

 実際のデータ通信速度を表わす単位はBPS(bits per second)です。

 キャリア波に対し、複数の変調処理を組み合わせることで、
 キャリア波の1周期分の時間で2値以上の状態を作ることも可能です。

 この場合には、baudレートの倍のbps値でデータを伝送できます。

 従って、ボーの単位とBPSの単位は一致しません。

 事実、初期の1200bpsのモデムは、
 600baudで1200bpsのデータ伝送速度を実現していました。

 【ボーの説明はここまで】

 
 為替という言葉がお解りにならない方のために簡単に説明しておきます。

 為替業務とは、
「隔地者間における金銭債権債務を直接現金の輸送によらずに
 資金決済する方法」です。
 
 この仕組みも説明すると複雑になるので、
 簡単に、皆さんが資金を他人の預金口座に振込む処理を行う
 ことが代表的な事例という程度にとどめておきます。

 現在では、コンビニのATMでも簡単に資金の振込処理が
 できますが、昔は大変だったのです。

■為替電信交換システムによる振込処理

 典型的な銀行店舗での電信為替振込の事務処理の形態を説明します。

 まず、お客様は、為替の振込伝票に振込先の銀行、支店名、
 振込先の口座番号、受取人名と振込人名、振込金額等を記入し、
 窓口係に振込金額と振込手数料を添えて申し込みます。

 内容点検の後に、振込手数料は、振込金額によりますが、
 印紙を貼った手数料の領収書と振込依頼受付書を受け取ります。

 これが、振込を依頼して、銀行に受領されたという証拠の書類となります。

 ここまでが、お客様との取引です。

 次に、カウンターの中の為替係の仕事になります。

 同一銀行の他の支店への振込(これを本支店振込と言います)か、
 他の銀行宛の振込かを区別します
 
 お客様から依頼された振込伝票に書いてある、
 振込先銀行が自行の場合には、支店名から支店番号を索引して、
 この支店宛の為替振込電文データを作成します。

 当時の電文データ作成の方法は、為替専用の端末で、紙テープに穴をあけ
 振込電文の紙テープデータと電信為替振込印字の伝票をプリントすることでした。

 そして、この紙テープデータと為替振込電文記録とお客様ご依頼の伝票を
 セットにして、精査係により、データ入力が間違っていないかの点検を
 受けます。

 振込金額の大きなもの(金額の設定は銀行独自に設定されています)に
 関しては、係長等の役付き者の承認点検を必要としていました。
 
 精査終了、役席者承認後の紙テープは、紙テープリーダーに読み取らせて、
 専用電信回線を経由して為替電信交換システムに送られます。
 
 為替電信交換システムは、この送られてきた電文データのあて先を
 チェックし、該当する支店に電文振り分けを行い電信電文を転送します。

 この仕組みは、メッセージスイッチングシステムといわれるもので、
 銀行の為替オンラインシステムの初期のころは、この仕組みを使っていました。

 当初は専用の電信電文交換機ですから、電文の振り分け機能のみの機能でした。

 しかし、この単純な電信電文の自動交換システムでも相当な合理化だったのです。

 次に、振込の電信電文を受信した支店の事務処理にも触れておきます。

 センターの電信交換機から電信専用回線を通して、送られてきた振込電文は、
 為替の端末の連続伝票に出力印字されます。

 そして、この伝票をベースに、振込先の預金口座を探して、
 振込依頼金額の入金処理を行うということになります。

 この処理は、昭和43年には、普通預金はオンライ化されていましたので、
 預金の端末で入力すればリアルタイムで処理が完結しました。

 そして、振込入金があったことをお客様に、電話または、
 郵送でご案内するというのが口座振込処理の一連の流れになります。

 正常な処理でも多くの人手がかかっていたわけです。

 これが、振込支店の間違い、振込口座相違の例外が発生すると逆の取引処理が
 必要で大変手間のかかる事務処理だったのです。

 これらの事務が月末・月初には集中します。

 銀行の事務センター、営業店は大変な事務負担になっていました。

 この分野に合理化のメスを入れる必然性は当然のことでした。

 一方、他行振込の場合は、もっと大変でした。

 他行振込の場合は、コルレス契約先銀行かどうかを点検します。

 このコルレス契約先銀行というのは、お互いに資金決済できることを予め
 契約した先の銀行のことです。契約がない先には振り込みはできません。

 テラー(銀行の窓口係)が受け付ける段階でも確認はしていますが、
 再度点検します。

 全銀の為替オンラインシステムが開発されるまでは、
 銀行により異なっていたのですが、集中事務センター方式か、
 個別支店対応となっていました。

 他行宛の振込電文に関しては、当時で言う暗号キィーを付加して、
 電々公社の運営するテレックスシステムで電文の交換処理を行っていました。

 勿論、振込処理は資金移動を伴うもので、資金決済も別の仕組みで行い、
 常に正当に処理されたかどうかを照合するシステムも
 紙ベースの伝票を使って、手作業照合が行なわれていました。

 全銀データオンラインシステムが稼働したのが昭和48年4月と
 いうことですので、
 それまでの他行為替は大変手間のかかる仕事だったのです。

 これ以降のテレックスシステムは、全銀システムに加盟していない
 金融機関への取引等に一部残っていましたが、データ通信回線利用の
 オンラインシステムに順次切り替わっていきました。

 以上、簡単に説明しましたが、銀行でのデータ通信回線の利用分野としては、
 この為替電信交換システムとテレックスシステムが事始だったと思います。

 この為替電信交換システムは、専用の電信網を利用したもので、
 現在のデータ通信回線とは別のものです。

 最初のバンキングシステムでのデータ通信回線の利用は次回説明予定の
 普通預金オンライン・リアルタイム・システムが最初になります。

 銀行口座への資金振込処理は、現在では、
 銀行店舗のATM装置からは勿論のこと、
 コンビニのATMからでも、
 家庭のパソコンからも携帯電話からも
 インターネットバンキングシステムを使って
 リアルタイムで処理が可能になっています。

 随分進化したものです。

 銀行の事務処理は堅実・確実性を要求されるために、
 随所で、精査・ダブルチェックの仕組みを組み込んでいます。

 この事務処理負担をバンキングオンラインシステムで順次解決し、
 現在の総合バンキングオンラインの仕組みができあがったのです。

| | コメント (0) | トラックバック (0)
|

■データ通信回線について

 
■はじめに

 今回から、データ通信回線のはなしに移りたいと思います。

 NTTの電話回線を利用したADSL回線は2004.2.13現在で
 1千万世帯を突破しました。

 ADSLの出現は、小生にとっては、全く信じられない技術です。

 なぜなら、つい二三年前までは家庭に引いてある銅線の電話回線では、
 56KBPSが最高のスピードでこれが限界であると信じていたからです。

 それでも電話代を気にしながらインターネットに接続していました。

 それが、今では、最高で40MBのスピードまでOKとのことです。

 ADSLに関しては、ベストエフェクトということで、電話局からの
 距離とかの条件により必ずしも期待するスピードはでません。

 小生も、初物が好きなもので、早速1.2MBを申し込みましたが、
 どうも期待できるスピードではありませんでした。
 
 その後8MB、12MBとプロバイダーを乗り変えていきました。

 結局、我が家の環境では2-3MBが限度ということになりました。

 この間、スピードアップ用のソフトの購入、スピードアップのための
 各種のパラメーター対策等をせっせとおこなってしまいました。

 本末転倒なのです。

 何のために速くしなければならないのかを
 忘れてしまっていたのです。

 技術に関心が向いてしまうと当初の利用目的を忘れて
 しまいがちになります。

 スピードアップのみに興味が傾いてしまいました。

 随分時間の無駄をしたように思います。

 そこで、ADSLに見切りをつけて、工事費無料の宣伝に乗せられ、
 光ファイバーの100MBのBフレッツに乗り換えてしまいました。

 NTTの光ファイバー通信ですので安心と思ったのです。

 価格の安い、ニューファミリィータイプというのは、
 何人かのユーザーとシェアするために100MBは無理です。

 測定時間帯、測定方法にもよりますが、安定的には
 我が家の場合には、4MBのスピードというところです。

 時々は、10MB以上でることもありますが、稀です。

 当初、回線開通時には、40MBがでており期待していました。

 いざ本番となるとここまではでません。

 一般家庭で、データ通信回線の高速化により、
 具体的に何に使うかが問題です。

 現状では、動画や映画を見るときの安定視聴のためには
 速いほうが安心という程度の問題かも知れません。

 それにしても、通信技術の進歩はすさまじいものがあります。 

 遡ると小生の過去の経験値からは9600BPS(9.6KBPS)が
 限界だったはずです。これ以上は無理といわれていました。

 PC通信が普及しはじめた時代には、電話回線を利用した通信は、
 音響カップラーを利用したもので、1200BPS(1.2KBPS)。

  そして、14.4KBPS、28.8KBPS、56KBPS
 へとスピードアップされていきました。

 これも脅威でした。なんでこんなになるのかとの思いがありました。

 それがいきなり、ADSLの出現により、1.5MB 8MB 
 12MB 24MB 40MBとなってしまいました。

 同じ電話回線を使ったデータ通信がどうしてこんな高速に対応できる
 のでしょうか、われわれ素人には全く理解できません。

 理論はともかくとして利便性を享受できているわけであり
 ありがたいことです。

 スピードよりもADSLは、固定料金というのが最大のメリットです。

 常時接続しても、料金は一定というのは非常にありがたいことです。

 電話代の請求書をびくびくしながら見なくてもよくなったからです。

 
 ところで、話はデータ通信回線のスピードに戻ります。

 1KBPSは、MBPSの1000分の1です。

 9600BPSからMBBPS単位順で並べてみます。

  0.0096 0.0144 0.0288 0.056 

  1.2 8 12 24 40  【MB・BPS】

  こうやって並べてみると隔世の感があります。

  そこで、小生の関与してきた、データ通信回線の歴史を
  ふり返ってみたいと思います。

■バンキングシステムでのデータ通信回線の歴史
 
 バンキングシステムの歴史に戻ります。

 バンキングシステムを構成する要素として、
 データ通信回線は不可欠のものです。

 端末装置と遠隔地にあるコンピュータセンターを結んで
 データのやりとりを行う手段としてデー通信回線が利用されます。

 バンキングシステムで利用されたデータ通信システムの事始は
 為替のテレックスオンラインシステムでした。

 その後預金のオンラインが開発され、各種のオンラインシステムが
 開発されました。

■昭和40年代

◇為替テレックスオンラインシステムの稼働

◇普通預金オンラインシステムの稼働開始

◇総合オンラインシステムの開発

■昭和50年代から昭和60年代

◇D-1回線の利用

◇9600BPSの電話FAXシステム

◇I-1回線による高速デー通信

◇48KBPSモデムの開発

◇48KTDMの開発

■平成になってから

◇高速パケット通信

◇ATM通信

◇IP統合通信

◇ ・・・

 時代とともにバンキングシステムを支えてきた、
 データ通信システムは、高速化をたどってきました。

 次回からは、これらのトピックスに関して、
 小生の経験談を中心に解説していきたいと思います。 

| | コメント (0) | トラックバック (0)
|

■銀行ATMの各種機能について

 
■銀行ATMの各種機能について

 まだまだ、ATMの話題が続きます。
 少々うんざり気味かも知れませんが話題は尽きません。

 
 主要なATMのメーカーはだんだんと統合されてきたようです。

 富士通、沖電気(東芝を統合)、日立製作所(オムロンと合弁会社)、
 日本NCR、日本IBM、グローリー工業、ローレルバンクマシン
 その他のメーカーにより製造販売されています。

 問題なのは各銀行でATMの仕様が異なっているために、
 各メーカーごとに個別銀行向けの設計と個別の製造が必要です。

 部品メーカーの共通化が進んではいますが、
 製造コスト、メンテナンスコストも割高になっています。
 
 もうそろそろ、部品の共通化、仕様の共通化が必要な時期ではないでしょうか?
 実際には、メーカー側では、部品の専業化が進んでいるようですが、
 銀行の仕様は統一されていません。

 ATMの機能の差による差別化戦略は意味が薄くなってきています。

 お客様にとっても銀行によって操作方法や機能が異なるために、最初に使う場合には
 戸惑うこともあります。共通のインフラを設定し、共通仕様で各メーカーが製造する
 という形態に移行すべきと思います。

 
 日本は、製造立国に相応しく製造メーカーが乱立しています。
 
 他の国に比較して何を作るにも参入するメーカーが多いように思います。

 競争原理が働き、安くて、高機能の高品質の機器が開発される土壌となっている
 というだとは思います。

 これが日本の経済を支えてきた製造業の力なのかも知れません。

 しかし、無駄も多いように思います。

 PCのメーカーも多いし、家電メーカーも多い、その他自動車メーカーも
 多いと思います。製造立国日本の特異な特徴と思います。

 ATMもメーカーの数と銀行の数の組み合わせのATM仕様が
 存在するということになります。

 似たり寄ったりの機能ですが、銀行により仕様が少しずつ異なっているのです。

 いくつかの機能の特徴に関して、簡単に解説してみたいと思います。

■ATMの各種機能

 ATMの機能も各銀行のポリシィーやメーカーの基本技術の相違により
 細かい点ではいろいろな仕様が存在しています。

 ATM開発の過去の歴史を引きずっているということです。

■【入金機能】

 入金機能について最も重要なことは、
 紙幣や硬貨の真偽判定能力ということになります。

 偽札・偽硬貨の判別は簡単な技術ではありません。

 いろんな使用条件に耐えてきた紙幣や各種の硬貨を確実に
 真偽判定して、入金処理することができる技術の追及でした。

 新券と転々と流通してきた紙幣では、厚さや色合い等も異なります。
 いろんなところに汚れも付着しています。

 複写技術も進歩してきており、PC等で偽造した紙幣もあります。

 これらの紙幣の真偽を正確に判定する必要があります。

 今回の新紙幣は、随所に偽造に対する防止対策が組み込まれています。

 機械にとって判別が容易な要素も予め組み込まれています。

 当然ATMは、新規に発行される新紙幣に対応する必要があります。

 新券対応の機器改造コストは、最も重要な真偽判別機能に
 対するものということになります。

■【現金送出機能・現金リサイクル機能】

 ATMの現金送出・現金補充機能に関しても、
 メーカーや銀行によりいろいろと特徴があります。

 お客様が入金された現金はATM機器のリサイクル機構で、
 出金紙幣として再利用されるようになっています。

 この場合、旧い紙幣はATM内部の格納庫にしまい込み、
 比較的きれいな紙幣をリサイクルで出金することになります。

 このリサイクル機構にも、いろいろな工夫が組み込まれています。

 お客様のために出金する紙幣の裏表や前後をそろえて排出する機能があります。

 一時期には、旧い紙幣にアイロンがけと殺菌処理を行って現金を排出する
 というATMまでありました。

 これは、ATMの現金のリサイクル機能のために入金した紙幣を
 支払にまわすためにこのような機能を追加したものです。

 いかにも、日本人らしいきめの細かさです。

 一昔前ですが、海外で日本のバンキングシステムの講演をしたことがあります。

 ATMの入金機能の話をしたところ、外国人には信じられなかったらしく、
 多数の人から質問を受けたことがあります。

 外国の紙幣では考えられないことだったのでしょう。

■【為替振込機能】

 預金口座に資金を振り込む機能が為替振込機能です。

 同じ銀行の口座に振り込む場合、他の銀行の口座に振り込む場合等により、
 また、振込金額により振込の手数料が異なります。

 銀行によってもこの振込手数料の体系はバラバラになっています。

 振り込む資金に関しても、現金で振り込む場合、キャッシュカードを使い、
 預金口座の資金を使って振り込む場合があります。

 常時定例的に振り込む場合にいちいちデータを打ち込むのが面倒です。

 この面倒さを簡潔に処理するために、各銀行でいくつかの工夫があります。

 銀行によって方式が異なっているのです。

 為替専用の振込カードを使う方式、振込専用通帳を使う方式、
 予め登録してある登録番号を利用する方式等
 銀行により異なる方式が採用されています。

 これらも、各行ばらばらとなっています。

 取引銀行以外のATMを利用する場合には、混乱してしまいます。

 これらも統一すべきとは思うのですが、
 不統一のままがしばらくは続くものと思われます。

■【その他の機能】

 その他にもATMにはいろんな機能が付加されています。

 この機能は、銀行により異なります。ATMの機種によって異なります。

 主な特徴的な機能を列挙します。

 通帳に未記入の取引明細を印字するための通帳記帳機能、
 預金の口座残高等を照会するための機能や暗証番号変更機能もあります。

■【他社提携機能】

 ATMは、他行・他業態との提携機器として機能を拡張し、
 上記以外にもいろんな機能を付加されています。

 クレジットカードのキャッシングサービスや
 カードローンの貸し出し機能や返済機能までも組み込まれています。

 宝くじ購買機能、ロトくじの購買機能等を加えたものまであります。

 銀行店舗設置のATMが現金の入出金機能だけでなく
 多機能化の方向に向かっていることを物語っています。


■コンビニATMの出現

 コンビニATMの出現により、銀行のATM戦略に
 新たな変革をもたらしてきています。

 コンビニエンスストアーに簡易低コストのATMが設置されるようになり、
 24時間稼働のサービスを提供できる基盤が整備されることになりました。

 このコンビニ設置のATMと銀行との提携により、
 銀行店舗機能を補完する機能の一つとして
 大きな役割を果たすようになってきています。

 コンビニATMは銀行だけでなく郵政公社、生損保、証券会社、
 クレジット・信販会社等々と他業態との提携を拡大しています。

 全国のコンビニ店舗の約四分の一以上の店舗にATMが設置されており、
 利用件数もATM一台あたりで一日50件程度の時代から、
 採算ラインと言われている一台あたり70件に急速に近づきつつあります。

 IYバンクがセブンイレブンに展開しているATMは、
 利益を生み出す機器として成長してきています。

 顧客利便性でお客様の支持をうけると同時に、認知度が高まってきました。

 コンビニ設置の具体的なATM台数を調べて見ました。昨年のデータです。

 アイワイバンク銀行はセブンイレブンを中心として5,406台、提携金融機関49、

 イーネットはファミリーマートやサークルケイなどを中心に4,779台、
 提携金融機関23、

 ローソンATMネットワークスはローソンを中心に2,737台、提携金融機関9、

 三井住友銀行はAmPmに1,165台のATMを設置し三井住友銀行の提携する
 金融機関との取引を可能としています。

 相当な勢いで、コンビニ店舗のATM台数が増加していることがわかります。

■その他ATMに関するトピックス

◆統合ATM提携ネットワークが稼働開始しました。

 業態別に分かれていたオンライン提携システムの一本化が具体化しました。

 都銀、地銀、信託銀行、長信銀・商工中金、第二地銀、信金、信組、労金、
 農協・信漁連の9業態のCD・ATMの約11万7千台が
 統合ATM提携ネットワークシステムのもとで稼働を開始しました。

 全機能が稼働するのは、2004年5月連休明けからとなっています。

 オンライ提携システムでも、24時間稼働、受取人口座確認機能、
 リアルタイム振込機能等が実現することになります。

◆IYバンク銀行と信金ATMの提携が開始されました。

 全国の信用金庫の約1万9千台とIYバンク銀行の約6千台のATMの提携が
 実現しています。

◆りそな銀行と埼玉りそな銀行は、ATM画面で広告を開始することを発表して
 います。
 

■まだまだATMは進化し続けていきます。この辺でATMの話題は割愛します。 

 
 

| | コメント (0) | トラックバック (0)
|

■銀行のキャッシュカードと通帳について

 
■今回は、ATMを利用するのに必要な銀行発行のキャッシュカードに関して
 のトピックスと通帳に関してのトピックスをとりあげたいと思います。

 
■◇磁気カードの全銀仕様に関して

 昭和40年代の後半にかけてCD設置施策を急速に展開し、
 個人顧客の囲い込み戦略を積極的に開始したのが当時の三菱銀行でした。

 この動きを察知した他の都銀は、三菱銀行の独走阻止の意味もあり、
 将来のATM提携を予測して、キャッシュカードの仕様の統一化を
 大義名分として全銀レベルでの仕様統一の談合提案を行いました。

 結果的には、標準化の基盤ができてよかったということにはなります。
 各行がバラバラの仕様でキャッシュカードを発行していたのでは、
 現在のようなATMの相互利用は不可能だったからです。

 全銀仕様の決定で、三菱銀行の単独戦略に対してブレーキがかかりました。

 CD機の改造やキャッシュカードの再発行で、三菱銀行は相当の代償を
 支払うことになってしまったのです。

 この時代に現在の日本独自の全銀統一のキャッシュカードの基本仕様
 が決定されました。

 一部の仕様の改定はありましたが現在でも基本は変わっていません。

 これが、日本独自の磁気カード仕様である全銀統一仕様です。

 この仕様は、国際規格と異なるもので、後に国際キャッシュカードや
 国際クレジットカードとの乗入れのときに問題が起こる結果を
 生むわけですが、原点はこの時代にあります。


■◇通帳印字装置に関して

 また、この時代には、CDに通帳印字機能を付加すべきかどうか
 の議論がありました。

 米国式の異動明細を定期的に郵送するステートメント方式と、
 日本の伝統的な通帳方式との優劣比較の議論がありました。

 異動明細リストの作成コストと印紙税、郵便料金等の比較、
 そしてなによりも日本人に古くから親しまれてきた通帳への愛着心
 の評価等に関して議論がありました。

 そして、当時の三井銀行が通帳重視の意思決定を行い、
 通帳印字装置付きのCD機を開発し、有通帳式のCDの展開を始めました。

 当時の三井銀行が有通帳方式のCD機を展開し始めたことをきっかけに
 それ以降のATMには標準装置として通帳印字機構が追加されるようになりました。

 この仕様は日本独自仕様です。
 この仕様が、ATMの仕組みを複雑化しATMの製造コストを引き上げ、
 オンラインのセンター側のソフトウェアも複雑化したことになるのかも知れません。

 ATMへの通帳機能付加は、功罪の両面の評価があります。

 今後の若い世代は通帳にこだわらない世代であり、
 将来的にはATMの通帳記帳機能は、ICカードへの記録方式や
 インターネット等での照会機能へと転換することになると思われます。


■CD機からATMの開発へ

 その後、CD機は現金支払機能や残高照会機能だけでなく、
 入金処理機能、為替振込処理機能、等の新機能が追加され
 新型のATMが出現することになります。

 そして、今ではATMはPC端末に現金の入出金処理機能のついた
 インテリジェント端末へと成長しています。
 
 顧客操作型の汎用的な端末入力機器へと変身してきているのです。

 従って、PC機能を利用して、暗証番号の変更や宝くじの購入等の
 新規の機能が比較的容易に順次追加されるようになっています。

 今後も、ATMはコンビニ等に設置された簡単な現金処理機能の
 端末機器と銀行店舗に設置してある重装備・多機能化機器の
 二極分化の方向に進化するものと思われます。

 ATM機器は、銀行の事務処理省力化の機器として開発されたものですが
 今や社会の金融処理インフラとしての重要な位置を占めるように
 なってきています。

 ATMシステムが障害が発生するとわれわれの社会生活に多大な影響を
 与えるようになって来ています。

 最近も、ATMネットワークのトラブルで正常処理ができないという
 障害が発生しましたが、トラブルなく安定したシステムの運営を
 お願いしたいものです。

| | コメント (0) | トラックバック (0)
|

■ATM開発の歴史

☆ATM開発の歴史

 2号と3号は、ATMの新戦略に関して触れましたが、
 今回はATM開発の歴史を採り上げたいと思います。

■ATM開発の歴史

 銀行のATM開発の歴史は昭和40年代の第一次オンライといわれる
 バンキングシステムのオンライン処理が開始された時代にさかのぼります。

 バンキングのオンラインがスタートしてから数年後のシステム拡大期の
 初期の段階の40年の半ばにオンラインCD機が登場します。

 まず、現金自動支払機であるCDが開発される時代の状況を
 振り返ってみたいと思います。

 昭和40年代になって、都市銀行は大衆化路線という戦略を開始しました。

 それまで、都市銀行は、大手企業を取引の対象としていましたが、
 この時代から個人の取引に戦略の重点を移していきます。

 個人市場から預金を集めて、これを企業に貸し出して、
 利鞘を稼ぐという戦略の拡大です。

 低コストの資金調達源である個人のお客様の取引の拡充戦略と
 企業相手の運用先拡大という銀行戦略の明確化です。

 個人戦略展開のためには、大量の事務処理に対応する必要があります。

 このために、コンピュータによる大量事務処理システムの開発競争が
 開始されることになります。

■オフライン事務処理の形態

 この当時の銀行の事務処理は、NCR、バロース等の米国製の厚紙製の
 預金元帳に機械印字できるオフライン機器(単体で動く機器)を使っていました。

 預金元帳も紙の元帳で営業店で管理されていました。

 一部の機械では、紙の元帳に磁気ストライプを貼り付けて、ここに前残等を記録する
 単能機器も存在していました。

 しかし、この単能機器を使っての事務処理には、
 時間がかかり、人手もかかりました。

 お客様が窓口係り(銀行ではテラーと呼称しています)で、普通預金の支払を
 行う場合の事務処理体制を再現してみたいと思います。

 まず、お客様は普通預金の支払伝票に口座番号と支払金額を記入します。

 そして、通帳とこの伝票を窓口係(銀行ではテラーと呼称しています)に渡して、
 引き換え札をもらい、ロビーの椅子にもどります。

 このときテラーは、内容点検の上テラー印を押し、
 引き換え札の番号を伝票に記入の上で
 お客様に引き換え札をお渡しします。

 お客様は、事務処理時間がかかりますので、
 ロビーに備え付けの雑誌でも読みながら
 名前を呼ばれるのを待つということになります。

 
 一方、テラーは、お客様からお預かりした、
 通帳と伝票を後方の担当者に回します。

 後方の担当者は、この通帳と伝票を受け取り、
 該当の口座番号の紙製の預金元帳を
 口座番号順に並んでいる元帳保管ファイルから抜き出し、
 元帳上の前残と通帳上の残高を確認の上で、
 前残を打ち込み、出の取引区分を打ち込み、
 支払金額を打ち込みます。
 
 そして、通帳と紙の預金元帳を機械に差し込むと新残高が計算されて通帳と元帳に
 取引結果が印字されることになります。

 これを精査担当者に回し、入力の正当性を確認の上で、テラー印を確認の上で
 該当テラーに返却します。

 後方から、処理結果を受け取ったテラーは、この通帳と伝票の内容確認の上で、
 支払金額に該当する現金準備し、お客様のお名前をお呼びいたします。

 お客様がカウンターにこられると、引き換え札を確認し、
 引き換え札と引き換えに、お客様に通帳と現金を手渡すという手順になります。

 以上のような、プロセスで、随所にミス防止の仕組みを組み込み処理していた
 わけですが、それでも人間の処理することですから、ミスも発生します。

 このミスの発見に多大な時間を費やすことも時々発生していました。

 また、当時の端末は機械仕掛けでしたので、
 大きな音がしていたことを思い出します。

■オンラインバンキングシステムの開発

 この一連のプロセスの大量事務処理を省力化・合理化するためのシステムとして、
 預金元帳をセンターに設置したコンピュータシステムに記録する方式である
 オンライン方式が登場してきました。

 従来の紙ベースで営業店にファイルしてある預金元帳を、コンピュータセンターに
 設置した、磁気ディスク装置に記録保存する仕組みにしました。

 営業店に設置された預金端末と紙製の預金元帳をコンピュータセンターにある
 磁気ファイルに記録し、データ通信回線で結んで処理するシステムが
 開発されたのです。

 現在のバンキングシステムの基本的な形態であるオンライン方式の登場です。

 日本で最初に預金のオンラインシステムを稼働させたのは当時の三井銀行です。

 東京オリンピックで日本IBMが競技データの処理用に利用した
 コンピュータと同じ機種を利用して普通預金のオンラインシステムが
 開発されました。

 初めての経験ですから、今では考えられないいろいろなトラブルがありました。

 当時このシステムの開発に関係した方は、多数いらっしゃいます。

 このときの苦労話はいろいろと聞きますが、
 機会があればご紹介してみたいと思います。

 先人達の日夜を徹した努力の結果として、
 システムは無事スタートすることができました。

 これが、昭和40年、西暦1965年であり、今から40年前のことです。

 当時は、データ通信回線も未熟で200ボーという低速の通信回線でシステムが
 構築されました。

 現在の電話回線を利用するADSL回線の最高速度が40MBのスピードですから
 一秒間に40,000,000ビットのデータスピードに対して、当時はたったの200ビットの
 データしか送れないデータ通信専用回線を使っていたのです。

 このオンラインシステムの開発の歴史も別途説明したいと思います。

 このオンラインシステムの稼働拡大に歩調を併せて、
 口座自動振替システムの推進や現金自動支払機の開発が開始されます。

 既にご説明したように、当時の銀行の事務処理は大変で、女子行員が夜遅くまで、
 残業する職場でした。毎日夜遅く帰る日が続きました。

 この事務処理をなんとか合理化したいということで
 オンラインバンキングシステムが開発されたのです。

 中でも、窓口にこられるお客様への事務処理体制をいかに合理化するかが
 重要な合理化対策の要点でした。

 各種の合理化施策のシステムが開発されましたが、真っ先に店頭のお客様への
 現金支払事務の事務処理を合理化する方法が検討されました。

 当初は、外国製のオフラインのCD等の導入試行等もありましたが、
 最終的に、オンラインで現金支払可能なCD(現金自動支払機)が浮上してきました。

 このCD機(現金自動支払機)は、前述したテラーも含めた以後の
 事務処理プロセスを無人ですべて自動処理してくれるという
 画期的な機械の発明だったのです。


 ここから、CDの開発、そして、ATM開発の歴史が始まります。

 以下次号に続きます。

| | コメント (0) | トラックバック (0)
|

2005.04.19

■ATM戦略の変遷(その2)

 ☆ATM戦略の変遷(その2)

■はじめに

 前回は、銀行のATM戦略が変わりつつあることを説明しました。

 そして、UFJ銀行の24時間稼働店舗の拡大戦略と
     三井住友銀行の年齢制限付きの新商品戦略を例示しました。

 今回は、これらの戦略の狙いと背景に関して、
     解説してみたいと思います。


■ATMの24時間稼働の問題点

 UFJ銀行が24時間稼働店舗を拡大する戦略を開始しました。

 なぜ、他の銀行も追従してATMを24時間稼働にしないのでしょうか?

 今までの銀行は横並びの意識が強く、どこかの銀行が新たな施策を打ち出すと
 すぐに追従するというパターンが多い業界でした。

 しかし、銀行は不良債権を抱え、横並び施策の余裕がなくなっていることも
 事実です。個別行の独自戦略が重要経営課題となってきているということです。

 ところで、ATMの全店24時間稼働はなぜ実施されないのでしょうか。
 欧米の銀行は24時間が当たり前なのに、日本では難しいのは何故でしょうか。

 ATMを24時間稼働させるかどうかを決定するためには、
 お客様のニーズとATM稼働コストの損得バランスの計算が必要となります。

 確かに、緊急の事態が発生したときなど深夜に現金が必要なときがあります。

 銀行のATMが稼働していないためにお困りになったという経験が
 あると思います。

 最近では、コンビニのATMが24時間稼働しているので
 この問題はある程度解決しているのかも知れません。

 ただし、コンビニのATMは24時間稼動でも銀行のセンターシステムが
 24時間稼働でない場合には利用できません。

 個別銀行ごとの事情があり、取扱時間には制限があるので、要注意です。

 金融機関がATMを24時間稼働させるためには、
 いくつかの検討ポイントがあります。

 第一に、深夜の現金ニーズがどの程度あるかということです。

 都心部や繁華街では確かに深夜遅くまで働いている方が多数いらっしゃいます。

 また、つい深夜まで遊んでいて現金を必要とする人もいらっしゃいます。

 これらのお客様のニーズにお応えするということは、
 お客様満足度を向上させるためのサービスの一環として重要課題と思います。

 第二に、センター設置のコンピュータシステムの24時間オンラインを
 フル稼働させるシステムの仕組みの開発と稼働コスト増の問題があります。

 オンラインバンキングシステムを24時間フル稼働させるためには、
 従来のやり方から新たな仕組みを開発する必要があります。

 インターネットサービスが24時間稼働を原則にしているために
 24時間稼働の仕組みを開発している金融機関は、増えてきており、
 ATMを24時間稼働させる条件は整ってきています。

 しかし、問題なのは、店舗に設置してあるATMを24時間稼働させるためには、
 周辺の運用体制のコスト負担が大きいということです。

 ATMを稼働させるということは、当然のことながらATMコーナーを
 運用維持するための電気代やセンター側の運用監視システムの準備が必要です。

 なにかのトラブルが発生したときには、警備会社の社員の出動を必要とします。

 このための警備会社との契約料の支払いも加算されます。

 ATMを24時間稼働させるという決定をするには、
 お客様へのサービス向上効果と運用コストの増加分が見合うもの
 であるかどうかという検討が必要ということになります。

 直接的な損得勘定から言えば、損益分岐点には程遠いということになります。

 イメージ効果とかその他のメリットを
 収益向上効果の勘定に換算する必要があるということになります。

 UFJ銀行のATMの24時間稼働戦略には、
 このようなコスト増の事情を勘案してでもスタートすべき
 イメージ戦略上のニーズがあったものと考えられます。


■ATMの通帳印字装置の問題点

 次に、三井住友銀行が通帳なしの年齢制限付きの預金口座を
 売り出した背景を考えてみたいと思います。

まず、新型預金の商品概要を簡単に説明します。

 要約すると、

  ・口座を開設できる人を20―39歳に限定
  ・キャッシュカードにクレジットカードなどの機能を付け、
  ・現金自動預け払い機(ATM)の夜間や週末等の手数料105円は無料
  ・預金通帳を廃止
  ・年齢制限のある預金は国内初。

 ここで、特徴的なことは、預金通帳を廃止したことです。

 預金の出し入れを記帳するための預金通帳は、
 銀行預金を銀行が受け入れるようになった時代からのものです。

 銀行との取引を開始するということは、
 預金通帳を持つということと同意義であるとの感覚があります。

 従って、中高年以上の利用者にとっては、預金通帳は、家計簿代わりの役割
 を果たすという意味でなかなか廃止することができない存在ということになります。

 しかし、現実問題として、最近の若い人たちは、通帳を利用しません。
 キャッシュカードだけで、現金を出し入れするだけです。

 従って、銀行のセンターのオンラインシステムの預金元帳には、
 未記帳のレコードが大量に溜まっていくことになります。

 いつ使われるか解らないレコードをセンターに記録しておくことは、
 センターのコンピュータコストの増加になり経済的ではありません。

 そこで、一定以上の件数の未記帳レコードはセンターでプリントアウトして、
 お客様にメールを差し上げるという方法をとります。

 しかし、ここでまた問題が発生します。
 郵送すべき住所にメールは届かないのです。

 なぜなら、キャッシュカードさえあれば、
 現金の出し入れに不自由はなく住所変更の
 登録が正確に行われていない口座が多数存在するということです。

 以上のように、通帳を発行するということは、コスト高につながる事になります。

 この問題の長期的な解決策のひとつとして、
 通帳廃止の商品が販売されることになったのです。

 これ以外にも、通帳を発行することにより、
 ATMや各種の店頭端末機器の製造コストが割高になっています。

 また、センターシステムも通帳処理のために複雑な処理を
 要求されることになります。

 銀行の通帳発行システムはコスト増とシステム複雑化の要因なのです。 

 このことについては、次回で採り上げたいと思います。

| | コメント (0) | トラックバック (0)
|

■ATM戦略の変遷(その1)

 ☆ATM戦略の変遷(その1)

■はじめに

 さて、
 温故知新技術編の第2号に何をテーマとして取り上げるべきか悩みました。

 いきなり、バンキングアンライン開発の歴史からでは面白くありません。

 スタートからこれでは先が思いやられます。

 まず、
 身近に普及しているATMの開発の歴史を振り返ってみたいと思います。

 ATMは今では当たり前の身近な銀行の機器となっています。

 ここまでくるには、技術の進歩とお客様のニーズに対応してきた
 銀行の機器開発担当者の苦労と機器製造メーカの苦労がありました。

 この開発の経緯等を思い出しつつ書いてみたいと思います。

■ATM戦略の新展開

 今では、ATMは、金融機関の便利な省力機器として浸透してきました。

 ATM(Automatic Teller Machine)は、銀行の店頭受付係(テラー)の
 業務を自動化し、省力化するための機器として開発されたものです。

 そして、金融機関相互のATMの乗り入れが可能となり、
 ネットワークの広がりと機能拡張により社会の基盤システムとして
 普及してきました。

 更に共同の「統合ATMシステム」が、本格稼働(2004.5)すれば、
 取引行以外のATMでも、24時間稼働、入出金可能、振込口座事前確認等
 のサービスも可能になります。

 ATMは、金融機関の当たり前の機器として
 一般のお客様にも広く普及してきています。

 この金融機関のATM戦略もあらたな局面を迎えつつあります。

 この背景には、新札発券に伴い各金融機関はATM機器改造をせざるを得ません。

 新札発券により、現金を扱う各種の金融関連の機器の改造が必要となります。

 新券には、偽造防止の各種の仕組みが組み込まれています。

 http://www.mof.go.jp/jouhou/sonota/sonota.htm#aa 

 新札や新硬貨の発行があれば、駅の自動切符販売機や飲料水等の自動販売機の
 改造の必要があります。

 この機器改造に投資により、日本経済の景気向上の一助になるとの説もあります。

 金融機関の出費の拡大は相当な額になります。

 銀行設置の汎用ATMの一台あたりの改造費は、百五十万円前後と言われ、
 これに設置台数を掛けた金額が投資金額になります。

 不良債権処理で利益の大部分を償却処理に充てている金融機関にとっては
 大きな負担となっています。

 一方、機器を開発しているメーカーは特需で株価も上昇しました。

 ただし、特需後の需要減少を見越して、つい最近も日立とオムロンの事業再編が
     発表されています。

 このようにATM等の金融機関の機器は普及台数が増えてきたために、
 新札発行とかのインパクトに関して対応していくということは大変な痛みも
 伴います。

 そこで、ATM改造のコスト負担を契機としてATM戦略の見直しの機運が
 高まってきています。

 コンビニエンスストアーへのATM設置台数の拡大により、
 従来の金融機関が設置してきた金融機関のATMとコンビニに設置してある
 ATMとの棲み分けも必要となってきています。

■旧システムから新システムへの移行負担

 また、よくご存知の金融機関が発行しているプラスティクのキャッシュカードも
 ICカード化への転換の準備が始まっています。

 このICカード化に伴うATM改造も大変な費用負担になります。

 大量に発行されているキャッシュカードをICカードに切り替える作業は
 大事業となります。

 発行済みのキャッシュカードは、わが国の成人の大人ひとりあたりで、
 2-3枚と言われています。

 このうちのどの程度が実際に使われているかは不明ですが、
 確かに、2-3枚は財布に入っています。

 切り替え用のICカードの新規発行コストは当然のことですが、
 切り替えるための移行負荷のコスト負担は莫大な金額になります。

 しかも、一斉に切り替えることは物理的にも不可能なために、
 しばらくは、現行のキャッシュカードとICカードとの並存期間が必要です。
 システムは当然のことながら二重化することになります。

 新方式のシステムを採用するということは、
 常に現状のシステムからの移行の負担が伴います。

 この点が実務として大変な作業と期間・費用を必要とします。

 折角、新方式の良質なシステムが開発されても世のなかに普及するのには
 相当の時間と費用がかかるということは、ご承知のとおりです。

 身近な例として、地上TVのデジタル化に関しても、
 簡単には移行できません。コストと相当の期間を必要とします。

 TVの買い替えが完全に終わるまでは、
 二重の電波で放送を続けていく必要があります。

 また、旧型TVにアダプターをつけて、
 新方式のデジタルTVへの対応方法もつなぎとして
 必要になってくるかも知れません。

 このことは、今後採り上げるいくつかのテーマの中で、
 旧方式から新方式には簡単に切り替えることができないという
 現実の事情が存在するということの実例のひとつということになります。

■官業の民業圧迫

 今では、郵政公社の貯金の入出金処理にもATMが
 多数設置されるようになって来ました。

 自社のネットワークだけではなく、クレジット会社との提携や、
 一部の金融機関との提携を拡大しています。

 ご存知とは、思いますが、郵政公社と民間金融機関との間には、
 古くからの業際問題の論争があります。

 それは、官による民業圧迫というテーマです。

 郵政公社の民営化に関しては、政治問題化していますが、
 古くからの官の民業圧迫の問題が存在しているということです。

 論争の根底には競争の公平化の問題があります。

 官ゆえの特別優遇措置があり、競争が正当に行われていないからです。

 このために、折角のATMのネットワークも一部の銀行を除いては、
 相互乗り入れが実現していません。

 この論争に相互乗り入れが実現しない裏事情も存在しているのです。

■新ATM戦略の方向

 以上のように、ATMを巡る基盤が時代の流れの中で、
 大きく変化してきています。

 省力機器として開発されて金融機関の省力効果に多大の貢献を
 果たしてきたATM機器を単なる省力機器という視点だけでなく、
 戦略・戦術機器として見直すべきであるとの機運が高まってきています。

 既に、省力効果を十分に発揮している機器を更新する場合には、
 投資対効果の計算は難しい問題です。

 投資しても、これに見合う効果を得ることができないために、
 できるだけ既存の機器の延命化を図りたいのが経営の意思です。

 多大の投資が伴うわけですから経営としても
 多大の投資に対しての効果の見返りを要求するのは当然のことです。

 このような事情のもとで、都市銀行のビッグ4のATM戦略が新たな戦略を
 明確化する動きを見せています。

  ■UFJ銀行が広範囲の店で、ATMの24時間稼動を開始しました。

  ■三井住友銀行が時代を見据えた戦略として、若手マーケットに特化した
   無通帳を前提とした預金口座の販売を開始しました。

 両行の新ATM戦略の現われということになります。

 なぜ、これらのことが、新戦略なのかは、
 一般のお客様にはすぐには理解できないのではと思います。

 そこで、次回はこの問題の裏事情について説明してみたいと思います。

| | コメント (0) | トラックバック (0)
|

■はじめに

 【はじめに】
 
 2004年を迎えて、IT業界は技術的な視点からも大転換期にあります。
 
 IT分野に限らずバイオや電子機器の分野でも、次々に新技術が実用化の段階
 に達しつつあります。

  2004年は、「ものづくり日本の再生の年」になることを期待したいものです。

さて、技術の進歩は社会基盤全体に対して、大きなインパクトを与えるものです。

IT業界では、最先端技術を採用することにより飛躍的な低コストのシステムや
従来では考えられなかった高速処理可能なシステムが出現しています。
 
しかし、残念ながら現実には、現行の稼動中のシステムは大規模化しすぎていて
現行システムを全面的に新技術採用のシステムに切り替えることができません。

システムを切り替える場合には、相応のリスク(システムトラブルによる業務の
 混乱等)と体力(資金・人・期間等の資源投入)を覚悟せざるを得ません。
 
 その上、現行の稼動中システムは規模が肥大化し、システムのメンテナンスが
 非常に困難な状況になっています。

 従って、現行システムに最新の新技術を導入していくニーズはあるが、
 安易にシステム移行するわけにはいきません。

 なぜなら、現行システムは一夜にして構築されたものではないからです。

 現行システムには、コンピュータが普及し始めてからの30年以上の間に
 いろんな人間の知恵と各種のノウハウが詰まっているからです。

 現行システムに組み込まれている機能は、時代の背景や法的な規制、
 技術上の制約により、システムの中に組み込まれた機能が多く、
 本来ならばシンプルな筈が、現時点では複雑怪奇なシステムに
 なってしまっているものが多いのです。
 
 現行システムを建物に例えるならば、当初は小さな建物であったものが、
 増築に増築を重ねてきてしまったために、当初の設計基準を大幅に逸脱して
 しまった建物のような存在です。

 このような建物は、小規模の地震でも崩壊する危険性のある存在です。

 現行稼動中のシステムもこの建物と同様な形になっているものがあります。

 コンピュータシステムは、
 建物のようには外からみてもその内部の実態は具体的に眼に見えません。
 勿論、建物も床下や壁の裏側は見えない部分が多いのですが、欠陥のある
 建物は診断可能です。しかし、ITシステムの診断は簡単ではありません。 

 ここにITシステムの大きな問題が内在しています。

 システムの巧拙は外部から見えないために、開発当事者にしか解らず、
 大きなトラブルに発展しなければ第三者の批判の対象にはならないのです。
 
 最近、システムのトラブルにより、金融取引が正常に行われなくなったり、
 飛行機が正常に運航できなくなるケースが多発するようになりました。
 
 稼働しているシステムに変更を加えるということは、
 決して、簡単なことではありません。

 社会インフラ化したバンキングシステムにおいても
 トラブルの影響範囲が大きくシステムの変更には慎重を要します。

 トラブルが発生すればマスコミの記事になります。
 影響が大きくなれば国会への招聘という事例に発展しかねません。

 一番大切なお客様にご迷惑をおかけするだけではありません。
 長年築いてきたお客様の信頼を大きく失うことになります。

 バンキングシステムは度重なる銀行合併やシステム変更を繰り返してきました。
 これらの変更を吸収するためにシステム内部には大きな歪を抱えています。
 
 時代が変わり、長年培ってきた今までの常識が通用しない時代になりつつ
 あることは確かです。

 現在稼動中の企業活動の基幹業務システムは、
 企業活動に不可欠のものとなっています。

 
  ここまでくるには、先輩たちの日夜を徹した努力と工夫がありました。
 
 

 【IT業界の2007年問題】
 
  ところで、IT業界の西暦2007年問題といわれている
  新たな問題が話題になるようになりました。

  IT業界には、2000年問題、2038年問題、2079年問題
  とかいわれる技術的な問題が存在します。

 これらの問題は、別途個別テーマとして採り上げたいと思います。

 2007年問題は、技術的な問題ではありません。

 いわゆる団塊の世代といわれるバブル期を猛烈社員として活躍してきた人財が
 60歳を迎えて、現役からリタィアすることが現実化してくることにより問題
 が発生するということです。
 
 今までに蓄積されてきたノウハウや企業や仕事に対しての忠誠心とか
 勤勉さの精神が企業から失われつつあのではないかという問題提起です。

 今後の企業システムは、既に大規模システム開発が終了して、
 システムのメンテナンスフェイズからシステム開発に参画した中堅世代が
 システム開発と運用の中核を担うことになっています。
 
 これらの世代に対してのビッグプロジェクト開発能力や
 プロジェクトマネジメント能力の実践力が危惧されているのです。

 最近の若者は転職指向も強く、一企業に長い間勤務することを望まない
 人財が多くいます。

 システムのノウハウの継承ができにくい環境にあるということを意味します。

 これが、IT業界の西暦2007年問題といわれるものの概要です。
 
 そこで、2007年問題を契機として、IT分野に維新を興す必要がある
 という認識に基づき、常日頃考えていることをまとめてみることにしました。
 
 自分自身の過去を振り返ると同時に、後輩の皆さんに、コンピュータ利用の
 ノウハウとシステム開発の歴史を記録していきたいと思います。
 
 現状のシステムを安全・効率的に運用していくことは必須であり、
 一方で、新世代の最先端技術の恩恵を享受して低コスト・高機能の
 システムを構築していく必要があります。
 
 【2007年問題の解決策の模索】
 
  そこで、
 
    A.温故知新技術
 
    B.現場革新技術
 
    C.刮目先端技術
 
  この三方向からIT業界のトピックスを採り上げていき、
  2007年問題の解決の糸口を探していきたいと思います。
 
  即ち、三方向から主要なトピックスを吟味しながらあるべき方向を
  読者の皆さんのご意見を聞かせていただきながら模索していきたいと思います。
 
  特に、私がかかわってきたバンキングシステムは、社会的なインフラとして
  当たり前の存在となっています。
  ここまでに到達するまでには、紆余曲折がありました。

 この紆余曲折を一般の方にも理解できるように易しく解説していきたいと思います。
 
  このメルマガは、
 
  A.温故知新の精神にのっとり、現在稼動中のシステム開発の歴史や経緯を
    振り返り、次世代の開発に生かしていくという視点でトピックスを採り上げて
    解説していきたいと考えています。
 
  B.現場革新技術に関しては、現在稼動中のシステムの中にも改善すべきことが
    多数あります。問題点を指摘しつつ、システムの競争力強化のための
    ノウハウを紹介・提案していきたいと思います。
 
  C.刮目先端技術のテーマに関しては、既存の技術や常識の域を超えた
    刮目に値する先端技術を紹介して進むべき方向を模索したいと思います。
 
  この3技術の分野に係るトピックスを個別に採り上げて解説していきたいと
  思います。
 
 まずは、A.温故知新技術編からスタートしたいと思います。

| | コメント (0) | トラックバック (0)
|

トップページ | 2005年5月 »