■9600BPS高速ファツクスの開発
■前回に引き続き、データ通信の話題を取り上げます。
まず、軽い話題から、現在一般家庭に普及しているファクシミリの
銀行専用端末版の開発裏話をご披露したいと思います。
■9600BPS高速ファクスの開発の裏話
今回のテーマは、一般の電話回線で9600BPSのデータ通信に
成功した事例としてとりあげます。
ADSLが、一般の電話回線を利用して、40MB(40MBPS)の
通信を実現できるということは、驚愕に値するということを、
VOL007(2.25発信)で述べました。
http://backno.mag2.com/reader/Back?id=0000125079
上記から右側の2004.2.25発行の行をクリックしてください。
ところで、
昭和50年代の半ばと記憶していますが、当時の電話ファクシミリは、
2400BPSのスピードのものが、最高だったのです。
これを一挙に9600BPSのスピードアップするということは、
当時としては、本邦初演のシステムを導入することでした。
当時の銀行の本支店には、2400BPSのファクシミリが導入されており、
本部からの情報連絡や支店相互間の情報交換、お客様との情報のやり取り、
等に活用されていました。
しかしながら、スピードが遅い、画像の写りが鮮明でなく、情報の交換に
苦労していました。
そこで、この画像情報交換システムの端末であるファクシミリシステムの
新システムを開発することにしました。
全店ファクスシステムの開発プロジェクトが発足したのです。
ここに、タイミングよく、松下が4800BPSのファクシミリを開発し、
売り込みにやってきました。
確かに、従来の二倍のスピードでの送受信可能ということでしたが、
これだけでは魅力に乏しいということで、ファクシミリに多機能を
持たせる端末を開発しようということになりました。
即ち、通常のファクシミリとしての機能に加えて、プリンター端末機能と
OCR判別機能を追加してあて先を自動で発信させることにしたのです。
これにより、本部からの通知は、ワープロで作成したものをそのままデジタル
印字することが可能で、印字品質を抜群に向上させることを意図しました。
現在では、汎用プリンターは、ファクシミリ機能、LANでのプリンター
機能、複写機能(コピー機能)、スキャナー機能(画像取込機能)等と
多機能化が進んでいます。
当時のファクシミリは単能機器だったのです。
この単能機器をプリター端末としても利用しようということでした。
OCRの判別機能をつけることにより、行内文書は店番指定で送信するため、
予め登録してある電話番号にしか送信できないため、誤って重要書類が、
一般のファクシミリに発信することを防止する仕組みも追加しました。
これにより、ファクシミリの誤送信をなくすることを意図しました。
情報セキュリティー対策の一環としての考え方を導入したのです。
このプロジェクトに後発で参画してきたのが東芝でした。
当時の三井銀行は、ファクシミリは松下製品がほぼ100%で、東芝製品は
一部しか採用していなかったのです。
ここで、新型ファクシミリ端末に関して、東芝と松下の開発競争が始まり
ました。
結末は、東芝製の逆転採用となり、全店に設置されることになります。
詳細に関しては、いろいろと支障があるので、電話回線を利用した
9600BPS電話ファクシミリの採用が決定要因であったということに
フォーカスしてお話してみたいと思います。
当時、一般の電話公衆網を利用したファクシミリ通信は、2400BPSが
最高のスピードでした。
ここに、松下が4800BPSの機種を投入したということで、画期的なこと
だったと記憶しています。
ここに、東芝が9600BPSのファクシミリを開発中との情報が入りました。
この時点では、松下は9600BPSの開発の計画はありませんでした。
当然のことながら、4800BPSよりは、9600BPSの方が速いので、
電話の接続時間が短く、全店ベースで考えても電話料金の節約にもなります。
しかし、当時は一般の電話回線での9600BPSの通信実績はなく、果たして
思惑通りに9600BPSで送受信可能かが問題になりました。
勿論、回線状態が悪い場合には、自動的に回線スピードを低速に切替える機能が
ついているわけですが、9600BPSのメリットは少なくなってしまいます。
そこで、9600BPSの実用性に関しての技術的な問題の検証を実際の
一般の電話を使って調査することになりました。
本邦初演ということで、いくつかの実証実験をやりました。
まず、全国の電話局の交換機の新旧機種に問題があるということで、
三井銀行の支店のある電話局と東京・大阪等の主要局との交信を行い、
一般電話回線のデータ送受信品質を徹底的に調査しました。
その後、全国の電話局に関しても全て調査を行いました。
また、従来ファクシミリでは、常識ではなかったデータの誤り制御機能を
追加しました。
誤り制御機能は、データ通信では常識となっていることでもファクシミリ
の世界では非常識なことだったようです。
それ以外にも、いろんなテストをしましたが、結論として、
多機能の9600BPSのファクシミリ端末は実用に耐え、効率化に寄与する
という結論になりました。
オンラインシステムが文字情報しか扱えない時代に、画像を高速で
高画質で送受信できるファクシミリプリンター端末が誕生したのです。
このとき、電話回線でも9600BPSのデータ通信可能であるということ
確認できました。
このときも、本邦初の技術開発ということで、メーカーの技術の方といろいろと
ディスカッションさせていただき多くのことを学んだ記憶があります。
多くの伝送技術を専門に研究していらっしゃる技術者の方から多くのことを
学ぶことができたことに感謝いたしております。
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