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2005.04.19

■はじめに

 【はじめに】
 
 2004年を迎えて、IT業界は技術的な視点からも大転換期にあります。
 
 IT分野に限らずバイオや電子機器の分野でも、次々に新技術が実用化の段階
 に達しつつあります。

  2004年は、「ものづくり日本の再生の年」になることを期待したいものです。

さて、技術の進歩は社会基盤全体に対して、大きなインパクトを与えるものです。

IT業界では、最先端技術を採用することにより飛躍的な低コストのシステムや
従来では考えられなかった高速処理可能なシステムが出現しています。
 
しかし、残念ながら現実には、現行の稼動中のシステムは大規模化しすぎていて
現行システムを全面的に新技術採用のシステムに切り替えることができません。

システムを切り替える場合には、相応のリスク(システムトラブルによる業務の
 混乱等)と体力(資金・人・期間等の資源投入)を覚悟せざるを得ません。
 
 その上、現行の稼動中システムは規模が肥大化し、システムのメンテナンスが
 非常に困難な状況になっています。

 従って、現行システムに最新の新技術を導入していくニーズはあるが、
 安易にシステム移行するわけにはいきません。

 なぜなら、現行システムは一夜にして構築されたものではないからです。

 現行システムには、コンピュータが普及し始めてからの30年以上の間に
 いろんな人間の知恵と各種のノウハウが詰まっているからです。

 現行システムに組み込まれている機能は、時代の背景や法的な規制、
 技術上の制約により、システムの中に組み込まれた機能が多く、
 本来ならばシンプルな筈が、現時点では複雑怪奇なシステムに
 なってしまっているものが多いのです。
 
 現行システムを建物に例えるならば、当初は小さな建物であったものが、
 増築に増築を重ねてきてしまったために、当初の設計基準を大幅に逸脱して
 しまった建物のような存在です。

 このような建物は、小規模の地震でも崩壊する危険性のある存在です。

 現行稼動中のシステムもこの建物と同様な形になっているものがあります。

 コンピュータシステムは、
 建物のようには外からみてもその内部の実態は具体的に眼に見えません。
 勿論、建物も床下や壁の裏側は見えない部分が多いのですが、欠陥のある
 建物は診断可能です。しかし、ITシステムの診断は簡単ではありません。 

 ここにITシステムの大きな問題が内在しています。

 システムの巧拙は外部から見えないために、開発当事者にしか解らず、
 大きなトラブルに発展しなければ第三者の批判の対象にはならないのです。
 
 最近、システムのトラブルにより、金融取引が正常に行われなくなったり、
 飛行機が正常に運航できなくなるケースが多発するようになりました。
 
 稼働しているシステムに変更を加えるということは、
 決して、簡単なことではありません。

 社会インフラ化したバンキングシステムにおいても
 トラブルの影響範囲が大きくシステムの変更には慎重を要します。

 トラブルが発生すればマスコミの記事になります。
 影響が大きくなれば国会への招聘という事例に発展しかねません。

 一番大切なお客様にご迷惑をおかけするだけではありません。
 長年築いてきたお客様の信頼を大きく失うことになります。

 バンキングシステムは度重なる銀行合併やシステム変更を繰り返してきました。
 これらの変更を吸収するためにシステム内部には大きな歪を抱えています。
 
 時代が変わり、長年培ってきた今までの常識が通用しない時代になりつつ
 あることは確かです。

 現在稼動中の企業活動の基幹業務システムは、
 企業活動に不可欠のものとなっています。

 
  ここまでくるには、先輩たちの日夜を徹した努力と工夫がありました。
 
 

 【IT業界の2007年問題】
 
  ところで、IT業界の西暦2007年問題といわれている
  新たな問題が話題になるようになりました。

  IT業界には、2000年問題、2038年問題、2079年問題
  とかいわれる技術的な問題が存在します。

 これらの問題は、別途個別テーマとして採り上げたいと思います。

 2007年問題は、技術的な問題ではありません。

 いわゆる団塊の世代といわれるバブル期を猛烈社員として活躍してきた人財が
 60歳を迎えて、現役からリタィアすることが現実化してくることにより問題
 が発生するということです。
 
 今までに蓄積されてきたノウハウや企業や仕事に対しての忠誠心とか
 勤勉さの精神が企業から失われつつあのではないかという問題提起です。

 今後の企業システムは、既に大規模システム開発が終了して、
 システムのメンテナンスフェイズからシステム開発に参画した中堅世代が
 システム開発と運用の中核を担うことになっています。
 
 これらの世代に対してのビッグプロジェクト開発能力や
 プロジェクトマネジメント能力の実践力が危惧されているのです。

 最近の若者は転職指向も強く、一企業に長い間勤務することを望まない
 人財が多くいます。

 システムのノウハウの継承ができにくい環境にあるということを意味します。

 これが、IT業界の西暦2007年問題といわれるものの概要です。
 
 そこで、2007年問題を契機として、IT分野に維新を興す必要がある
 という認識に基づき、常日頃考えていることをまとめてみることにしました。
 
 自分自身の過去を振り返ると同時に、後輩の皆さんに、コンピュータ利用の
 ノウハウとシステム開発の歴史を記録していきたいと思います。
 
 現状のシステムを安全・効率的に運用していくことは必須であり、
 一方で、新世代の最先端技術の恩恵を享受して低コスト・高機能の
 システムを構築していく必要があります。
 
 【2007年問題の解決策の模索】
 
  そこで、
 
    A.温故知新技術
 
    B.現場革新技術
 
    C.刮目先端技術
 
  この三方向からIT業界のトピックスを採り上げていき、
  2007年問題の解決の糸口を探していきたいと思います。
 
  即ち、三方向から主要なトピックスを吟味しながらあるべき方向を
  読者の皆さんのご意見を聞かせていただきながら模索していきたいと思います。
 
  特に、私がかかわってきたバンキングシステムは、社会的なインフラとして
  当たり前の存在となっています。
  ここまでに到達するまでには、紆余曲折がありました。

 この紆余曲折を一般の方にも理解できるように易しく解説していきたいと思います。
 
  このメルマガは、
 
  A.温故知新の精神にのっとり、現在稼動中のシステム開発の歴史や経緯を
    振り返り、次世代の開発に生かしていくという視点でトピックスを採り上げて
    解説していきたいと考えています。
 
  B.現場革新技術に関しては、現在稼動中のシステムの中にも改善すべきことが
    多数あります。問題点を指摘しつつ、システムの競争力強化のための
    ノウハウを紹介・提案していきたいと思います。
 
  C.刮目先端技術のテーマに関しては、既存の技術や常識の域を超えた
    刮目に値する先端技術を紹介して進むべき方向を模索したいと思います。
 
  この3技術の分野に係るトピックスを個別に採り上げて解説していきたいと
  思います。
 
 まずは、A.温故知新技術編からスタートしたいと思います。

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