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2005.04.22

■銀行の合併について

■銀行の合併システムに関して

 今回からは銀行合併に伴うシステムに関わる諸問題に触れてみたいと思います。

■はじめに

 銀行に限らず、バブル以降企業の大型合併が続いています。
 合併は決して簡単なものではありません。
 企業風土の異なる企業が合併するのですから必ず随所で軋轢が発生します。
 この軋轢を早急に解消し前向きの戦略に取り組むことが経営の重要課題と
 なります。統合のスピードが合併の効果の成否を問うことになります。

 銀行もビッグ4といわれる金融グループに集約されてきました。
 これに伴い同じ金融業界の生命保険、損害保険会社は勿論のこと
 一般の製造メーカーも事業の分離・統合が続いています。

 ところで、銀行合併の場合にも問題になるのが、システムの統合です。

 合併過程でいくつかのシステムトラブルが発生しマスコミの恰好の餌に
 なりました。
 システム統合に伴うトラブルは、顕在化したトラブルに過ぎません。
 銀行の内部では大小さまざまなところで潜在的なトラブルが発生します。
 長い間築かれてきた企業風土の統合は短期間では解決できない問題になります。
 そこで、銀行合併を事例にどんなことが問題になるのかについて実体験に
 基づき具体的な部分をご紹介したいと思います。
 
■合併に伴い検討すべき事項

 合併に伴い調整すべき項目をリストアップしていくと相当の枚数になります。
 特に、日本企業の場合はマニュアル化されていない、企業内の慣習なるもの
 があり、この洗い出しだけでも相当の時間と労力を必要とします。
 検討を重ねるうちに検討項目は累積的に増加していきます。

 この過程で両社のコミュニケーションが問題になります。
 まず、使っている用語が異なるということです。
 続いて大きな問題となるのが、事務・システムの調整と人事問題です。
 これらの相違に関して順次説明していきたいと思います。

■用語の違い

 合併が経営トップレベルで決定されて基本的な合意がなされると合併事務局が
 設立されます。実務的な合併作業が開始され、担当部門別の合併・統合に向けて
 の具体的なスケジュールと合併調整事項の打ち合わせが開始されます。

 ここで、最初に問題になるのは、用語の統一ということになります。
 同じ銀行業同士なので、専門用語だけは統一されているものと思って
 いました。しかし、行内で使っている言葉が異なるということです。

 まず、具体的には下記のような単純な用語すら異なっています。

 従業員 職員、頭取 社長、証印 承認印、給与 給料、
 管理者 責任者、副支店長 次長、・・・。

 これらに伴い、関連語がすべて異なってきます。

 従業員組合 職員組合、従業員預金、職員預金、従業員規定 職員規定、
 給与明細 給料明細、給与支給日 給料支払日、等々

 これらは、意味的には通じるのですが、意味の通じない略語や特殊な
 慣用の用語も多数あります。

■事務手続きの相違

 これが、事務マニュアルになると何千項目も用語と事務手続きの記述が
 微妙に異なつているのです。具体的な事例を列挙してみましょう。

 伝票のデザインや帳票のデザインは当然異なります。
 収容項目や項目の表示の仕方も異なります。
 伝票の印刷部分の色も異なります。
 科目を識別するために多色刷りの伝票を使う場合があります。
 この場合には、色の決定ルールを統一する必要があります。

 単純に赤と青の二色刷りの場合にも問題が起こります。
 入金伝票を赤色にするか、青色にするかを決めなければなりません。
 出金伝票は当然この逆の色になります。
 これもなぜ異なるかは不明ですが伝統的に受け継がれてきたルールです。
 銀行簿記は、科目によっては貸方と借方が逆になります。
 預金は銀行にとっては、資産ではなく負債になります。
 このあたりが当初色を決めるときにだれかが決定したことと思います。

 事務手続きの記録を残すために銀行ではステップごとに伝票に確認印を
 押します。受付印、精査印、責任者印等々です。
 この押印位置も当然異なります。右上か右下か等と異なっています。
 使用する印の種類も形も異なります。
 スタンプインクの色も異なります。黒、赤、青、緑等を使い分けています。
 
 これも習慣になっているのでどちらが効率的かが議論の対象になります。
 些細なことですが、各行でそれなりの理由により決定されているのです。
 これにより伝票の設計が異なり、端末の印字出力場所にも影響を与えます。

 また、伝票のサイズや帳票のサイズが異なると実務面で問題が発生します。
 複写伝票に関しては、糊付けの場所が上か下かの違いもあります。
 これは、端末に伝票を挿入する場合に問題となります。

 ファイリングの方法、保管箱のサイズ、保管方法までもが異なります。
 伝票の綴じ込み方法が異なります。左上を綴じるか、右側を綴じるかです。

 支店の統合を行うとこの伝票のサイズやデザインをどちらに合わせるのか
 により、伝票の保管箱のサイズ、伝票保管棚やキャビネットの種類等まで
 異なってくるのです。金庫に設置する棚の種類まで変更の必要があります。

 二つの支店が統合されると先ずはどちらか一方に合わせることになります。
 ここで問題が発生します。機械化以前の事務処理が残っている場合には、
 印鑑簿や各種契約書を口座番号順に並べるか、あいうえお順にファイリング
 するか、これにもルールがあり銀行で異なっています。
 サイズが異なる帳票を一定のルールで並べ替えるとなるとばらばらになって
 しまいます。当初は旧行ベースでファイリングしていてもいずれは統合して
 統一したファイリングシステムに移行する必要があります。
 異なるサイズの帳票のファイリングの方法だけでも一工夫も二工夫も必要に
 なるということです。

 列挙すればきりがありませんが、些細なことがいろんなことに影響するという
 ことがご理解いただけましたでしょうか。

 ともかく、異なる企業が合併するということは、事務部門と現場では
 顕在化しないトラブルが多発します。
 きめ細かいフォローを行わなければ事務ミスを誘発することになります。


 今回はここまでにしておきます。
 次回はシステム統合問題、人事問題等に触れます。

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