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2005.04.19

■ATM戦略の変遷(その2)

 ☆ATM戦略の変遷(その2)

■はじめに

 前回は、銀行のATM戦略が変わりつつあることを説明しました。

 そして、UFJ銀行の24時間稼働店舗の拡大戦略と
     三井住友銀行の年齢制限付きの新商品戦略を例示しました。

 今回は、これらの戦略の狙いと背景に関して、
     解説してみたいと思います。


■ATMの24時間稼働の問題点

 UFJ銀行が24時間稼働店舗を拡大する戦略を開始しました。

 なぜ、他の銀行も追従してATMを24時間稼働にしないのでしょうか?

 今までの銀行は横並びの意識が強く、どこかの銀行が新たな施策を打ち出すと
 すぐに追従するというパターンが多い業界でした。

 しかし、銀行は不良債権を抱え、横並び施策の余裕がなくなっていることも
 事実です。個別行の独自戦略が重要経営課題となってきているということです。

 ところで、ATMの全店24時間稼働はなぜ実施されないのでしょうか。
 欧米の銀行は24時間が当たり前なのに、日本では難しいのは何故でしょうか。

 ATMを24時間稼働させるかどうかを決定するためには、
 お客様のニーズとATM稼働コストの損得バランスの計算が必要となります。

 確かに、緊急の事態が発生したときなど深夜に現金が必要なときがあります。

 銀行のATMが稼働していないためにお困りになったという経験が
 あると思います。

 最近では、コンビニのATMが24時間稼働しているので
 この問題はある程度解決しているのかも知れません。

 ただし、コンビニのATMは24時間稼動でも銀行のセンターシステムが
 24時間稼働でない場合には利用できません。

 個別銀行ごとの事情があり、取扱時間には制限があるので、要注意です。

 金融機関がATMを24時間稼働させるためには、
 いくつかの検討ポイントがあります。

 第一に、深夜の現金ニーズがどの程度あるかということです。

 都心部や繁華街では確かに深夜遅くまで働いている方が多数いらっしゃいます。

 また、つい深夜まで遊んでいて現金を必要とする人もいらっしゃいます。

 これらのお客様のニーズにお応えするということは、
 お客様満足度を向上させるためのサービスの一環として重要課題と思います。

 第二に、センター設置のコンピュータシステムの24時間オンラインを
 フル稼働させるシステムの仕組みの開発と稼働コスト増の問題があります。

 オンラインバンキングシステムを24時間フル稼働させるためには、
 従来のやり方から新たな仕組みを開発する必要があります。

 インターネットサービスが24時間稼働を原則にしているために
 24時間稼働の仕組みを開発している金融機関は、増えてきており、
 ATMを24時間稼働させる条件は整ってきています。

 しかし、問題なのは、店舗に設置してあるATMを24時間稼働させるためには、
 周辺の運用体制のコスト負担が大きいということです。

 ATMを稼働させるということは、当然のことながらATMコーナーを
 運用維持するための電気代やセンター側の運用監視システムの準備が必要です。

 なにかのトラブルが発生したときには、警備会社の社員の出動を必要とします。

 このための警備会社との契約料の支払いも加算されます。

 ATMを24時間稼働させるという決定をするには、
 お客様へのサービス向上効果と運用コストの増加分が見合うもの
 であるかどうかという検討が必要ということになります。

 直接的な損得勘定から言えば、損益分岐点には程遠いということになります。

 イメージ効果とかその他のメリットを
 収益向上効果の勘定に換算する必要があるということになります。

 UFJ銀行のATMの24時間稼働戦略には、
 このようなコスト増の事情を勘案してでもスタートすべき
 イメージ戦略上のニーズがあったものと考えられます。


■ATMの通帳印字装置の問題点

 次に、三井住友銀行が通帳なしの年齢制限付きの預金口座を
 売り出した背景を考えてみたいと思います。

まず、新型預金の商品概要を簡単に説明します。

 要約すると、

  ・口座を開設できる人を20―39歳に限定
  ・キャッシュカードにクレジットカードなどの機能を付け、
  ・現金自動預け払い機(ATM)の夜間や週末等の手数料105円は無料
  ・預金通帳を廃止
  ・年齢制限のある預金は国内初。

 ここで、特徴的なことは、預金通帳を廃止したことです。

 預金の出し入れを記帳するための預金通帳は、
 銀行預金を銀行が受け入れるようになった時代からのものです。

 銀行との取引を開始するということは、
 預金通帳を持つということと同意義であるとの感覚があります。

 従って、中高年以上の利用者にとっては、預金通帳は、家計簿代わりの役割
 を果たすという意味でなかなか廃止することができない存在ということになります。

 しかし、現実問題として、最近の若い人たちは、通帳を利用しません。
 キャッシュカードだけで、現金を出し入れするだけです。

 従って、銀行のセンターのオンラインシステムの預金元帳には、
 未記帳のレコードが大量に溜まっていくことになります。

 いつ使われるか解らないレコードをセンターに記録しておくことは、
 センターのコンピュータコストの増加になり経済的ではありません。

 そこで、一定以上の件数の未記帳レコードはセンターでプリントアウトして、
 お客様にメールを差し上げるという方法をとります。

 しかし、ここでまた問題が発生します。
 郵送すべき住所にメールは届かないのです。

 なぜなら、キャッシュカードさえあれば、
 現金の出し入れに不自由はなく住所変更の
 登録が正確に行われていない口座が多数存在するということです。

 以上のように、通帳を発行するということは、コスト高につながる事になります。

 この問題の長期的な解決策のひとつとして、
 通帳廃止の商品が販売されることになったのです。

 これ以外にも、通帳を発行することにより、
 ATMや各種の店頭端末機器の製造コストが割高になっています。

 また、センターシステムも通帳処理のために複雑な処理を
 要求されることになります。

 銀行の通帳発行システムはコスト増とシステム複雑化の要因なのです。 

 このことについては、次回で採り上げたいと思います。

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