■淡路・阪神大地震時の銀行側の対応
■前回に引き続き淡路・阪神大震災のときの実体験の一部を
紹介していきます。
■予想に反したこと
復旧対策の中で、予想に反していたことをいくつか挙げることが
できます。
大規模災害が発生すると預金から現金の引き出し客が殺到するので、
銀行店舗には支払いに十分な現金在庫を持つべきであるという意見を
当たり前のこととして考えていました。
銀行としては、お客様が銀行に緊急資金の引き出しにおみえになる
と予想していたのです。このために営業店の金庫に大量の現金を
輸送する作戦が開始されたのです。
道路は寸断されており、路上には建物の残骸が氾濫しており、
交通事情は最悪の状況でした。この中を緊急車両に準じる扱いで、
営業店の金庫に大量の現金を搬送したのです。
また、地震により通帳や印鑑を紛失されたお客様が銀行店舗に
ご来店されたときの非常時の対応ルールを決めて災害復旧の中で
銀行は営業を開始したのです。
しかし、現実には被災地では、現金の引出し需要は少なかった
のです。
なぜなら、現金があっても商店街は閉鎖されており、買えるものが
なかったからです。
食事はボランティアの人達により炊き出しが行われており、
災害直後は、現金は不要だったからです。
また、大金の所有は危険な状況だったからです。
実際のお客様の銀行への要求は貸金庫の利用要求だったのです。
避難する時に持ち出した、家の権利書や各種契約書、宝石等の
貴重品等の保管場所が問題になったのです。
従って、銀行の貸金庫需要が急増することになったのです。
このための対応を急遽作成することが必要となったのです。
冷静に常識的に考えれば、結果は明白だったのかも知れませんが、
災害発生の初期の時点ではこのことに気づかなかったのです。
なにごとも頭で考えていることと現実が異なることは多いものです。
■大きな問題点は手形の決済
大震災時の大きな問題は、手形等の資金決済の問題です。
各種の事情により、手形の決済が不可能が事態が発生します。
このために、特例扱いの適応を発動する必要がありました。
いわゆる、執行猶予期間を設定して、この期間は不渡り等の
適応の例外を設けました。このことにより、災害時の非常事態
発生時の不渡り倒産の回避策としたのです。
大災害時には、金融も各種の緊急発動の手続を必要とします。
緊急マニュアルを短時間で作成する必要があります。
この場合でも事務の本質を理解している人とそうでない人の
違いが明確になります。
常日ごろの本質を徹底的に勉強することの大切さを感じたものです。
■この淡路・阪神大地震の後遺症は大きいものがありました。
日常の生活は破壊され、震災以前の状態に戻ることはありません。
被災された皆様は今でもいろんな後遺症に悩まされていらっしゃる
ことと思います。
この被災復旧の過程で、いろんな分野でいろんな災害復旧の
ノウハウが蓄積されていることでしょう。
銀行の大震災対応のあり方についても多くのことを学びました。
この経験を記録に残しておこうということで2冊の本にまとめて
出版したのですが、現時点では絶版になっていました。
「災害は忘れた頃にやってきます」、災害時の体験やノウハウが
風化しないことを祈念したいものです。
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