■パソコン導入顛末記
■銀行業務へのパソコン導入顛末記
銀行の本部および営業店では、今ではパソコンは当たり前の機器になっています。
ATM機器にも、銀行専用の金融端末にもパソコンが組み込まれています。
本部業務や営業店でもパソコンの電子メールは当たり前のツールとなっています。
しかし、ここまで普及するまでにはいろいろなことがありました。
技術進歩の見極めと本部要員への情報リテラシィー教育にも苦労しました。
パソコンの一人一台体制づくりと利用定着化までの顛末について書いてみます。
■個人的なパソコン体験史
まず、個人的な体験史を振り返ってみたいとおもいます。
個人的に電子機器に興味を持ち始めたのは、小学生時代にさかのぼります。
最初は、鉄釘にコイルを巻いた電磁石をつくることから初めて、電磁石ベル、
乾電池を乗せて電動モーターで走る模型自動車の工作等を思い出します。
そして、鉱石ラジオの製作、トランジスターラジオ製作へと進んでいきました。
大学時代はマシンランゲージのプログラムを組み、卒論は汎用コンピュータでの
シミュレーションモデルの研究でした。
会社に入ってからも汎用機によるシステムの企画・開発が中心でした。
一方、社会人になって個人的に初めて接したのがテニスゲームの組み立てセット
でした。秋葉原のショップで見つけて組み立てて我が家のテレビにテニスゲーム
が表示され、そのスムーズな動きに感激したことを覚えています。
次に、手作りマイコンキットとして4ビットのマイクロプロセッサーを組み込んだ
組み立てキットを買い込み、徹夜でハンダゴテを片手に細かい作業で組み上げた
ことも思い出されます。組み立て用の基盤にムカデの形に似たICの足を一点ずつ
ハンダ付けし、電線で配線をしたことを思い出します。
そして、次にMSXパソコンという家庭ゲーム用のをパソコンを買い込み、
簡単なゲームソフトをBASIC言語で書いて楽しんでいたことも思い出します。
その後は、16ビットパソコンから32ビットパソコンへ、MS-DOSから
WINDOWSへとパソコンも最新鋭機へと何台か買い替えました。
現時点では、自宅でも100MBの光通信可能なブロードバンド環境下でのパソコン
LANが稼動するという環境になっています。
本棚の片隅には今でも過去の歴史を残すマイコン・パソコン関連の本が何冊か残って
います。
■銀行の営業店への応用
個人的に上記のような体験を続ける中で、銀行業務への応用分野の模索を続けて
きました。最初の取り組みは、当時の販売開始され始めたばかりの8ビットの
カラー表示できるパソコンを数ヶ店の銀行営業店に導入することでした。
このパソコンは相談端末のはしりで、通常の画面は自動的に広告画面を繰り返し
表示し広報端末の機能を果たします。顧客操作キイーを押すと割り込みモードとなり
簡単な金融計算を可能としました。ローンの金利計算、住宅ローンの返済額の計算、
積み立て預金の計算、定期預金の利息計算等の機能を組み込みました。
この経験も踏まえて銀行業務にもパソコンの機能を使うことをいろいろと研究
しました。
そして、パソコンを意識して銀行端末として本格的に導入したのがIBM5550
という機種です。
この端末を融資・外為オンライン用の端末に採用し全店に配置しました。
当時としては、画期的な端末でした。通常は融資・外為のオンライン端末としての
機能を果たしますが、オフラインで日本語ワードプロセッサー機能と表計算機能を
備えていました。このオフライン機能での各種の使い方も行員からのアイデアを
募集し、現場の知恵を実務展開するという方法もこの頃採用した手法でした。
いろんな実用的なテンプレートが開発され、全店に配布されました。
■本部業務への応用とLANシステムの導入
その後は、本部業務にパソコンの部分的な導入が始まりました。
この頃になるとハードは16ビットパソコンから32ビットパソコンへと更改され、
オペレィテングシステムもMS-DOSからWINDOWSに進化していました。
そして、ローカルLANの導入の段階になります。LANのシステムに何を選択
するかもいろいろと実験しましたが最終的にはロータス社のロータスノーツの
システムを採用することになりました。
当時のLANシステムとしては、機能的にも優れておりユーザビリティーもあり、
大手企業のLANシステムの導入はロータスノーツの採用事例が多くなりました。
現在でも金融機関のネットワークシステムの大部分がノーツになっているのは
この初期の導入期のシステムをそのまま継続しているからです。
電子メールやLANシステムを普及させるための苦労もありました。
パソコンの大量導入予算の決裁とLAN/WANシステムの有効性を発揮させる
ためにはトップも巻き込んだシステム構築が必要との認識から経営層への情報
リテラシィー教育にも工夫が必要でした。
インターネットの使い方から電子メールの使い方を学んでもらうための工夫が必要
でした。役員室に電子メールを普及させるために役員室専用の女性インストラクター
を養成し、秘書室の役員担当の秘書にもパソコン操作の教育を行いました。
先ずは、電源の入れ方、朝一番で自社株の価格や金利情報等の金融情報システムが
表示される仕組みをつくり、電子メールの開き方等と時間をかけ順次普及させて
いきました。役員室発信の電子メールは秘書の代行発信でしたが社長名や役員名で
定期的に発信する仕組みも組み込みました。これにより部課長クラスも順次
電子メールのネットワークに組み込むことができました。
本部要員の全員へパソコンを配置するまでには時間がかかりました。
部長クラス、課長クラス、そして全員にパソコンをという一人一台体制へと普及
させるためには各種の工夫が必要でした。
現在のパソコンの普及状況を考えると、パソコン機能の向上と価格性能比等は正に
隔世の感があります。
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