■システム開発バブルの再燃か?
■システム開発バブルの再燃か?
【はじめに】
2006年新年の最初のトピックスは、三菱東京UFJ銀行のシステム統合の第一次段階が終了したことです。
これにより、三菱東京UFJ銀行の約9千台の現金自動出入機(ATM)や窓口で、通帳記入や預け入れが相互にできるようになりました。
今回のシステム統合に関しては、金融庁の指導等もあり、システム統合のリスク懸念から当初計画を延長してのスタートでした。
今回のシステム統合は、旧東京三菱銀行と旧UFJ銀行のコンピュータを相互接続し、相互乗り入れを可能にするだけのシステムです。
しかしこの単純とも思えるシステムでも「みずほ銀行」のスタート時には、大トラブルに発展してしまったわけで、今回は慎重を期したということです。
オンライン接続上では、大きなトラブルはなかったものの細かい点ではいくつかのミスが発生したようです。
総合振込の入金口座変更依頼書の内容で585社3495明細の出力ミス、非居住者向けカストディ業務の事務処理遅延等が公表されたトラブルです。
内部の管理資料等でのトラブルについては銀行内部の問題であり公表はされていないので不詳ですが、ともかくも無事に難局を突破したことだけは確かのようです。
【三菱東京UFJ銀行について】
今回合併した新銀行の「三菱東京UFJ銀行」は、「三菱UFフィナンシャルグループ」の中で、社名に「東京」の文字が残っています。
旧東京銀行との残存の名前ということです。
同じ三菱UFフィナンシャルグループの信託、証券、投信には「東京」の文字がないのは従来の合併の経緯によるものです。
この東京の二文字にはいろんな思いがあるものと推察されます。
しかしながら、合併後の三菱東京UFJ銀行は、ライバル他行である
「みずほ銀行」、「三井住友銀行」を圧倒する規模です。
国内の有人店舗数は、672店、取引先企業が約38万3千社。
海外の40カ国以上に支店や出張所など89拠点を持つというグローバルバンクとなります。
資産規模も160兆円、グループの口座数4千万と世界最大規模の銀行が誕生したことになります。
さて、この三菱東京UFJ銀行は、当初は2005年10月に合併予定であったのが、金融庁の指導もあり、三菱東京とUFJ両行のシステムの結合テストを完璧にするとの理由で年明けの合併に延期したことはご存知のとおりです。
この延期の期間に、5回の全店テストも順調に行われ、2005年11月8日にテスト完了の宣言をしています。
そして、12月からは両行のATMの相互乗り入れが開始され、オンラインの結合システムを予定より一ヶ月早めに稼動させています。
しかしながら、三菱東京UFJ銀行のシステム統合はこれからが大変ということになります。
システム統合は次のA.B.C.の3段階に分かれています。
A.合併時の相互乗り入れ(Day1)、2006年1月4日完了。
B.約2年後の旧東京三菱のシステムへの旧UFJのシステムの移行
(Day2)、
C.それから新システム開発(Day3)です。
システム開発部門は休む暇はありません。
行員は勿論のこと、コンピューターメーカー、システム開発会社は当分の間は、仕事探しに苦労することはなさそうです。
営業店端末などは、B段階で更改されることになるのでしょうからハードメーカーも合併特需が発生します。
ホストコンピュータは、IBMに統一され、端末は富士通ということになるのでしょう。
UFJ銀行のシステムメーカーであった日立は大きなシェアを失うことになるという構図になります。
【その他の新システム開発】
一方、「みずほフィナンシャルグループ」も、リテール分野のシステムを1インフラ、2アプリで新規開発の予定だそうです。
2006年秋から本格開発に入り3年程度で稼動させる計画のようです。
メガ・バンクの新システム開発規模は、オンラインのアプリ・ステップ数で3千万ステップ以上、バッチ処理システムでは、5千万ステップ以上あります。
仮に8千万ステップを開発するとすれば、少なく見積もっても8万人月の開発パワーが必要となる計算になります。
更には、各種システム間のインタフェースやデータベースの移行システム等が必要となり、指数関数的に開発量が増えるのが通例ですので、少なく見積もっても、15万人月以上の開発パワーが必要となります。
三菱東京UFJ銀行の新システムの開発、みずほ銀行の新システム開発、郵政公社の民営化対応システムの開発、それに、三井住友銀行の新システムの開発も加わるかもしれません。
日本の巨大金融機関が四つ巴で新システムを開発することになれば、システム開発バブルが発生することだけは確かです。
1990年代の第三次オンラインの開発時に、都銀各行が一斉に開発に着手したために、開発マンパワーが不足して、ソフト要員の調達コストが上昇し、要員の質も低下の現象が生じました。
銀行に限らず、その他の業界でもシステム開発要員のニーズは高まっています。東証オンライン等の大規模なシステム開発の計画等も発表されています。
開発マンパワー市場の需給バランスが崩れることは確実です。
開発要員不足を中国やインド等に依存するという方法もありますが、
金融分野においては困難を伴います。
巨大規模の金融関連プロジェクトが何本も並行して走るわけですが、金融業務関連のスキルを持ったSE数が何人存在するのでしょうか?
金融機関のシステムの開発言語は、コボルかPL1を利用していますが、これらの言語を得意とする要員の調達は大変困難になっています。
既存のコボルやPL1の開発言語を残しながら、新世代の開発言語であるJava言語等を活用しようとすれば、開発言語の統一性の問題も発生します。
今回の新システムの開発には、規模の大きさだけでなく、新旧開発要員の世代ギャップの問題、開発インフラ・開発言語等の統合化の問題等の数多くの問題が発生します。
新規開発の分野の業務開発言語は、Javaで開発することが考えられますが、金融業務を理解していてJavaを使いこなす優秀なSE要員の調達は決して簡単ではありません。
バンキングオンラインは、日々新たな機能追加を要求されます。
現行システムの機能拡張を行いながら、新システムを開発していくということが、いかに大変なことであるということを経営者は理解する必要があります。
【まとめ】
金融システム開発分野における「新システム開発バブル」が再燃してくることは確かです。
システム規模が大きくなると、システム要員の調達が困難、システム要員の質が低下、大規模システムのプロジェクトマネジメントの困難さの拡大、システム障害テストの範囲の拡大、信頼性に関する要求水準の高さ等々と今後の金融システム開発分野は各種の問題を抱えています。
2006年から2010年までの5年間はシステム業界にとって大きな
転換期を迎える時代の到来を予感させます。
システムバブルが再燃し、バブルである以上いつか必ずはじけてしまうという現象を再び繰り返すことになりそうです。
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