« 2006年7月 | トップページ | 2006年9月 »

2006年8月

2006.08.15

■ウェブ進化論(3) ロングテールについて

ウェブ進化論(3)ロングテールとは?

■はじめに

ロングテールという言葉をご存知ですか?

直訳すれば「長い尾」ということになりますが、最近インターネットの世界
で重視されている言葉です。

「ロングテールの法則」とか「ロングテール戦略」「ロングテール戦術」と
か使われることばです。

従来の「リアルの世界」では、通用しなかったことが「インターネットの
世界」では通用するという意味でもあります。

インターネット上の本屋で成功している「アマゾン」の販売戦略の事例から
発祥した言葉ですが、インターネットを利用するあらゆる分野に適応可能な
手法ということができます。。

この言葉の反対概念は、「80:20の法則」(パレートの法則)です。

われわれが、過去の実務経験で学んできた実感できる法則が、
この「80:20」の法則です。

今まで、世の中の事象は、大抵がこの法則で説明できました。
「世の中の富の80%は、20%の人間で占められている」とか、
「銀行の収益の80%は、20%の顧客によるものである」とか・・・。

今までの考え方と「ロングテールの法則」とはどこがどう異なるのか?

具体的な事例からご紹介してみたいと思います。

■本の販売におけるロングテールの事例

身近な事例として「本」という商品を考えてみてください。

最近は東京の都心部では、大型の書店の開店が続いていますが、
書店に並べられる「本」の数は、数に限りがあります。

必要とする本を探すのに、本屋に出向いて、並べられている本の中味を
パラパラめくりながら購買するというパターンは今でも大きく変わるもの
ではありません。

しかしながら、必要とする本が書店の在庫に無い場合が多いというのが
現実です。
そこで、最近では、本の購買はインターネットでというスタイルが普及する
ようになっています。

この世界で、成功しているのが、「アマゾン」という会社です。

そして、この成功の裏に、「ロングテール戦略」があったのです。

■ロングテールの意味

日本での年間の出版点数は七万点といわれています。
これらのすべてが書店に並んでいるわけではありません。
売れ筋商品は、山積みになっていますが、売れない本は即刻返品され
在庫なしの状態になっています。

ベストセラーになる本とベストセラーにならずに消えてしまう本との
売上のギャップは相当のものです。

一年間に売れた本を棒グラフで表示することを想像してみてください。
横軸に個々の本を一冊1センチの棒グラフで並べます。
縦軸に売上千部当たり1センチの棒グラフを想定してください。

そして、左からベストセラー順に並べたとします。
ベストセラーといわれるものは二百万部を軽く突破します。
そして、ベスト10となると一桁下がって20万部程度となります。

一年間に出版される本が七万点だそうですが絶版等があり、
現在73万点ほどの書籍があるそうです。

従って、一番左の縦軸の長さは、二百万部だと20メートル、
第10位ぐらいになると一桁下がって2メートルと急激に降下して、
更に、横軸に順番に並べていくと最後は7.3キロメーター先となります。

しかも、右のほうに行くほど縦軸の長さは無くなり、年に一冊しか売れない
本は10ミクロンの長さとなります。

この棒グラフを想像してみてください。

首の長さが20メートルで先のほうに行くほど細くなる尾の長さが7.3
キロメートルの恐竜の姿を想像することができましたでしょうか?

ロングテールとは、このような恐竜の尾の姿に似ているのです。

一般の本屋が取り扱うのが「恐竜の首」の部分から胴体の部分であり、
アマゾンが取り扱うのが、「ロングテール」を含めた「恐竜全体」なのです。

これは何を意味するかといえば、消費者にとっては、今までは販売の対象と
されなかった本をアマゾンで買うことが可能になり、出版社にとっては新た
な販売チャネルを得たことになります。

買う側と売る側の双方にメリットを与えることにより、本の販売に革命を
起こしたことになります。

そして、この方法が「塵も積もれば山となる」のビジネスでアマゾンの収益
に結びついているのです。

「80:20の法則」の従来は儲けることが難しかった、採算の合わない
「残りの80の部分」をも儲けの対象とすることが可能となったのです。

インターネットを利用することにより実現可能となったビジネスモデルなの
です。

■グーグルの広告におけるロングテール戦略

前回もご紹介した「検索エンジンの会社」のグーグルの収益の柱は、
インターネット広告収入ですが、大手独占の宣伝広告の分野に
「グーグルアドワード広告」という戦略でチャレンジし成功しているのです。

「グーグルアドセンス」という広告スペースを提供することにより、
個人にまで広告報酬を還元するという仕組みと「グーグルアドワード広告」
という、個人でも手軽にインターネット上に広告を掲載できる仕組みを提供
することにより、従来のマスメディアの対象となっていないマーケットから
収入を得る仕組みを創出したのです。

この仕組みについては、法人、個人の区別はありません。

ここでは、個人のケースを前提として簡単に説明します。

「グーグルアドセンス」とは、インターネット上の個人のサイト
(ホームページやブログ等)のスペースに、グーグルの提供する広告を
掲出します。

この広告の内容に興味を示した人が、この広告をクリックすれば、
広告掲載報酬を掲載者に支払うという仕組みです。

この原資となるのが、スポンサー収入です。

スポンサー即ち、インターネット上に広告を出して、物を売ったり、
情報を提供したいと考える場合、「グーグルアドワード広告」を利用する
ことができます。

「グーグルアドワード広告」に申し込み、検索キーワードごとに、
掲載すべき簡単な広告文と誘導したいURL
(インターネット上のアドレス)を掲示します。

この申し込みにより、グーグルでキーワード検索された場合の
検索キーワードに対応する、「スポンサー欄」に広告が表示される
仕組みになっています。

また、前述の「グーグルアドセンス」のスペースにも同様に表示されます。

ここで、重要なのは、掲載のための単価です。
掲載単価は、クリックされたときのみに発生します、従って単に表示された
だけでは広告費を支払う必要はありません。
広告の効果がクリックにより保障されているのです。

さらに、表示の順序は、掲載単価により掲載順位が異なるという仕組みに
なっています。
すなわち、単価が高い方が掲載順位が高いということになります。

これにより、競合状況が発生するということになっているのです。

すなわち、この「グーグル」のインターネット広告の仕組みは、個人をも
広告の分野に誘導する「ロングテール」を対象としたマーケット戦略という
ことなのです。

■ロングテールは既存のシステムを破壊することから

以上のように、インターネットの本屋(今では販売の対象は本だけでなく
おもちゃから家電製品まで幅広く販売していますが)の「ロングテール
販売戦略」が成功し、グーグルのインターネット広告における
「ロングテール広告戦略」が、既存のマスメディア、マスコミの世界に
新風を吹き込んでいるということなのです。

「ロングテール」戦略とは、新たなインターネット時代のビジネスモデルと
いうことができます。

零細企業や個人起業家がインターネットを活用することにより、大手に負け
ないだけの収益を上げることが可能な時代なのです。

零細企業や個人起業家か具体的にどのような方法で、ロングテール戦略で
収入を得ているかについては、別の機会にご紹介したいと思います。

■まとめ

「ロングテール」の考え方は、インターネットを旨く利用することにより、
新たなビジネスモデルを創出することが可能であり、零細企業、個人起業家
にとってもビジネスのチャンスが十分にあるということであり、実際に多く
の成功事例を創出しているということです。

新時代のビジネスモデルは、インターネット更に進化させることを
予感させるものです。

【編集後記】

久しぶりの更新となりました。

首都圏大停電、小泉首相の靖国参拝、北方海域でのロシヤによる日本漁船の
拿捕事件。

お盆休みなのに、次々に大事件が発生しています。
この暑い季節なのに、暑い事件の連続です。

今回の「ロングテール」については、解りにくいかもしれません。

インターネットの世界とリアルの世界では、ビジネスのやり方が
「共通する部分」と「共通しない部分」があります。

この「共通でない部分」のひとつが「ロングテール戦略」ということです。

| | コメント (0) | トラックバック (0)
|

« 2006年7月 | トップページ | 2006年9月 »