◆三菱東京UFJ銀行の統合システム移行について(その2)
◆三菱東京UFJ銀行の統合システム移行について(その2)
前回に引き続きのテーマです。
【過去の経緯】
三菱東京UFJ銀は正式には、2006年1月に発足したが、
金融庁からシステム統合(1次統合)の準備が不十分だと指摘され、
合併時期を3か月延期した経緯にある。
今回(2次統合)についても専門家による立ち入り検査を行い、
準備作業を点検するという。
5月からのシステム統合で障害が起きれば、
2002年のみずほフィナンシャルグループのシステム統合時のように、
クレジットカード決済や企業間の資金決済に大きな影響が
出ることになりかねない。
大規模なシステム統合だけにトラブルも予測しにくいとみられ、
三菱東京UFJ銀にとって今年最大の経営課題となる。
【システム部門には休みなし】
システム開発部門は休む暇はないが、営業店の一部の行員も休日出勤して、
システムテストに参加することになる。
システム部門の行員は勿論のこと、コンピューターメーカー、
システム開発会社は当分の間は、臨戦態勢の緊張の連続ということなろう。
関係各位は、トラブルゼロで当たり前、何かのトラブルが発生すれば、
マスコミの記事となるという緊張の中での作業が続くことになる。
ご苦労様とエールを送りたい。
【既に小さなトラブルも発生】
三菱東京UFJ銀行の発表によると、システムの不具合により、
2007年8月9日~11月27日に
現金自動受払機(ATM)で印字した通帳のうち、
取引履歴が正確に印字されないシステム障害が
最大2378件発生していたとのこと。
ATMのソフトの設定ミスが原因で、
取引自体は正しく処理されているという。
旧東京三菱と旧UFJのシステム統合へ向けた作業の一環として
ソフトを更新した際、ATM1500台でミスが生じたという。
既に、システム統合のミスは発生しているのである。
システム開発に完璧はあり得ない。
今回の金融庁の検査も、検査する側も検査を受ける側も
ノーミスを保証できるわけではないが、
念には念を入れて計画と検証方法に関しての点検作業を行うということ。
【統合システムの内容】
三菱東京UFJ銀行のATMは現在、
旧2行のATMごとに提供するサービスや営業時間帯が一部異なる。
旧2行のシステムを並行接続して使用しているためで、
統合システムによりようやく一本化される。
統合対象のATMは、旧東京三菱約3千台(約1600万口座)、
旧UFJ約6千台(約2400万口座)。
旧2行のATMサービスを比較すると、
時間外利用手数料の優遇などで旧UFJ側の顧客サービスのほうが
やや手厚い。
統合システムで、そうした旧UFJのサービスが
旧東京三菱の顧客にも適用される。
一方、利用頻度や効率が低いなどで休止や廃止されるサービスもある。
たとえば、
旧UFJのATMが近畿・東海で展開してきた
「ロト6」などの宝くじ販売は、今年5月から1年間休止。
等々とサービス上の変更も発生することになる。
【統合システム移行の手順】
統合システムは、旧三菱銀行システムのインフラを再構築し、
旧UFJ銀行から移植するアプリや新アプリを搭載したものとなる。
5月の連休中にまず、旧東京三菱銀行のシステムが、
統合システムに一斉切り替えとなる。
そして、
残りの約420の旧UFJ店舗は、
順次分割され統合システムに移行される予定。
この移行作業は、店舗単位の全面移行となるので、
危険分散と作業負荷分散のために分割移行の手順を踏むことになる。
過去の例からいって、各段階で必ず何かのトラブルはつきものであり、
関係各位の慎重な上にも慎重な作業が必要となる。
【システム統合費用は?】
ところで、気になるのはシステム統合費用だが、
2009年度までの中期経営計画で、
従来2006年度からの4年間で総額約3600億円
(年平均900億円)としていたシステム関連などの統合経費を
総額約4000億円(同1000億円)に増額すると発表している。
第一段階の移行費用が800億円と発表されており、
今回の第二段階の費用は1千億円の予定とのこととしていたが、
その後、
移行期間、移行方法とも当初計画から大きく変わっているので、
当初計画よりは、大幅な予算オーバーとなっている。
三菱東京UFJ銀行のシステム部門長の講演会などでの講演内容では、
ピーク時9500人(内グループ社員2500人)が第二段階での要員数。
サブのプロジェクト数は1千を超えるとのこと。
第一段階でのシステム投入の3万人月と合わせると合計で
11万人月のプロジェクトと推定される。
1日5千万件のオンライン取引、内外30万端末、内外の店舗数800の
世界最大規模のシステム統合プロジェクトということになる。
膨大な費用と人員を投入した巨大プロジェクトの成功を見守りたい。
【まとめ】
三菱東京UFJ銀行の統合システム移行で、
ビック3バンクのシステム統合は完了する。
みずほ銀行、三井住友銀行の統合システムは、
大小様々なトラブルが発生したが、既に一段落している。
次の段階として、
「次世代システムの開発構想」が、暗黙裡の中で検討されている。
そういう意味では、三菱東京UFJ銀行は、
2008年中にようやくシステム統合が完了することになる。
統合費用4000億円という膨大な費用と、
ピーク時で9000人の人員、11万人月の開発要員を投入した
巨大な統合システムは完成の形ではない。
取りあえずの統合システムということであり、
更に、「次世代システム」の開発に着手せざるを得ない。
バンキングオンラインシステムの歴史は、
機能追加、ネットワークの拡大、経営の合併等を繰り返し、
巨大化、肥大化の一途となっている。
バンキングオンラインシステム自体は、
制御不可能な規模に肥大化してしまっている。
恐竜が巨大化しすぎて、滅亡してしまったように、
巨大システムには、巨大化したために内包する各種の脆弱性
というリスクを抱えている。
社会インフラとして定着してきたバンキングオンラインシステムの
維持と開発運営はますます困難さを増大してくる。
この肥大化してしまったシステムを制御し、
次世代システムへ進化させるためには、
相当の期間と費用とリスクを覚悟しなければならない。
果たして、この巨大システムに関わる次世代の人材の養成はどうすべきか?
将来に向けての大きな銀行経営の課題といえよう。
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