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2008.02.18

◆インターネット・バンキングによる不正による銀行補償について

◆インターネット・バンキングによる不正による銀行補償について

◎はじめに

金融機関の取引においては、不正な取引もいろいろと発生する。

不正取引の種類も、時代の変遷、技術進歩の進展により、
いろいろと変遷してきている。

この中で、キャッシュカードに纏わる取引不正に関しては、
補償制度が発足し、不正取引も減少化の傾向となっている。

他方、インターネットによるバンキング取引量の増大に対して、
不正取引の発生件数が増加減少にある。

この増加現象を踏まえて、インターネットバンキング不正取引に対しても、
補償していこうという検討が本格化してきた。

◎キャッシュカードの不正引き出しに関する補償

まず、キャッシュカードの不正引き出しに関しては、
全銀協のウェッブサイトに「カード情報センター」というサイトが
設置されている。

この「カード補償情報センター」は、偽造・盗難キャッシュカード等の
被害の円滑な補償を図るため、
全国銀行協会が設置・運営しているサイトである。

当センターの会員金融機関は、
預貯金を取扱う各種の金融機関が対象となっている。

平成20年2月1日現在の会員数は、1,643会員であり、
銀行、信用金庫、信用組合、労働金庫、JAバンク、JFマリンバンク、
商工中金、ゆうちょ銀行などが会員となっている。

このセンターでは、偽造・盗難キャッシュカード等の被害状況等
に関する情報をお客さまの同意をもとに登録し、
会員金融機関からの照会に応じて情報提供している。

会員金融機関では、当センターから提供を受けた情報を、
複数の金融機関にまたがる被害の有無とその被害の状況等を
確認することに利用し、被害の円滑な補償のために役立たせている。

これにより、
善意の預金者は不正引き出しから補償されることになった。

この補償制度に並行して、金融機関側でも各種の不正防止策を施し、
不正引き出し発生件数・金額も減少傾向にある。

具体的な防止対策としては、ATMでの現金振込み金額の上限設定、
ATMでの取り扱い金額の上限設定ができるようになった。

更には、手の平や指の血流による生体認証方式の採用、
磁気ストライプキャシュカードから、ICキャッシュカードへの順次移行
等の施策が効果をもたらしてきているものと思う。


◎インターネットバンキングの不正に対する補償は?

ところで、キャッシュカードの不正発生件数が減少傾向にあるのとは逆に、
インターネットバンキングの不正発生件数は増加の傾向にある。

偽造・盗難キャッシュカード等の不正取引の増加を踏まえて、
上記の「カード情報センター」が設置され、
業界としての補償の仕組みが出来上がり、
不正発生に歯止めがかかったことは預金者保護の視点から
大変喜ばしいことである。

このキャッシュカード不正に関する補償制度の開始当初から、
インターネットバンキングの不正に関しても補償すべきとの議論があった。

しかし、当時はキャッシュカードの不正発生件数に比較して、
インターネットバンキングの不正の発生件数は少なく、
検討は先送りとなっていた。

ところが、最近の全銀協のアンケート調査の結果によると、
インターネットバンキングによる不正引き出しも
増加の傾向にあることが顕著になってきている。

平成18年の一年間は44件であったものが、
平成19年の一年間で181件と4.1倍に増加している。

この増加傾向に対して、全国銀行協会は平成20年2月7日、
インターネット・バンキングによる不正な預金引き出しが
増加していることを踏まえ、盗難キャッシュカードによる被害と同様、
原則として銀行が補償することを検討していると発表した。

正式な検討結果は原稿投稿日現在では発表されていないが、
近日中に具体策が公表されるものと思われる。

全銀協はこの発表に先立ち、会員187行を対象に、
2007年12月までの不正引き出しに関するアンケート調査の結果を
公表している。

このアンケート調査によると、
インターネット・バンキングによる不正引き出しは、
2005年4月から2007年12月で256件、被害総額は2億200万円となっている。

特に2007年7―9月は57件、同年10―12月は52件と、
最近は件数が大幅に増えてきている。

盗難キャッシュカードによる被害の減少傾向とは対照的な結果になった。

この結果を踏まえて、業界としての組織的な対策を講じる必要あり
との認識となったものと思われる。

更に、全銀協では、
インターネット・バンキングによる不正引き出しの補償に加え、
同じく預金者保護法の対象外となっている盗難銀行通帳による被害の補償
についても検討するとのこと。

これらの補償制度が明確化されることにより、
遅まきながら、欧米並みの預金者保護の制度が整備されることになる。

更に、キャシュカード不正への防止対策が業界として
具体的に進捗したのと同様に、インターネットバンキングの
不正取引防止対策への関心が高まるものの思われる。

インターネットバンキングの不正防止対策はいろいろ考えられているが、
ID認証方式を厳格化する各種技術の導入、フィッシング等の
偽造サイトへの対策等であるが、
これらの対策の採用の必然性の認識が高まり、
個々の金融機関での具体的な防止対策が進捗するものの思う。

◎まとめ

各種金融機関取引は、社会基盤の一部であり、
時代の流れを先取りする形で先手先手の施策を打ち出していく必要がある。

金融機関取引に関しては、経営組織内におけるシステム設計については、
関連各部の密接な連携が不可欠となると同時に、
業界としての連携した取り組みも不可欠である。

不正防止対策は、取引約款面、取引の仕組みの設計面、
技術開発の側面等の各種の視点からシステム設計することが
金融機関の健全性を維持する上で重要な経営課題である。

そのほんの一部ではあるが、預金取引における各種の不正取引に関しての
防止策を設計し、その防止策でもカバーできない取引に関しては、
補償により救済していくという制度の設定は必要なことであった。

預金者保護とはいいながらも、日本の金融機関は、
預金取引取引約款により、数多くの免責事項を設定して、
善意の預金者が不正に預金を引き出されていても、
預金者自身の管理義務違反を理由に不正取引の補償を
回避してきた傾向がある。

弱者で、無知な預金者に対していささか冷酷な取り扱いであったように
思われた方もいらっしゃったことであろう。

預金者の中には、善意な人ばかりではなく、
当然のことながら悪意な人間も含まれる。

この悪意の預金者からの防衛のために設定された預金取引約款ではあるが、
善意の預金者に対しても過剰防衛に働く傾向にあったことは否めない。

この状況から、社会情勢の変化も踏まえ、
弱者救済の預金不正取引を補償する制度を
導入することになったことは、大変喜ばしいことである。

これにより、今まで泣き寝入りせざるを得なかった善意の預金者
も救済されることになる。



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