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2008.04.26

◆バンキングオンラインのSaaS化は可能なのでしょうか?



バンキングオンラインシステムのSaaS化は可能なのか?

◆はじめに

サース(SaaS)という言葉をお聞きになったことがありますか?

SaaS=(Software as a Service)サース / サービスとしての
ソフトウェアのことです。

一般的な意味としては、ユーザーがシステム開発業者などからソフトウェア
の提供を受けるに当たり、必要な機能のみを選択して利用できるようにした
ソフトウェアのことです。

それを実現するためのメカニズム、あるいはそのようなソフトウェアの
提供形態(デリバリモデル)のことをいう場合もあります。

今後のソフトウェア利用の新たな方向と考えられています。

ところで、世の中には、既に稼動実績のあるソフトウェアをパッケージ化
して販売している事例が数多くあります。

金融機関用のパッケージソフトウェアもいくつかありますが、
多くのユーザーが共通に使用するソフトウェア機能の集合体となっている
ものの、一般にソフトウェアの進化・成長に伴って「肥大化」していきます。

そして、結果としては、ある特定ユーザーから見たとき、あまり使用しない
機能の増加を招いているのです。

これは、ソフトウェアの宿命ともいえるもので、開発当初に比較して、
機能要求の追加の連続によりソフトウエァは複雑化、肥大化を続けていく
習性があります。

ソフトウェアは10年以上にも継続して利用されている場合には、
当初とは比べ物にならないほど複雑化、肥大化してしまっているのです。

バンキングオンラインソフトも例外ではありません。

金融機関のシステム部門にとっては、前述の「SaaS」のようなシステム
が存在すればそれは理想の姿なのかも知れません。

バンキングシステムに関しても、既にSaaSにはほど遠いとはいえ、
類似のサービス形態に近づくサービス形態として、システムの共同開発、
システムの共同運営センター等々とシステムの開発、システムの運営に
関してもアウトソーシングの事例が増えてきています。

この傾向は、当然のことなのです。

自前でシステムを開発し、自前でシステムを運営し、
システムを維持メンテナンスすることは、現実の問題として人材確保の側面、
経済的な側面から経営的視点からみても不可能な時代となっているのです。

◆システム開発要員の悩み

最近、システム開発に従事している担当者からの悩みを聞くことがあります。

団塊の世代がシステム開発の現場からリタイヤーしていき、
システムのメンテナンスが後進に残されていきます。

このシステムのメンテナンスに不安が生じているのです。

複雑化し、肥大化したシステムの維持管理は、決して楽な仕事ではありません。

システムは生き物です。

常に社会の変化、制度の変化、ユーザーの要求等々により、
進化を要求される宿命にあります。

各種の要因によるシステムの変更の要求に対して、
どこをどのように修正すればよいのか、修正箇所がわかり、
修正方法がわかり、実際に修正しても、
この修正結果がシステム全体に悪影響を与えないのかの確認のために
膨大な量の慎重なテストを必要とするのです。

念には念をいれて数多くのケースを想定したテストを実行したとしても、
完璧ということはありえません。

人間の能力には限界があり、何%かの確率で見落としがあり、
これが想定外のシステムトラブルとなってしまうのです。

現在のバンキングシステムは社会インフラ化しており、
システム障害が発生すればその影響は多大です。

従って、システムメンテに従事する要員の責任は重大となっています。

システムメンテナンスの仕事は、ストレスの高い仕事となっており、
地道で厳しい仕事であり、決して楽しい仕事ではないのです。

今後ますます、
要員確保の難しい分野となっていくことは確かなことなのです。

◆ソフトウェアのハードウェア化現象について

コンピュータシステムのソフトウエアという言葉は、
ハードウェアという言葉の対のことばとなっています。

本来は、コンピューターというハードを動かすためにユーザーの要求に
対してソフトに対応できるということなのです。

しかしながら、経年経過したの大規模なソフトは、複雑化、肥大化し、
硬直化してきています。

ソフトウェアはソフトという概念から程遠い柔軟性を失った
ハード化しているのです。

最近、ソフトウエァの大規模トラブルが発生し、ソフトウエァトラブルから
派生した損害に関する賠償責任訴訟問題、
動かないソフト開発に関わる訴訟問題等々と
ソフトウェアのトラブルが司法の場に登場する時代になっています。

これらの現象は、バンキングシステムのソフトクライシス現象が
顕在化する時代になったということです。

◆バンキングオンラインのSaaS化は実現するのか?

バンキングシステムソフトの数々の問題を解消する方法は
存在するのでしょうか?。

ソフトクライシスの解決策として、ケーブルテレビや電話などの
“サービス”のように、ユーザーが利用したい機能を必要になったときに
ネットワーク経由でサービスプロバイダから直接入手し、
その使用分に対して対価を支払うようにするというコンセプトが
「SaaS」ですが、もしもこのようなサービスが存在すればと
考えるのは当然のことです。

バンキングシステム分野でも、既に共同利用センター形式でのSaaSに
類似した形態のサービスが存在しています。

今後、一部のアプリケーション分野では、
この形態でのサービス提供は拡大していくものと思われます。

◆まとめ

バンキングシステムに限らず、社会インフラ化した大規模
オンラインシステムは、ソフトウェアクライシスの現象化の傾向が
増大しています。

東証のシステムトラブル、飛行機の予約システムのトラブル、
バンキングオンラインのシステム障害も時々マスコミ報道されています。

団塊の世代の構築してきたシステムが、世代交代に伴い、
ベテラン技術者の欠落した状態で後進者に引き継がれていくものの
システムの維持管理の能力は低下の傾向にあります。

システムの複雑化、肥大化に伴うハード化現象とベテラン要員の欠落化の
現象というダブルパンチを受け続けるバンキングオンラインは、
システムクライシスに直面しています。

果たして、
大規模システムのシステムクライシスの解決策は存在するのでしょうか?

金融機関の経営にとっても、システムクライシス解消の方法は大きな経営の
課題となっているのです。


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