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2008.05.19

◆三菱東京UFJ銀行の新システム移行に伴う障害について

◆三菱東京UFJ銀行のシステム障害について

■はじめに

三菱東京UFJ銀行自身が「最大の経営課題」と位置付けて臨んだ
世界最大のシステム統合と称しているシステムが初日からつまずいて
しまいましたね。

初日の5月12日のシステム移行開始直後、
セブン銀行のATMでの取引が不能となってしまいました。

ご存知のように、セブン銀行は、2001年4月に開業以来、
コンビニを中心として設置したATMが24時間・365日稼動しています。

この利便性が受け、取引件数は01年度の1400万件から、
07年度には4億9800万件に急増していて、株式上場まで果たした、
新興の専業銀行です。

この利便性の高いセブン銀行の13,069台のATMで
三菱東京UFJ銀行の取引ができなくなってしまったのです。

影響を受けた取引は、三菱東京UFJ銀行のお客さま取引の2万件とのこと
でした。

原因としては、ATMに出力するメッセージのカナコードと漢字コードの
設定ミスという単純ミスとのことです。

このケースに関しては、テストしていなかったために障害に結びついた
とのことです。

システムのテストは、完璧100%を保証することはできません。

想定しうるケースを人力で洗い出しテストケースの設定とテストデータを
生成します。

更に、
システムによりテストデータを自動発生させることによって生成する等
実際に起こりうるケースとデータの洗い出しからはじまります。

そして、これらのケースやデータを実際のシステムに当てはめて
正常稼動するかどうかをすべてのケースに関して確認することが
システムテストの目的です。

今回の障害については、このケースが設定されずテストも行っていなかった
ということなのでしょうか?。

ATM等ののネットワークが拡大するにつれ、24時間稼動の他社システム
との接続確認テストは困難を伴うことが多いのです。

テスト時間の設定も他社との交渉事であり、先方のスケジュールにも
大きく左右され、自由にテストすることが難しいのです。

このような環境の中でのテストを実施することになるのですが、
あらゆる取引データのテスト、トラフィックボリュームテスト、
障害発生時の復旧手順テスト等々とテストすべき項目は
数多くあります。

これらを限られた時間と環境の中でテストを実施する必要があるのです。

この中の1ケースがテスト漏れであったというのが公表の内容です。

それ以外にも、異常なケースはあったのかもしれませんが・・・、
大事に至らなかったトラブルもいくつかあったに違いありません。

比較的に順調な移行スタートだなと思っていたのですが、
夕方になって、他の対外接続システムで更なるトラブルが公表されました。

ゆうちょ銀行など6金融機関に口座を持つ顧客が旧東京三菱銀のATMから
入金できない障害が262件発生したと公表されたのです。

旧東京三菱銀のATMからゆうちょ銀などへの入金は、システム統合に伴い、
12日から新たに始める予定のサービスたったそうです。

入金できなくなったのは、ゆうちょ銀行のほかに日興コーディアル証券、
岡三証券、泉州銀行、大正銀行、中京銀行とのことでした。

旧UFJ銀のATMは以前から入金できており、障害も起きませんでしたが、
旧東京三菱銀行のATMに新規機能の追加した部分が正常稼動しなかった


この障害のケースも奇異な感じがします。

新機能の追加に関しては、特に慎重にテストするのが常識のはずなのに、
このテストが十分でなかったということだからです。

テスト管理のマネジメントシステムに欠陥ありと指弾されても仕方が
ありませんね。

今回のトラブルは、大規模オンラインシステムを運営管理する
関係者の感覚からすると最小限のトラブルで収拾できたという
安堵感があるものと思われます。

同様な経験を体験した者として、同感できるものがあります。

しかし、これからが更に、たいへんですね。

担当各位には、同情しますが・・・・・。

◆三菱東京UFJ銀行のシステム移行計画とは

ところで、三菱東京UFJ銀は合併後もオンラインシステムは、
旧東京三菱銀(IBM製)と旧UFJ銀(日立製作所製)の二つのシステム
を併用してきました。

お客さまからは「旧UFJならできるのに、旧東京三菱ではできない
サービスがあるのはおかしい」などの不満の声が上がっていたそうです。

この不満解消のために、合併直後からシステム統合作業に着手し、
市場システムや海外向けのシステムは既に統一されているはずです。

今回は、旧東京三菱の基幹系システムをベースに開発した国内顧客向けの
基幹感情系新システムに、旧2行のシステムを移行する作業の第1弾で
あったのです。

しかも、12日は旧東京三菱店のデータを、旧東京三菱をベースに開発した
新システムに移行することであったのですから、一般的には比較的簡単な
移行と思われていたのです。

「障害が起きる可能性は、旧UFJ店のデータ移行より低い」と
みられていただけに、7月から12月まで5回に分けて段階的に実施される
旧UFJ店からの移行について、業界では

「想定外の障害が多発するのではないか」

と不安視する声も出始めているとのことですが・・・・・。

過去の事例に遡ると、2002年4月に旧富士、旧第一勧業、旧日本興業
の3行が合併し、発足したみずほ銀行では、初日に10万5000件の
口座振替の処理が遅れるなど大規模なシステム障害が発生しました。

障害は1カ月以上続き、処理遅れ250万件など顧客に多額の損失が
発生してしまいました。

金融庁から業務改善命令が出され、旧首脳の退任や退職金凍結に
発展したのです。

三菱東京UFJ銀は現段階では「今後の統合日程を見直す予定はない」
としていますが、障害が再び発生し、被害の規模が拡大すれば、
経営陣の責任問題に直結しかねないのです。

テストを実施するのは、担当者ですから、担当者のミスや手抜きや配慮漏れを
いかにして、二重三重に点検するかしか、障害の発生防止策はないのです。

この点検のための強固な組織体制を作り上げることが経営者の役割
ということでしょう。

システムの完全移行が終了するまでに、経営側もハラハラの連続という
ことでしょう。

■まとめ

大規模なバンキングシステムにしろ、小規模なシステムにしろ、
システムを正常に稼動させるということは、決して簡単なことでは
ありません。

コンピュータシステムは、即時処理、省力効果、利便性、等々と数多くの
メリットをもたらしてくれます。

企業経営にとっては、不可欠のツールであり、企業活動の根幹までを
支えている不可欠のものとして存在価値を増大してきています。

しかしながら、このシステムを開発し、システムを維持運用している部門
に関しての社会的な関心は薄いのではないでしょうか。

トラブルが発生すれば、トップやユーザーから大きなクレームとなる。

時には、マスコミの攻撃ともなる。

その割には、職場環境としては必ずしも恵まれていないのが現状です。

そして、開発要員は、外部からの数多くの派遣社員により構成されています。

従って、委託企業に対する忠誠心や責任感も必ずしも十分とはいえない
職場環境なのです。

職場環境としては、新3K職場という人もいる。

キツイくてキビシイ、かつ、キボウやキタイが持てない職場というのです。

IT業界という一見華やかな最先端分野のように思われがちですが、
大規模バンキングオンラインシステムのシステム開発分野は、
一般の人が想像する職場とは異なるということです。

この職場を活気ある生き生きとした職場に転換することが、
今後の経営の大きな課題と思えるのですが・・・・。

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