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2008年11月

2008.11.06

◆ゆうちょ銀行と全銀システムとの接続について

◆ゆうちょ銀行の全銀システム接続に関して

【はじめに】

ゆうちょ銀行は、平成21年1月5日に、全国銀行データ通信システム(全銀システム)
に接続することにより、全銀システムに接続している金融機関(約1,500行)
とのあいだで国内為替の振込ができるようになります。

このゆうちょ銀行と全銀為替システムとの接続は、
ゆうちょ銀行の設立当初から政治的な問題とシステム的な問題の二面から
問題が存在していました。

【ゆうちょ銀行の全銀システムへの接続の問題点】

第一の問題点としては、民営化当初からの巨大なゆうちょ銀行の圧倒的な規模による
「民営圧迫化」の議論です。

なんといっても、資産総額約220兆円を誇る、店舗数約2万を保有する世界最大の銀行であり、
ゆうちょ銀行の経営に関する施策は、競合する金融機関にとって、
その企業経営行動が脅威を感じさせることを意味します。

元々、郵便貯金事業は、郵政公社の時代から、民間銀行の最大のライバルでした。

全国的な展開や、効率を考慮しない経営姿勢に対しては、
民間金融機関は太刀打ち出来ず、イコール・フッティングを求める声が強かったのです。

そして、全銀協は、毎年「アンチ郵便貯金事業」のキャンペーンを繰り返してきました。

郵政民営化が進んでも、そうした“ゆうちょ銀行脅威論”が無くなったわけではありません。

むしろ、ゆうちょ銀行側では、貸し出し分野にも今後参入のスタンスを
見せ始めていることもあり、その脅威は増しているというべきでしょう。

 一方、ゆうちょ銀行を迎え撃つべき民間の金融機関の考え方は、
大中小の金融機関の集合団体である全銀協加盟の銀行が、すべて一枚岩というわけではなく、
ゆうちょ銀行のスケールと実力に対して、真正面から対抗するよりも、
「上手く提携して、メリットをとってやれ」という考えを持つ金融機関もあります。

実際、振込みなどの業務に関しては、既に個別に提携が実現していました。

また、ゆうちょ銀行が、住宅ローン分野への参入を意図して、
いくつかの地銀クラスの金融機関に、
事業提携に関する申し入れを行った事実も報じられています。

その他、いろいろな抜け駆け的な提携交渉が行われている可能性は否定できません。

今回、ゆうちょ銀行が金融業界内部の「民業圧迫」の反対を押し切って、
全銀協の内国為替決済システムへの接続を実現する方向に向かっている
意義はいろいな視点から考察していく必要があります。

今回の全銀為替システムへの接続システムの稼動は、
ゆうちょ銀行対民間金融機関の勢力地図を、
将来的に大きく変えるきっかけになる可能性が高いと思われます。

長期的な視点からみて、郵政民営化の成功は、ゆうちょ銀行の基盤が更に拡大していき、
民間中小金融機関が劣勢化が顕著になるという構図になる可能性が大ということです。


◆第二の問題点は、事務処理上の問題点

ゆうちょ銀行と全銀システムを接続する上で第二の問題点は、口座番号体系の相違です。

全銀システムに加盟している民間金融機関の口座番号体系は、
店番号3桁と口座番号7桁がベースとなっており、これと振込み人名により振込み口座が
確定されることになります。

ところが、ゆうちょ銀行の口座番号体系は、5桁の記号と8桁の番号より構成されています。

このままでは、相互に乗り入れするのは簡単ではありません。

そこで、ゆうちょ銀行側では、現在の口座番号をベースに、
3桁の店番号と7桁の番号に読み替えの新口座番号を発行することにより
この問題を解決することになっています。

この新口座番号の発行に関しては、ゆうちょ銀行の店頭窓口で確認することが可能であり、
ゆうちょ銀行のウェブ上でも新口座番号を確認できます。

この新口座番号を利用することにより、全銀加盟の銀行との為替振込みの
相互乗り入れが可能となるのです。

しかしながら、ゆうちょ銀行が絡んだ、為替の振込みに処理に関しては、
仕向け銀行、被仕向け銀行の組み合わせにより取り扱いが異なるために、
ゆうちょ銀行のお客さんは混乱を生じる可能性が大であろうと思われます。

なぜなら、ゆうちょ銀行から、振込みの相手が、ゆうちょ銀行の場合は、
旧来の口座番号体系であり、全銀加盟の銀行やコンビニ等のATMからのゆうちょ銀行への
振込みの場合には、新口座番号を利用するという二重構造が存続します。

慣れるまでは、この二重構造の区別を使い分けるのは簡単ではないように思います。

スタート当初は、混乱が生じることは避けられないものと思われます。

しかも、このゆうちょ銀行の新規に発番された店名は数字の店番号をそのまま使うことに
なっているようで、例えば、「ゼロゼロハチ店」への振込みということになっています。
店名は地域性等の意味は全くなく機械的な冷たい感じです。

苦肉の策ということでしょうが無味乾燥な店名を利用して、
この口座番号の問題を解決しているようです。

この接続システムが実現すると、ゆうちょ銀行から国内の殆どの金融機関へ
直接の為替振込みが可能になり、ゆうちょ銀行の利便性は大きく向上することになります。

決められたスケジュールで進行中のシステム開発ですが、
ノントラブルでのスタートを期待したいものです。

◆まとめ

ゆうちょ銀行が民間金融機関として、全銀システムに順次参加してくることは、
時代の流れの必然ということでしょう。

しかし、「圧倒的な巨大銀行」が本格的に活動を開始してきた場合、全銀加盟の全銀行、
および、信用金庫、信用組合等の中小金融機関へのインパクトは大きなものがあります。

郵政事業の民営化の方向を止めることは困難と思いますが、
強者が弱者を駆逐していく構造だけは避けたいものです。

既存の民間金融機関とゆうちょ銀行の棲み分けは今後とも
大きな課題となってくることでしょう。


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