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2009年6月

2009.06.18

◆「クラウドコンピューティング」でITコストの削減は可能か?


「クラウドコンピューティング」でITコストの削減は可能か?


◆はじめに

今回は、「クラウドコンピューティング」について考えてみたいと思います。

IT業界は、新たな新造語を数多く作り出す業界です。

この「クラウド」という言葉は、日本語に訳せば「雲」のことです。
インターネットの世界では、「ウェッブ」が「くもの巣」や「網の目」を
イメージすること同様に、コンピュータパワーを「雲」に例えて、
はるか遠くのもやもやしたイメージの概念を表現しているように思えます。


◆クラウドコンピューティングとは

このクラウドコンピューティングとは、インターネットに接続された、
コンピュータパワーを利用するIT活用の新動向です。

ITの機能を、電気やガス、水道、電話等の公共的なサービスと同様に、
コンピューターパワーを利用しようというものです。

IT利用の歴史を振り返ると、ITの利用形態は、常に「集中と分散」を
繰り返してきました。

コンピュータが世に出たころは、企業が自前でコンピュータを購入することは
考えられず、TSS(タイムシェアリングシステム=時分割利用システム)
という利用形態が普及しつつありました。

大型のコンピュータを端末を通して、共同で利用するという形態です。
TSSサービスを提供する会社が数多くあり、利用者は、
利用した分だけこの会社に利用料金を払うという仕組みでした。

その後は、コンピュータも徐々に低価格化が進み、先進的な企業では、
自前のコンピュータを持ち、自前のコンピュータシステムを構築していきます。
当然のことながら、自前のコンピュータセンターを持ち、自前のシステム開発・
運用要員を抱えていきました。
企業のビジネスや経営に役立つシステムの開発競争が始まったのです。
この過程で、ミニコン、オフコンが登場し、中小企業のIT化も推進されていきます。

そして、更には、IT技術の進歩は、パソコンとインターネットの登場により、
中小零細企業でも、個人でも手軽にコンピュータパワーを利用できるようになって
きたのです。

この進歩の過程では、コンピュータパワーの利用形態として、集中処理方式、
分散処理方式等の試行錯誤のシステム開発が繰り返されてきました。

そして、最新動向として、集中方式による「クラウドコンピューティング」への関心が
高まってきているのです。

1960年代後半に利用されていたTSSサービスと類似の利用形態が、
40年ぶりに復活しつつあるという印象があります。

勿論、当時の技術と現代の技術には、「雲泥の差」があります。

端末や回線のスピードも比較にならないほどの高性能、高速化しており、
利用できるコンピュータパワーも超強力なパワーを持っています。

「クラウドコンピューティング」は、インターネットというネットワーク技術基盤を
ベースに、自前のコンピュータを持たずに、第三者の提供するコンピュータパワーを
共同で利用し、IT開発コストや運用コストを低減させようという意味合いがあります。


「クラウドコンピューティング」は、従来から存在する
「ネットワーク・コンピューティング」、「ユーティリティコンピューティング」、
「SaaS」等のコンピュータの利用形態の延長線上の利用形態と考えても
差し支えありません。
決して、目新しいものではありませんが、新時代の新たなIT利用の形態として
注目されています。


◆クラウドコンピューティングの特徴

クラウドコンピューティングで使用される技術は、利用者とサービスを提供する企業
のコンピュータと標準化されたインターネット技術により接続されるのが普通ですが、
専用のプロトコル、ソフトウェア、ハードウェアを必要とするものもあります。

クラウドコンピューティングでは、ハードウェア・ソフトウェアの提供に限らず、
データベース・ソフトやビジネス・ロジックやユーザインタフェース、セキュリティ、
バックアップ、災害対策システムまでを総合的に提供しています。

業務処理に関しては、標準的なアプリケーションパッケージを利用するのが
基本ですが、ユーザ独自のニーズに合わせてカスタマイズや、独自のアプリケーション
を開発することも出来るようになっています。

自前でコンピュータシステムを開発、運用する方法に比較して、
ITに関わる関連コストの削減や、システムの開発期間の短縮が可能となることが
期待されます。


◆クラウドコンピューティングの問題点

クラウドコンピューティングは、いい面だけではありません。

いくつかの問題点も指摘されています。

コンピュータシステムを自前で保有し、カスタマイズや運用変更もできる場合と
比較すると、アウトソーシングによるコンピュータ利用により、
システムはブラックボックス化が進み、同業他社とのシステム面での差別化が困難で、
突然の変更に対応できないリスクも発生する可能性もあります。

基本的にはすべてのデータがクラウドコンピュータ側の雲のかなたに集約され、
蓄積されているため、海外のコンピュータサービスを利用する場合には、
重要データが海外のセンターに持ち出されることが問題になることもあります。

ピーク日、ピーク時には、利用者からの処理要求が集中して、
リスポンスの悪化現象が発生する事例も報告されています。

また、クラウドコンピュータサービス会社の経営不振による倒産や
サービス終了などでクラウドコンピューティングパワーを
利用できなくなってしまうリスクもあります。

この場合には、サービスを利用している企業の経営活動に重大な影響を
与える可能性もあります。


◆まとめ

IT技術や利用形態の変遷の歴史を振り返れば、いろんなことがありました。

企業活動の時代背景とコンピュータテクノロジィーの進歩に伴い、
ITの利用形態も多種多様の利用形態が存在します。

今回採り上げた、「クラウドコンピューティング」は、
筆者がはじめて企業に就職して取り組んだTSS技術の導入形態に遡ります。

歴史は繰り返すといいますが、40年前のコンピュータの利用形態と類似の形態が
再び現代に蘇ってきたような印象があります。

自前でコンピュータを持つ時代から、アウトソーシング、共有化、共同利用化等
の時代を経て、電力や水道、ガスのようなユーティリティーサービスとしての
利用形態へと変化してきているのです。

この新たな「クラウドコンピューティング」の利用形態は、
長短・リスクを十分に吟味した上で利用しすれば、
ITコスト削減効果のある方式となりうるものと思われます。

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