ATMについて

2005.04.20

■銀行ATMの各種機能について

 
■銀行ATMの各種機能について

 まだまだ、ATMの話題が続きます。
 少々うんざり気味かも知れませんが話題は尽きません。

 
 主要なATMのメーカーはだんだんと統合されてきたようです。

 富士通、沖電気(東芝を統合)、日立製作所(オムロンと合弁会社)、
 日本NCR、日本IBM、グローリー工業、ローレルバンクマシン
 その他のメーカーにより製造販売されています。

 問題なのは各銀行でATMの仕様が異なっているために、
 各メーカーごとに個別銀行向けの設計と個別の製造が必要です。

 部品メーカーの共通化が進んではいますが、
 製造コスト、メンテナンスコストも割高になっています。
 
 もうそろそろ、部品の共通化、仕様の共通化が必要な時期ではないでしょうか?
 実際には、メーカー側では、部品の専業化が進んでいるようですが、
 銀行の仕様は統一されていません。

 ATMの機能の差による差別化戦略は意味が薄くなってきています。

 お客様にとっても銀行によって操作方法や機能が異なるために、最初に使う場合には
 戸惑うこともあります。共通のインフラを設定し、共通仕様で各メーカーが製造する
 という形態に移行すべきと思います。

 
 日本は、製造立国に相応しく製造メーカーが乱立しています。
 
 他の国に比較して何を作るにも参入するメーカーが多いように思います。

 競争原理が働き、安くて、高機能の高品質の機器が開発される土壌となっている
 というだとは思います。

 これが日本の経済を支えてきた製造業の力なのかも知れません。

 しかし、無駄も多いように思います。

 PCのメーカーも多いし、家電メーカーも多い、その他自動車メーカーも
 多いと思います。製造立国日本の特異な特徴と思います。

 ATMもメーカーの数と銀行の数の組み合わせのATM仕様が
 存在するということになります。

 似たり寄ったりの機能ですが、銀行により仕様が少しずつ異なっているのです。

 いくつかの機能の特徴に関して、簡単に解説してみたいと思います。

■ATMの各種機能

 ATMの機能も各銀行のポリシィーやメーカーの基本技術の相違により
 細かい点ではいろいろな仕様が存在しています。

 ATM開発の過去の歴史を引きずっているということです。

■【入金機能】

 入金機能について最も重要なことは、
 紙幣や硬貨の真偽判定能力ということになります。

 偽札・偽硬貨の判別は簡単な技術ではありません。

 いろんな使用条件に耐えてきた紙幣や各種の硬貨を確実に
 真偽判定して、入金処理することができる技術の追及でした。

 新券と転々と流通してきた紙幣では、厚さや色合い等も異なります。
 いろんなところに汚れも付着しています。

 複写技術も進歩してきており、PC等で偽造した紙幣もあります。

 これらの紙幣の真偽を正確に判定する必要があります。

 今回の新紙幣は、随所に偽造に対する防止対策が組み込まれています。

 機械にとって判別が容易な要素も予め組み込まれています。

 当然ATMは、新規に発行される新紙幣に対応する必要があります。

 新券対応の機器改造コストは、最も重要な真偽判別機能に
 対するものということになります。

■【現金送出機能・現金リサイクル機能】

 ATMの現金送出・現金補充機能に関しても、
 メーカーや銀行によりいろいろと特徴があります。

 お客様が入金された現金はATM機器のリサイクル機構で、
 出金紙幣として再利用されるようになっています。

 この場合、旧い紙幣はATM内部の格納庫にしまい込み、
 比較的きれいな紙幣をリサイクルで出金することになります。

 このリサイクル機構にも、いろいろな工夫が組み込まれています。

 お客様のために出金する紙幣の裏表や前後をそろえて排出する機能があります。

 一時期には、旧い紙幣にアイロンがけと殺菌処理を行って現金を排出する
 というATMまでありました。

 これは、ATMの現金のリサイクル機能のために入金した紙幣を
 支払にまわすためにこのような機能を追加したものです。

 いかにも、日本人らしいきめの細かさです。

 一昔前ですが、海外で日本のバンキングシステムの講演をしたことがあります。

 ATMの入金機能の話をしたところ、外国人には信じられなかったらしく、
 多数の人から質問を受けたことがあります。

 外国の紙幣では考えられないことだったのでしょう。

■【為替振込機能】

 預金口座に資金を振り込む機能が為替振込機能です。

 同じ銀行の口座に振り込む場合、他の銀行の口座に振り込む場合等により、
 また、振込金額により振込の手数料が異なります。

 銀行によってもこの振込手数料の体系はバラバラになっています。

 振り込む資金に関しても、現金で振り込む場合、キャッシュカードを使い、
 預金口座の資金を使って振り込む場合があります。

 常時定例的に振り込む場合にいちいちデータを打ち込むのが面倒です。

 この面倒さを簡潔に処理するために、各銀行でいくつかの工夫があります。

 銀行によって方式が異なっているのです。

 為替専用の振込カードを使う方式、振込専用通帳を使う方式、
 予め登録してある登録番号を利用する方式等
 銀行により異なる方式が採用されています。

 これらも、各行ばらばらとなっています。

 取引銀行以外のATMを利用する場合には、混乱してしまいます。

 これらも統一すべきとは思うのですが、
 不統一のままがしばらくは続くものと思われます。

■【その他の機能】

 その他にもATMにはいろんな機能が付加されています。

 この機能は、銀行により異なります。ATMの機種によって異なります。

 主な特徴的な機能を列挙します。

 通帳に未記入の取引明細を印字するための通帳記帳機能、
 預金の口座残高等を照会するための機能や暗証番号変更機能もあります。

■【他社提携機能】

 ATMは、他行・他業態との提携機器として機能を拡張し、
 上記以外にもいろんな機能を付加されています。

 クレジットカードのキャッシングサービスや
 カードローンの貸し出し機能や返済機能までも組み込まれています。

 宝くじ購買機能、ロトくじの購買機能等を加えたものまであります。

 銀行店舗設置のATMが現金の入出金機能だけでなく
 多機能化の方向に向かっていることを物語っています。


■コンビニATMの出現

 コンビニATMの出現により、銀行のATM戦略に
 新たな変革をもたらしてきています。

 コンビニエンスストアーに簡易低コストのATMが設置されるようになり、
 24時間稼働のサービスを提供できる基盤が整備されることになりました。

 このコンビニ設置のATMと銀行との提携により、
 銀行店舗機能を補完する機能の一つとして
 大きな役割を果たすようになってきています。

 コンビニATMは銀行だけでなく郵政公社、生損保、証券会社、
 クレジット・信販会社等々と他業態との提携を拡大しています。

 全国のコンビニ店舗の約四分の一以上の店舗にATMが設置されており、
 利用件数もATM一台あたりで一日50件程度の時代から、
 採算ラインと言われている一台あたり70件に急速に近づきつつあります。

 IYバンクがセブンイレブンに展開しているATMは、
 利益を生み出す機器として成長してきています。

 顧客利便性でお客様の支持をうけると同時に、認知度が高まってきました。

 コンビニ設置の具体的なATM台数を調べて見ました。昨年のデータです。

 アイワイバンク銀行はセブンイレブンを中心として5,406台、提携金融機関49、

 イーネットはファミリーマートやサークルケイなどを中心に4,779台、
 提携金融機関23、

 ローソンATMネットワークスはローソンを中心に2,737台、提携金融機関9、

 三井住友銀行はAmPmに1,165台のATMを設置し三井住友銀行の提携する
 金融機関との取引を可能としています。

 相当な勢いで、コンビニ店舗のATM台数が増加していることがわかります。

■その他ATMに関するトピックス

◆統合ATM提携ネットワークが稼働開始しました。

 業態別に分かれていたオンライン提携システムの一本化が具体化しました。

 都銀、地銀、信託銀行、長信銀・商工中金、第二地銀、信金、信組、労金、
 農協・信漁連の9業態のCD・ATMの約11万7千台が
 統合ATM提携ネットワークシステムのもとで稼働を開始しました。

 全機能が稼働するのは、2004年5月連休明けからとなっています。

 オンライ提携システムでも、24時間稼働、受取人口座確認機能、
 リアルタイム振込機能等が実現することになります。

◆IYバンク銀行と信金ATMの提携が開始されました。

 全国の信用金庫の約1万9千台とIYバンク銀行の約6千台のATMの提携が
 実現しています。

◆りそな銀行と埼玉りそな銀行は、ATM画面で広告を開始することを発表して
 います。
 

■まだまだATMは進化し続けていきます。この辺でATMの話題は割愛します。 

 
 

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■銀行のキャッシュカードと通帳について

 
■今回は、ATMを利用するのに必要な銀行発行のキャッシュカードに関して
 のトピックスと通帳に関してのトピックスをとりあげたいと思います。

 
■◇磁気カードの全銀仕様に関して

 昭和40年代の後半にかけてCD設置施策を急速に展開し、
 個人顧客の囲い込み戦略を積極的に開始したのが当時の三菱銀行でした。

 この動きを察知した他の都銀は、三菱銀行の独走阻止の意味もあり、
 将来のATM提携を予測して、キャッシュカードの仕様の統一化を
 大義名分として全銀レベルでの仕様統一の談合提案を行いました。

 結果的には、標準化の基盤ができてよかったということにはなります。
 各行がバラバラの仕様でキャッシュカードを発行していたのでは、
 現在のようなATMの相互利用は不可能だったからです。

 全銀仕様の決定で、三菱銀行の単独戦略に対してブレーキがかかりました。

 CD機の改造やキャッシュカードの再発行で、三菱銀行は相当の代償を
 支払うことになってしまったのです。

 この時代に現在の日本独自の全銀統一のキャッシュカードの基本仕様
 が決定されました。

 一部の仕様の改定はありましたが現在でも基本は変わっていません。

 これが、日本独自の磁気カード仕様である全銀統一仕様です。

 この仕様は、国際規格と異なるもので、後に国際キャッシュカードや
 国際クレジットカードとの乗入れのときに問題が起こる結果を
 生むわけですが、原点はこの時代にあります。


■◇通帳印字装置に関して

 また、この時代には、CDに通帳印字機能を付加すべきかどうか
 の議論がありました。

 米国式の異動明細を定期的に郵送するステートメント方式と、
 日本の伝統的な通帳方式との優劣比較の議論がありました。

 異動明細リストの作成コストと印紙税、郵便料金等の比較、
 そしてなによりも日本人に古くから親しまれてきた通帳への愛着心
 の評価等に関して議論がありました。

 そして、当時の三井銀行が通帳重視の意思決定を行い、
 通帳印字装置付きのCD機を開発し、有通帳式のCDの展開を始めました。

 当時の三井銀行が有通帳方式のCD機を展開し始めたことをきっかけに
 それ以降のATMには標準装置として通帳印字機構が追加されるようになりました。

 この仕様は日本独自仕様です。
 この仕様が、ATMの仕組みを複雑化しATMの製造コストを引き上げ、
 オンラインのセンター側のソフトウェアも複雑化したことになるのかも知れません。

 ATMへの通帳機能付加は、功罪の両面の評価があります。

 今後の若い世代は通帳にこだわらない世代であり、
 将来的にはATMの通帳記帳機能は、ICカードへの記録方式や
 インターネット等での照会機能へと転換することになると思われます。


■CD機からATMの開発へ

 その後、CD機は現金支払機能や残高照会機能だけでなく、
 入金処理機能、為替振込処理機能、等の新機能が追加され
 新型のATMが出現することになります。

 そして、今ではATMはPC端末に現金の入出金処理機能のついた
 インテリジェント端末へと成長しています。
 
 顧客操作型の汎用的な端末入力機器へと変身してきているのです。

 従って、PC機能を利用して、暗証番号の変更や宝くじの購入等の
 新規の機能が比較的容易に順次追加されるようになっています。

 今後も、ATMはコンビニ等に設置された簡単な現金処理機能の
 端末機器と銀行店舗に設置してある重装備・多機能化機器の
 二極分化の方向に進化するものと思われます。

 ATM機器は、銀行の事務処理省力化の機器として開発されたものですが
 今や社会の金融処理インフラとしての重要な位置を占めるように
 なってきています。

 ATMシステムが障害が発生するとわれわれの社会生活に多大な影響を
 与えるようになって来ています。

 最近も、ATMネットワークのトラブルで正常処理ができないという
 障害が発生しましたが、トラブルなく安定したシステムの運営を
 お願いしたいものです。

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■ATM開発の歴史

☆ATM開発の歴史

 2号と3号は、ATMの新戦略に関して触れましたが、
 今回はATM開発の歴史を採り上げたいと思います。

■ATM開発の歴史

 銀行のATM開発の歴史は昭和40年代の第一次オンライといわれる
 バンキングシステムのオンライン処理が開始された時代にさかのぼります。

 バンキングのオンラインがスタートしてから数年後のシステム拡大期の
 初期の段階の40年の半ばにオンラインCD機が登場します。

 まず、現金自動支払機であるCDが開発される時代の状況を
 振り返ってみたいと思います。

 昭和40年代になって、都市銀行は大衆化路線という戦略を開始しました。

 それまで、都市銀行は、大手企業を取引の対象としていましたが、
 この時代から個人の取引に戦略の重点を移していきます。

 個人市場から預金を集めて、これを企業に貸し出して、
 利鞘を稼ぐという戦略の拡大です。

 低コストの資金調達源である個人のお客様の取引の拡充戦略と
 企業相手の運用先拡大という銀行戦略の明確化です。

 個人戦略展開のためには、大量の事務処理に対応する必要があります。

 このために、コンピュータによる大量事務処理システムの開発競争が
 開始されることになります。

■オフライン事務処理の形態

 この当時の銀行の事務処理は、NCR、バロース等の米国製の厚紙製の
 預金元帳に機械印字できるオフライン機器(単体で動く機器)を使っていました。

 預金元帳も紙の元帳で営業店で管理されていました。

 一部の機械では、紙の元帳に磁気ストライプを貼り付けて、ここに前残等を記録する
 単能機器も存在していました。

 しかし、この単能機器を使っての事務処理には、
 時間がかかり、人手もかかりました。

 お客様が窓口係り(銀行ではテラーと呼称しています)で、普通預金の支払を
 行う場合の事務処理体制を再現してみたいと思います。

 まず、お客様は普通預金の支払伝票に口座番号と支払金額を記入します。

 そして、通帳とこの伝票を窓口係(銀行ではテラーと呼称しています)に渡して、
 引き換え札をもらい、ロビーの椅子にもどります。

 このときテラーは、内容点検の上テラー印を押し、
 引き換え札の番号を伝票に記入の上で
 お客様に引き換え札をお渡しします。

 お客様は、事務処理時間がかかりますので、
 ロビーに備え付けの雑誌でも読みながら
 名前を呼ばれるのを待つということになります。

 
 一方、テラーは、お客様からお預かりした、
 通帳と伝票を後方の担当者に回します。

 後方の担当者は、この通帳と伝票を受け取り、
 該当の口座番号の紙製の預金元帳を
 口座番号順に並んでいる元帳保管ファイルから抜き出し、
 元帳上の前残と通帳上の残高を確認の上で、
 前残を打ち込み、出の取引区分を打ち込み、
 支払金額を打ち込みます。
 
 そして、通帳と紙の預金元帳を機械に差し込むと新残高が計算されて通帳と元帳に
 取引結果が印字されることになります。

 これを精査担当者に回し、入力の正当性を確認の上で、テラー印を確認の上で
 該当テラーに返却します。

 後方から、処理結果を受け取ったテラーは、この通帳と伝票の内容確認の上で、
 支払金額に該当する現金準備し、お客様のお名前をお呼びいたします。

 お客様がカウンターにこられると、引き換え札を確認し、
 引き換え札と引き換えに、お客様に通帳と現金を手渡すという手順になります。

 以上のような、プロセスで、随所にミス防止の仕組みを組み込み処理していた
 わけですが、それでも人間の処理することですから、ミスも発生します。

 このミスの発見に多大な時間を費やすことも時々発生していました。

 また、当時の端末は機械仕掛けでしたので、
 大きな音がしていたことを思い出します。

■オンラインバンキングシステムの開発

 この一連のプロセスの大量事務処理を省力化・合理化するためのシステムとして、
 預金元帳をセンターに設置したコンピュータシステムに記録する方式である
 オンライン方式が登場してきました。

 従来の紙ベースで営業店にファイルしてある預金元帳を、コンピュータセンターに
 設置した、磁気ディスク装置に記録保存する仕組みにしました。

 営業店に設置された預金端末と紙製の預金元帳をコンピュータセンターにある
 磁気ファイルに記録し、データ通信回線で結んで処理するシステムが
 開発されたのです。

 現在のバンキングシステムの基本的な形態であるオンライン方式の登場です。

 日本で最初に預金のオンラインシステムを稼働させたのは当時の三井銀行です。

 東京オリンピックで日本IBMが競技データの処理用に利用した
 コンピュータと同じ機種を利用して普通預金のオンラインシステムが
 開発されました。

 初めての経験ですから、今では考えられないいろいろなトラブルがありました。

 当時このシステムの開発に関係した方は、多数いらっしゃいます。

 このときの苦労話はいろいろと聞きますが、
 機会があればご紹介してみたいと思います。

 先人達の日夜を徹した努力の結果として、
 システムは無事スタートすることができました。

 これが、昭和40年、西暦1965年であり、今から40年前のことです。

 当時は、データ通信回線も未熟で200ボーという低速の通信回線でシステムが
 構築されました。

 現在の電話回線を利用するADSL回線の最高速度が40MBのスピードですから
 一秒間に40,000,000ビットのデータスピードに対して、当時はたったの200ビットの
 データしか送れないデータ通信専用回線を使っていたのです。

 このオンラインシステムの開発の歴史も別途説明したいと思います。

 このオンラインシステムの稼働拡大に歩調を併せて、
 口座自動振替システムの推進や現金自動支払機の開発が開始されます。

 既にご説明したように、当時の銀行の事務処理は大変で、女子行員が夜遅くまで、
 残業する職場でした。毎日夜遅く帰る日が続きました。

 この事務処理をなんとか合理化したいということで
 オンラインバンキングシステムが開発されたのです。

 中でも、窓口にこられるお客様への事務処理体制をいかに合理化するかが
 重要な合理化対策の要点でした。

 各種の合理化施策のシステムが開発されましたが、真っ先に店頭のお客様への
 現金支払事務の事務処理を合理化する方法が検討されました。

 当初は、外国製のオフラインのCD等の導入試行等もありましたが、
 最終的に、オンラインで現金支払可能なCD(現金自動支払機)が浮上してきました。

 このCD機(現金自動支払機)は、前述したテラーも含めた以後の
 事務処理プロセスを無人ですべて自動処理してくれるという
 画期的な機械の発明だったのです。


 ここから、CDの開発、そして、ATM開発の歴史が始まります。

 以下次号に続きます。

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2005.04.19

■ATM戦略の変遷(その2)

 ☆ATM戦略の変遷(その2)

■はじめに

 前回は、銀行のATM戦略が変わりつつあることを説明しました。

 そして、UFJ銀行の24時間稼働店舗の拡大戦略と
     三井住友銀行の年齢制限付きの新商品戦略を例示しました。

 今回は、これらの戦略の狙いと背景に関して、
     解説してみたいと思います。


■ATMの24時間稼働の問題点

 UFJ銀行が24時間稼働店舗を拡大する戦略を開始しました。

 なぜ、他の銀行も追従してATMを24時間稼働にしないのでしょうか?

 今までの銀行は横並びの意識が強く、どこかの銀行が新たな施策を打ち出すと
 すぐに追従するというパターンが多い業界でした。

 しかし、銀行は不良債権を抱え、横並び施策の余裕がなくなっていることも
 事実です。個別行の独自戦略が重要経営課題となってきているということです。

 ところで、ATMの全店24時間稼働はなぜ実施されないのでしょうか。
 欧米の銀行は24時間が当たり前なのに、日本では難しいのは何故でしょうか。

 ATMを24時間稼働させるかどうかを決定するためには、
 お客様のニーズとATM稼働コストの損得バランスの計算が必要となります。

 確かに、緊急の事態が発生したときなど深夜に現金が必要なときがあります。

 銀行のATMが稼働していないためにお困りになったという経験が
 あると思います。

 最近では、コンビニのATMが24時間稼働しているので
 この問題はある程度解決しているのかも知れません。

 ただし、コンビニのATMは24時間稼動でも銀行のセンターシステムが
 24時間稼働でない場合には利用できません。

 個別銀行ごとの事情があり、取扱時間には制限があるので、要注意です。

 金融機関がATMを24時間稼働させるためには、
 いくつかの検討ポイントがあります。

 第一に、深夜の現金ニーズがどの程度あるかということです。

 都心部や繁華街では確かに深夜遅くまで働いている方が多数いらっしゃいます。

 また、つい深夜まで遊んでいて現金を必要とする人もいらっしゃいます。

 これらのお客様のニーズにお応えするということは、
 お客様満足度を向上させるためのサービスの一環として重要課題と思います。

 第二に、センター設置のコンピュータシステムの24時間オンラインを
 フル稼働させるシステムの仕組みの開発と稼働コスト増の問題があります。

 オンラインバンキングシステムを24時間フル稼働させるためには、
 従来のやり方から新たな仕組みを開発する必要があります。

 インターネットサービスが24時間稼働を原則にしているために
 24時間稼働の仕組みを開発している金融機関は、増えてきており、
 ATMを24時間稼働させる条件は整ってきています。

 しかし、問題なのは、店舗に設置してあるATMを24時間稼働させるためには、
 周辺の運用体制のコスト負担が大きいということです。

 ATMを稼働させるということは、当然のことながらATMコーナーを
 運用維持するための電気代やセンター側の運用監視システムの準備が必要です。

 なにかのトラブルが発生したときには、警備会社の社員の出動を必要とします。

 このための警備会社との契約料の支払いも加算されます。

 ATMを24時間稼働させるという決定をするには、
 お客様へのサービス向上効果と運用コストの増加分が見合うもの
 であるかどうかという検討が必要ということになります。

 直接的な損得勘定から言えば、損益分岐点には程遠いということになります。

 イメージ効果とかその他のメリットを
 収益向上効果の勘定に換算する必要があるということになります。

 UFJ銀行のATMの24時間稼働戦略には、
 このようなコスト増の事情を勘案してでもスタートすべき
 イメージ戦略上のニーズがあったものと考えられます。


■ATMの通帳印字装置の問題点

 次に、三井住友銀行が通帳なしの年齢制限付きの預金口座を
 売り出した背景を考えてみたいと思います。

まず、新型預金の商品概要を簡単に説明します。

 要約すると、

  ・口座を開設できる人を20―39歳に限定
  ・キャッシュカードにクレジットカードなどの機能を付け、
  ・現金自動預け払い機(ATM)の夜間や週末等の手数料105円は無料
  ・預金通帳を廃止
  ・年齢制限のある預金は国内初。

 ここで、特徴的なことは、預金通帳を廃止したことです。

 預金の出し入れを記帳するための預金通帳は、
 銀行預金を銀行が受け入れるようになった時代からのものです。

 銀行との取引を開始するということは、
 預金通帳を持つということと同意義であるとの感覚があります。

 従って、中高年以上の利用者にとっては、預金通帳は、家計簿代わりの役割
 を果たすという意味でなかなか廃止することができない存在ということになります。

 しかし、現実問題として、最近の若い人たちは、通帳を利用しません。
 キャッシュカードだけで、現金を出し入れするだけです。

 従って、銀行のセンターのオンラインシステムの預金元帳には、
 未記帳のレコードが大量に溜まっていくことになります。

 いつ使われるか解らないレコードをセンターに記録しておくことは、
 センターのコンピュータコストの増加になり経済的ではありません。

 そこで、一定以上の件数の未記帳レコードはセンターでプリントアウトして、
 お客様にメールを差し上げるという方法をとります。

 しかし、ここでまた問題が発生します。
 郵送すべき住所にメールは届かないのです。

 なぜなら、キャッシュカードさえあれば、
 現金の出し入れに不自由はなく住所変更の
 登録が正確に行われていない口座が多数存在するということです。

 以上のように、通帳を発行するということは、コスト高につながる事になります。

 この問題の長期的な解決策のひとつとして、
 通帳廃止の商品が販売されることになったのです。

 これ以外にも、通帳を発行することにより、
 ATMや各種の店頭端末機器の製造コストが割高になっています。

 また、センターシステムも通帳処理のために複雑な処理を
 要求されることになります。

 銀行の通帳発行システムはコスト増とシステム複雑化の要因なのです。 

 このことについては、次回で採り上げたいと思います。

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■ATM戦略の変遷(その1)

 ☆ATM戦略の変遷(その1)

■はじめに

 さて、
 温故知新技術編の第2号に何をテーマとして取り上げるべきか悩みました。

 いきなり、バンキングアンライン開発の歴史からでは面白くありません。

 スタートからこれでは先が思いやられます。

 まず、
 身近に普及しているATMの開発の歴史を振り返ってみたいと思います。

 ATMは今では当たり前の身近な銀行の機器となっています。

 ここまでくるには、技術の進歩とお客様のニーズに対応してきた
 銀行の機器開発担当者の苦労と機器製造メーカの苦労がありました。

 この開発の経緯等を思い出しつつ書いてみたいと思います。

■ATM戦略の新展開

 今では、ATMは、金融機関の便利な省力機器として浸透してきました。

 ATM(Automatic Teller Machine)は、銀行の店頭受付係(テラー)の
 業務を自動化し、省力化するための機器として開発されたものです。

 そして、金融機関相互のATMの乗り入れが可能となり、
 ネットワークの広がりと機能拡張により社会の基盤システムとして
 普及してきました。

 更に共同の「統合ATMシステム」が、本格稼働(2004.5)すれば、
 取引行以外のATMでも、24時間稼働、入出金可能、振込口座事前確認等
 のサービスも可能になります。

 ATMは、金融機関の当たり前の機器として
 一般のお客様にも広く普及してきています。

 この金融機関のATM戦略もあらたな局面を迎えつつあります。

 この背景には、新札発券に伴い各金融機関はATM機器改造をせざるを得ません。

 新札発券により、現金を扱う各種の金融関連の機器の改造が必要となります。

 新券には、偽造防止の各種の仕組みが組み込まれています。

 http://www.mof.go.jp/jouhou/sonota/sonota.htm#aa 

 新札や新硬貨の発行があれば、駅の自動切符販売機や飲料水等の自動販売機の
 改造の必要があります。

 この機器改造に投資により、日本経済の景気向上の一助になるとの説もあります。

 金融機関の出費の拡大は相当な額になります。

 銀行設置の汎用ATMの一台あたりの改造費は、百五十万円前後と言われ、
 これに設置台数を掛けた金額が投資金額になります。

 不良債権処理で利益の大部分を償却処理に充てている金融機関にとっては
 大きな負担となっています。

 一方、機器を開発しているメーカーは特需で株価も上昇しました。

 ただし、特需後の需要減少を見越して、つい最近も日立とオムロンの事業再編が
     発表されています。

 このようにATM等の金融機関の機器は普及台数が増えてきたために、
 新札発行とかのインパクトに関して対応していくということは大変な痛みも
 伴います。

 そこで、ATM改造のコスト負担を契機としてATM戦略の見直しの機運が
 高まってきています。

 コンビニエンスストアーへのATM設置台数の拡大により、
 従来の金融機関が設置してきた金融機関のATMとコンビニに設置してある
 ATMとの棲み分けも必要となってきています。

■旧システムから新システムへの移行負担

 また、よくご存知の金融機関が発行しているプラスティクのキャッシュカードも
 ICカード化への転換の準備が始まっています。

 このICカード化に伴うATM改造も大変な費用負担になります。

 大量に発行されているキャッシュカードをICカードに切り替える作業は
 大事業となります。

 発行済みのキャッシュカードは、わが国の成人の大人ひとりあたりで、
 2-3枚と言われています。

 このうちのどの程度が実際に使われているかは不明ですが、
 確かに、2-3枚は財布に入っています。

 切り替え用のICカードの新規発行コストは当然のことですが、
 切り替えるための移行負荷のコスト負担は莫大な金額になります。

 しかも、一斉に切り替えることは物理的にも不可能なために、
 しばらくは、現行のキャッシュカードとICカードとの並存期間が必要です。
 システムは当然のことながら二重化することになります。

 新方式のシステムを採用するということは、
 常に現状のシステムからの移行の負担が伴います。

 この点が実務として大変な作業と期間・費用を必要とします。

 折角、新方式の良質なシステムが開発されても世のなかに普及するのには
 相当の時間と費用がかかるということは、ご承知のとおりです。

 身近な例として、地上TVのデジタル化に関しても、
 簡単には移行できません。コストと相当の期間を必要とします。

 TVの買い替えが完全に終わるまでは、
 二重の電波で放送を続けていく必要があります。

 また、旧型TVにアダプターをつけて、
 新方式のデジタルTVへの対応方法もつなぎとして
 必要になってくるかも知れません。

 このことは、今後採り上げるいくつかのテーマの中で、
 旧方式から新方式には簡単に切り替えることができないという
 現実の事情が存在するということの実例のひとつということになります。

■官業の民業圧迫

 今では、郵政公社の貯金の入出金処理にもATMが
 多数設置されるようになって来ました。

 自社のネットワークだけではなく、クレジット会社との提携や、
 一部の金融機関との提携を拡大しています。

 ご存知とは、思いますが、郵政公社と民間金融機関との間には、
 古くからの業際問題の論争があります。

 それは、官による民業圧迫というテーマです。

 郵政公社の民営化に関しては、政治問題化していますが、
 古くからの官の民業圧迫の問題が存在しているということです。

 論争の根底には競争の公平化の問題があります。

 官ゆえの特別優遇措置があり、競争が正当に行われていないからです。

 このために、折角のATMのネットワークも一部の銀行を除いては、
 相互乗り入れが実現していません。

 この論争に相互乗り入れが実現しない裏事情も存在しているのです。

■新ATM戦略の方向

 以上のように、ATMを巡る基盤が時代の流れの中で、
 大きく変化してきています。

 省力機器として開発されて金融機関の省力効果に多大の貢献を
 果たしてきたATM機器を単なる省力機器という視点だけでなく、
 戦略・戦術機器として見直すべきであるとの機運が高まってきています。

 既に、省力効果を十分に発揮している機器を更新する場合には、
 投資対効果の計算は難しい問題です。

 投資しても、これに見合う効果を得ることができないために、
 できるだけ既存の機器の延命化を図りたいのが経営の意思です。

 多大の投資が伴うわけですから経営としても
 多大の投資に対しての効果の見返りを要求するのは当然のことです。

 このような事情のもとで、都市銀行のビッグ4のATM戦略が新たな戦略を
 明確化する動きを見せています。

  ■UFJ銀行が広範囲の店で、ATMの24時間稼動を開始しました。

  ■三井住友銀行が時代を見据えた戦略として、若手マーケットに特化した
   無通帳を前提とした預金口座の販売を開始しました。

 両行の新ATM戦略の現われということになります。

 なぜ、これらのことが、新戦略なのかは、
 一般のお客様にはすぐには理解できないのではと思います。

 そこで、次回はこの問題の裏事情について説明してみたいと思います。

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