バンキングオンライン

2008.11.06

◆ゆうちょ銀行と全銀システムとの接続について

◆ゆうちょ銀行の全銀システム接続に関して

【はじめに】

ゆうちょ銀行は、平成21年1月5日に、全国銀行データ通信システム(全銀システム)
に接続することにより、全銀システムに接続している金融機関(約1,500行)
とのあいだで国内為替の振込ができるようになります。

このゆうちょ銀行と全銀為替システムとの接続は、
ゆうちょ銀行の設立当初から政治的な問題とシステム的な問題の二面から
問題が存在していました。

【ゆうちょ銀行の全銀システムへの接続の問題点】

第一の問題点としては、民営化当初からの巨大なゆうちょ銀行の圧倒的な規模による
「民営圧迫化」の議論です。

なんといっても、資産総額約220兆円を誇る、店舗数約2万を保有する世界最大の銀行であり、
ゆうちょ銀行の経営に関する施策は、競合する金融機関にとって、
その企業経営行動が脅威を感じさせることを意味します。

元々、郵便貯金事業は、郵政公社の時代から、民間銀行の最大のライバルでした。

全国的な展開や、効率を考慮しない経営姿勢に対しては、
民間金融機関は太刀打ち出来ず、イコール・フッティングを求める声が強かったのです。

そして、全銀協は、毎年「アンチ郵便貯金事業」のキャンペーンを繰り返してきました。

郵政民営化が進んでも、そうした“ゆうちょ銀行脅威論”が無くなったわけではありません。

むしろ、ゆうちょ銀行側では、貸し出し分野にも今後参入のスタンスを
見せ始めていることもあり、その脅威は増しているというべきでしょう。

 一方、ゆうちょ銀行を迎え撃つべき民間の金融機関の考え方は、
大中小の金融機関の集合団体である全銀協加盟の銀行が、すべて一枚岩というわけではなく、
ゆうちょ銀行のスケールと実力に対して、真正面から対抗するよりも、
「上手く提携して、メリットをとってやれ」という考えを持つ金融機関もあります。

実際、振込みなどの業務に関しては、既に個別に提携が実現していました。

また、ゆうちょ銀行が、住宅ローン分野への参入を意図して、
いくつかの地銀クラスの金融機関に、
事業提携に関する申し入れを行った事実も報じられています。

その他、いろいろな抜け駆け的な提携交渉が行われている可能性は否定できません。

今回、ゆうちょ銀行が金融業界内部の「民業圧迫」の反対を押し切って、
全銀協の内国為替決済システムへの接続を実現する方向に向かっている
意義はいろいな視点から考察していく必要があります。

今回の全銀為替システムへの接続システムの稼動は、
ゆうちょ銀行対民間金融機関の勢力地図を、
将来的に大きく変えるきっかけになる可能性が高いと思われます。

長期的な視点からみて、郵政民営化の成功は、ゆうちょ銀行の基盤が更に拡大していき、
民間中小金融機関が劣勢化が顕著になるという構図になる可能性が大ということです。


◆第二の問題点は、事務処理上の問題点

ゆうちょ銀行と全銀システムを接続する上で第二の問題点は、口座番号体系の相違です。

全銀システムに加盟している民間金融機関の口座番号体系は、
店番号3桁と口座番号7桁がベースとなっており、これと振込み人名により振込み口座が
確定されることになります。

ところが、ゆうちょ銀行の口座番号体系は、5桁の記号と8桁の番号より構成されています。

このままでは、相互に乗り入れするのは簡単ではありません。

そこで、ゆうちょ銀行側では、現在の口座番号をベースに、
3桁の店番号と7桁の番号に読み替えの新口座番号を発行することにより
この問題を解決することになっています。

この新口座番号の発行に関しては、ゆうちょ銀行の店頭窓口で確認することが可能であり、
ゆうちょ銀行のウェブ上でも新口座番号を確認できます。

この新口座番号を利用することにより、全銀加盟の銀行との為替振込みの
相互乗り入れが可能となるのです。

しかしながら、ゆうちょ銀行が絡んだ、為替の振込みに処理に関しては、
仕向け銀行、被仕向け銀行の組み合わせにより取り扱いが異なるために、
ゆうちょ銀行のお客さんは混乱を生じる可能性が大であろうと思われます。

なぜなら、ゆうちょ銀行から、振込みの相手が、ゆうちょ銀行の場合は、
旧来の口座番号体系であり、全銀加盟の銀行やコンビニ等のATMからのゆうちょ銀行への
振込みの場合には、新口座番号を利用するという二重構造が存続します。

慣れるまでは、この二重構造の区別を使い分けるのは簡単ではないように思います。

スタート当初は、混乱が生じることは避けられないものと思われます。

しかも、このゆうちょ銀行の新規に発番された店名は数字の店番号をそのまま使うことに
なっているようで、例えば、「ゼロゼロハチ店」への振込みということになっています。
店名は地域性等の意味は全くなく機械的な冷たい感じです。

苦肉の策ということでしょうが無味乾燥な店名を利用して、
この口座番号の問題を解決しているようです。

この接続システムが実現すると、ゆうちょ銀行から国内の殆どの金融機関へ
直接の為替振込みが可能になり、ゆうちょ銀行の利便性は大きく向上することになります。

決められたスケジュールで進行中のシステム開発ですが、
ノントラブルでのスタートを期待したいものです。

◆まとめ

ゆうちょ銀行が民間金融機関として、全銀システムに順次参加してくることは、
時代の流れの必然ということでしょう。

しかし、「圧倒的な巨大銀行」が本格的に活動を開始してきた場合、全銀加盟の全銀行、
および、信用金庫、信用組合等の中小金融機関へのインパクトは大きなものがあります。

郵政事業の民営化の方向を止めることは困難と思いますが、
強者が弱者を駆逐していく構造だけは避けたいものです。

既存の民間金融機関とゆうちょ銀行の棲み分けは今後とも
大きな課題となってくることでしょう。


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2008.05.19

◆三菱東京UFJ銀行の新システム移行に伴う障害について

◆三菱東京UFJ銀行のシステム障害について

■はじめに

三菱東京UFJ銀行自身が「最大の経営課題」と位置付けて臨んだ
世界最大のシステム統合と称しているシステムが初日からつまずいて
しまいましたね。

初日の5月12日のシステム移行開始直後、
セブン銀行のATMでの取引が不能となってしまいました。

ご存知のように、セブン銀行は、2001年4月に開業以来、
コンビニを中心として設置したATMが24時間・365日稼動しています。

この利便性が受け、取引件数は01年度の1400万件から、
07年度には4億9800万件に急増していて、株式上場まで果たした、
新興の専業銀行です。

この利便性の高いセブン銀行の13,069台のATMで
三菱東京UFJ銀行の取引ができなくなってしまったのです。

影響を受けた取引は、三菱東京UFJ銀行のお客さま取引の2万件とのこと
でした。

原因としては、ATMに出力するメッセージのカナコードと漢字コードの
設定ミスという単純ミスとのことです。

このケースに関しては、テストしていなかったために障害に結びついた
とのことです。

システムのテストは、完璧100%を保証することはできません。

想定しうるケースを人力で洗い出しテストケースの設定とテストデータを
生成します。

更に、
システムによりテストデータを自動発生させることによって生成する等
実際に起こりうるケースとデータの洗い出しからはじまります。

そして、これらのケースやデータを実際のシステムに当てはめて
正常稼動するかどうかをすべてのケースに関して確認することが
システムテストの目的です。

今回の障害については、このケースが設定されずテストも行っていなかった
ということなのでしょうか?。

ATM等ののネットワークが拡大するにつれ、24時間稼動の他社システム
との接続確認テストは困難を伴うことが多いのです。

テスト時間の設定も他社との交渉事であり、先方のスケジュールにも
大きく左右され、自由にテストすることが難しいのです。

このような環境の中でのテストを実施することになるのですが、
あらゆる取引データのテスト、トラフィックボリュームテスト、
障害発生時の復旧手順テスト等々とテストすべき項目は
数多くあります。

これらを限られた時間と環境の中でテストを実施する必要があるのです。

この中の1ケースがテスト漏れであったというのが公表の内容です。

それ以外にも、異常なケースはあったのかもしれませんが・・・、
大事に至らなかったトラブルもいくつかあったに違いありません。

比較的に順調な移行スタートだなと思っていたのですが、
夕方になって、他の対外接続システムで更なるトラブルが公表されました。

ゆうちょ銀行など6金融機関に口座を持つ顧客が旧東京三菱銀のATMから
入金できない障害が262件発生したと公表されたのです。

旧東京三菱銀のATMからゆうちょ銀などへの入金は、システム統合に伴い、
12日から新たに始める予定のサービスたったそうです。

入金できなくなったのは、ゆうちょ銀行のほかに日興コーディアル証券、
岡三証券、泉州銀行、大正銀行、中京銀行とのことでした。

旧UFJ銀のATMは以前から入金できており、障害も起きませんでしたが、
旧東京三菱銀行のATMに新規機能の追加した部分が正常稼動しなかった


この障害のケースも奇異な感じがします。

新機能の追加に関しては、特に慎重にテストするのが常識のはずなのに、
このテストが十分でなかったということだからです。

テスト管理のマネジメントシステムに欠陥ありと指弾されても仕方が
ありませんね。

今回のトラブルは、大規模オンラインシステムを運営管理する
関係者の感覚からすると最小限のトラブルで収拾できたという
安堵感があるものと思われます。

同様な経験を体験した者として、同感できるものがあります。

しかし、これからが更に、たいへんですね。

担当各位には、同情しますが・・・・・。

◆三菱東京UFJ銀行のシステム移行計画とは

ところで、三菱東京UFJ銀は合併後もオンラインシステムは、
旧東京三菱銀(IBM製)と旧UFJ銀(日立製作所製)の二つのシステム
を併用してきました。

お客さまからは「旧UFJならできるのに、旧東京三菱ではできない
サービスがあるのはおかしい」などの不満の声が上がっていたそうです。

この不満解消のために、合併直後からシステム統合作業に着手し、
市場システムや海外向けのシステムは既に統一されているはずです。

今回は、旧東京三菱の基幹系システムをベースに開発した国内顧客向けの
基幹感情系新システムに、旧2行のシステムを移行する作業の第1弾で
あったのです。

しかも、12日は旧東京三菱店のデータを、旧東京三菱をベースに開発した
新システムに移行することであったのですから、一般的には比較的簡単な
移行と思われていたのです。

「障害が起きる可能性は、旧UFJ店のデータ移行より低い」と
みられていただけに、7月から12月まで5回に分けて段階的に実施される
旧UFJ店からの移行について、業界では

「想定外の障害が多発するのではないか」

と不安視する声も出始めているとのことですが・・・・・。

過去の事例に遡ると、2002年4月に旧富士、旧第一勧業、旧日本興業
の3行が合併し、発足したみずほ銀行では、初日に10万5000件の
口座振替の処理が遅れるなど大規模なシステム障害が発生しました。

障害は1カ月以上続き、処理遅れ250万件など顧客に多額の損失が
発生してしまいました。

金融庁から業務改善命令が出され、旧首脳の退任や退職金凍結に
発展したのです。

三菱東京UFJ銀は現段階では「今後の統合日程を見直す予定はない」
としていますが、障害が再び発生し、被害の規模が拡大すれば、
経営陣の責任問題に直結しかねないのです。

テストを実施するのは、担当者ですから、担当者のミスや手抜きや配慮漏れを
いかにして、二重三重に点検するかしか、障害の発生防止策はないのです。

この点検のための強固な組織体制を作り上げることが経営者の役割
ということでしょう。

システムの完全移行が終了するまでに、経営側もハラハラの連続という
ことでしょう。

■まとめ

大規模なバンキングシステムにしろ、小規模なシステムにしろ、
システムを正常に稼動させるということは、決して簡単なことでは
ありません。

コンピュータシステムは、即時処理、省力効果、利便性、等々と数多くの
メリットをもたらしてくれます。

企業経営にとっては、不可欠のツールであり、企業活動の根幹までを
支えている不可欠のものとして存在価値を増大してきています。

しかしながら、このシステムを開発し、システムを維持運用している部門
に関しての社会的な関心は薄いのではないでしょうか。

トラブルが発生すれば、トップやユーザーから大きなクレームとなる。

時には、マスコミの攻撃ともなる。

その割には、職場環境としては必ずしも恵まれていないのが現状です。

そして、開発要員は、外部からの数多くの派遣社員により構成されています。

従って、委託企業に対する忠誠心や責任感も必ずしも十分とはいえない
職場環境なのです。

職場環境としては、新3K職場という人もいる。

キツイくてキビシイ、かつ、キボウやキタイが持てない職場というのです。

IT業界という一見華やかな最先端分野のように思われがちですが、
大規模バンキングオンラインシステムのシステム開発分野は、
一般の人が想像する職場とは異なるということです。

この職場を活気ある生き生きとした職場に転換することが、
今後の経営の大きな課題と思えるのですが・・・・。

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2008.04.26

◆バンキングオンラインのSaaS化は可能なのでしょうか?



バンキングオンラインシステムのSaaS化は可能なのか?

◆はじめに

サース(SaaS)という言葉をお聞きになったことがありますか?

SaaS=(Software as a Service)サース / サービスとしての
ソフトウェアのことです。

一般的な意味としては、ユーザーがシステム開発業者などからソフトウェア
の提供を受けるに当たり、必要な機能のみを選択して利用できるようにした
ソフトウェアのことです。

それを実現するためのメカニズム、あるいはそのようなソフトウェアの
提供形態(デリバリモデル)のことをいう場合もあります。

今後のソフトウェア利用の新たな方向と考えられています。

ところで、世の中には、既に稼動実績のあるソフトウェアをパッケージ化
して販売している事例が数多くあります。

金融機関用のパッケージソフトウェアもいくつかありますが、
多くのユーザーが共通に使用するソフトウェア機能の集合体となっている
ものの、一般にソフトウェアの進化・成長に伴って「肥大化」していきます。

そして、結果としては、ある特定ユーザーから見たとき、あまり使用しない
機能の増加を招いているのです。

これは、ソフトウェアの宿命ともいえるもので、開発当初に比較して、
機能要求の追加の連続によりソフトウエァは複雑化、肥大化を続けていく
習性があります。

ソフトウェアは10年以上にも継続して利用されている場合には、
当初とは比べ物にならないほど複雑化、肥大化してしまっているのです。

バンキングオンラインソフトも例外ではありません。

金融機関のシステム部門にとっては、前述の「SaaS」のようなシステム
が存在すればそれは理想の姿なのかも知れません。

バンキングシステムに関しても、既にSaaSにはほど遠いとはいえ、
類似のサービス形態に近づくサービス形態として、システムの共同開発、
システムの共同運営センター等々とシステムの開発、システムの運営に
関してもアウトソーシングの事例が増えてきています。

この傾向は、当然のことなのです。

自前でシステムを開発し、自前でシステムを運営し、
システムを維持メンテナンスすることは、現実の問題として人材確保の側面、
経済的な側面から経営的視点からみても不可能な時代となっているのです。

◆システム開発要員の悩み

最近、システム開発に従事している担当者からの悩みを聞くことがあります。

団塊の世代がシステム開発の現場からリタイヤーしていき、
システムのメンテナンスが後進に残されていきます。

このシステムのメンテナンスに不安が生じているのです。

複雑化し、肥大化したシステムの維持管理は、決して楽な仕事ではありません。

システムは生き物です。

常に社会の変化、制度の変化、ユーザーの要求等々により、
進化を要求される宿命にあります。

各種の要因によるシステムの変更の要求に対して、
どこをどのように修正すればよいのか、修正箇所がわかり、
修正方法がわかり、実際に修正しても、
この修正結果がシステム全体に悪影響を与えないのかの確認のために
膨大な量の慎重なテストを必要とするのです。

念には念をいれて数多くのケースを想定したテストを実行したとしても、
完璧ということはありえません。

人間の能力には限界があり、何%かの確率で見落としがあり、
これが想定外のシステムトラブルとなってしまうのです。

現在のバンキングシステムは社会インフラ化しており、
システム障害が発生すればその影響は多大です。

従って、システムメンテに従事する要員の責任は重大となっています。

システムメンテナンスの仕事は、ストレスの高い仕事となっており、
地道で厳しい仕事であり、決して楽しい仕事ではないのです。

今後ますます、
要員確保の難しい分野となっていくことは確かなことなのです。

◆ソフトウェアのハードウェア化現象について

コンピュータシステムのソフトウエアという言葉は、
ハードウェアという言葉の対のことばとなっています。

本来は、コンピューターというハードを動かすためにユーザーの要求に
対してソフトに対応できるということなのです。

しかしながら、経年経過したの大規模なソフトは、複雑化、肥大化し、
硬直化してきています。

ソフトウェアはソフトという概念から程遠い柔軟性を失った
ハード化しているのです。

最近、ソフトウエァの大規模トラブルが発生し、ソフトウエァトラブルから
派生した損害に関する賠償責任訴訟問題、
動かないソフト開発に関わる訴訟問題等々と
ソフトウェアのトラブルが司法の場に登場する時代になっています。

これらの現象は、バンキングシステムのソフトクライシス現象が
顕在化する時代になったということです。

◆バンキングオンラインのSaaS化は実現するのか?

バンキングシステムソフトの数々の問題を解消する方法は
存在するのでしょうか?。

ソフトクライシスの解決策として、ケーブルテレビや電話などの
“サービス”のように、ユーザーが利用したい機能を必要になったときに
ネットワーク経由でサービスプロバイダから直接入手し、
その使用分に対して対価を支払うようにするというコンセプトが
「SaaS」ですが、もしもこのようなサービスが存在すればと
考えるのは当然のことです。

バンキングシステム分野でも、既に共同利用センター形式でのSaaSに
類似した形態のサービスが存在しています。

今後、一部のアプリケーション分野では、
この形態でのサービス提供は拡大していくものと思われます。

◆まとめ

バンキングシステムに限らず、社会インフラ化した大規模
オンラインシステムは、ソフトウェアクライシスの現象化の傾向が
増大しています。

東証のシステムトラブル、飛行機の予約システムのトラブル、
バンキングオンラインのシステム障害も時々マスコミ報道されています。

団塊の世代の構築してきたシステムが、世代交代に伴い、
ベテラン技術者の欠落した状態で後進者に引き継がれていくものの
システムの維持管理の能力は低下の傾向にあります。

システムの複雑化、肥大化に伴うハード化現象とベテラン要員の欠落化の
現象というダブルパンチを受け続けるバンキングオンラインは、
システムクライシスに直面しています。

果たして、
大規模システムのシステムクライシスの解決策は存在するのでしょうか?

金融機関の経営にとっても、システムクライシス解消の方法は大きな経営の
課題となっているのです。


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2008.02.18

◆三菱東京UFJ銀行の統合システム移行について(その2)

◆三菱東京UFJ銀行の統合システム移行について(その2)

前回に引き続きのテーマです。

【過去の経緯】

三菱東京UFJ銀は正式には、2006年1月に発足したが、
金融庁からシステム統合(1次統合)の準備が不十分だと指摘され、
合併時期を3か月延期した経緯にある。
今回(2次統合)についても専門家による立ち入り検査を行い、
準備作業を点検するという。

5月からのシステム統合で障害が起きれば、
2002年のみずほフィナンシャルグループのシステム統合時のように、
クレジットカード決済や企業間の資金決済に大きな影響が
出ることになりかねない。

大規模なシステム統合だけにトラブルも予測しにくいとみられ、
三菱東京UFJ銀にとって今年最大の経営課題となる。

【システム部門には休みなし】

システム開発部門は休む暇はないが、営業店の一部の行員も休日出勤して、
システムテストに参加することになる。

システム部門の行員は勿論のこと、コンピューターメーカー、
システム開発会社は当分の間は、臨戦態勢の緊張の連続ということなろう。

関係各位は、トラブルゼロで当たり前、何かのトラブルが発生すれば、
マスコミの記事となるという緊張の中での作業が続くことになる。

ご苦労様とエールを送りたい。

【既に小さなトラブルも発生】

三菱東京UFJ銀行の発表によると、システムの不具合により、
2007年8月9日~11月27日に
現金自動受払機(ATM)で印字した通帳のうち、
取引履歴が正確に印字されないシステム障害が
最大2378件発生していたとのこと。

ATMのソフトの設定ミスが原因で、
取引自体は正しく処理されているという。

旧東京三菱と旧UFJのシステム統合へ向けた作業の一環として
ソフトを更新した際、ATM1500台でミスが生じたという。

既に、システム統合のミスは発生しているのである。

システム開発に完璧はあり得ない。

今回の金融庁の検査も、検査する側も検査を受ける側も
ノーミスを保証できるわけではないが、
念には念を入れて計画と検証方法に関しての点検作業を行うということ。

【統合システムの内容】

三菱東京UFJ銀行のATMは現在、
旧2行のATMごとに提供するサービスや営業時間帯が一部異なる。

旧2行のシステムを並行接続して使用しているためで、
統合システムによりようやく一本化される。

統合対象のATMは、旧東京三菱約3千台(約1600万口座)、
旧UFJ約6千台(約2400万口座)。

旧2行のATMサービスを比較すると、
時間外利用手数料の優遇などで旧UFJ側の顧客サービスのほうが
やや手厚い。

統合システムで、そうした旧UFJのサービスが
旧東京三菱の顧客にも適用される。

一方、利用頻度や効率が低いなどで休止や廃止されるサービスもある。

たとえば、
旧UFJのATMが近畿・東海で展開してきた
「ロト6」などの宝くじ販売は、今年5月から1年間休止。

等々とサービス上の変更も発生することになる。

【統合システム移行の手順】

統合システムは、旧三菱銀行システムのインフラを再構築し、
旧UFJ銀行から移植するアプリや新アプリを搭載したものとなる。

5月の連休中にまず、旧東京三菱銀行のシステムが、
統合システムに一斉切り替えとなる。

そして、
残りの約420の旧UFJ店舗は、
順次分割され統合システムに移行される予定。

この移行作業は、店舗単位の全面移行となるので、
危険分散と作業負荷分散のために分割移行の手順を踏むことになる。

過去の例からいって、各段階で必ず何かのトラブルはつきものであり、
関係各位の慎重な上にも慎重な作業が必要となる。

【システム統合費用は?】

ところで、気になるのはシステム統合費用だが、
2009年度までの中期経営計画で、
従来2006年度からの4年間で総額約3600億円
(年平均900億円)としていたシステム関連などの統合経費を
総額約4000億円(同1000億円)に増額すると発表している。

第一段階の移行費用が800億円と発表されており、
今回の第二段階の費用は1千億円の予定とのこととしていたが、

その後、
移行期間、移行方法とも当初計画から大きく変わっているので、
当初計画よりは、大幅な予算オーバーとなっている。

三菱東京UFJ銀行のシステム部門長の講演会などでの講演内容では、
ピーク時9500人(内グループ社員2500人)が第二段階での要員数。

サブのプロジェクト数は1千を超えるとのこと。

第一段階でのシステム投入の3万人月と合わせると合計で
11万人月のプロジェクトと推定される。

1日5千万件のオンライン取引、内外30万端末、内外の店舗数800の
世界最大規模のシステム統合プロジェクトということになる。

膨大な費用と人員を投入した巨大プロジェクトの成功を見守りたい。

【まとめ】

三菱東京UFJ銀行の統合システム移行で、
ビック3バンクのシステム統合は完了する。

みずほ銀行、三井住友銀行の統合システムは、
大小様々なトラブルが発生したが、既に一段落している。

次の段階として、
「次世代システムの開発構想」が、暗黙裡の中で検討されている。

そういう意味では、三菱東京UFJ銀行は、
2008年中にようやくシステム統合が完了することになる。

統合費用4000億円という膨大な費用と、
ピーク時で9000人の人員、11万人月の開発要員を投入した
巨大な統合システムは完成の形ではない。

取りあえずの統合システムということであり、
更に、「次世代システム」の開発に着手せざるを得ない。

バンキングオンラインシステムの歴史は、
機能追加、ネットワークの拡大、経営の合併等を繰り返し、
巨大化、肥大化の一途となっている。

バンキングオンラインシステム自体は、
制御不可能な規模に肥大化してしまっている。

恐竜が巨大化しすぎて、滅亡してしまったように、
巨大システムには、巨大化したために内包する各種の脆弱性
というリスクを抱えている。

社会インフラとして定着してきたバンキングオンラインシステムの
維持と開発運営はますます困難さを増大してくる。

この肥大化してしまったシステムを制御し、
次世代システムへ進化させるためには、
相当の期間と費用とリスクを覚悟しなければならない。

果たして、この巨大システムに関わる次世代の人材の養成はどうすべきか?

将来に向けての大きな銀行経営の課題といえよう。

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◆三菱東京UFJ銀行の統合システム移行について(その1)

◆三菱東京UFJ銀行の統合システム移行について(その1)

今年金融ITの世界で大きな話題は、
三菱東京UFJ銀行のシステム統合の問題である。

三菱東京UFJ銀行は、2005年10月1日にグループとしては
合併したものの、システムは統合されず、
旧行ベースのシステムが並行稼動しており、
併合された店舗内では、2行の窓口は別々であり、
旧行ベースの取引が続いていた。

同一のカンバンの下で、システム上は依然として2つ銀行が存在している
こととなっていた。

お客は、店頭で旧行取引がどちらかにより、窓口で振り分けられ、
旧行ベースでのサービスを受けていたのである。

この不便さが、2008年中には3年ぶりに解消されることになる。

システム統合に関しては、みずほ銀行が合併システム稼動時に
システム障害起こし大混乱となったことを想起させる。

巨大システムの統合は、一旦システム障害が発生すれば、影響は大きく、
個人の生活への影響に限らず、法人取引にも重大な影響を与えることになる。

また、
システム障害の後遺症は長期間続くことになり、実質的な損害も発生する。

【金融庁の事前検査】

そこで、システム統合にあたり、金融庁の事前検査も開始された。

5月から世界最大規模となるコンピューターシステム統合への移行が
開始されるからである。

約4000万の預金口座を持つ同行でトラブルが起きれば
影響は極めて大きく、金融庁は1月10日から統合作業の準備状況を
チェックするための検査に入った。

同行のシステムの統合に関しては、
第一段階として、
合併時の相互乗り入れ(Day1)これは、2006年1月4日完了。

第二段階としては、
旧東京三菱銀行システムベースの統合システムへ旧UFJ銀行システムの
移行(Day2)が2008年中に行われることになる。

これが、無事・安全に完了した段階で、
新システム開発(Day3)の計画となっている。

今年は、第二段階の統合システムへの移行であり
長い道のりの中間段階でしかない。

【統合システムへの移行プロセス】

具体的には、2月以降、週末や祝日に現金自動預け払い機(ATM)
を一時停止するなどして、
統合システムテストを繰り返し行い安全性の確認を行う。

このために顧客取引への影響がでることは避けられない。

安全が確認された段階で、5月の連休中に旧東京三菱店
(約250店)を統合システムに一斉に切り替え、
その後、7~12月に旧UFJ店(約420店)を
段階的に移行する計画となっている。

この計画のための事前のテストや統合作業などのため、
2月~2009年1月の週末や祝日に計12回、
ATMやインターネットサービス(三菱東京UFJダイレクト)が停止する。

店によっては最大でシステムの停止時間が合計で82時間に
及ぶことになるとのこと。

ATMの停止中は、同行の預金者は、提携する他行のATMや
コンビニエンスストアのATMでも預金の引き出しや預け入れができない。

勿論のことであるが、
他行の預金者も三菱東京UFJ銀のATMが使えなくなる。

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2005.05.01

■ペイオフと「名寄せシステム」について

ペイオフの本格的解禁と「名寄せシステム」について

■はじめに

2005年4月からついにペイオフが本格的に実施されました。
言うまでもなく、当座預金や利息の付かない普通預金は「決済用」として全額
保護され、定期預金や利息の付く普通預金などは1金融機関につき預金者1人
当たり、元本1千万円までとその利息が保護される制度が解禁されました。

この「ペイオフ解禁」までには、紆余曲折がありました。

ペイオフ制度そのものは、1970年代に創設されましたが、90年代初頭に
信用組合の破たんが続き、ペイオフを凍結解除すると、預金者に動揺が広がり、
ひいては金融システムの危機につながりかねないと判断して、ペイオフ制度を
緊急避難的に凍結しました。

1996年には、2001年3月末までの間、特例措置として預金の全額を保
護することを決め、再び2002年3月末までペイオフ凍結を延長することに
しましたが、更に、再延長になり、2005年4月から本格的に開始になりま
した。ペイオフ制度は、創設から実に30年以上もかかったと言うことです。

ところで、このペイオフで問題になるのは「名寄せシステム」の方法について
の問題です。バンキングシステムは勘定の処理に関しては厳密な処理システム
を構築しているのですが、お客様の属性情報の管理システムに関しては、ルー
ズな面がありました。

マネーロンダリングの防止のための「本人確認法」の施行により、個人に関し
ての属性データも厳密に管理されるようになりつつありますが、それ以前の個
人の属性情報に関しては、借名預金や架空預金口座が多数開設されていました。
また、新約時には正確であったデータも更新がなされておらず、使えない、ご
み情報が多数存在しています。

皆さんは、銀行の預金口座で転居時に、住所等を変更なさっていますか?
結婚して姓が変わったときに改名届けをだしていらっしゃいますか?
転職した場合、銀行に届けを出していますか?

キャッシュカードが普及したために、キャッシュカードさえあれば、現金の出
し入れは不自由しないために、住所や勤務先の変更をしないでほったらかしの
お客様が多いのです。
これらの更新されない古い情報を使ってのマーケット分析には自ずから限界が
存在しています。いわゆる「GIGO」(ギャベッジ・イン・ギャベッジ・ア
ウト)と呼ばれる、役に立たない高額なシステム開発費用を支払った「情報シ
ステム」が数多く存在しています。

そこで、今回は、この「名寄せシステム」について考察してみたいと思います。

■名寄せシステムとは?

ところで、銀行の大衆化路線戦略とバンキングオンラインの普及により、個人
のお客様も法人のお客様も複数の金融機関に複数の取引口座を持ち、金融商品
が増えるに連れ、ひとりでいくつもの口座を開設したり、同じ銀行に何種類も
の商品を預けることが当たり前のようになっています。

ところが、ペイオフ解禁で預金の保護範囲が限定されるに伴い、預金の主体が
誰なのか明確にならないと預金総額を算出することが出来ません。その主体を
確定させることで重視されるのが「名寄せシステム」です。
「名寄せ」とは1銀行で1預金者の預金の合計金額を特定させる作業のことと
定義されます。従って「全店名寄せ」が必要になります。この「全店名寄せ」
は、実際に実施するとなるとデータの不備等により、いろいろな問題が発生し
てきます。

「名寄せ」の歴史は、バンキングシステムにとっても、古くて新しいテーマな
のです。

そこで、今回はこの「名寄せシステム」に関して過去を振り返ってみたいと思
います。

■CIFの時代

そもそも、「名寄せ」と言う言葉は、1960年代の第一次オンライン時代に
遡ります。
私が銀行に入行した1968年に始めて目にしたマニュアルが、米国のバンク
オブデラウェという銀行のCIFシステムの英文の事例マニュアルでした。

バンキングシステムがコンピュータで処理されるようになり、折角コンピュー
タ化されたデータを有効利用しようということになり、CIF(カスターマー
・インフォメーション・ファイルの略)の言葉が登場しました。バラバラのシ
ステムに分散しているデータを一元的にまとめて、総合的な顧客情報管理シス
テムを作ろうということに原点があります。

米国では、英数字文字の文化ですので名前もアルファベットでコンピュータに
入力が可能でした。しかし、当時、日本に米国から輸入されたバンキング用の
システムは、カナや漢字の処理する機能はなく、ローマ字か英文字と数字だけ
を使ったバンキングオンラインからスタートせざるを得ませんでした。ローマ
字の「名寄せシステム」には限界があるのは当然でした。また、この時代のコ
ンピューターシステムは、ディスク装置も高価であったために顧客属性等の登
録を最小限にした磁気テープベースのシステムでお客様の情報を一元的に活用
して、顧客採算等を分析しようと言うものでしたが、「名寄せ」は人手により、
CIF番号を採番し、これに口座番号・取引番号を関連付けると言う仕組みの
システムでした。

従って、名寄せの対象先は、大口の優良顧客に限定されたものでした。

■CISの時代

1970年代になり、第二次オンライン時代になると、「総合オンライン」と
いう概念になり、カタカナを利用できるようになりましたが、漢字を本格的に
使うまでには至っていませんでした。しかし、預金・為替・融資・ローン・外
為等の業務処理が総合オンラインシステムとして連携して動くようになってい
きます。

単に、情報の一元管理だけでなく、事務処理の省力化にも大きく貢献するよう
になります。この中で省力効果の大きかったシステムが預金と為替の自動結合
システムでした。この時代の為替の振込電文には現在と異なり、口座番号が入
力必須項目ではありませんでした。そのために、カナの振込人名から振込口座
番号を索引して、自動的に預金口座に振込入金処理を完結すると言うシステム
の開発を行いました。

即ち、この時代の「名寄せシステム」の関心は、同名異人、類似名の処理がシ
ステム構築の関心事でした。如何に、正確に、為替と預金の自動結合率を上げ
るかに関心を示した時代です。その後、為替の振込には、振込口座番号の入力
が必須項目になり、自動結合率は飛躍的に向上したのですが、これ以前のシス
テムとして「預為結合システム」の開発を懐かしく思い出されます。

この時代には、CIFは単なるファイルを作成するだけでなく、システムとし
て有効活用するという意味で、CIS(カスターマー・インフォメーション・
システム)とも呼んでいました。

■M-CIFの時代

CIF/CISのことをM-CIF(マーケティング・シフ)と呼ぶようにな
ったのが第三次オンラインの時代です。
1980年代の第三次オンライン時代になると、事務処理の省力化の追及は勿
論のことですが、バンキングシステムは、マーケティング戦略に活用すること
に重点を置いていきます。バンキングシステムを戦略ツールとして活用してい
こうという意識が高まっていきました。

お客様の情報を業容拡大、新規顧客の開拓、潜在顧客の掘り起こし等に活用し
ていこうということに関心が向いた時代です。従って、お客様の属性情報をで
きるだけ多く入力し、この属性情報を利用してマーケティング戦略に利用しよ
うという時代です。
この時代には、銀行店舗の開設には規制があり、どこに出店すべきか決定する
ためにエリアマーケティングの手法が適応された時代です。

■CRMの時代

カスターマー・リレーションシップ・マネジメント(CRM)と呼ばれる時代
がくるのが1990年時代以降になります。インターネットバンキングやテレ
ホンバンキングの普及、ATMのネットワークの拡大により銀行店舗に行かな
くても銀行取引の大部分を処理できるという時代になりました。お客様の「店
頭離れ」という現象が顕著になってきたのです。

銀行とお客様の接点がマルチチャネル化することになり、お客様との接点が多
重化してくるためにお客様とのリレーションシップを重視するためのシステム
の構築が必要となったのです。お客様の銀行取引に関してのビヘイビァや電話
での照会に接遇するためのコールセンターの機能の拡張がはかられました。

ここでは、マルチチャネルでの取引を一元的に管理するための「名寄せシステ
ム」が必要となってきたのです。

■本格的なペイオフ時代

今年から、本格化したペイオフ実施の時代になると「預金保険」の支払のため
の「名寄せシステム」が重視されるようになります。ところが、バンキングオ
ンラインの歴史から取引の長いお客様の属性データは不完全な状況でシステム
が稼動しているのです。従って、「名寄せ」に必要な最低限の「氏名・生年月
日・住所」すら正確に入力・保存されていなかったのです。これが、ペイオフ
のための「名寄せシステム」の精度向上が問題としてクローズアップしてきた
ということです。

■まとめ

「名寄せシステム」という言葉は、IT技術の進歩と金融環境の変化によりい
ろいろと意味合いが異なってきました。

その時々のニーズに応じて、「名寄せシステム」は、進化を遂げてきたわけで
すが、根本的な問題として、「本人確認法」の施行以前のデータは精度が低く、
その後の更新もなされないままに放置されていたというのが現実です。

従って、コンピュータに蓄積された、属性情報は、現実とは離れた情報を蓄積
していることになります。従って、これらの情報を更新するための仕組みを組
み込む必要があります。この方法として、ローンやクレジットカード等のセッ
ト販売により、新規データに更新する等の方法が必要ということになります。

単純に「名寄せシステム」といっても時代背景により、異なる意味合いがある
ことをご理解いただけたでしょうか。

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■フィシングに関して

今回は、最近話題になっている「フィシング」について書いてみたいと思います。

「UFJ銀行をかたったフィッシング・メールが3月14日夜に確認された。」とい
う報道がありました。いよいよ銀行も狙われ始めたと言うことです。このフィ
シングメールでは,「オンラインでの本人確認が必要となる」として,偽のサ
イトに誘導。ログイン後にクレジットカード番号や有効期限などの入力を促し
ているとのことです。現時点では、「金銭的な被害が発生する可能性は低い」
とのことですが、今後も各種のフィシングメールが皆さんのメールシステムに
飛び込んでくるかも知れません。ご注意ください。

このUFJ銀行の偽サイトはすべて海外にあり、日本のフィッシング情報サイ
トによると,韓国やアルゼンチンにあるサーバーがクラッカに不正アクセスを
受け,UFJ銀行に似せた偽コンテンツを置かれたとのことです。

ところで、「フィッシング」とは何でしょうか?

 このフィッシングは、英語のfishing(魚釣り)ではありません。「phishin
g 」と書きます。個人の情報を盗み取り、金品を釣る上げるということで、意
味的にはfishingですが、英語では、phishingと書くのだそうです。

なぜ“f”ではなく“ph”なのでしょうか。ユーザーを釣るためのえさ(メー
ル)が“sophisticated(精巧)に組み込まれているから”、ということのよ
うです。

フィッシング犯罪の多発している米国では、その手口は数百種類にも及んでい
るそうです。米国で被害にあった人の苦難をテレビで見ましたが、人生を狂わ
されるような被害も多発しているようです。われわれも気をつけたいものです。

一般的なフィシングの手口は以下のような手順で行われています。

?実在の大手金融機関やクレジットカード会社、ショッピングサイトなどを装
ったメールを非合法に入手したり、また、ランダムに収集したメールアドレス
に送付します。

?メールにリンクを貼り付けて、その金融機関やショッピングサイトにそっく
りな「罠のサイト」に誘い込みます。

?偽のサイトで、クレジットカード番号やID・パスワードなどを入力させてそ
れを入手するのです。

?入手した個人情報を利用して、ネットショッピングで買物をしたり、クレジ
ットカードの偽造カードを作り、キャッシングサービスで現金を入手します。

 ほとんどの人は、インターネット上でクレジットカード番号やID・パスワー
ドなどの情報を入力することは危険であるということは知っています。
しかし、フィッシングの場合、実在する大手金融機関や一流企業の名前でメー
ルが届くので、現実にはその電子メールが偽者であると見抜くのはかなり難し
いとのことです。

つい、うっかりと信じてしまうということです。それだけ巧妙・精巧に仕組ま
れているということです。

■海外の状況

フィッシング(偽装Eメール)の問題は、米国の企業では大きな社会問題とな
っています。フィッシング詐欺などに関する調査結果を要約すると、

1年間に、偽装Eメールを受け取った米国人は約5,700万人も存在し、198万人の
インターネット利用者が、1人平均1,200ドルの被害を蒙ったということです。
盗まれた個人情報の種類は、「氏名」「住所」「社会保障番号」「クレジット
カード情報」などで、銀行及びカード会社が受けた直接的な損害(個人への保
証など)額は約12億ドルということです。
 一流企業やハイブランド企業の名前をかたっていることもあり、メール受信
者の約5%が返信しているとのことです。まだまだ、被害は続くようです。

■日本の現状

 わが国ではフィツシングによる被害はそれほど表面化していません。冒頭に
書いたように、UFJ銀行のインターネットバンキングを装ったメールが発信
されたようですが、日本でもそろそろ被害が発生しそうです。

 経済産業省が「フィツシング対策協議会」を立ち上げたのもこのような背景
があるからです。
   http://www.meti.go.jp/press/20050204013/20050204013.html

過去においても、クレジットカード会社の名前をかたってカード番号などを送
らせようとする詐欺メール事件も発覚しています。
 このクレジット会社によると、詐欺メールの件名は「おめでとうございます
一万円分のギフトカードの当選です」となっていたそうです。メールの本文に
は、「当選を確定させるため、あなたの住所、氏名、会員番号(カード番号)
や有効期限などをこのメールの返信として送ってください」といった内容が書
かれおり、送信者のアドレスは、同社とは無関係の、あるプロバイダから付与
されたと思われるアドレスで、特に“偽装”はされていないということです。

警察庁もフィッシングに対する注意喚起の文書を公表しており、大手銀行など
もホームページ上でも、自行の名前をかたった迷惑メールへの注意を呼びかけ
ているというのが日本の現状です。

■まとめ

現在のインターネットは、メールの送信者を偽ることが技術的に可能であり、
それがフィッシング詐欺の温床にもなっています。

また、いろんなソフト会社から「フィツシング対策ソフト」も販売されるよう
になってきました。しかし、またまだ、一般に普及する段階ではありません。
従って、今のところ「ユーザー自らが不審なメールには注意深く対応する」と
いう、ウィルス対策と同様の鉄則を守ることしか対策はなさそうです。

フィッシングメールの出現により、金融機関は、個人情報保護とEメール・マ
ーケティング戦略の見直しという、新たな二つの課題に取り組むことが求めら
れています。

個人情報保護法の施行が4月から開始されます。より、一層のセキュリティー
対策の強化が望まれます。

なお、私の関係している、イーセキュリティ・ジャパン株式会社という会社で
は、イスラエル製のフィシング対策用のソフトを採り扱っています。情報をご
希望の方は、ご照会ください。

  http://www.esecurity.co.jp/

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■続 偽造事件に関して

■前回に引き続き、偽造の問題をとりあげます。

■便利なATM網拡充の陰で

 ATM網の拡充や相互乗り入れが普及したのは、キャッシュカードと四桁の
数字の暗証番号だけで手軽に現金の出金が可能だからです。
 しかし、この手軽さに盲点があるということを理解しておく必要があります。
「利便性とリスク」は裏腹の場合が多いのです。

 日本の銀行のキャッシュカードの発行枚数は四億枚とかいわれています。こ
れらの発行済みのキャッシュカードのすべてが有効かどうかは不明ですが、こ
れらの磁気ストライプ付のキャッシュカードをICカードに切替えるコストと
ATMの改造コストが多額にになるために、銀行はICカード化に積極的では
ありませんでした。
 この間隙を縫って、今回のゴルフ場のセフティーボックスを利用したキャッ
シュカードのコピー事件が発生したことになります。

■今回の事件への具体的対策

 今回のキャッシュカード偽造事件に対する銀行側の対策としては、「ICカ
ードへの早期切り替え」、「支払限度額の引き下げと自由設定方式の採用」、
「バイオメトリックスによる本人識別技術の採用」等のシステム上の対策がな
されることになります。

 更には、「保険制度による損失補償対策」等も検討されることになるものと
思われます。

 しかし、フランスではICカードの偽造事件も発覚しており、これらのハイ
テク偽造犯罪に対して何処まで偽造防止できるかは犯罪者との知恵比べという
ことになります。

■キャッシュカード発行の歴史

 ところで、キャッシュカードが世の中に出始めたのは昭和40年代にさかの
ぼります。当時の三菱銀行が大衆化戦略の一環として、キャッシュカードの発
行とオンラインCD機器(現金自動支払機)設置戦略を独自の戦略として大々
的に展開したことが発端になっています。

 この三菱銀行の飛び抜けたCD設置戦略に対抗して、三菱銀行以外の銀行が
結束して、将来の相互乗り入れのために「キャッシュカードの仕様を統一すべ
き」という主張を打ち出しました。この動きの中で、現在の日本独自の「全銀
統一キャッシュカード仕様」が決定されました。
 この全銀仕様は後日、クレジットカードが普及する段階で国際的な仕様であ
るABA仕様と全銀仕様の仕様が一致せず、裏と表に磁気ストライフを貼り付
けるという仕様になってしまう結果を生んだのです。

 さて、全銀統一仕様の決定により、旧三菱銀行は既設のCD機器の改造と発
行済みのキャッシュカードを全銀統一仕様にあわせたキャッシュカードに全面
的に差し替えざるを得ないという結果となりました。旧三菱銀行は一時的には
大きな損失を発生させたという経緯があります。

 歴史は繰り返すというか、昨年から東京三菱銀行が「手の平血流」を利用し
たバイオメトリックスによる本人確認を可能とするATMとICカードを展開
しようとしていた矢先に今回の預金口座から大量の預金が引き出される事件が
発覚しました。業界団体や金融庁の監督官庁の要請もあり、全銀レベルでの対
策がクローズアップされてきています。

 またまた、このICキャッシュカードのバイオメトリックス方式の仕様で統
一すべきか否かの議論が生じています。

 東京三菱銀行とUFJ銀行は、「手の平血流」による本人確認方式を採用の
予定であり、他方、三井住友銀行とみずほ銀行等は「指先血流」による識別方
式を採用ということになりそうです。この二方式は互換性がなく、他の金融機
関の動向も注目されます。

 この動きは、まさに昭和40年代の先行する旧三菱銀行に対抗して、他行が
大同団結してキャッシュカードの全銀統一仕様を決定した構図と類似していま
す。果たして、今回のバイオメトリックス方式は統一されるのでしょうか。そ
れとも、他社のATMを利用するときにはICカードの機能のみでバイオメト
リックス機能は利用しない方式になるのでしょうか?動向が注目されます。

 今回のバイオメトリックス方式に関しては、富士通グループと日立グループ
の両陣営の競争となりそうです。

 日本では、古くにはビデオテープの仕様でVHSとベータ方式の争いがあり
ました。また、次世代のDVD方式に関しても、ソニーグループと東芝等のグ
ループの仕様の対立があります。ICタグに関しても米国を中心とする仕様と
坂村教授を中心とする日本仕様が存在します。次世代の携帯電話の仕様でも通
信仕様の対立があります。

 技術進歩のためには、このような仕様の対立があり、相互に競争することに
より技術と生産技術が切磋琢磨されていく必要があるのかも知れません。競争
のないところには技術進歩は存在しないのかも知れません。競争による無駄は
進歩のための必然のコストということかも知れません。

 銀行のバイオメトリックスの仕様に関しても今後の動向が注目されます。

■銀行の預金に関する偽造事件とその対策の歴史

 これまでにも、銀行預金口座から預金を本人の知らないうちに引き出される
事件は数多く発生しています。銀行側の対応は、常に後手後手の対応しかとら
れてこなかったというのは事実です。いくつかの事例を振り返ってみたいと思
います。

■キャッシュカード内への「暗証番号」記録方式の変更の経緯

 制定された当初の全銀統一仕様のキャッシュカードには、磁気ストライプの
中に「暗証番号」を記録するエリアが存在していました。
 ところが、磁気ストライプの内容を読み取る装置と磁気ストライプをコピー
する装置が秋葉原の電気店で売られていたために、暗証番号が読み取られ、こ
のコピー装置を使ったキャッシュカードの偽造事件が問題になりました。この
ために、従来の仕様を変更して、暗証番号を磁気ストライプから消去するとい
う方式に変更しました。暗証番号はキャッシュカードから消去し、コンピュー
タセンター側に記録する方式に変更した経緯があるのです。古いキャッシュカ
ードでそのままずっと利用していないものに関しては、暗証番号が磁気ストラ
イプの中に記録されているものが稀に残っているかも知れません。一回でも利
用すれば、この暗証番号はリセットされているはずですが・・・。

 この事件の教訓として、キャッシュカードの磁気ストライプ情報のコピーは
可能であり危険であるということは分かっていたのです。しかし、この犯罪防
止対策として、「磁気キャッシュカード方式は温存したままで、四桁の暗証番
号さえ盗まれなければ安全である」ということにしたのです。

 そして、四桁の暗証番号に生年月日や電話番号、住所の一部や1234とか
1111とか7777とかの番号を使わないように注意を喚起することと、暗
証番号を一定回数間違ってインプットするとキャッシュカードを使えなくする
等の機能を組み込んで安全対策としたのです。

 この暗証番号も盗み取る方法がいくつか発覚しています。手口を公開するこ
とになるので詳細に説明することはできませんが、ATM装置で暗証番号を入
力操作している場面ををマイクロカメラで撮影する方法により盗み取る方法や
今回のゴルフ場のセフティーボックスの暗証番号を盗み、キャッシュカードの
暗証番号を推定する方法等があります。

 一連の事件をきっかけにして、銀行側の緊急対策として、コピーしやすい「
磁気ストライプ方式」を廃止して、ICカード方式に切替え時期を急ぐことに
なったのです。

■預金通帳の「副印鑑」方式も安全ではなかった

 預金通帳の副印鑑方式というのも昭和40年代に考え出された方式です。現
在では「郵便貯金通帳」以外では大部分の銀行の預金通帳はこの副印鑑方式を
廃止しました。この副印鑑から印鑑を特定できることと、偽造印鑑をつくるこ
とも可能ということで、犯罪事件が多発したからです。

 そもそも、通帳に副印鑑を付与することになった背景には、銀行の取引支店
以外の他店での預金の引き出しを可能とすることになったのです。CD等の機
器が普及していない段階では、提携他行での預金の引き出し等の利便性のため
に通帳に印鑑を貼り付ける「副印鑑方式」が必要となったのです。

 当初は、通帳に特殊インキで印影を押印し、この上に黒いカバーを貼るとい
う方式を採用していました。印鑑照合する場合には特殊な光線を発する装置で
この副印鑑を読み取る方式を採用していたのです。

 しかし、この方式は、副印鑑作成の手間、印鑑照合装置のコスト等から旧住
友銀行が採用した「オープン副印鑑方式」という印影に透明のビニールシート
を添付するだけの簡易方式でした。そして、この簡易方式がコストセーブにつ
ながるという理由により、一斉に他行横並びで一般的な方法として普及してし
まったのです。

 ところが、この印影を使っての偽造印鑑技術が進歩してしまい偽造印鑑によ
る預金詐欺犯罪が多発するようになったのです。この結果として、今ではほと
んどの銀行は副印鑑方式を廃止し、ファイルに印影イメージを登録する方式に
切替えたのです。

 これも、技術の進歩と本人確認方法という重要なセキュリティー対策の弱点
を犯罪の対象として狙われた事例です。

■その他の偽造方式について

 以上のように「銀行の預金通帳と磁気キャッシュカード方式」には過去の経
緯からもいくつもの弱点を持ったシステムだったのです。

 これ以外にも、最近は、新たな「フィッシング」と呼ばれる詐欺事件も発生
しています。 また、インターネットカフェにキートレースソフトを組み込み
口座番号、暗証番号を盗み取る方法による預金口座からの預金詐欺事件も発覚
しています。

 これらに関しても別途とりあげたいと思っています。

 銀行の預金約款では、偽造印鑑による引き出しについては銀行は免責条項を
設定しており、この免責事項に関していくつかの裁判が行われています。

 日本独自の伝統的な「印鑑と通帳と磁気方式のキャッシュカード」方式には
正しい使い方をしなければ、多くの弱点が顕在化してしまうということを認識
すべきということになります。

■まとめ

 銀行は、預金者の大切な財産を預金として預かっているわけであり、この預
金の引き出しには細心の注意義務を負うことになります。時代の流れと技術進
歩により、「事務の合理化と利便性の提供のために採用されたシステム」が「
安全性」に関しては弱点を顕在化させるという状況となっています。

 いつの時代にも「利便性とリスクは裏腹」という現実には変わりはありませ
ん。

 犯罪を行う人間はいつの世にも存在します。

 今回の磁気ストライプ方式のキャッシュカードをICカード方式に変更して
も、バイオメトリックスの本人確認方式を採用したとしても100%安全確実
と言う保証はありません。
 預金者保護の観点からも保険制度の導入が不可欠ということになります。

 また、並行して、預金者本人に対するリスクを回避するための方法の啓蒙教
育、銀行内部の犯罪防止対策、最新技術革新からの防御法の研究等の総合的な
対策が不可欠ということになります。

 読者の皆様も、これらのリスクを十分ご理解のうえ、「預金通帳と印鑑は同
一場所に保管しないこと」、「キャッシュカードは常に身に付けておくこと」、
「暗証番号は類推されやすい番号は使わないこと」等の基本的なことを改めて
確認していただき、犯罪事件に巻き込まれないようご注意ください。

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■一連の偽造事件について

■一連の偽造事件について

 今回は、「高速化技術」に関する話題から急遽予定を変更して、最近話題に
なっている一連の「偽造事件」に関するトピックスをとりあげてみたいと思い
ます。

 今話題になっている、偽造紙幣、偽造硬貨、偽造キャッシュカード、そして
フィッシング詐欺事件に関してです。

 全く、物騒な世の中になったもので、いろいろなニセモノが出回る時代にな
ってしまいました。

 偽造の一万円札、偽造の五千円札、偽造の千円札、更には、偽造の5百円硬
貨が大量に出回る時代になってしまいました。

 偽造紙幣は、カラーコピー機の高精度化、パソコンのスキャナー技術とプリ
ンターの高精度化によりパソコンで安易に偽造紙幣が印刷できてしまう時代に
なってしまいました。
 この偽造の中には、中学生がパソコンを使ってスキャナーとカラー印刷機で
作った粗悪なものから、プロ集団が組織的に大量に作ったと思われるものまで
様々のようです。
 それでも、紙質による手触り、透かしの技術までは偽造されていないのでよ
くよく注意すれば偽札の判断は可能なようですが、暗い中や混雑していて急い
でいるときには見過ごしてしまいがちですので要注意です。

 偽造防止策として今回の新札が発行されたわけですが、この切替えのタイミ
ングを見計らっての年末年始にかけての旧札の偽造事件とは偽造団もなかなか
の知恵者ということでしょうか。

 日銀は、当初の計画を速めて旧紙幣を一挙に新札に切替える方針とのことで
す。

 偽造紙幣に関しては、国内では注意喚起する報道がなされたので犯人側も慎
重になり、一連の偽紙幣事件は沈静化の方向に向かうものと思われます。しか
し、円も国際化しており海外でも円の紙幣は結構流通しています。多額の偽札
が海外で流通しているのかも知れません。円の国際化の反面として困ったもの
です。

 偽札の歴史は古くからあり、国際的なスパイ機関が関与しているという風潮
もあるぐらいですから、われわれの身近な問題として気をつける必要がありそ
うです。
 今のところは、ATM等の機械ではこれらの偽造紙幣は自動判別機能により
はじかれているようなので一安心と言うことになりそうですが・・・。

 もう一方の、偽造5百円硬貨も新たな手口として一万五千枚以上の大量の偽
造硬貨が発見されということであり、これはATMや自動販売機の判別機能を
すり抜けているようなので深刻な問題になりそうです。この五百円硬貨に関し
ては、製造コストの関係から偽造団の手取りの利益はどの程度のものかは不詳
ですが、問題としてはこちらの方が深刻かも知れません。一時期、韓国のウォ
ン硬貨が500円硬貨と誤認しやすく、サイズやデサインの変更を行ったタイ
ミングで今回の事件であり、偽造団と発行当局の知恵比べということになりそ
うです。

 偽造事件に関しては、偽造テレカ、偽造オレンジカード、偽造パチンコカー
ド、偽造商品券、偽造高速道路券、偽造の株券等々と各種の事件が発生してい
ます。どこかに偽造を専門とする犯罪集団が存在するかにも思えます。先日も
大量のビール券が国際郵便で送られてきたという報道がありましたし、クレジ
ットカード用の生カードが海外郵便で送られてきて発覚した事件も報道されて
いました。

 外国のスパイ映画等を視ていると偽造パスポートも簡単につくれるようであ
り、おそらく発見されない偽造パスポートが世の中に多数出回っているのかも
しれません。外国人の不法入国、テロリストの入国防止対策として、パスポー
トについてもICチップを組み込んだ新パスポートも実験段階から本格導入に
移行の予定とのことです。

■銀行のキャッシュカードの偽造事件に関して

 「振込め詐欺」の集団が逮捕されたという報道がありましたが、この被害額
が100億円以上ということで、全く驚くばかりです。手口もかなり巧妙なよ
うで、マニュアルまで発見されたようで組織的な犯罪のようです。人の弱みに
巧みにつけこんだ電話での演技力抜群の話術で、手口も巧妙になり騙されてし
まうと言う事件が多発しているということであり、犯罪に利用されやすい預金
口座の売買を罰する法律も制定され、具体的な逮捕者のでたとの報道もありま
した。

 ところで、これとは別の事件として、銀行の預金口座が狙われる事件が大き
く採り上げられました。ゴルフ場の貴重品ボックスを開けられ銀行のキャッシ
ュカードがコピーされ、暗証番号もゴルフ場の貴重品ボックスの暗証番号から
推定され預金が知らない間に引き出されてしまったいう事件です。この事件を
発端として、銀行のキャッシュカードのIC化と本人確認手段としてバイオメ
トリックス技術の採用がアナウンスされることになりました。
  
 一部のテレビで暗証番号が分からなくてもキャッシュカードのスキミング(
コピー)だけで、預金引き出しが可能との報道がなされていましたが、これは
事実誤認です。現在はセンター暗証照合方式になっており、オンライン元帳上
に記録された暗証番号と一致しなければ預金は引き出せません。また、一定回
数以上誤った暗証番号を入力しますと、このキャッシャカードは利用不可とな
ります。そんなにいい加減な仕組みになっているわけではありませんが、暗証
番号はたったの四桁ですので、他人に推定され難い番号を設定するようにご注
意ください。

 銀行のキャッシュカードが偽造される危険性に関しては、従来から指摘され
てきており問題にはなっていたのですが、国民一人当たり四枚以上といわれる
大量発行のためにICカードへの切替えコストの問題でICカードへの切り替
えが遅れていたという事情にあります。

 今回、このICカード切替えに関しては、東京三菱銀行との合併を予定して
いるUFJ銀行が「期間限定で今年の六月までは、無料発行する」というアナ
ウンスと「預金口座の偽造被害に関しても過去にさかのぼって銀行が補償する
ことを前向きに検討する」とのアナウンスが報道されました。他の銀行が条件
付で有料化としていたことに対してのアナウンスであり、他行の対応が注目さ
れます。

 銀行の預金口座の詐欺事件に関しては、またまだいろんなことがあります。
詳細に説明すると銀行不信に陥ってしまうかも知れませんので公に公表するこ
とを躊躇せざるを得ませんが、いろいろな過去の経緯を経て、現在のシステム
が存在し、今後はICカード化の方向になったと言うことになリます。このあ
たりの経緯に関しても歴史的な事実として記録しておきたいと思います。

 詳細に関しては更に長くなりますので、次回にしたいと思います。

 今回と次回に関しては、当初の流れから脱線しますが、ちょつと気になった
ので、トピックスとして採り上げることにしました。高速化技術やハイテク技
術に関しては、身近に感じられずに、分かりにくいテーマと思いますので、チ
ョツト休憩とさせてください。

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■「高速機関」の高速化の原理について

■「高速機関」の高速化の原理の解説とベンチマークデータ

 前回に引き続き「高速機関」について解説していきます。

「高速機関」に関しては、いくつかのベンチマークテストの実績データがあり
ます。

 いろんな前提条件があるものの、いくつかの事例を紹介します。

☆事例1
 金融機関のソフト子会社の事例では、590万件のオラクルRDBで1時間
48分を要する月次バッチ処理を49秒で処理したという実績があります。

☆事例2
 あるベンダーのバッチ処理では、12時間を要していたオラクルDBベース
の買掛金消し込み作業を40分で処理可能となっています。ただし、この内訳
としては、36分はオラクルからのデータ取り込みと戻しのための時間であり、
正味の処理時間は4分ということになります。12時間かかる処理を4分で処
理可能であったと言うことです。

☆事例3
 ある製造メーカーの事例では3時間かかっていたバッチ処理を一分程度で処
理を完了しています。

 このように、安価なパソコン程度のマシンを使って、従来では考えられない
高速処理を実現しているのです。

 この「高速機関」の技術を活用することにより、低コストで高速処理を実現
できるシステムの構築が可能であるということをご理解していただけるものと
思います。

■高速化の原理

 それでは、何故こんなに高速処理が可能なのでしょうか。

 まず、一般論として、高速処理のための手法としては、どんなことを考えれ
ばよいかを考えてみたいと思います。

 コンピュータ処理のネックとなるのはファイルの入出力のための時間です。

 ファイル装置の代表としてディスク装置を考えてみます。このディスク装置
は、磁気ディスクを回転させて、アクセスのための磁気ヘッドの機械的な動き
によりデータを読み書きする装置です。従って、この回転とアームの動きがあ
る以上は物理的なスピードを超えることは不可能です。CPUの処理能力のア
ンバランスを解消することはできないのです。ディスク装置を従来の方法でア
クセスしていたのでは、電子のスピードには到底到達できないのです。

 そこで、このディスクをICメモリーで置き換えて高速化を図る方法があり
ます。「半導体ディスク」と言われるものです。この装置を導入することによ
り、ディスクの入出力は速くなります。しかしこれでも、コンピュータのメモ
リーと半導体メモリーのデータのやり取りが必要であり、チャネルスピードに
は限界があります。また、大容量の半導体ディスク装置のコストは高価なもの
になっていしまいます。簡単には普及しない方法です。

 次に考えられるのが、データを圧縮して、小さくなったデータベースをメモ
リー上に常駐させる方法が考えられます。

 これにより、処理スピードは速くなります。

 実際に従来のRDBのデータベースをそのまますべてメインメモリーに常駐
させてスピードアップさせた事例もあります。
 しかし、単純なこの方法では、思うようなスピードアップは図れなかったと
言うことでした。そこで、データベース構造に手を加えることと64ビットマ
シンを利用することにより、高速化を実現させたという報告があります。この
報告による実績では、12時間かかっていたバッチ処理が64ビットマシンと
新たな技術を活用して12分に処理を短縮できたということになっています。

 このように、新たな処理方式により高速化している事例はいくつか見つける
ことができます。

「高速機関」の事例や関連技術としては、下記をご参照ください。

 https://sec.qqq.or.jp/db/kousoku_ext.html

 http://www.karuwaza.com/products/index.html

 https://sec.qqq.or.jp/db/karuwaza/index.html

 上記の「軽技WebSuper」のエンジンとして利用されているのが「高速機関」
です。

「高速機関」と同様な高速処理を売り物にした類似の商業システムはいくつか
あります。
 ただし、これらは更新処理を前提としておらず、Excelのお化けと言うシス
テムだと推測されます。

 具体的には、ターボデータとZettaという会社のアダムスファミリーという
ソフトがありますのでご紹介しておきます。

 メインフレームとPCの性能比較事例は下記をご参照ください。

 http://www.turbo-data.co.jp/j/product/hikaku2.html

 以前公表されていたデータでは、ホストマシンで300分(5時間)かかっ
ている処理を2分間で処理したという報告データもありました。

 https://www.zetta.co.jp/adam/report.htm

 これらの類似システムをご紹介したのは、機能を限定すれば、工夫次第では、
従来のホストシステムでの常識を打ち破る技術は随所に存在すると言うことを
説明したかったからです。

 その点では、「高速機関」もこれらのシステムと類似にみえるかも知れませ
んが、「高速機関」は応用範囲の広い技術です。
 
 上記で紹介したシステムの機能は当然のことながら実現可能であり、更に応
用範囲の広いアプリケーションに適応可能な「高速化技術」を採用しています。

 http://www.kousokuya.co.jp/index.html 

 「高速機関」は、単に、RDBの高速化技術に限定されることなく、データ
の変換処理、データの高速ソート処理、大量のテキストデータベースからの全
文検索機能等と応用範囲の広い基本技術を使っています。

 「高速機関」は、RDBやDWHの応用分野に限らず、幅広く利用できる技
術基盤であるということをご理解いただきたいと思います。

■「高速機関」の高速化の原理

 それでは、いよいよ核心の「高速機関」はなぜ速いのかという疑問への解答
です。

 まず、基本的には、コンピュータのベーシックな原理である「バイナリー演
算技術」がベースのシステムとなっています。

 例えば、都道府県データを処理する場合を考えてみてください。

 都道府県は47種類です。東京都、神奈川県、北海道等と、このままでコン
ピュータ一データとして処理することも可能です。
 このままですと漢字コードは一文字2バイト必要ですので、最長の4文字の
神奈川県にデータエリアを設定すれば、8バイト、即ち、64ビットのエリア
が必要となります。

 しかし、一般的には数値でコード化します。この場合は10進数で二桁のコ
ードを割り当てます。10進の二桁のコードでは、「00から99」の100
種類ですが、実際に使っているのは半分の47種類です。残りの部分は使われ
ていません。
 この10進数の二桁は、文字データでは2バイト即ち16ビットで処理され
ます。
 これが、一般的なコンピュータでの処理方法です。

 電話番号でもxxxx-xx-xxxx、郵便番号もxxx-xxxxとい
うコード体系となっていますが、実際にはすべてのコードが埋まっているわけ
ではなく、スケスケの状態と言うことになります。

 このことに着目したのが「高速機関」の技術です。これらのコードをすべて、
バイナリーテーブルに変換する技術がベースになっています。

 バイナリーに変換することにより、データの表現すべきビット数が少なくな
ります。
 
 もう少し詳しく説明しますと、計算機の基本単位はビットという単位で処理
されています。1ビットは、「0か1」で表現されます。従って、上記の都道
府県の事例では、1ビットで2種類、2ビットで4種類、3ビットでの8種類、
4ビットで16種類、5ビットで32種類、6ビットで64種類の表現が可能
です。都道府県数は47種類ですので、6ビットあれば十分識別可能と言うこ
とになります。

 10進数の文字コード二桁の16ビットは6ビットに圧縮が可能と言うこと
になります。この原理を使うことによりデータの圧縮が可能となるのです。

 大規模なデータベースでは、そのデータベースのデータの中味によりますが、
このバイナリーコード化の技術によりデータベースのボリュームが数分の1か
ら数十分の1に圧縮が可能となります。

 更に都合のよいことに、計算機の内部処理はすべてこのバイナリーコードで
処理した方が高速処理可能というメリットもでてきます。

 人間の目に触れる場合には、このバイナリーデータを元に戻せばよいのです。

 内部処理は、バイナリーでもなんら問題はないのです。

 話が細かくなりすぎたかも知れませんが、「高速機関」の内部処理はこのバ
イナリーデータを基本にしています。

 勿論、高速処理を実現する技術は、「バイナリー化技術」だけではありませ
ん。

 数々の高速化のための技術と知恵が組み込まれています。

 具体的な技術に関していくつかをご紹介します。

 ここからは、計算機の基本原理にかかわる事項に触れますので、分かりにく
い方はスキップしていただいても結構ですが、極力分かりやすく説明してみま
す。

☆1.キャッシュメモリーをワークエリアとしている。

 コンピュータのメモリーは、CPUの処理速度を発揮できる順番として、キ
ャッシュメモリー、メインメモリー、ハードディスクのキャッシュ、ハードデ
ィスクの磁気エリアという階層構造になっています。

 「高速機関」はこの「キャッシュメモリー」をワークエリアとして有効に活
用できる技術を採用しています。これによりCPUの能力を十分に活用できる
ようになっています。

☆2.使用頻度の高いデータをキャッシュメモリーに置くことにより、メイン
メモリーとキャッシュメモリー間のロール・イン/アウトの時間を最少化する
方法も採用しています。

☆3.テーブルのアクセス方法に関しては、サーチ方式によるインデックス方
式ではなく、演算方式によるポインター技術を採用することにより、インデッ
クス処理の負荷を大幅に軽減させています。

☆4.データベースは、完全正規化されたデータ構造を採用しており、データ
項目の一つ一つをポインターで表現する技術を採用しています。

☆5.ディスクのデータ・アクセスに関しては、ランダムアクセス方式ではな
く、全てシークェンシャル処理をベースにしており、ハードディスクの性能を
最大限に発揮させるための工夫が組み込まれています。

 この技術を組み込むことにより、データベースのロードとアンロードの時間
を短縮することが可能となっているのです。

☆6.更に、ハードデスクとのロードとアンロードを高速化するため、複数
台ハードディスクにデータを分割収納することによる並行処理可能なアクセス
方法を利用しています。

 それ以外にもいくつかの技術を採用することにより、「高速機関」の高速化
処理を支えているのです。

 これだけの説明で、ご理解いただける方は少ないかと思います。

 コンピュータの動作のメカニズム原理を理解した上で、ハードの性能を十分
に引き出すための技術を随所に盛り込んだ技術基盤が「高速機関」に含まれて
いると言うことをご理解いただければと思います。

 「ウインテル」というパソコンに使われている既存の標準製品を使いながら、
処理のネックとなる部分を徹底的に排除していくことにより高速処理を実現し
ているのです。

 既存の大手ベンダーの技術者には発想できないノウハウが随所に盛り込まれ
ています。
 大手ベンダーがこれらの技術を採用すれば、既存のハードやソフトの売上げ
を大幅に減少させることになりかねません。

 従来の延長線上に構築された技術基盤を崩壊させてしまうことになり、収益
的に大打撃を受けることになりかねません。組織として許容される技術として
は認知されないと言うのは当然のことかも知れません。「高速機関」の技術が
大手ベンダーに簡単には受け入れられない理由がここにあります。

 しかし、時代は大きく変化しようとしています、ICタグ等のアプリケーシ
ョンが普及されるようになれば、従来のコンピュータ処理能力を大幅に超える
処理能力を安価な価格で提供することを要求されることになります。

 このような新規アプリケーション分野での利用では、「高速機関」の技術が
見直されることになるものと思います。

 大いに期待したいものです。

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