銀行・証券・保険

2007.11.19

◆アィデアのある銀行「イオン銀行」が営業開始

アィデアのある銀行「イオン銀行」が営業開始

日本最大手の流通・小売業グループ「イオン」主導による新設銀行の「イオン
銀行」が営業を開始した。
イオングループのショッピングセンターなどの大規模店に、「インストアブラ
ンチ」として有人店舗を開設し、その他の中小規模店舗にはATMを設置して
の営業である。
ブランドスローガンとして「アイデアのある銀行」を標榜し、2007年10月30日
時点で、有人店舗は4店・ATMは275店で461台が稼動している。

流通業界からの銀行業への参入は、海外の事例としては、ドイツのメトロ、フ
ランスのカルフール、イギリスのテスコなどがあるが、イオン銀行はこれらと
類似の形態での銀行業務展開を目指しているものと思われる。

日本では、2001年にイトーヨーカ堂やセブン・イレブン・ジャパンなどのアイ
ワイグループ(現セブン&アイグループ)が、アイワイバンク銀行(現セブン
銀行)を設立して以来の2事例目ということになる。

ジャバネット銀行やセブン銀行、ソニー銀行、イーバンク銀行が基本的には無
店舗銀行の形態でサービス機能を特化しているのに対して、フルバンクかつ有
人店舗も展開するというところに特徴がある。

法人向け融資は行わないが、有人店舗を設け個人向けに住宅ローンや保険まで
のフルバンクサービスを提供する銀行は、流通系銀行としては世界初となると
のこと。総合スーパー業界は、ショッピングセンター事業は拡大しているもの
の、本業であるスーパー本体の小売り部門が経営が厳しく、金融事業への参入
によって収益力を高める狙いがあるものと思われる。

【イオン銀行の特徴】

資本金は、金融機関や商社など16社が出資し、192億円となっている。
16社の出資比率は64%で、イオンは出資比率36%の筆頭株主として経営権を確保
している。出資の内訳は、三菱UFJ・みずほ・三井住友の三大メガバンクと、
横浜銀行、日本生命保険、第一生命保険、明治安田生命保険、三菱商事、リー
マン・ブラザーズが各5%、中央三井信託銀行、住友信託銀行、千葉銀行、損害
保険ジャパン、日本興亜損害保険、ニッセイ同和損害保険が各3%、住友生命保
険が1%となっている。

開業後5年を目標として掲げているのは、 口座数:430万口座以上、ATM台数:
2300台以上、インストアブランチ:140店以上、預金残高:1兆円以上(中位の
地方銀行に相当)、収益性:ROE 20%以上。

業務運営の予定としては、他の銀行に見られない特徴ある業務展開もある。列
挙してみると、各種預金、 住宅ローン、 保険および証券販売、 投資信託等
の金融商品の販売。 そして、来店客の多い土・日曜日の開店、平日の営業時
間延長(9:00~21:00)、365日いつでも無料のイオン銀行ATMサービス、イン
ターネットバンキング・モバイルバンキング、買い物で貯めたポイントを電子
マネー(WAON)に振り替えるサービス、公共料金の収納代行、小口決済、 イ
オンバンクカード(ICキャッシュカード)の発行等となっている。

新サービスを提供することにより他の銀行との差別化を図ろうといういうこと
である。

また10月19日には、イオンクレジットサービスがイオン銀行の銀行代理店業許
可を取得している。これにより、イオンクレジットサービスでも口座開設手続
き等の扱いが可能となり、初期の基盤構築のための営業力が強化されたことに
なる。当初予定されていた口座開設受付店舗数も80店舗から、この代理店業許
可の取得により220店舗へと拡大した。

◆口座開設支店名の扱いもユニーク

個人向け口座の支店名には誕生石名が用いられており、口座開設者の誕生月に
よって支店割り当てが決まるのもユニークである。具体的には、ガーネット支
店、アメシスト支店、アクアマリン支店、ダイヤモンド支店、エメラルド支店、
パール支店、ルビー支店、ペリドット支店、サファイア支店、オパール支店、
トパーズ支店、ターコイズ支店、そして本店。

支店への振込の場合に若干の戸惑いが生じる可能性はあるが、・・。
誕生月支店ごとのイベントもセースル手法として活用されることと思われる。

◆キャッシュカードにも特徴が

すべての口座開設者にキャッシュカード「イオンバンクカード」が発行され、
預金通帳は発行されない。

カードは、エンボスレスのICカードとなっており、接触タイプICと非接触タイ
プIC(FeliCa)の両方を搭載している。また、他行ATMでの利用を可能にする
ために磁気ストライプも搭載している。
更に、イオンバンクカードにはイオンの電子マネー「WAON」の機能が標準搭載
されており、ICキャッシュカードとしての利用と「WAON」としての利用が1枚
でできる。イオン小売店舗の買い物客の口座利用を促す施策として、イオンバ
ンクカードに搭載のWAONのみ、口座から電子マネーへのオートチャージや通常
チャージが可能となっている。

また、イオンバンクカードを利用してイオン店舗で買い物することにより、従
来はイオンクレジットサービスのクレジットカード「イオンカード」等が必要
だった毎月20・30日の「お客さま感謝デー」での5%現金還元、通常のWAONカ
ードと同様に毎月10日の「WAONデー」の特典、ポイントサービスも受けられる
という特典付となっている。

◆ATMについて

インストアブランチに設置されるATMとブランチ外に設置されるATMはICキャッ
シュカード・FeliCaに対応している。紙幣の他に、硬貨やICカードも扱える多
機能ATMで、サイズも都市銀行などで見られるATMとほぼ同等である。
このATMは電子マネーWAONへのチャージ機能も備えており、千円単位での現金
チャージ・口座からのチャージが可能である。

◆イオン銀行ATMで利用できるキャッシュカード

イオン銀行ATMはイオンバンクカードと、イオン銀行と提携した金融機関のキ
ャッシュカードが利用可能となっている。

イオンバンクカードは磁気ストライプも搭載しており、提携各行のIC非対応AT
Mでも利用できる。

【まとめ】

リーテールバンクへ本格的に流通業界からの参入であり、イオングループでの
買い物客、特に主婦層をターゲットに金融と小売ビジネスを一体化した新たな
形態のビジネスモデルである。
イオン銀行には、流通業界のノウハウがバンキング業務へ適応されることによ
り、新たなバンキングサービスが開発されることか期待される。
ブランドスローガンとして「アイデアのある銀行」の今後のユニークなアイデ
アサービスの出現に注目していきたい。

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2005.04.22

■銀行合併と人事問題

■合併に伴う人事の問題

 銀行に限らず企業合併に伴うトラブルは数多く発生します。
 大組織になれば、同一企業ですら学閥や派閥等が潜在的に存在します。
 企業風土の異なる企業が合併するわけですから問題が発生しないはずが
 ありません。合併で発生するトラブルの根本的な原因は人事の問題です。
 人事の問題では、人事制度とポストの問題を採り上げたいと思います。
 直接、システムには関係のないテーマですが、システム統合に関与するのは
 人間です。ここにも人事の問題がしこりを残す原因になります。
 これがシステム統合のトラブルに発展した事例も存在するからです。

■人事制度上の問題

 まず合併時の人事で問題になるのが給与水準の調整です。
 日本企業の人事には年功序列的な資格制度があり、経験と能力により資格が
 決定されこれに対応する給与が決定されるというのが基本となっています。
 この制度は、個別企業によりいろんなバリエーションがあります。
 この制度の違いと運用方法は個別企業独自のものです。

 大学を卒業した同期が何年か後には資格の差が生じるのは当然のことです。
 社長のポストはひとつでありこのポストを競い合うというのが、
 一般的なサラリーマンの世界での競争ということになります。
 同一企業の場合には、それなりのルールに従い表面的には納得のいく形での
 公平性が保たれ順次選抜が行われていきます。
 しかし、企業が異なると過去の経歴の評価の仕方も異なります。
 若いうちから選抜していく方式の企業とある年齢までは表面的には選抜せず、
 管理職段階で選抜していく方式の企業があります。
 この選抜方式は、人材の育成方針とか入社してくる人材の質にもよります。
 この差異をどのように調整していくかが合併人事の問題となります。
 合併当初は暫定的に両社の制度を統合して暫定制度をつくり、合併後の実績に
 より徐々に再調整するということになります。
 一般的には給与水準は高い方に調整する場合が多いため人件費の増加に
 つながります。合併以前に昇格調整を行う姑息な企業も現れます。

 そもそも、企業が何のために合併するかです。
 合併理由は様々です。好景気の場合と不況時期の合併とは条件も異なります。

 一般的には、対等で大組織が合併する場合の目的は、規模の拡大による
 マーケットの拡大と経営の効率化による収益力強化にあります。

 当然のことながら、人員・組織のスリム化が大きな課題になります。
 
 重複する部署を統合化して効率化する必要があります。

 具体的な例え話として説明します。
 単純な算数のモデルの問題として説明します。

 A企業は本部が15部で200人、支店が100支店で2000人であったと
 します。
 B企業は本部が10部で150人、支店が120支店で2400人と仮定します。
 
 さて、このA企業とB企業が合併するとどうなるのでしょうか。

 本部が25部で350人、支店が220支店で4400人となります。
 当然この中には重複している本部もあり、支店も隣接しており重複しています。

 ここで、本部は10部で300人、支店は200支店で4000人で十分という
 ことになれば、本部の部長が15人不要になります。本部要員も50人不要です。
 支店は20支店廃止になります。支店要員も400人不要になります。

 日本の企業の場合には、この余剰人員を即刻解雇することはできません。
 したがって、当面は余剰人員を抱え込む人事になります。
 業容が拡大することなく、この余剰人員をいつまでも温存していると
 企業合併は失敗ということになります。

 上記のモデルケースの場合では、本部では、15人の部長を副部長として格下げ
 せざるを得ません。支店長も20人が不要になります。

 この事象は、次長、課長等の呼称の人々についても同様ですし、社長、専務、
 常務等の役員クラスの人事に関しても全く同様となります。

 この調整をどう行うかということになります。
 この過程で人事上のトラブルが発生するということは容易に想像できること
 と思います。ポスト争いがはじまります。

 誰を部長として残し、誰を副部長に格下げするのか。
 誰を子会社や関連会社に出向させるのか。
 誰に退職勧告を行うのか。
 暫定的に副部長を2名以上設置するのか。
 等々です。

 そして、「たすきがけ人事」という奇妙な人事発令が行われます。
 上記のモデルの例ではA企業の部長を5人、B企業の部長を5人発令します。
 そして、部長がA企業出身ならば、副部長はB企業出身の発令が行われます。
 部長交代の時にはB企業の副部長が部長に昇格し、A企業の副部長が発令
 されます。これにより表面的な公平性を保つことになります。
 実際には、こんな単純な形にはなりませんがバランス人事が基本となります。

 この方式でうまくいく場合はよいのですが、必ずしも適材適所の人事では
 ありえません。ここに派閥と足の引っ張り合いが起こりうるのです。

 合併の人事により企業経営が停滞する原因は、外向きの戦いよりも
 内向きの戦いの方が優先される場合があるからです。

 内部混乱を避けるために「協調と融和」ということばが使われます。

 経営戦略に関して議論を戦わせていくと対立する戦略の選択を必要とする場合
 があります。
 どちらか一方の案を採用するか、両者の妥協案を作成するかという事態が
 発生します。
 これがしこりになると考えるトップマネジメントが存在すると企業内での
 真剣な議論が行われなくなり両案の妥協案ばかりが選択されはじめます。

 このような合併の場合には、企業業績は低迷化の方向に向かいます。
 中途半端な妥協案の連続は合併失敗のケースにつながります。

 合併でうまくいくケースは、力のバランスが圧倒的に異なる場合のように
 思います。是々非々で公平な判断を下せる経営者が不可欠ということになります。
 強者が弱者を利用していくという度量がある場合は旨くいくようです。

 結論として、合併の人事問題は企業風土の融合の根本問題です。
 新たな企業風土が出来上がるには相当の時間が必要です。
 人事のしこりを消し去るのに何十年という期間が必要なようです。
 この長い期間に自然淘汰が行われていくのです。

 競争の激しい時代に生き残る企業には、公平かつ豪腕の経営者が必要と思います。
 決断力のない経営力不足の経営者の企業は衰退するのみです。
 このことは、合併企業だけの問題ではありませんが、合併企業には、
 顕著な現象として表れます。経営の急速な衰退につながります。

 数多くの企業合併の事例が存在しますが、これらの合併企業の10年後、
 20年後はどうなっているのでしょうか。
 当事者は大変とは思いますが、部外者にとっては結果はそれまでのお楽しみ
 ということでしょう。

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■銀行の合併システムに関して

前回に引き続き銀行合併に伴う諸問題について書いていきます。
 今回はシステム統合に関わる諸問題です。
 このテーマに関しましては、大きなシステム投資を伴うために、
 メーカー決定の過程で政治的な圧力がかかってくる分野です。
 生々しいことがいろいろありますが、当事者に迷惑がかかるといけませんので
 細部に触れないことにします。

■システムの統合にはコストがかかります。

 前回は事務手続きに関しての合併上の諸問題に触れました。
 事務手続き分野でも印刷業者やいろんな利害が絡む取引上の問題が
 発生しますが、金額的にはたいしたことはありません。
 相対的な比較であって絶対額では勿論億単位です。

 しかし、大型銀行のシステム統合には100億単位の投資と将来の
 投資に関わる未知の売り上げに関しての問題が発生します。

 従って、システム統合には複雑な問題が発生します。

 システムの機能は事務手続き切り離しては考えられないのですが
 システム統合には、それ以外の大きな問題が発生します。

 まず、センターシステムのコンピュータのメーカーの統一、営業店の端末の
 メーカー機種の統一が問題になります。

 同一メーカーでも当然OSやコントロールプログラム、アプリケーション
 プログラム、等々のすべてが一致するということはありえません。

 これをどちらか一方に合わせる場合でも両行の業務処理機能が異なる場合には、
 新規の機能を追加開発する必要があります。

■お客様のシステムへも影響があります。
 
 行内だけに影響するシステムの場合には割り切ればよい問題ですが、
 お客様のシステムとデータ交換している場合には、ファイルレイアウト、
 使用コード体系等の相違により移行システムが大きな問題になります。
 お客様との詳細な打ち合わせが必要になります。

 顕著な事例としては、銀行が合併すると銀行名や支店名が変更になります。
 これに伴いコンピュータ処理に使う、銀行コード、店番号コード、
 場合によっては一部の口座番号の変更も必要になります。

 口座番号には入力ミスを発見できるようにチエックデジットという一桁の数字を
 組み込んであります。これは、店番号、科目コード、口座番号のシリアル番号を
 ある演算式により算出して0-9の数字を決定します。この数字が合致しないと
 エラーとして扱うのがチェックデジットの役割です。この算出論理が異なると
 口座番号の変更を伴ったりコンピュータシステムでの口座番号読み替えの
 複雑な対応が必要になります。

 端末のメーカーや仕様が異なると、通帳やキャッシュカード、小切手、手形、各種の
 伝票や帳票の設計変更やシステム対応の必要性があります。

 細かい話ですが、例えば、ATMで通帳に印字する場合に、どのページのどの行
 から印字を始めるかを検知しなければなりません。この情報を得る方法としては、
 いくつかの方式があります。通帳の磁気ストライプに記憶させておく方式で
 あってもお客様が差し入れたページが正当か、打ち出す行数が正当か、
 これを光学的に検知する必要があります。
 このために通帳のページを判断するバーコードが印刷されています。
 また、行を判断する論理もATMに組み込まれています。
 この方式が銀行によってバラバラということです。

 今年中に、みずほ銀行のシステムがようやく統合されますが、既にご存知の
 ように旧富士銀行の通帳が使えなくなります。旧第一勧銀の通帳に合わせる
 ということだろうと思います。旧富士銀行のお客様の通帳をすべて入れ替える
 ということがどれほどの手間とコストがかかることか想像できますか。

 こんなところからも合併のシステム統合コストが相当なものであるということが
 推定できると思われます。

■センターの統合システム決定バトル

 センターシステムのメーカーが異なる場合には、メーカーは勿論のこと、
 行内でもメーカー支持者間での激しいバトルが発生します。

 機能の比較やシステムの良否が明確になっても最終的には、政治決着という
 場合が多いのです。
 トップダウンで決定を迫られる課題となります。

 バンキングのセンターシステムはコンピュータメーカーのブランドイメージに
 かかわるだけではなく、将来の収益に多大な影響を与えるからです。

 ありとあらゆるチャネルから政治的・経済的な圧力がかかってきます。
 従って、初期の段階で経営トップによる合意がなされている場合が多いという
 ことになります。

 銀行には数多くのコンピュータ化されたサブシステムが存在します。
 これらのシステムにおいてもそれそれのメーカーの攻防が行われます。

 初期の段階で整理統合していくことがCIOの重要な仕事となります。
 この決定を遅らせると後々にしこりを残すことになります。

 メーカーのSEも人間ですので、不採用の通知を受けた側の協力度合いと
 採用の通知を受けた側の協力度合いに差が出てくるのは当然のことです。
 決定のタイミングと決定理由の透明性が問われることになります。

 メーカー選定の巧拙がシステムトラブルの原因に結びつく可能性が大である
 ということにもなります。

■システム機能の相違の調整方法

 システムの機能の相違があっても強制的にどちらかのシステムに合わせてしまう
 というのが単純な解決法です。

 合併の規模の差が大きい場合には大が小を飲み込んでしまえば決着がつきます。

 しかし、対等合併の場合には個別テーマごとに妥協点を見出すための時間が
 浪費されていきます。

 そして、統合用の新システムは両行のシステム機能を統合するために複雑な対応を
 要求されます。

 システム統合のための開発投資額がかさんでいきます。

 合併しても合併効果がなかなか現れないのは、システムや事務の統合に相応の投資
 とシステム開発負荷が続くからです。

 後ろ向きとは言いませんがどちらかというと足ぶみ状態がつづき、前向きな新規の
 プロジェクトの開発は凍結されます。

 合併により新規のビジネスへの対応が他行比遅れることになります。
 
 従ってシステムの統合はできるだけ急ぐ必要があるのです。

 ここで問題が起こります。
 
 経営は早急にシステムを統一し移行することを要求します。

 移行システムの期間を短くするとシステムのテストが十分でなく、
 システムトラブルに結びつく可能性が高くなります。

 このスケジュールとタイミングの見極めが非常に重要になります。

 みずほ銀行のシステム障害はマスコミで大々的に採り上げられ、国会の場での
 質問にまで発展しました。
 しかし、銀行のシステム統合ではマスコミに採り上げられない大小のトラブルが
 数多く発生しているというのも事実です。

 システム統合は大変苦労の多い仕事であるということです。

■ その他

 その他システムを巡る諸問題は、営業店の事務処理を後方で支えている
 大きな事務処理の工場である「集中事務センター」の事務処理体制にも影響を
 与えます。

 銀行のシステムは関連子会社のシステムとも密接な関係で運用されている
 ためにこれらのシステムの統合も必要になります。

 列挙していけばきりがないほど、ありとあらゆるところに影響が
 でてくるのが銀行の合併に伴うシステムへのインパクトです。
 
 システム統合にまつわる問題は数限りなく存在しますが、
 長くなりすぎますのでこの辺で後は割愛させていただきます。

 次回は合併に伴う人事問題について触れてみたいと思います。

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■銀行の合併について

■銀行の合併システムに関して

 今回からは銀行合併に伴うシステムに関わる諸問題に触れてみたいと思います。

■はじめに

 銀行に限らず、バブル以降企業の大型合併が続いています。
 合併は決して簡単なものではありません。
 企業風土の異なる企業が合併するのですから必ず随所で軋轢が発生します。
 この軋轢を早急に解消し前向きの戦略に取り組むことが経営の重要課題と
 なります。統合のスピードが合併の効果の成否を問うことになります。

 銀行もビッグ4といわれる金融グループに集約されてきました。
 これに伴い同じ金融業界の生命保険、損害保険会社は勿論のこと
 一般の製造メーカーも事業の分離・統合が続いています。

 ところで、銀行合併の場合にも問題になるのが、システムの統合です。

 合併過程でいくつかのシステムトラブルが発生しマスコミの恰好の餌に
 なりました。
 システム統合に伴うトラブルは、顕在化したトラブルに過ぎません。
 銀行の内部では大小さまざまなところで潜在的なトラブルが発生します。
 長い間築かれてきた企業風土の統合は短期間では解決できない問題になります。
 そこで、銀行合併を事例にどんなことが問題になるのかについて実体験に
 基づき具体的な部分をご紹介したいと思います。
 
■合併に伴い検討すべき事項

 合併に伴い調整すべき項目をリストアップしていくと相当の枚数になります。
 特に、日本企業の場合はマニュアル化されていない、企業内の慣習なるもの
 があり、この洗い出しだけでも相当の時間と労力を必要とします。
 検討を重ねるうちに検討項目は累積的に増加していきます。

 この過程で両社のコミュニケーションが問題になります。
 まず、使っている用語が異なるということです。
 続いて大きな問題となるのが、事務・システムの調整と人事問題です。
 これらの相違に関して順次説明していきたいと思います。

■用語の違い

 合併が経営トップレベルで決定されて基本的な合意がなされると合併事務局が
 設立されます。実務的な合併作業が開始され、担当部門別の合併・統合に向けて
 の具体的なスケジュールと合併調整事項の打ち合わせが開始されます。

 ここで、最初に問題になるのは、用語の統一ということになります。
 同じ銀行業同士なので、専門用語だけは統一されているものと思って
 いました。しかし、行内で使っている言葉が異なるということです。

 まず、具体的には下記のような単純な用語すら異なっています。

 従業員 職員、頭取 社長、証印 承認印、給与 給料、
 管理者 責任者、副支店長 次長、・・・。

 これらに伴い、関連語がすべて異なってきます。

 従業員組合 職員組合、従業員預金、職員預金、従業員規定 職員規定、
 給与明細 給料明細、給与支給日 給料支払日、等々

 これらは、意味的には通じるのですが、意味の通じない略語や特殊な
 慣用の用語も多数あります。

■事務手続きの相違

 これが、事務マニュアルになると何千項目も用語と事務手続きの記述が
 微妙に異なつているのです。具体的な事例を列挙してみましょう。

 伝票のデザインや帳票のデザインは当然異なります。
 収容項目や項目の表示の仕方も異なります。
 伝票の印刷部分の色も異なります。
 科目を識別するために多色刷りの伝票を使う場合があります。
 この場合には、色の決定ルールを統一する必要があります。

 単純に赤と青の二色刷りの場合にも問題が起こります。
 入金伝票を赤色にするか、青色にするかを決めなければなりません。
 出金伝票は当然この逆の色になります。
 これもなぜ異なるかは不明ですが伝統的に受け継がれてきたルールです。
 銀行簿記は、科目によっては貸方と借方が逆になります。
 預金は銀行にとっては、資産ではなく負債になります。
 このあたりが当初色を決めるときにだれかが決定したことと思います。

 事務手続きの記録を残すために銀行ではステップごとに伝票に確認印を
 押します。受付印、精査印、責任者印等々です。
 この押印位置も当然異なります。右上か右下か等と異なっています。
 使用する印の種類も形も異なります。
 スタンプインクの色も異なります。黒、赤、青、緑等を使い分けています。
 
 これも習慣になっているのでどちらが効率的かが議論の対象になります。
 些細なことですが、各行でそれなりの理由により決定されているのです。
 これにより伝票の設計が異なり、端末の印字出力場所にも影響を与えます。

 また、伝票のサイズや帳票のサイズが異なると実務面で問題が発生します。
 複写伝票に関しては、糊付けの場所が上か下かの違いもあります。
 これは、端末に伝票を挿入する場合に問題となります。

 ファイリングの方法、保管箱のサイズ、保管方法までもが異なります。
 伝票の綴じ込み方法が異なります。左上を綴じるか、右側を綴じるかです。

 支店の統合を行うとこの伝票のサイズやデザインをどちらに合わせるのか
 により、伝票の保管箱のサイズ、伝票保管棚やキャビネットの種類等まで
 異なってくるのです。金庫に設置する棚の種類まで変更の必要があります。

 二つの支店が統合されると先ずはどちらか一方に合わせることになります。
 ここで問題が発生します。機械化以前の事務処理が残っている場合には、
 印鑑簿や各種契約書を口座番号順に並べるか、あいうえお順にファイリング
 するか、これにもルールがあり銀行で異なっています。
 サイズが異なる帳票を一定のルールで並べ替えるとなるとばらばらになって
 しまいます。当初は旧行ベースでファイリングしていてもいずれは統合して
 統一したファイリングシステムに移行する必要があります。
 異なるサイズの帳票のファイリングの方法だけでも一工夫も二工夫も必要に
 なるということです。

 列挙すればきりがありませんが、些細なことがいろんなことに影響するという
 ことがご理解いただけましたでしょうか。

 ともかく、異なる企業が合併するということは、事務部門と現場では
 顕在化しないトラブルが多発します。
 きめ細かいフォローを行わなければ事務ミスを誘発することになります。


 今回はここまでにしておきます。
 次回はシステム統合問題、人事問題等に触れます。

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■新設銀行について

 
■はじめに

 日本振興銀行が4月21日開業しました。

 http://www.shinkobank.co.jp/ 日本振興銀行の公式HPです。

 首都圏の法人や個人事業主を対象として融資業務を専門的に行う銀行の
 誕生です。
 この銀行は融資商品3種類、預金は定期預金のみの取り扱いだけです。
 シンプルな形の銀行です。本店しかありませんので、事務手続きは
 インターネットと郵便に頼ることになります。

  これに続いて、東京都の石原知事が主導する新東京銀行の開業が控えて
 います。

 このように新しい銀行が設立できるようになったのは、銀行設立の条件が
 緩和されたからです。

http://annai.fsa.go.jp/annai/contents/tetuduki/naiyou_egov/tf221001001.html

 
 免許制になってから、いくつかの銀行が設立されました。

 ジャパンネット銀行、アイワイバンク銀行、ソニーバンク銀行、イーバンク
 銀行の4行が先行して新規に設立されています。

 各々の銀行は設立の背景も、営業の方法も違います。

 これらの銀行に関しての特徴と背景に関して簡単に説明したいと思います。

■新設ネットバンクの概要に関して

 ジャパネット銀行 http://www.japannetbank.co.jp/

 ネット専業銀行として、平成12年10月に設立。
 資本金200億円で三井住友銀行57%、他に、富士通、日本生命、
 東京電力、三井物産、ドコモ、NTT東等が株主となっています。
 日本で最初のネット専業銀行ですが、黒字化に苦戦。

 アイワイバンク銀行  http://www.iy-bank.co.jp/netbank/index.html

 イトーヨーカ堂とセブンイレブンが主要株主の銀行。
 平成13年4月10日に設立。資本金610億円。
 セブンイレブンやイトーヨーカ堂の店舗にATMを設置し、このATMを
 提携他社に利用させることによる手数料確保を主要な収入源とする銀行。
 ATM設置台数7,937(2004.4.27現在)で、銀行は勿論のこと、郵政公社、
 信用金庫、証券、生保、クレジットカード会社等と幅広く提携。
 単年度で黒字に転換。

 ソニーバンク銀行 http://moneykit.net/

 ソニーファイナンス80%、三井住友銀行16%、JPモルガン4%の
 出資比率で資本金187.5億円で、平成13年4月2日設立の銀行。
 預金業務とローン業務を中心に展開。
 住宅ローン等の残高を伸ばしています。
 
 イーバンク銀行  http://www.ebank.co.jp/

 現在の資本金は220億円強で、外資、メーカー等が出資する銀行。
 特徴としては、イーバンク口座間の振込み手数料がゼロ等決済機能を
 中心として業務展開する銀行。

 以上の4行がインターネット時代の新銀行ですが、アイワイ銀行が
 単年度決算で黒字転換で、他は赤字決算が続いています。

 新設銀行の黒字化には相応の時間が必要ということです。
 各々の銀行のビジネスモデルにも問題があるのかも知れません。
 決済機能だけでの黒字転換にはまだまだ時間が必要なようです。

■東京都の考える新設銀行の概要
 
 東京都の「新銀行」の概要は、下記の内容で公表されています。

 本   店:東京都千代田区  資 本 金:開業時は1500億円
            (都が1000億円出資、残りは民間企業から募る)
 代表執行役:仁司泰正氏(前トーメン副社長)行 員 数:195人(開業時)
 支 店 数:9店舗(開業時は5)
 預金量目標:1兆2000億円(2007年度末時点)

 開業までの経緯

 99年3月:石原氏が都知事選で信組再編による新銀行構想
 03年3月:石原知事が都出資の新銀行
 04年2月:都が「新銀行マスタープラン」
 04年4月:都がBNPパリバ信託銀行の経営権取得 準備会社を発足
 04年6月:委員会設置会社に移行
 05年1月:口座開設など事前予約受け付け
 05年4月以降:新銀行が開業の予定

 以上が新東京銀行の設立構想です。出資企業の会社も特徴があります。
 オリックス、JR東日本、NTTコミュニケーション等も参加の予定
 だったと思います。

 どんな銀行になるのか楽しみです。

 従来の銀行は横並び意識が強く、どこの銀行もサービスには大差がない
 という古き時代から個性のある銀行がサービスを競うという時代に転換
 されつつあります。
 特徴あるサービスを競うことにより、お客様サービスが向上することを
 期待したいものです。

■その他特徴ある銀行

 銀行も合併や破綻したもの、国有化されたもの等があり、
 銀行の表看板を看ても昔の名前がわからないものが多数あります。

 われわれ銀行業界で長い間仕事をしていた人間ですら、すぐには
 思い出せないことが多いのです。

 ところで、下記の銀行の旧行名をご存知ですか。

 新生銀行の旧行名は?
 あおぞら銀行の旧行名は?
 UFJ銀行は?
 国有化されているりそな銀行は?
 みずほ銀行は?

 旧行の名前が残っている銀行はわかりやすいですが、その他は
 判りにくくなってきています。

 昭和40年代に旧都銀といわれていた13行は現在7行になっていますが
 このうち昔の名前が残っているのは、三井住友銀行、東京三菱銀行だけに
 なってしまいました。

 ところで、バブルが崩壊して以来、銀行は不良債権の償却に努めてきました。

 不良債権として償却した金額の累計は77.4兆円(1995年度から
 2002年度までの累積)という数字があります。
 バブルの後遺症の大きさに驚くばかりです。
 平均年額で10兆円前後の償却を続けているのです。

 この間に、金融再編成が行われ、ビッグ4といわれる金融グループが形成
 されました。

 銀行を中心にして、生命保険、損害保険、証券会社等も倒産、合併、吸収等
 により会社の形態が大きく変化してきています。

 企業30年寿命説というのがありますが、まさに真実かも知れません。
 企業革新のない会社は消え去るのみということでしよう。

 ところで、金融機関といわれるのは、都市銀行、長期信用銀行、信託銀行、
 地銀、第二地銀、信用金庫、信用組合、労働金庫、農業協同組合、
 証券会社、生命保険会社、損害保険会社ですが、これらの会社は大幅に
 減少しています。

 1999/3末の2,988社が、2004/3/31で1,868社と
 なっておりこの5年間で1,120社も減少しているということは驚きの
 数字です。

 金融業界でも、これからは、いくつかの名前が消え、新たな会社の名前が
 顕われることになると思われます。
 金融業界も自然淘汰の時代に入ったということです。

 

【追伸】前述の銀行の旧行名の回答です。いくつお解りになりましたか?

 新生銀行の旧行名は?⇒日本長期信用銀行
 あおぞら銀行の旧行名は?⇒日本不動産銀行
 UFJ銀行は?⇒三和銀行と東海銀行の合併
 りそな銀行は?⇒大和銀行、協和銀行、埼玉銀行の合弁グループの銀行
 みずほ銀行は?⇒富士銀行、第一勧業銀行、日本興業銀行の合弁
 

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